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【現地開催】専門家に学ぶ!奥の深い爪のケア セミナーレポート
【現地開催】専門家に学ぶ!奥の深い爪のケア セミナーレポート
特集
2024年8月20日
2024年8月20日

【現地開催】専門家に学ぶ!奥の深い爪のケア セミナーレポート(6/2開催)

2024年6月2日(日)に、東京の銀座駅すぐの会場にてNsPace主催の対面セミナー「専門家に学ぶ!奥の深い爪のケア」を開催しました。ご登壇いただいたのは、看護におけるフットケアの第一人者である西田壽代さん。アシスタント講師として医療フットケアスペシャリストの大慈めぐみさんにもお越しいただき、「見る・聞く・触れるでコツをつかんでやってみる!」をテーマに、爪ケアのイロハを講義いただきました。約4時間にわたるセミナーの様子をダイジェストでお届けします。  【講師】西田 壽代さんJTFA(日本トータルフットマネジメント協会)会長足のナースクリニック代表/足の専門校スクールオブぺディ専任講師皮膚・排泄ケア認定看護師/日本フットケア・足病医学会認定フットケア指導士聖路加国際病院、東京海上ベターライフサービス株式会社、駿河台日本大学病院を経て2010年より「足のナースクリニック」代表を務める。病院や高齢者施設、訪問看護ステーションなどと提携し、フットケアや皮膚・排泄ケア分野におけるスタッフ教育や患者ケア、多職種連携などに取り組む。著書に『実践!介護フットケア 元気に歩く「足」のために』(講談社)など。【アシスタント講師】大慈 めぐみさん訪問看護ステーション ナースであんしん湘南 管理者JTFA(日本トータルフットマネジメント協会)認定の医療フットケアスペシャリストとして活躍し、NsPaceの特別イベント「第2回 みんなの訪問看護アワード」にて入賞。「足の爪切りから始まる看護」と題して、心に響くエピソードを投稿してくださいました。 座学で爪ケアの基礎知識を学習 巻き爪や肥厚爪、白癬菌に感染した爪など、在宅療養者の爪は十人十色。座学では、動画を用いながら、爪ケアの重要性や医療行為の範囲、爪切り前のアセスメントのポイントなどが解説されました。爪の構造を理解し、器具を正しく使用することは、安全な爪ケアの第一歩となります。 中でも参加者が興味深く取り組んでいたのは、一人ひとりの爪の形に合わせた「爪切り設計図」。鉛筆等で爪に直接ガイド線を書き込み、その線に沿って爪切りを進めます。参加者は、真剣に爪各部の名称や構造を確認しながら設計図作成のポイントを学習していました。座学の終盤には「爪白癬で爪がポロポロと崩れてきてしまう方は、どこまで切れば良いのか?」「上を向いて生えている爪はどう対処すべきか?」などの質問も飛び交いました。 西田さんの分かりやすい講義に引き込まれる参加者の皆さん 専門家が爪ケアのプロセスを実演 座学の後は、アシスタント講師の大慈さんがモデルになり、爪切りのデモンストレーションが行われました。ニッパーや爪用ゾンデ、爪やすりなどの専用器具の紹介や使用方法をはじめ、足指の支え方から角質や爪垢除去のポイントも丁寧に解説。爪切り設計図を作成する際の視点や爪切りのコツ、爪やすりの使い方のコツなども実演されました。 実演中、スクリーンに映し出された先生の手元を参加者全員が食いいるように見つめ、講義に熱中していました。 専用器具の使い方も丁寧に実演 デモンストレーションの後は、各テーブルに配置された足型模型を使用し、参加者の皆さんも技術習得に向けて練習をスタート。2人1組になり、爪切り設計図の作成から爪切りの実践まで、正しく安全にケアするための実技演習を進めました。 誤った爪切りは、皮膚の損傷や出血などのトラブルにつながるだけでなく、巻き爪の原因にもなります。お互いにニッパーの持ち方や使い方などを丁寧に確認し合いながら、慎重に実技を進める様子が印象的でした。  先生のアドバイスをもとに足型模型で爪ケアを実践 バケツや洗面器不要の泡足浴を体験 模型での練習を終えた後は、いよいよ参加者同士で爪ケアの実践です。まずは医療的スキンケア(保清)のひとつである「泡足浴」から実践。ビニール袋と少量の水、ボディーソープを使用した画期的な洗浄方法に参加者からは驚きの声が上がりました。 「この方法ならバケツや大きい洗面器などの道具がそろわなくても、すぐに実践できる」「寝たきりの患者さんの保清にも活かせそう」といった声が聞かれたほか、「ビニールのくしゅくしゅとした感覚や泡が気持ち良い!患者さんのケアに役立てたい」といった声も挙がり、会場全体が一気に賑やかな雰囲気に包まれました。 泡足浴を実践し合い、会場は明るい雰囲気に 爪切りも実習し、現場での実践力を養う 保清の後は、参加者同士で爪周りの角質除去や爪切りを実践。講師の西田さんと大慈さんが各テーブルを回りながら、正しい爪切りに欠かせない「爪切り設計図」の作成のコツをはじめ、足の支え方、ニッパーの持ち方などの一連の流れを直接指導しました。 専門家から直接指導を受け、すぐに実践 参加者の皆さんは、日頃から患者さんの爪ケアに取り組んでいても、「爪」に特化した研修を受けた経験がある方は少なく、爪ケアのプロセスを改めて学び、不安や疑問が解消されるシーンも見受けられました。 道具の使い方も目の前で分かりやすく解説 特にフットケアの第一人者から直接指導を受ける機会はなかなかなく、参加者からは「変形して盛り上がった爪はどう切ればいいのか」「ニッパーの種類はどのようなものを選ぶといいか」「巻き爪で痛みのある方にはどのように対応すべきか」など、質問が多数。訪問看護師さんの日頃の悩みがひしひしと伝わってきました。 参加者の皆さんのお困り事にも丁寧に回答 実技演習の終盤には、参加者同士で爪ケアの流れをおさらいし、確認し合う様子も。終始、明るい雰囲気でセミナーを終えました。 不安や不明点が解消されたとの声も セミナー終了後は、懇親会も開催。参加者は担当患者さんのケア方法を西田さんや大慈さんに相談したり、業務の中で困ったシーンなどを共有したりと、お互いに学びを深め合っていました。 すっかり打ち解け合い、懇親会を楽しむ皆さん ■参加者の感想 「セミナーに参加するまでは、自己流で患者さんの爪を躊躇なく切ってしまっていました。でも、ニッパーの刃先の当て方や切り方、洗浄方法などを実際に練習して、正しいケア方法の基本が理解できました。今回の学びを活かし、患者さんの安全な暮らしに貢献していきたいです。」 「実技演習では、こんなに頻回にテーブルを回ってきてくれると思わず、手厚い指導に驚きました。講義自体の内容も分かりやすく、悩んでいた爪白癬に対しての対応も分かり、現場ですぐに取り組みやすいと感じました。ゆっくり丁寧に教えてもらえて、とても良かったです。」 そのほかにも、「今後の爪ケアへの不明点が解消された」「自分の『くせ』が分かった」「我流で爪をカットしていたことを反省しつつ、注意する点が分かった」といった声も。 講師を務めた西田さんも、大きな手ごたえを感じたご様子。 「訪問看護師さんの中にもさまざまな経験値の方がおられ、不安を感じながらも懸命にケアに当たっている方がいることを改めて実感しました。対面セミナーでは、参加者お一人おひとりのお悩みを聞きながら、直接ケア方法をレクチャーし、より実践的な講義ができたかと思います。私は全国各地でこうしたセミナーや講演を開催していますが、実はあと2県(岩手県と島根県)で全国制覇達成なんです!今後も自身の活動を通して、看護師の皆様のスキルアップに貢献できればと意気込んでいます。」 また、アシスタント講師の大慈さんも、「自分の普段の経験からアドバイスできるシーンもあり、少しでも参加者の皆さんのお役に立てたのであれば何よりです」と明るい笑顔を見せてくださいました。 * * * NsPaceでは今後も訪問看護師さんのためのセミナーを企画していく予定です。その道の専門家から直接指導を受けられるチャンスをぜひご活用ください。 取材・執筆・編集:高橋 佳代子

