特集
第1回 訪問看護ステーションの「働き方改革」/[その2]新型コロナウイルス感染症他の災害対策:事業継続のために
令和3年度介護報酬改定で感染症・災害対策の強化が義務化されました。職員を守り、地域の利用者を守り続けられる、災害や感染症にも負けない訪問看護ステーションが求められています。
●ここがポイント!
・令和3年度介護報酬改定で感染症・災害対策の強化が義務化された。
・国が提供するツールを活用して、効率よくBCPを作成しよう!
・ステーション内だけでなく、他のステーションや事業所とも協働し、いざというときの連携体制をとれるようにしよう!
・令和3年度介護報酬改定で感染症・災害対策の強化が義務化された。
・国が提供するツールを活用して、効率よくBCPを作成しよう!
・ステーション内だけでなく、他のステーションや事業所とも協働し、いざというときの連携体制をとれるようにしよう!
目次
最近の自然災害・感染症にはどんなものがある?
2020年初頭から私たちの生活を脅かし続けている新型コロナウイルス感染症。最近では変異株が流行ってきているということもあり、1日でも早い収束が望まれるところです。
私たちの生活を脅かしているのは、新型コロナウイルス感染症だけではありません。最近の自然災害を見てみましょう。
2017年 7月 福岡県と大分県で集中豪雨。死者行方不明者40人以上
2018年 6月 大阪府北部を震源とする震度6弱の地震
2018年 6月~8月 東日本・西日本に記録的な猛暑
2018年 7月 広島県、岡山県、愛媛県などに集中豪雨。死亡者200人以上
2018年 9月 北海道胆振東部で震度7の地震。約295万戸が停電に
2019年 8月 九州北部で長時間にわたる集中豪雨。観測史上1位の記録を更新した地域も
2019年 9月 関東地方で過去最強クラスの台風(台風15号)
2019年 10月 関東地方・甲信地方・東北地方などで記録的な大雨
2020年 7月 熊本県を中心に九州地方や中部地方などに集中豪雨が発生
2020年 1月 新型コロナウイルス感染症の拡大
2018年 6月 大阪府北部を震源とする震度6弱の地震
2018年 6月~8月 東日本・西日本に記録的な猛暑
2018年 7月 広島県、岡山県、愛媛県などに集中豪雨。死亡者200人以上
2018年 9月 北海道胆振東部で震度7の地震。約295万戸が停電に
2019年 8月 九州北部で長時間にわたる集中豪雨。観測史上1位の記録を更新した地域も
2019年 9月 関東地方で過去最強クラスの台風(台風15号)
2019年 10月 関東地方・甲信地方・東北地方などで記録的な大雨
2020年 7月 熊本県を中心に九州地方や中部地方などに集中豪雨が発生
2020年 1月 新型コロナウイルス感染症の拡大
ここ数年だけ見ても、各地で大規模な自然災害、甚大な被害が発生していることがわかります。
令和3年度介護報酬改定で義務化された感染症や災害対策
令和3年度介護報酬改定では、「感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築」することが求められるようになりました。
具体的には、日ごろからの備えと業務継続に向けた取り組みの推進として、次のことが求められます。
◎感染症対策の強化(※3年の経過措置期間あり)
〈目的〉
感染症の発生やまん延等に関する取り組みの徹底を求めるため
〈義務づけられる取り組み〉
委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等
〈目的〉
感染症の発生やまん延等に関する取り組みの徹底を求めるため
〈義務づけられる取り組み〉
委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等
◎業務継続に向けた取り組みの強化(※3年の経過措置期間あり)
〈目的〉
感染症や災害が発生した場合でも、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築するため
〈義務づけられる取り組み〉
業務継続に向けた計画(BCP)等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等
〈目的〉
感染症や災害が発生した場合でも、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築するため
〈義務づけられる取り組み〉
業務継続に向けた計画(BCP)等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等
守るべき資源とはどんなもの?
災害や感染症の流行といった自然災害に遭遇しても、地域に必要な看護サービスを止めない、もしくは一時的に止めても再開できる事業所運営が求められます。そして、その看護サービス提供に必要な資源を守ることが重要です。
守るべき資源とは、まず職員。
そして、建物・設備、そしてライフライン(電気・ガス・水道・情報通信など)です。
そして、建物・設備、そしてライフライン(電気・ガス・水道・情報通信など)です。
なお、雇用契約を結んだ時点で、ステーションには職員の安全や健康を守る義務(安全配慮義務)が発生し、労働安全衛生法に従い、さまざまな措置を講じる義務があります。
①安全衛生教育(労働安全衛生法第59条)
事業者は労働者に対して、雇入れ時および作業内容の変更時などに、安全衛生教育を実施
事業者は労働者に対して、雇入れ時および作業内容の変更時などに、安全衛生教育を実施
②健康診断(労働安全衛生法第66条)
事業者は常時使用する労働者に対して、雇入れ時および1年以内ごとに1回、定期的に健康診断を実施
事業者は常時使用する労働者に対して、雇入れ時および1年以内ごとに1回、定期的に健康診断を実施
上記以外にも、感染予防に努めたり、体調不良の職員がいた場合は勤務調整などを行わなければいけません。
最近の自然災害の状況を見てもわかる通り、水害や地震、停電など人命やライフラインに影響が起きるような災害が発生しています。
職員の生命を守るためにも、そして地域で事業継続し、必要な看護を届けるためにも、災害の種類に応じた資源の守り方や事業継続のしかたを考えていきましょう。
まず、業務継続に向けた計画(BCP)等を作成してみよう!
まずは、業務継続計画(BCP)を作成してみましょう。
厚労省のホームページでは、BCPを作成するための研修動画やガイドライン、ひな形が掲載されています。
厚労省のホームページでは、BCPを作成するための研修動画やガイドライン、ひな形が掲載されています。
▼厚生労働省HP:介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html
研修動画を見ながら、そしてひな形を活用しながら、ステーションの防災・減災の取り組みの活動の一環として職員の方々と対話をしながら作成していくとよいでしょう。
また、地域の訪問看護ステーション連絡協議会などの会議の場で、各地域で想定される自然災害や各ステーションの防災対策、連携方法や情報共有方法などについて話し合い、いざという時の協力関係を結べるようにしておきましょう。
また、地域の訪問看護ステーション連絡協議会などの会議の場で、各地域で想定される自然災害や各ステーションの防災対策、連携方法や情報共有方法などについて話し合い、いざという時の協力関係を結べるようにしておきましょう。
なお、内閣府の防災情報のページから、都道府県ごとに設けている防災に関するホームページにアクセスすることができますので、ぜひご確認ください。
▼内閣府HP:各自治体防災情報 ホームページ一覧
http://www.bousai.go.jp/simulator/list.html
http://www.bousai.go.jp/simulator/list.html
加藤明子 加藤看護師社労士事務所代表
看護師・特定社会保険労務士・医療労務コンサルタント
看護師・特定社会保険労務士・医療労務コンサルタント
看護師として医療機関に在籍中に社会保険労務士の資格を取得。社労士法人での勤務や、日本看護協会での勤務を経て、現在は、加藤看護師社労士事務所を設立し、労務管理のサポートや執筆・研修を行っている。
▼加藤看護師社労士事務所
https://www.kato-nsr.com/
https://www.kato-nsr.com/
編集協力:株式会社照林社