インタビュー

訪問看護が子どもや家族を地域に繋ぐためのかけ橋に

医療ケアがあるから…と諦めるのではなく、その先をともに考える。小児に特化した訪問看護ステーションベビーノの所長平原さんに、ベビーノの強みや今後の取り組みについてお伺いしました。

医療だけではなく、生活に根付いたサービスを提供する

―ベビーノさんの強み、力を入れているところを教えてください。
平原:
ベビーノでは小児に特化した理学療法士や作業療法士などもいます。看護だからリハ職だからということではなく、子どもや家族に対してチームで関わっているところが強みだと思います。未就学児で訪問する期間は限定されているなかで、医療だけではなく、生活に根付いたサービスの提供ができればと思います。スタッフが皆、優秀なのですごく助かっています。
―ベビーノさんが今後取り組みたいのはどんなことでしょうか。
平原:
NICUからお家に帰ってきて、楽しく安全に生活ができるという土台はその子の人生のベースにもなるので、医療保険での訪問は変わらずに丁寧に続けていきたいです。
実は2020年9月に相談支援事業所を開設し、2021年2月からは保育所等訪問支援事業も準備しています。ベビーノを使っている子が対象です。子どもたちがお家で生活することを考えて、訪問だけではなく、地域にしっかり繋がっていくところをやっていきたいと思っています。
保育所等訪問支援は、お家ではできるけど、保育所ではうまくできないところをお手伝いするイメージです。例えば、ごはんがうまく食べられないといった場合、何回かベビーノのスタッフが訪問し、姿勢や使っている道具、環境、周囲のお友達、先生たちとの関わりなどを見て、調整していきます。今までは家族の希望で、自費やボランティアでやっていたところをシステム化したものです。もちろん、保育所に連絡をして許可がもらえてから介入します。

インクルーシブに、きっかけを作って繋ぐ

平原:
医療ケアが必要な子たちが、どんどん保育園に入っていって、訪問看護師も保育園などに訪問しながら医療ケアのサポートや体調管理のお手伝いをやりたいと思っています。だけど、「保育所等訪問支援事業は福祉サービスで、医療じゃないから訪問看護師は訪問できないよ」と言われてしまいました。既存のシステムには乗れないところもありますが、医療ケアがあるから保育園を諦めるということではなく、通えるように一緒に目指していきたいです。世の中いろんな人たちがいるので、インクルーシブに、その中で少しサポートが必要なところにベビーノがお手伝いにいくようになればいいですね。書類だけで疾患名や障がいをみると、「どんな子が来るんだろう…」と保育園側も不安が大きいと思います。だけど、実際にお子さんたちに会われると、「全然、ほかの子たちと一緒にいても大丈夫じゃない」と、特別なことをするわけではないと思ってもらえるケースもあります。
私たちはずっと大きくなるまで携われるわけではないですが、きっかけを作って繋いでいくところを専門的にやっていきたいです。そのためには、訪問看護の部分はしっかりとやらないと説得力がないので、お家での生活のお手伝いを丁寧にやっていきたいです。そして今後はグループ事業として、重症児や医療的ケア児のための発達支援事業所の開設も準備中です。
今、関わっている子たちがどういう風に幸せな生活を組み立てていくのか、コロナ禍で今までの当たり前ができなくなることもあるので、答えがないところを一緒に考えていく存在でありたいです。
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訪問看護ステーションベビーノ所長
平原真紀 助産師、看護師)
大学病院のNICUで勤務し、主任を経験した後、2010年に訪問看護ステーションベビーノを開設。当時はNICUから退院した子どものサポートがなかったため、育児支援サービスとして乳幼児専門の訪問看護を提供している。
※本記事への写真掲載はご家族の許可をいただいております。

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