幸せホルモンを増やす方法 セロトニン・オキシトシン・ドーパミン
幸せホルモンを増やす方法 セロトニン・オキシトシン・ドーパミン
特集
2024年8月20日
2024年8月20日

幸せホルモンを増やす方法とは セロトニン・オキシトシン・ドーパミンなど

最近メディアやニュースでも取り上げられる「幸せホルモン」。幸せホルモンが正常に働くことにより、心と体のバランスを安定させ、幸せを感じやすくするといわれています。 本記事では、幸せホルモンの意味や種類、高齢者に不足しがちなセロトニンの分泌を活性化させる方法について解説します。幸せホルモンは誤解されやすい部分もあるため、利用者さんに正しい情報を提供できるようにしておきましょう。 幸せホルモンとは 一般的にいわれている幸せホルモンとは、セロトニンやオキシトシンといった神経伝達物質のことを指します。適切な量が分泌されることによって、心身の安定や幸福感などがもたらされるため、幸せホルモンと呼ばれています。 幸せホルモンの種類 幸せホルモンと呼ばれているのは、主に次の4つです。 セロトニン セロトニンは脳内の神経伝達物質の1つで、主に大脳基底核や延髄の縫線核、視床下部などに存在しています。セロトニンには、快感や喜びに関係するドーパミンや不安や恐怖に影響するノルアドレナリンといった神経伝達物質の分泌をコントロールし、脳内の興奮を鎮めて精神を安定させる働きがあります。セロトニンの分泌が低下すると、疲労感やイライラ、不安や恐怖などの慢性的ストレスを感じやすくなり、うつ症状や不眠、パニック症などが現れることがあります。セロトニンが十分に分泌されている状態を保つことで、これらの精神症状を抑えることが可能です。 オキシトシン オキシトシンは、脳の視床下部から分泌される神経伝達物質の1つです。妊娠・出産時に多く分泌されるホルモンとして知られていますが、信頼感や共感性を高めるだけでなく、不安や恐怖の緩和にも関与しています。人との抱擁・手をつなぐなどのスキンシップや親しい人との会話によって老若男女問わず、脳内で分泌されることが分かっています。 ドーパミン ドーパミンは、快楽を感じる脳内報酬系を活性化させる神経伝達物質です。アルコールや麻薬など依存性があるものの多くはドーパミンの分泌を活性化させることで快楽をもたらすといわれています。 エンドルフィン エンドルフィンは脳内麻薬とも呼ばれ、気分の高揚や幸福感、鎮痛作用などをもたらす神経伝達物質で、α(アルファ)とβ(ベータ)、γ(ガンマ)に分類されます。なかでもβ-エンドルフィンは、痛みを抑えるモルヒネの数倍から数十倍の鎮痛作用があるといわれています。 幸せホルモンは高齢者にも効果はある? 幸せホルモンといえば、身体活動が活発な若年層や中年層に注目されることが多いものですが、高齢者にも効果が期待できます。セロトニンやドーパミン、エンドルフィンなどは、どれも年齢を問わず分泌されており、精神の安定や幸福感などに関与しています。 高齢者は外出機会の減少により日光を浴びることが少なくなったり、閉経により女性ホルモンが減少したりすることで、セロトニンが不足しがちです。その結果、ストレスを感じやすくなり、イライラや恐怖など、さまざまなネガティブな感情がわき起こるようになります。 さらに、意欲や集中力が低下するため、外出しなくなったり趣味を楽しめなくなったりすることもあるでしょう。結果的にうつや認知症にもつながる可能性があるため、高齢者こそ幸せホルモンの分泌が活性化されるような行動を心がけることが大切です。 高齢者に不足しがちなセロトニン 幸せホルモンのなかでも高齢者に不足しがちなセロトニンは、生活習慣の工夫によって分泌を促すことができます。高齢者でもできるセロトニンの分泌を活性化させる方法を3つ紹介します。 外出 外出の際に日光を浴びることで、セロトニンの分泌量が増えます。また、友人や家族と外出する場合は、コミュニケーションによってオキシトシンの分泌も促されるため、なるべく複数人で外出すると良いでしょう。公園を散歩する、友人とランチに出かける、地域のイベントに参加するなど、さまざまな方法を取り入れましょう。 適度な運動 適度な運動もセロトニンの分泌を促します。ウォーキング、ストレッチなどの適度な運動は、体力や筋力の維持にもつながるため、高齢者こそ習慣づけたいところでしょう。 アミノ酸を十分にとる セロトニンの材料となる必須アミノ酸であるトリプトファンを多く含む食品を摂取することが大切です。たとえば、チーズやヨーグルトなどの乳製品、大豆製品、魚介類や肉、卵などがあります。高齢者はタンパク質の摂取不足な傾向があることから、より意識的にこれらの食品を取り入れることが大切です。ただし、タンパク質を多く摂りすぎると、結果的に塩分や脂質の過剰摂取につながりやすいため、野菜や果物などとのバランスも考慮して日々の献立を決めましょう。 * * * 年齢にかかわらず、外出や運動、栄養のバランスを考えた食事などを日常生活に取り入れることで、幸せホルモンの分泌を促しましょう。心身の健康を維持し、豊かな人生を送るためにも幸せホルモンについて知っておくことが大切です。訪問看護の際に幸せホルモンについて質問された際は、正しい知識をもってアドバイスしましょう。   編集・執筆:加藤 良大監修:豊田 早苗とよだクリニック院長鳥取大学卒業後、JA厚生連に勤務し、総合診療医として医療機関の少ない過疎地等にくらす住民の健康をサポート。2005年とよだクリニックを開業し院長に。患者さんに寄り添い、じっくりと話を聞きながら、患者さん一人ひとりに合わせた診療を行っている。 【参考】〇H H Loh, L F Tseng, E Wei, and C H Li:beta-endorphin is a potent analgesic agent. 1976 Aug; 73(8): 2895–2898.〇厚生労働省.e-ヘルスネット「セロトニン(せろとにん)」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-074.html2024/8/8閲覧

