訪問看護の社長業~創業経営者 水谷氏から学んだこと 方針の徹底について~
この連載も第13回が締めの内容になります。水谷和美著『訪問看護の社長業』(※1)をお読みになった方においては、当連載を併せて読んでいただくと、より腑に落ちる内容だったと思います。実践実務に至るまでの理念・哲学・思想を少しでも皆様へお伝えできればと思い、水谷氏の許可を得て、経営の方針の肝となる部分を紹介致しました。
最終となる今回は、いかに方針を社内に浸透させ、徹底するかについてお伝えします。
方針の徹底について
お客様満足向上のため、理念浸透のため、水谷氏は「上長こそが自らを律して取り組む姿勢が大事」と強く説きます。
1.スタッフ入社時には、社長が2時間以上方針の説明を直接行って、価値観を共有します。
※会社規模が小さくても大きくなっても、入社時の説明は徹底して実践していました。
2.創業時より、経営方針書をもって経営哲学・思想・事業計画・運営方針を共有したいと強く念じております。経営方針書は、社長自らが渾身の想いで現在の安定と将来の成長を導く手順を描いております。経験則に基づいたこの内容を実践すれば、業界最優良企業を継続できる自信があります。全員で周知徹底して誠実に遵守してください。
3.毎朝9時からの朝礼で、全員で声を合わせ、日替わりで1ページずつ朗読してください。
4.経営方針を確実に実行し、決めたこと、決められたことは必ず守ってください。
コーポレートガバナンス(企業統治)の基本であり、コンプライアンスを順守するためです。
5. 経営方針の違反者は人前で必ず叱る。少しの違反でも毅然と注意してください。
6. 不平・不満は限界がなく、自分で努力しないで、他人に寄りかかる醜い姿です。
7. 管理職・管理者は、この方針を率先して、部下に遵守させることが仕事です。
経営哲学・思想・事業計画・運営方針(の基本~応用)・短期~中長期事業計画まで、年度ごとに更新・説明された経営方針書を水谷氏は何より大事にしておりました。組織の形態は日に日に変化しますが、ここ書かれたことだけはぶれずにやりきるという社長の執念とも言うべき強い想いが、社員に浸透してこその経営方針です。「失敗しても、やり続けて成功すれば失敗ではない」というのが水谷氏の口癖ですが、どうぞこれから起業される方も、今悩んでいる方も、参考にしていただければと思います。
短い間ですが、連載コラムをお読みいただきありがとうございました。
それでは、またどこかでお会いしましょう!!!
**
一般社団法人訪問看護エデュケーションパーラー理事長 上原良夫
【略歴】
2012年ソフィアメディ(株)入社。訪問看護事業の営業開発課長・教育研修事業部長・介護事業統括部長・医療連携推進室長を経て、(株)CUCの支援医療法人の訪問診療事務長、在宅事業企画担当。
2020年7月より一般社団法人訪問看護エデュケーションパーラー理事長に就任。訪問看護事業の教育研修企画・ 各種 コンサルティング、業務委託においてアームエイブル(株)ゼネラルマネージャー兼務
【参考】
※1 水谷和美著(2020)『訪問看護の社長業』,日本医療企画.