インタビュー
質の高い看護を目指し地域に寄り添う―生まれる前から人生最期まで―
群馬県内でも有数の小児看護に力を注いでいる訪問看護リハビリステーションクローバー。助産師の経験を経て「継続して地域で母子に寄り添いたい」との思いから、2016年に開設しました。現在は母子を取り巻く問題に向き合い、新たな事業を展開し続けています。管理者インタビュー『My Care Style 』第2回目は、所長の野口和恵さんに開設から現在に至るまでのお話を伺いました。
目次
ステーション開設時の奮励
Q ステーションを開設してからの経緯
開設当初はゼロからイチにする難しさを味わいました。最も大変だったのは利用者さんの獲得です。営業は未経験からのスタートなので、アポイントメントの取り方、名刺交換から学びました。新規利用者さんには、ステーションの強みや魅力を伝えることができなくて本当に苦しかったです。
利用者さんが少ないとステーション内の雰囲気もギスギスしてしまって。軌道に乗ればみんなの気持ちも前向きになって、いろいろ大変なことも乗り越えることができるんですけどね。
とにかく新規開拓のために、営業や管理者同士のつながりを作るほかにも、銀行の研修やビジネススクールにも通いました。異なる分野を知ることはステーション経営のヒントに繋がると思い、異業種の場には積極的に参加しました。
一歩先行く経営者の成功事例を学ぶとともに、そこに行きつくまでには、たくさんの失敗や苦悩があり、努力し続けていることを知りました。同時に「私だけではない」と思えたことで、苦しい時期を乗り越える原動力となりました。
管理者としての想い
Q スタッフとの関わりで心がけていることは?
一人ひとりの得意分野を尊重しています。これまで経験してきた看護は、人によって違いがありますよね。「餅は餅屋」というように、ある分野が好きで夢中になっている人にはかなわないと思っています。クローバーの特色は小児看護と言っていますが、利用者さんは小児だけではないので、それぞれの得意分野を発揮できるような関わりを意識しています。ステーションの色に染まるのではなく、個々のカラーを大切にしたいですね。
また、多職種との連携については、連絡と連携の違いについて伝えています。よく、電話をして話をしたことで満足してしまうことがあります。しかしそれは連絡であって連携ではないですよね。連携というのは、一歩先の状況を見据えて、問題の答えが出せるような関わりを持つことだと思います。ここを理解できないと連絡だけで終わってしまうことがあるので、しっかり伝えています。
地域で母子を支えるために
Q ステーションの強みとは?
助産師や小児科経験ある看護師がいるので、小児から高齢者まで幅広く訪問できることがクローバーの強みです。
また、2021年4月には、妊娠・出産・育児支援を行うN P O法人も立ち上げました。全国的にも、出産前から育児に特化している法人はまだまだ少ないと思っています。女性の一生を支えていくことができる体制があることも大きな特色ですね。
また、2021年4月には、妊娠・出産・育児支援を行うN P O法人も立ち上げました。全国的にも、出産前から育児に特化している法人はまだまだ少ないと思っています。女性の一生を支えていくことができる体制があることも大きな特色ですね。
Q 小児看護で大切なこととは?
諦めない姿勢を持ち続けることだと思います。例えば、どんなに良い看護をしたとしても、その子が急に歩けたり、お喋りできたりするわけではないですよね。大事なことは、問題を解決することより、解決できない問題に対して諦めず家族と一緒に向き合い続けること。そして寄り添う姿勢を示すことだと思います。
「転びそうになったときに支えてくれた」「困っているときに相談に乗ってくれた」という存在であれば、小児を対象にする看護はできると思うんです。だから初めて小児看護に関わるスタッフには、このような視点で関わることができれば上手くいくと伝え、自信をつけてもらっています。
生まれる前から支えるしくみを
Q 訪問看護で足りない部分を補う取り組みとは?
医療的ケア児や障がいのある子どもたちの訪問看護をしていく中、看護だけでは補えない母子の問題に直面しました。育児や生活って24時間ですよね。子育て中のお母さんたちは、休む時間や自分が自分になれる時間がなかなか持てません。それに、子どもたちも成長するための環境が必要だと思いました。そこで訪問看護だけでは足りない部分をサポートするために、児童発達、放課後デイサービス、生活介護などの多機能型通所施設を設立しました。
こうした活動を通して、妊娠・出産、育児に対する課題やお母さんたちの苦悩など、さまざまな課題が見えてきました。10代や妊娠期など、生まれる前の時期からケアをすることで、問題となっている部分が防止できるよう関わっていきたいです。そのためのしくみとしてNPO法人設立の経緯があります。
生まれる前から人生最期の日まで丸ごと支えられるよう、スタッフとともに質の高いケアを提供できるステーションを作り続けたいですね。そして、利用者さんの生活や取り巻く問題に寄り添い続けた取り組みをしていきたいです。
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株式会社プラスエヌ 代表取締役
訪問看護リハビリステーションクローバー高崎 所長
助産師/看護師
野口 和恵(のぐち・かずえ)
1978年生まれ。福岡県出身。二児の母。大学病院・総合病院勤務ののち、2016年訪問看護ステーションクローバーを設立。小児訪問看護に力を注いでいる。
訪問看護リハビリステーションクローバー高崎 所長
助産師/看護師
野口 和恵(のぐち・かずえ)
1978年生まれ。福岡県出身。二児の母。大学病院・総合病院勤務ののち、2016年訪問看護ステーションクローバーを設立。小児訪問看護に力を注いでいる。