事例で検討 スピリチュアルペインのアセスメント【スピリチュアルケア】
事例で検討 スピリチュアルペインのアセスメント【スピリチュアルケア】
特集
2024年8月6日
2024年8月6日

事例で検討 スピリチュアルペインのアセスメント【スピリチュアルケア】

本記事では、事例をもとにがんの終末期にある患者さんが訴える内容から、スピリチュアルペインのアセスメントを行います。身体的・心理的・社会的な訴えとともに表出されるスピリチュアルペインに対して、適切なケアにつなげるためのアセスメントの理論的枠組みを紹介します。 スピリチュアルペインのアセスメント 前回、スピリチュアルペインを「時間存在」「関係存在」「自律存在」の3つの次元で分類する村田理論1)を紹介しました(<<終末期にある患者さんのスピリチュアルペインを知る【スピリチュアルケア】を参照)。それぞれの内容を再度確認しておきましょう。 人間にとっての「死」を主題としてとらえると、時間存在のスピリチュアルペインとは、将来を失うことにより現在の無意味を生む苦悩です。関係存在のスピリチュアルペインとは、他者との関係を失うことにより孤独・空虚の無意味を生む苦悩です。自律存在のスピリチュアルペインとは、自立と生産性を失うことにより無価値・無意味・負担・迷惑という苦しみを生む苦悩です。 それぞれの観点から苦痛を分析すると、スピリチュアルペインには表1に示す14項目が挙げられます。14項目それぞれのスピリチュアルペインの定義については、表3に示しています。 表1 スピリチュアルペインの14項目 がん終末期にある患者さんの事例 ここで病状進行のため自分のことができなくなってきたがん終末期にあるAさんの事例を示します。患者さんの訴えにどういったスピリチュアルペインが含まれているのか、一緒に考えていきましょう。 Aさんは、60代男性、膀胱がん終末期で在宅療養中。肺・骨転移により、徐々にADLが低下しており、身の回りのことを自分1人で行うことは困難になりつつある。肺転移による症状は特になく、骨転移による痛みは鎮痛薬の調整で現在落ち着いている。家族は妻と高校生の長女との3人で、妻は訪問看護のサポートを受けながらパート勤務を継続。予後は1ヵ月程度の見通しであり、本人・家族ともに説明を受けている。Aさんは、最近は特に何をすることもなく、黙ってベッドに臥床していることが多くなっていた。ある日、訪問看護師が排便調整のための処置を行い、Aさんの身の回りを整えていると、Aさんが「自分1人では何もできなくなってしまって…。家族にも、看護師さんたちにも迷惑かけるばかりで。こうやって横になって過ごすことしかできなくて、情けない。生きていても意味がない…。もう早く終わりにしたい」とうなだれながら語った。 訴えに内包されたスピリチュアルペイン Aさんは、看護師に手を借りながら生活することを余儀なくされ、病状の進行に伴い日ごとに動けなくなっていく自身の状況を目の当たりにする中、非常につらい思いをされていることが分かります。そして、ご家族や看護師に迷惑をかけるだけでしかない自分には存在価値がなく、生きている意味が見出せない状況にあると推察されます。 すなわち、Aさんの苦悩は、自分で自分のことが思うようにできなくなっていく自己を無価値な存在として認識していることです。同時に、家族や看護師に迷惑をかけるだけの自分の生には意味がないと感じることによって現れる、自律性のスピリチュアルペインが生じていると考えられます。 また、Aさんは、負担でしかない自分の存在を日々支えてくれる妻や長女の愛情を感じていると思われる一方で、自分の現状を知り病状の悪化を自覚されています。そうした状況から、死をより間近に意識し、家族との別れが迫ってきていることも実感していると推測されます。Aさんの「情けない」との言葉からも、夫として、父親としての役割が果たせない虚無感や、申し訳なさ、孤独感によって現れる、関係性のスピリチュアルペインが生じていると考えられます。 そして、トイレにさえ1人で歩いていくことのできない自分の現実を目の当たりにする中で、死が迫っていることや、家族との別れが近づいていることを実感し、生きることへの無意味、無目的として感じています。Aさんの「生きていても意味がない…」との言葉は、それらのことによって現れる、時間性のスピリチュアルペインとして捉えることができます。 回復する見込みがなく、先の見えない状況に置かれているAさんは、このように究極の孤独の中にあることがわかります。今、生きていることの意味が見出せず、家族へ負担をかけないためにも、「いっそのこと早く終わりにしたい、早く死んでしまいたい」との苦悩としての叫びであると考えます。 体系化されたアセスメントで苦悩を捉える スピリチュアルペインを把握し、ケアにつなげていくアセスメントの方法として、村田 久行氏による三次元の苦悩の内容を軸に、田村 恵子氏らが作成したスピリチュアルペインアセスメントシート(spiritual pain assessment sheet:SpiPas/スピパス)1)の質問があります(表2)。 事例に示されるような患者さんからの明らかな表出がなくとも、終末期にある患者さんと関わり始める初期の段階から、SpiPasのような体系立てたアセスメントを行います。それにより患者さんのニーズをタイムリーに把握し、ニーズを踏まえたケアを早期から提供することが可能となります。ただし、SpiPasは個々の患者さんの反応に合わせて展開していくものですので、用い方については十分に学んでから活用する必要があります。 表3にSpiPasによる特定の次元におけるスピリチュアルペインのアセスメントのための質問例と表現例を示します。 表2 SpiPasによるスクリーニングのための質問 文献2)より許諾を得て転載 表3 特定の次元のスピリチュアルペインをアセスメントするための医療者の質問例と患者さんの表現例 文献2)より許諾を得て転載 執筆:前滝 栄子京都大学医学部附属病院 緩和ケアセンターがん看護専門看護師 編集:株式会社照林社 【引用文献】1)村田久行.末期がん患者のスピリチュアルペインとそのケア:アセスメントとケアのための概念的枠組みの構築.緩和医療学.2003,5,p.157-165.2)田村恵子,森田達也,河正子編.『看護に活かすスピリチュアルケアの手引き』第2版,青海社,2017,p.145-146.

