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川崎病の症状・原因・治療法。発症しやすい年齢から後遺症まで解説

川崎病の症状・原因・治療法。発症しやすい年齢から後遺症まで解説

川崎病は子どもに多く見られる疾患ですが、まれに大人でも発症する可能性があるため、年齢を問わず警戒しておきたい病気といえます。この記事では、川崎病の症状や原因、治療法、発症しやすい年齢や後遺症、合併症などについて解説します。

川崎病とは

川崎病は乳幼児によく見られる急性熱性疾患で、中型・小型の筋性動脈での血管炎が特徴です。無治療の場合、約25~30%の患者が冠動脈に拡大性病変が生じ、心筋梗塞の危険因子となります。したがって、適切な治療で炎症反応を抑え、血管の損傷を最小限に抑えることが重要です。

川崎病の症状

川崎病の主な症状は以下のとおりです。

  1. 発熱
  2. 両側眼球結膜の充血
  3. 口唇の紅潮、いちご舌
  4. 発疹
  5. 手足の硬性浮腫、掌蹠(手のひらと足の裏)ないし指趾先端の紅斑
  6. 非化膿性頸部リンパ節腫脹

これらの症状のうち5つ以上がある場合、川崎病と診断されます。また、特徴的な症状の1つとしてBCG予防注射部位の赤みや腫れも挙げられます。

川崎病の原因

川崎病の原因は解明されていません。日本での罹患率が他の国に比べて高いことから遺伝的要因についても指摘されていますが、研究途上です。

また、過去にはダニが原因である可能性が指摘されましたが、最近は特定の原因ではなく、カビ、ウイルス、細菌などの病原微生物の侵入による過剰な免疫反応によるものではないかともいわれています。

川崎病を発症しやすい年齢

川崎病は、乳幼児期に好発します。一般的には2歳から5歳が最も多い発症年齢であり、特に幼児期の後半に多く見られます。大人においても発症することはありますが、まれです。

川崎病を疑ったときの対応方法

川崎病は早期発見が重要なため、特徴的な症状が現れた場合はなるべく早く医療機関を受診しましょう。

川崎病が疑われた場合は血液検査や尿検査を行います。罹患している場合は血管の炎症を示す数値に異常が見られることがあります。急性期の血液検査では、白血球(WBC)と炎症反応(CRP)高値、低ナトリウム血症、肝機能の指標であるビリルビン・AST・ALTの上昇、アルブミン(ALB)の低下などの所見が認められます。さらに、川崎病によって冠動脈が影響を受けていないかを調べるために、心臓超音波検査も必要です。冠動脈の形や大きさを確認し、冠動脈瘤の有無を調べることができます。

川崎病の治療法

川崎病は、血管の炎症を抑える治療を早期に開始することが重要です。発熱がある場合、免疫グロブリン療法とアスピリン療法を併用した標準治療が推奨されます。早期治療によって後遺症のリスクを軽減できます。

ただし、免疫グロブリン製剤を投与しても解熱しない場合は、免疫グロブリン製剤の追加投与やステロイド剤の併用、インフリキシマブなどの使用、血漿交換療法などが必要になる場合があります。入院期間は、早期治療で軽快した場合約10~14日間です。

冠動脈に後遺症を残さないためにも、早期に適切な治療を受けることが重要です。症状が疑われる場合は速やかに医療機関を受診し、医師の診断と指示に従い治療を受けましょう。

川崎病の合併症

川崎病は全身の血管に炎症が生じるため、さまざまな合併症が発生する可能性があります。合併症は一時的なものであり、適切な治療が行われれば重篤な状態に進展することはまれです。ただし、冠動脈瘤ができた場合には、狭心症や心筋梗塞のリスクが高まります。

また、心筋炎や心不全、不整脈、肝障害、腎障害、イレウス、けいれん、脳症など重篤な合併症が現れる場合もあります。

川崎病の後遺症

川崎病の後遺症は、冠動脈瘤に起因する心筋梗塞です。一般的に、発熱が10日以上続くと冠動脈に問題が起きるリスクが高まることから、熱が出た日から9日以内に血管の炎症を抑えることが望ましいとされています。

冠動脈に影響を受けた場合は膨らみ始め、やがて冠動脈瘤が生じます。6mm以上にまで膨らむと元の大きさに戻らず、血液の通り道が細くなることによって血栓が生じやすくなり、心筋梗塞のリスクが高まります。だからこそ、冠動脈に異常が起きていないか十分に確認しなければなりません。

もし、川崎病の影響で冠動脈に変化が起きたら、血液の流れをスムーズにするための薬を長期間続けつつ、定期的に心臓の超音波検査で経過を確認する必要があります。

* * *

川崎病は、全身の血管に炎症が起きることで、発熱や両側眼球結膜の充血、発疹などの症状が現れる病気です。小児では珍しい病気ではなく、発見が遅れると冠動脈瘤が形成されるリスクが高まるため、なるべく早く医療機関を受診しましょう。

編集・執筆:加藤 良大
監修:久手堅 司

久手堅 司医師 
せたがや内科・神経内科クリニック院長 医学博士。
「自律神経失調症外来」、「気象病・天気病外来」、「寒暖差疲労外来」等の特殊外来を行っている。
これらの特殊外来は、メディアから注目されている。
著書に「気象病ハンドブック」誠文堂新光社。監修本に「毎日がラクになる!自律神経が整う本」宝島社等がある。

【参考】
〇日本川崎病学会「川崎病診断の手引き 改訂第6版 」
https://jskd.jp/wp-content/uploads/2022/10/tebiki201906.pdf
2024/7/18閲覧

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