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食物アレルギーがおさまる時間、症状、対処法は?子どもと大人の違いも解説

食物アレルギーがおさまる時間、症状、対処法

食物アレルギーの症状は、軽度から重度までさまざま。花粉症の人が発症しやすい食物アレルギーもあります。本記事では、食物アレルギーの症状や治療法、子どもと大人の違い、アレルギー発症時の対処法、おさまるまでの時間などついて解説します。訪問看護の利用者さんやそのご家族、あるいはご自身の健康管理に役立てるために、食物アレルギーの知識を身につけましょう。

食物アレルギーとは

食物アレルギーとは、免疫システムが特定の食物を誤って有害物質と認識し、それに対して過剰に反応することで発症する疾患です。その多くはIgE抗体が関与しており、食物を摂取した後に、皮膚のかゆみや蕁麻疹、呼吸困難などの症状が現れます。症状が現れるタイミングの多くは、アレルゲンを摂取してから数分~数時間以内ですが、半日ほど経過後に現れる場合もあります。

食物アレルギーにはいくつかの種類があります。最も一般的なのは、甲殻類やそば、ナッツ類などによる「通常の食物アレルギー」です。そのほか、果物や野菜などによって引き起こされる「口腔アレルギー症候群(OAS)」や、ラテックスアレルギーの方が果物を摂取することで起こる「ラテックス・フルーツ症候群」、特定の食物を摂取した後、運動すると起こる「食物依存性運動誘発性アナフィラキシー」があります。それぞれ見ていきましょう。

即時型食物アレルギー

即時型食物アレルギーは、甲殻類、そば、ナッツ類、卵、小麦などが原因となり、発症します。

症状:皮膚の発赤、蕁麻疹、皮疹、咳、喘鳴、腹痛、嘔吐など
発症までの時間:食物を摂取してから2時間以内(多くは30分以内)
おさまる時間:数日
好発年齢:0~1歳(ただし全年齢発症の可能性あり)

複数の箇所に比較的強い症状が現れた状態である「アナフィラキシー」になると、アナフィラキシーショック(症状が進行して血圧が低下し、気道狭窄、呼吸困難、低酸素血症、意識障害を生じた状態)へと進行し、生命に危険が及ぶおそれがあります。

口腔アレルギー症候群(OAS)

口腔アレルギー症候群(OAS)は、特定の果物や野菜を食べた際に発症します。花粉症と密接に関連しており、特定の花粉にアレルギーを持つ人が、似た抗原構造を持つ果物や野菜を食べた際にアレルギー反応を起こします。たとえば、シラカバによる花粉症の人はリンゴやモモ、カモガヤによる花粉症の人はメロンやスイカに反応することがあります。これは、含まれる抗原が似ているために起こる「交差反応」と呼ばれる現象によるものです。

症状:口の中や喉のかゆみ・腫れ・違和感
発症までの時間:食物を摂取してから数分以内
おさまる時間:30分~1時間程度
好発年齢:幼児~成人

ラテックス・フルーツ症候群

ラテックス・フルーツ症候群は、ラテックスアレルギー(※)を持つ人が、特定の果物に含まれる抗原に反応することで発症します。特にバナナ、アボカド、キウイ、栗などの果物は発症リスクが高く、重症化する可能性があります。これは、ラテックスとこれらの果物に含まれる抗原が似ているためと考えられており、摂取する際は注意が必要です。

※ラテックスアレルギーとは、ゴム手袋や風船などのラテックス製品が皮膚に接触することで発症するアレルギー反応です。

症状:口腔内の違和感やしびれ、顔面浮腫、呼吸困難感、動悸、かゆみを伴う全身性の蕁麻疹など
発症までの時間:食物を摂取してから15分程度
おさまる時間:体調などにより個人差あり
好発年齢:特になし

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)は、小麦や甲殻類、果物など特定の食物を摂取した後に運動することで症状が出現し、ショック状態にいたることもあります。

FDEIAは激しい運動だけでなく、散歩程度の軽い運動でも発症することがあります。さらに、疲労、寝不足、風邪、ストレス、月経前症状、気象条件、アスピリンや非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)の服用なども症状を誘発する要因となり得ます。通常の小麦アレルギーとは異なる成分が原因となっており、一般のアレルギー検査では検出できません。そのため、自分がFDEIAに該当するかどうかを確認するためには、専門的な検査が必要です。

症状:蕁麻疹、呼吸困難、気分不快、意識消失
発症までの時間:摂取した後2時間以内に運動すると発症するケースが多い
おさまる時間:重篤化しなければ1日程度
好発年齢:10代~20代

大人と子どもの食物アレルギーの違い

食物アレルギーは子どもと大人で異なる特徴を持っています。その違いについても見ていきましょう。

治るの可能性

大人の場合、一度食物アレルギーを発症すると寛解することは困難で、原因となる食品を完全に避ける以外の方法はほぼないとされています。

一方、子どもの食物アレルギーは、成長するにつれて消化管のバリア機能が発達し、アレルゲンに対する耐性がつくことで寛解するケースがほとんどです。たとえば、幼少期に卵アレルギーがあっても、成長するにつれて加熱した卵を食べられるようになり、最終的には生卵を食べてもアレルギー反応が現れなくなります。