川崎病の症状・原因・治療法。発症しやすい年齢から後遺症まで解説
川崎病の症状・原因・治療法。発症しやすい年齢から後遺症まで解説
特集
2024年8月6日
2024年8月6日

川崎病の症状・原因・治療法。発症しやすい年齢から後遺症まで解説

川崎病は子どもに多く見られる疾患ですが、まれに大人でも発症する可能性があるため、年齢を問わず警戒しておきたい病気といえます。この記事では、川崎病の症状や原因、治療法、発症しやすい年齢や後遺症、合併症などについて解説します。 川崎病とは 川崎病は乳幼児によく見られる急性熱性疾患で、中型・小型の筋性動脈での血管炎が特徴です。無治療の場合、約25~30%の患者が冠動脈に拡大性病変が生じ、心筋梗塞の危険因子となります。したがって、適切な治療で炎症反応を抑え、血管の損傷を最小限に抑えることが重要です。 川崎病の症状 川崎病の主な症状は以下のとおりです。 発熱両側眼球結膜の充血口唇の紅潮、いちご舌発疹手足の硬性浮腫、掌蹠(手のひらと足の裏)ないし指趾先端の紅斑非化膿性頸部リンパ節腫脹 これらの症状のうち5つ以上がある場合、川崎病と診断されます。また、特徴的な症状の1つとしてBCG予防注射部位の赤みや腫れも挙げられます。 川崎病の原因 川崎病の原因は解明されていません。日本での罹患率が他の国に比べて高いことから遺伝的要因についても指摘されていますが、研究途上です。 また、過去にはダニが原因である可能性が指摘されましたが、最近は特定の原因ではなく、カビ、ウイルス、細菌などの病原微生物の侵入による過剰な免疫反応によるものではないかともいわれています。 川崎病を発症しやすい年齢 川崎病は、乳幼児期に好発します。一般的には2歳から5歳が最も多い発症年齢であり、特に幼児期の後半に多く見られます。大人においても発症することはありますが、まれです。 川崎病を疑ったときの対応方法 川崎病は早期発見が重要なため、特徴的な症状が現れた場合はなるべく早く医療機関を受診しましょう。 川崎病が疑われた場合は血液検査や尿検査を行います。罹患している場合は血管の炎症を示す数値に異常が見られることがあります。急性期の血液検査では、白血球(WBC)と炎症反応(CRP)高値、低ナトリウム血症、肝機能の指標であるビリルビン・AST・ALTの上昇、アルブミン(ALB)の低下などの所見が認められます。さらに、川崎病によって冠動脈が影響を受けていないかを調べるために、心臓超音波検査も必要です。冠動脈の形や大きさを確認し、冠動脈瘤の有無を調べることができます。 川崎病の治療法 川崎病は、血管の炎症を抑える治療を早期に開始することが重要です。発熱がある場合、免疫グロブリン療法とアスピリン療法を併用した標準治療が推奨されます。早期治療によって後遺症のリスクを軽減できます。 ただし、免疫グロブリン製剤を投与しても解熱しない場合は、免疫グロブリン製剤の追加投与やステロイド剤の併用、インフリキシマブなどの使用、血漿交換療法などが必要になる場合があります。入院期間は、早期治療で軽快した場合約10~14日間です。 冠動脈に後遺症を残さないためにも、早期に適切な治療を受けることが重要です。症状が疑われる場合は速やかに医療機関を受診し、医師の診断と指示に従い治療を受けましょう。 川崎病の合併症 川崎病は全身の血管に炎症が生じるため、さまざまな合併症が発生する可能性があります。合併症は一時的なものであり、適切な治療が行われれば重篤な状態に進展することはまれです。ただし、冠動脈瘤ができた場合には、狭心症や心筋梗塞のリスクが高まります。 また、心筋炎や心不全、不整脈、肝障害、腎障害、イレウス、けいれん、脳症など重篤な合併症が現れる場合もあります。 川崎病の後遺症 川崎病の後遺症は、冠動脈瘤に起因する心筋梗塞です。一般的に、発熱が10日以上続くと冠動脈に問題が起きるリスクが高まることから、熱が出た日から9日以内に血管の炎症を抑えることが望ましいとされています。 冠動脈に影響を受けた場合は膨らみ始め、やがて冠動脈瘤が生じます。6mm以上にまで膨らむと元の大きさに戻らず、血液の通り道が細くなることによって血栓が生じやすくなり、心筋梗塞のリスクが高まります。だからこそ、冠動脈に異常が起きていないか十分に確認しなければなりません。 もし、川崎病の影響で冠動脈に変化が起きたら、血液の流れをスムーズにするための薬を長期間続けつつ、定期的に心臓の超音波検査で経過を確認する必要があります。 * * * 川崎病は、全身の血管に炎症が起きることで、発熱や両側眼球結膜の充血、発疹などの症状が現れる病気です。小児では珍しい病気ではなく、発見が遅れると冠動脈瘤が形成されるリスクが高まるため、なるべく早く医療機関を受診しましょう。 編集・執筆:加藤 良大監修:久手堅 司せたがや内科・神経内科クリニック院長 医学博士。「自律神経失調症外来」、「気象病・天気病外来」、「寒暖差疲労外来」等の特殊外来を行っている。これらの特殊外来は、メディアから注目されている。著書に「気象病ハンドブック」誠文堂新光社。監修本に「毎日がラクになる!自律神経が整う本」宝島社等がある。 【参考】〇日本川崎病学会「川崎病診断の手引き 改訂第6版 」https://jskd.jp/wp-content/uploads/2022/10/tebiki201906.pdf2024/7/18閲覧

NPPV療法 Q&A/治療継続のポイント、治療中の観察、トラブル対応 サムネイル
NPPV療法 Q&A/治療継続のポイント、治療中の観察、トラブル対応 サムネイル
特集 会員限定
2024年7月30日
2024年7月30日

NPPV療法 Q&A/治療継続のポイント、治療中の観察、トラブル対応

在宅NPPV(非侵襲的陽圧換気)療法を行う患者さんは、病院で学んだNPPVを生活に取り入れようと一生懸命です。しかし、NPPVを行う夜間に医療従事者は不在のため、さまざまな不都合や困難に遭遇したときに対応できず、アドヒアランスが低下することが少なくありません。患者さんが在宅でアドヒアランスを維持し、効果的にNPPVを継続していくために必要な看護をQ&A形式でお伝えします。 Q1 患者さんが在宅NPPV療法を継続するために、医療者にはどのような支援が求められますか? A 患者さんとのパートナーシップの構築と、自己効力感を高め、アドヒアランスの維持・向上につながる支援が求められます患者さんが在宅NPPV療法を継続するためには、アドヒアランスの維持とセルフマネジメント能力が不可欠です。医療者は、患者さんにとってNPPVを生活に取り入れることがいかに大きな課題であるかを理解する必要があります。その上で、パートナーシップを構築させながら、心から応援する思いでアドヒアランス、セルフマネジメント能力を高める支援をしていくことが重要です。 パートナーシップの構築 患者さんのNPPVへの思いや不都合などの体験を傾聴・共感します。また、効果的なNPPVを実施できるように共に考え、問題に迅速に対応する姿勢で伴走します。 自己効力感を高め、アドヒアランスの維持・向上への支援 患者さんにNPPVがどういった治療法であるかをわかりやすく説明しましょう。例えば、「NPPVはマスクを通して空気を送り、呼吸を楽にする画期的な素晴らしい器械です」と息を楽にする器械であることを強調します。 さらに、患者さん個々におけるNPPVの必要性、期待される効果とその機序を説明しましょう。例えば、料理が好きなCOPD患者さんには、胸鎖乳突筋に触れながら「働きすぎて疲れているこの筋肉を休めながら、二酸化炭素を減らすことができる唯一の器械です。息切れが軽くなって好きな料理を作っている方がおられます。あなたも作ることができますよ」と望む生活と結び付けてほかの患者さんのことを伝えます。そうすることによって、患者さんはNPPVをポジティブに捉えられるとともに自己効力感が向上します(代理的経験)。 また、短時間でもNPPVを継続したり、リークが少なかったりといったできていることを称賛し、頑張りを称えましょう(成功体験、言語的説得)。頭痛や頭重感などの自覚症状の軽減があれば、それはNPPVの効果であると伝えて症状の軽減を実感してもらいます(情動的状態)。こうしたかかわりの中で患者さんの自己効力感が向上し、アドヒアランスおよびセルフマネジメント能力の維持・向上につながるだけでなく、患者さんとのパートナーシップが強化されます。 Q2 NPPV患者さんの観察の視点とアセスメントのポイントは何ですか? A 患者さんの訴えを丁寧に聴き取り、治療履歴データやログデータといった客観的情報を活用し、患者さんの呼吸状態を把握することが大切です 患者さんの訴え(主観的情報)を聴き取る 夜間のNPPV実施中の患者さんを観察できない訪問看護師にとって、患者さんの主観的情報は、増悪徴候の早期発見だけでなく、NPPVが効果的にできているか、至適設定であるかを評価するために重要です1)。 息切れの増強、SpO2の低下、頭重感・眠気などの高二酸化炭素血症の症状、NPPVの継続時間や同調性、リークの状況、マスクの不快感、中途覚醒の有無などを丁寧に聴き取りましょう。安静時にSpO2が普段より低く、息切れが強い場合は、CO2が上昇していることもあります。安易に酸素流量を上げるのではなく、NPPVを施行し医師に連絡しましょう。 機器との同調性について患者さんはどのように違和感があるのか表現できないことがあります。そのため「息を吸っているのに入らないのか?」「息を吐きたいのに空気が入ってくることがあるのか?」など具体的に尋ねます(表1)。また、患者さんに「あなたの主観的情報が至適設定につながる」という重要性を説明することで、治療への積極的な参画意識が芽生えてくるようになります。 表1 主観的情報から考えられる原因と対処方法 文献2)を参考に作成 客観的情報から呼吸状態を把握 夜間に問題となる気道閉塞や無呼吸、リーク状況は、機器の治療履歴データを見るとよいでしょう(図1)。 図1 治療履歴データの例 画像提供:帝人ファーマ株式会社 患者さんはリーク量でNPPVが効果的にできているかを判断することが多くあります。そのため、治療履歴データを提示しながら、患者さんとともに評価し、リークが少ない時は称え、ともに喜び、リークが多い時は、観察ができていることを称えた上で対策をともに考えます。これは自己効力感・自己コントロール感・パートナーシップの向上につながり、NPPVを在宅で継続するための大きな力となります3)。 また、可能であれば、医師に気になる状況を伝え、データマネジメントツール(ログデータ)の活用を依頼するのもよいでしょう(図2)。ログデータは、見えないNPPV実施状況を詳細に可視化するため、患者さんの呼吸状態を把握するのに有効です。 その他の客観的情報については表2に示します。 図2 ログデータの例 表2 客観的情報の観察項目 Q3 NPPV実施中によく起こるトラブルは何ですか? また、具体的な対処方法を教えてください A 皮膚トラブルの頻度が高く、医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)の予防が欠かせません。トラブルの予防と早期対応はNPPVの継続にとって必須です NPPVの合併症を表3に示します。