自然に耐性を獲得するのが難しい場合、医師の指導のもとで少量のアレルゲンを徐々に摂取して体を慣らしていく「経口免疫療法(経口減感作療法)」という治療法があります。ただし、この治療は副反応が起こりやすく、まれにアナフィラキシーをはじめとした重篤な症状を引き起こす可能性があり、安全性に十分な配慮が求められます。一部の症例には治療効果はありますがエビデンスレベルは低いため、食物アレルギーの一般診療としては推奨されていません。

アレルギー出現時の対処方法

アレルギー反応が出た場合には、迅速かつ適切な対応が求められます。特に、アナフィラキシーショックが発生した場合は、アドレナリン自己注射薬をすぐに使用、救急車を要請し、医療機関での治療を受ける必要があります。

アレルギー反応が軽度の場合、症状は数時間以内におさまることが通常です。一方、アナフィラキシーショックのような重篤な反応では数日間にわたり症状が続き、入院治療が必要な場合もあります。

アレルギーの予防と対策

食物アレルギーを防ぐために、次のポイントを押さえましょう。

食品成分表を十分に確認する

食物アレルギーを予防するためには、食品成分表をしっかりと確認することが重要です。特に加工食品には、思わぬアレルゲンが含まれていることがあるため、注意が必要です。たとえば、チョコレートやクッキーには、小麦、卵、乳製品、ナッツが含まれている場合があります。また、ソースやドレッシングには、大豆や小麦が含まれていることが多いため、小麦や大豆にアレルギーがある方は注意しましょう。

体調の悪いときは避ける

体調が悪いときは、アレルゲンを含む食品を避けることが賢明です。加熱すればアレルギー反応が出ない方も、体調不良のときは避けましょう。たとえば、加熱した卵であれば問題ない程度の卵アレルギーでも、体調不良のときは加熱した卵でも症状が出る可能性があります。

果物アレルギーに関しては、症状が出るときと出ないときがあるため、ひとまず気にせずに食べて、症状が現れたら対処すればよいという考え方の人も少なくありません。そのような方が体調不良のときに果物を食べる場合は、アレルギー反応が現れる可能性を少しでも抑えるために、アレルギーを起こす可能性のあるタンパク質を加熱処理して食べるとよいでしょう。

また、花粉症自体の治療により、食物アレルギーの症状が改善することもあるため、医師に相談してみてください。

食物負荷テストを受ける

食物負荷テストは、アレルギーの有無を確認するための方法で、医療機関や家庭で行うことができます。医療機関で行う場合は、専門医の監督下で少量のアレルゲンを摂取し、反応を観察します。家庭で行う場合は、医師の指導を受けた上で、慎重に進めることが重要です。

災害時に備えておく

災害時には、食物アレルギーを持つ人が避難所で困ることが多いため、事前の準備が必要です。非常用袋や防災セットには、アレルギー対応食品やアドレナリン自己注射薬、抗ヒスタミン薬を備えておきましょう。また、学校や宿泊先などにも、アレルギーについて事前に伝えておくことが大切です。

注意したいのが、炊き出しに使用している食物を確認することです。しかし、炊き出しは大量調理のため、多少のアレルゲンの混入は避けられないものと考える必要があります。

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食物アレルギーは、子どもから大人まで誰にでも見られる疾患です。アレルギー反応が出た場合の対応や日常生活における予防策をしっかりと理解し、常に注意を払うことが大切です。今回解説した内容を自身や訪問看護の利用者さん、そのご家族などの健康管理に役立ててください。

編集・執筆:加藤 良大
監修:村田 朗
監修医師 村田 朗
医療法人財団日睡会 理事長
御茶ノ水呼吸ケアクリニック 院長
日本医科大学内科学講座(呼吸器・感染・腫瘍部門)非常勤講師。
日本医科大学、 同大学院卒業。
資格・学会:医学博士、日本内科学会認定内科医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本睡眠学会会員、肺音(呼吸音)研究会世話人、東京呼吸ケア研究会幹事、American Thoracic Society 会員、European Respiratory Society 会員、International Lung Sounds Association 会員、NPO法人日本呼吸器障害者情報センター顧問、東京都三宅村呼吸器専門診療委託医、日本医師会認定産業医、身体障害者福祉法指定医(呼吸器)、千代田区公害健康被害診療報酬審査委員。

【参考】
〇厚生労働省.「4食物アレルギー」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-08.pdf
2024/9/20閲覧
〇日本小児アレルギー学会「食物アレルギーのこどもへの対応」(2017年11月)
https://www.jspaci.jp/assets/documents/saigai_pamphlet_2021.pdf
2024/9/20閲覧

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