ご覧のように皮膚に関連する合併症が多く発生していることが分かります。 表3 NPPVの合併症 文献4)を参考に作成 医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)の予防と対処方法とは 皮膚トラブルの頻度は高く、アドヒアランスの低下につながるため、トラブルの予防と早期対処が重要です(表4)。マスクによる圧迫は、医療関連機器圧迫創傷(medical device related pressure ulcer:MDRPU)の危険因子といわれています。 予防における必須事項は、適切なマスクサイズとヘッドギアを用いて、マスクフィッティングの基本を遵守すること、ゆるくかつリークが少ないフィッティングです。 発赤ができたときは、マスクフィッティングの状況をチェックするとともに、発赤の原因を探り、マスクの種類、サイズ、固定方法を検討します。鼻根部の発赤の場合、マスクのタイプをOTM(Over-the-Nose)からUTM(Under-the-Nose)に変更するのもよいでしょう。 創傷に至ってしまった場合は、ハイドロコロイドやポリウレタンフォームなどの創傷被覆材を使用します。陽圧が高い場合は、やむを得ずストラップをややきつめに締めることがあります。鼻根部などに発赤を認めたら皮膚保護材や専用パッドなどで保護しましょう(図3)。 表4 在宅NPPV実施中に起こる皮膚トラブルとその対処方法 文献5)を参考に作成 図3 専用パッドの例 画像提供:レスメド株式会社鼻梁にパッドを乗せ、マスクを装着する。取り外しや再利用が可能 Q4 リークが出現したらどうすればよいですか? A リークはさまざまな原因によって出現します。原因を丁寧に探り、ベルトやアームを微調整したり、マスクのサイズ変更を検討したりするなど、個別に対処する必要があります リーク出現時は、すぐにヘッドギアを締めるのではなく、リークの原因を探り対処します。マスク鼻根部のシリコンにしわがなく膨らんだ状態になっているか、マスクの位置が適切かなど、基本通りにマスクフィッティングができているか確認し調整します。MDRPU予防として、先に皮膚保護材を使用する必要はありません。 リークが出現する場所によっても対応が異なります。リークの種類と対処方法の具体例を示します。また、リーク対策の工夫例も図4で紹介します。ぜひ参考にしてください。 マスク上部からのリーク:眼球の乾燥をきたすため、リークを消失させることが大切です。ヘッドギアやアームで調整します。痩せや義歯除去による頬側のリーク:頬の肉をタオルやガーゼなどでマスク側に寄せて隙間を無くします。開口リーク:チンストラップや口元にテープを貼り、マスクがずれるほど大きく開口しないようにしてもらいます。チンストラップはずれやすいため、ストラップに縫製するとよいでしょう。気道閉塞がある場合:枕を低くする、あるいは側臥位を可能な範囲でとっていただきます。マスクの劣化:マスクのシリコン部が劣化することで、クッション性が失われます。また、ストラップの劣化によりゆるみが生じます。患者さんの体型の変化:頬が痩せることでマスクサイズが合わなくなるとリークが生じます。適宜マスクやヘッドギアが患者さんに合っているか確認し、必要に応じてサイズや種類の変更も検討します。マスクのずれ:頭頂部にベルトがないマスクの場合、ヘッドギアにもう1本ベルトを追加し、ずれないように調整します。 図4 リーク対策の工夫例 陽圧換気に伴う合併症にも注意 口渇や高い陽圧に伴う呑気による腹部膨満などの合併症が生じることがあります。口渇は不快だけでなく去痰困難に影響するため、加湿を強めたり、飲水、含嗽を促したりします。人工唾液は乾燥や違和感を生じることがあるため慎重に検討します。腹部膨満感の影響として、腹部不快や嘔吐、食欲低下をきたすため、IPAPを下げる設定変更やガスを排出しやすくする薬の相談、便秘をしないように排便のコントロールを行います。 Q5 アラームが患者さんやご家族の不安を高めてしまうことも。在宅でのアラーム設定はどうすればよいですか? A 在宅でのアラーム設定は必要最低限とし、訪問時に治療履歴でアラーム履歴を確認しましょう アラームにはさまざまなものがありますが、在宅では、表5に示したアラームを最低限設定しておくのがよいでしょう。さらに減らすことも可能ですが、アラームの状況を医師に報告して変更していただきましょう。 表5 主なアラームの原因と対処方法 文献6)を参考に作成※NIP ネーザルは、レスメド株式会社の商標登録です。   監修・執筆:竹川 幸恵地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター呼吸ケアセンター 副センター長慢性疾患看護専門看護師監修:森下 裕地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター呼吸ケアセンター センター長編集:株式会社照林社 【参考文献】1)竹川幸恵.「慢性期NPPVの継続看護」.みんなの呼吸器 Respica 2019:夏季増刊;205-210.2)竹川幸恵.「慢性期導入患者のモニタリングポイント」.呼吸器ケア 2014:冬季増刊;181.3)竹川幸恵ほか.「呼吸器看護専門外来における在宅NPPV患者に対する機器モニタリング活用の有用性」.日呼吸ケアリハ会誌 2015:25(3);482-487.4)Mehta S,Hill NS. Noninvasive ventilation.AM J Respir Crit Care Med 2001; 163:540-577.5)藤原美紀.「急性期NPPVのケア(ストレス緩和)」.みんなの呼吸器Respica 2023:20(6);40-47.6)小山昌利.「在宅用機器のアラーム対応と設定」.みんなの呼吸器Respica 2019:夏季増刊号;193-198.

ニャースペースのつぶやき
ニャースペースのつぶやき
特集
2024年7月30日
2024年7月30日

漫画「そっけなかったけれど…」ニャースペースのつぶやき【訪問看護あるある】

あとからわかることもあるご家族の気持ち 利用者さんのご家族は、状況を受け入れられなかったり、戸惑っていたりして、うまくコミュニケーションがとれないことも…。時間が経ってから本音を伺えることもあるにゃ。 ニャースペース病棟経験5年、訪問看護猫3年目。好きな言葉は「猫にまたたび」「わかる!」「こんな『あるある』も聞いて!」など、みなさんの感想やつぶやき、いつでも投稿受付中にゃ!>>投稿フォーム

アロマテラピー 代表的な精油&訪問看護での活用法【セミナーレポート後編】
アロマテラピー 代表的な精油&訪問看護での活用法【セミナーレポート後編】
特集 会員限定
2024年7月23日
2024年7月23日

アロマテラピー 代表的な精油&訪問看護での活用法【セミナーレポート後編】

NsPace(ナースペース)主催のオンラインセミナー「アロマテラピーの基礎知識&活用術~毎日に癒しを~」を2024年4月19日に開催しました。講師として登壇してくださったのは、アロマアドバイザーの資格をもつ訪問看護師の有賀莉奈さん。訪問看護の現場を知る有賀さんに、アロマテラピー(アロマセラピー)の基本的な楽しみ方や注意点、訪問看護での活用方法などを教えていただきました。 今回はそのセミナーの内容を、前後編に分けて記事化。後編では、アロマテラピーの具体的な実践方法をまとめます。 ※約60分間のセミナーから、NsPace(ナースペース)が特に注目してほしいポイントをピックアップしてお伝えします。 >>前編はこちらアロマテラピー 基礎知識&医療現場での注意点【セミナーレポート前編】 【講師】有賀 莉奈さん訪問看護師/アロマアドバイザー(ナード・アロマテラピー協会)看護師として諏訪赤十字病院で8年間勤務した後、出産・育児に専念する期間を経て、yui訪問看護ステーションにて臨床現場に復帰。アロマテラピーを深く学ぼうと考えたきっかけは、自身の母親が闘病中に「アロマの力」に救われた場面を目の当たりにしたこと。現在は看護業務の傍らメディカルアロマセラピストとして、利用者さんの心身を支えるケアに取り組んでいる。 代表的な精油とその特徴 精油にはさまざまな種類がありますが、その中でも初心者の方が使いやすい、手に入れやすいものを以下にまとめました。 ラベンダー・アングスティフォリア     アロマテラピーの万能薬と言われている。精神的・肉体的にリラックスさせてくれ、ストレス・不眠症の助けになる(使用方法・量を守れば注意事項・禁忌なし)オレンジ・スイート柑橘系のオレンジの香り。気分を軽くさせてくれ、リフレッシュさせてくれる(使用方法・量を守れば注意事項・禁忌なし)ゼラニウム・エジプトバラに似た甘い香り。お肌のケア・リラクゼーションによく使われ、鎮静作用がある成分を多く含んでいる(使用方法・量を守れば注意事項・禁忌なし)マジョラム爽やかでスパイシーな香り。副交感神経を刺激する作用があり、リラックスさせてくれる。精神神経系の不調を感じた時に助けになる(使用方法・量を守れば注意事項・禁忌なし)ユーカリ・ラディアタツーンとした、少し湿布に似た香り。ユーカリの中でも最も刺激が少ない。風邪や呼吸器系の疾患、花粉症の予防や回復の助けになる(使用方法・量を守れば注意・禁忌なし)レモングラス強いレモンの香り。ストレス解消や痛みの軽減に役立ってくれる。冷え性やむくみの改善の助けにも(注意:50%に希釈して使用する)イランイラン高級な香水の香料に使われることも多い。海外では緩和ケアに使用されることもあり、痛みの緩和や入眠の助けになる(使用方法・量を守れば注意事項・禁忌なし) なお、精油は複数の種類を混ぜることで相乗効果が期待できます。気分や体調に合わせて、ぜひ以下の「おすすめレシピ」を試してみてください。 簡単にできる 自分のためのアロマケア 看護師のみなさんの中には、日々忙しい生活を送り、ストレスを抱えている方もいらっしゃることでしょう。そこで、ご自身の生活にもアロマをとり入れてみてはいかがでしょうか。以下に、手軽に実践できる方法をご紹介します。 日々のストレス緩和に   ・精油を瓶ごと持ち歩く・アロマペンダントを使用する・ハンカチに精油を垂らすリラックスタイムに・アロマディフューザーを使用する・アロマバス(湯船に精油を入れる。バスオイル20mlに対して精油15~20滴)・アロマストーンや布・ティッシュに精油を数滴垂らす・アロマトリートメント(植物オイル5mlに対して精油1~2滴を混ぜてケアに使用 ※濃度1~2%)体調管理に・除菌スプレー(無水エタノール18ml、精製水2ml、精油12~20滴 ※濃度3~5%)・加湿機能付きのアロマディフューザーを使用する 医療現場での活用方法 医療現場で利用者さんにアロマテラピーを行うにあたっては、安全性の確保が大前提となります。コストや手間も考慮すると、禁忌や注意事項がない精油を何種類かそろえ、その中で組み合わせていくのがよいでしょう。 具体的な楽しみ方として、簡単に実践できる「芳香浴」「手浴・足浴」「アロマトリートメント」をご紹介します。 芳香浴 精油の香りを部屋に拡散させて楽しむ方法。専用のストーンやディフューザーを使わなくても、ティッシュや布に垂らすだけで十分です。そんな芳香浴のメリットは、同じ空間にいる方と一緒に香りを楽しめるところ。利用者さんだけでなく、日々の介護でストレスを感じているご家族にも喜ばれます。 手浴・足浴 乳化剤と精油を混ぜたものを垂らしたお湯で、手浴・足浴を行います。清拭に使うお湯に垂らす方法もありますが、その際も必ず乳化剤と混ぜて使用してください。 また、清拭のお湯に精油を混ぜるのは、エンゼルケアにも適しています。故人の好きな香り、日頃から使っていた香りを最後のご準備で使えば、ご家族が香りを嗅ぎながら故人との思い出を振り返ったり、心を落ち着かせたりする手助けになるでしょう。 アロマトリートメント 植物オイルに精油を混ぜて、それを塗布しながらアロマトリートメントを行います。肩こりやむくみなどの不調の緩和・改善を目指すものですが、長い時間行うと疲労感が出る場合もあるため、5~10分で十分でしょう。また、姿勢も無理がないように配慮してください。 訪問看護でのアロマテラピーのコスト&説明 アロマテラピーを実践する際にかかるコストとしては、まず精油の費用が挙げられます。精油は多くが1本あたり5~10mlの容量で販売されており、値段は2,000円~10,000円を超えるものまでさまざま。希少な植物から抽出された精油ほど値段は高くなります。ただし、一度に使うのは数滴で、一滴あたりの値段は数十円であることがほとんどです。 精油のほかには、ホホバオイルをはじめとした「キャリアオイル」や、精油を湯に浮かべる際に使う乳化剤などの費用もかかります。 時間としては、手浴・足浴、アロマトリートメントを行った場合で5~10分程度です。特にアロマトリートメントは体に負担をかける可能性があるため、体調不良者や病態の変動を起こしやすい方が多い医療現場では、短めの時間で行うことをおすすめします。 訪問看護でのアロマテラピー導入の流れ 私が所属する訪問看護ステーションでは、まず訪問看護の契約時に、内容や注意事項、料金などを記載したパンフレットを配布します。それを読んで興味をもたれた方には、さらに詳しくご説明。そして、主治医の許可を得てお試しケアを実施します。その際、利用者さんには、アロマテラピーはあくまでリラクゼーションや症状の緩和を目指して行うことをしっかりと説明します。 アロマの施術は訪問看護の時間内に行いますが、治療ではないため、訪問看護指示書には記載されていません。当ステーションの場合、現状では施術料は請求せず、材料費のみいただいています。 施術の内容は、「芳香浴」「手浴・足浴」「オイルトリートメント」から利用者さんに選んでいただきます。当ステーションで採用している精油や植物オイルは以下のとおりです。 使用する精油ラベンダー・アングスティフォリア、マジョラム、オレンジ・スイート、ゼラニウム・エジプト、ラヴィンツァラをそろえています。症状や使用箇所などを考慮し、この中からいくつかを組み合わせて使います。使用する植物オイルオイルトリートメントには「ホホバオイル」を使っています。肌に優しく、敏感肌の方を含め、あらゆる肌質の方に使えるといわれているためです。 * * * 今回はアロマテラピーの基本をご紹介しましたが、お伝えしきれていない魅力がまだまだあります。心地よいアロマの香りは利用者さんの心をほぐし、ストレスを緩和する手助けをしてくれます。これをきっかけにアロマテラピーについて興味を持っていただき、ご自身のケアや日常の看護に取り入れるきっかけとなれば嬉しく思います。 執筆・編集:YOSCA医療・ヘルスケア

とびひ(伝染性膿痂疹)とは?子どもと大人の症状の違いや原因、治し方
とびひ(伝染性膿痂疹)とは?子どもと大人の症状の違いや原因、治し方
特集
2024年7月23日
2024年7月23日

とびひ(伝染性膿痂疹)とは?子どもと大人の症状の違いや原因、治し方

とびひ(伝染性膿痂疹/でんせんせいのうかしん)は、傷から細菌が感染することで火事の飛び火のように症状が広がる皮膚感染症です。放置や間違った対処によって感染範囲が広がったり、症状が強く現れたりする可能性があります。この記事では、とびひの原因や、子どもと大人で症状の違いはあるのか、治療法や周りの人にうつさないためのポイントなどについて解説します。 とびひ(伝染性膿痂疹)とは とびひは、溶血性連鎖球菌(溶連菌)やブドウ球菌によって引き起こされる皮膚の感染症です。症状が急激に広がることから、この名前が付けられました。主に高温多湿の6月から夏場にかけて、乳幼児や小児に多く見られます。かゆみによって患部をかきむしると症状が広がるため注意が必要です。皮膚を清潔に保ち、かゆみを抑える対策を講じることが重要です。 とびひの症状 とびひには、分厚いかさぶたができる痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)と、水ぶくれ(水疱)ができる水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)の2つのタイプがあります。保育園や幼稚園で集団発生することが多く、夏季にみられるのは水疱性膿痂疹です。一方、痂皮性膿痂疹は季節に左右されず、子どもよりも大人に多く見られます。それぞれの症状について見ていきましょう。 水疱性膿痂疹 水疱性膿痂疹の初期症状は、かゆみや赤みを伴う水ぶくれで、かき壊すとただれます。また、鼻周囲にも現れることがあります。水ぶくれの内容物には大量の細菌が含まれているため、つぶすと周りにうつるリスクが高まります。刺激を受けることでかゆみが増すことも考えられるため、つぶさないように注意しましょう。 痂皮性膿痂疹 痂皮性膿痂疹は、肌が赤くなり、膿が含まれる水ぶくれができます(膿疱)。水ぶくれを壊すと厚いかさぶたやただれが生じます。また、リンパ節腫脹、のどの痛み、発熱も見られます。 とびひの原因 とびひの主な原因は、あせもや虫刺され、湿疹などを引っ掻いて肌が傷つき、その傷口から細菌感染が起こることです。特に、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の方は肌の防御機能が低下しているため、感染リスクが高くなります。 痂皮性膿痂疹の原因菌は溶血性連鎖球菌、水疱性膿痂疹の原因菌は黄色ブドウ球菌です。これらの菌は健康な人でも口や鼻、皮膚に存在するため、傷ができると誰もがとびひになる可能性があります。 とびひになったときの対応方法 とびひになってしまったら、周りの人にうつさないようにすることが大切です。その上で、タオルや食器など、体に触れるものの共有を避けます。また、手を十分に洗い、爪を短く切って、うっかり人の肌を傷つけないようにしてください。感染者は可能な限り最後に入浴し、使用した用具や浴槽を洗浄しましょう。 とびひの治療法 軽症の場合は、抗菌薬の軟膏を1日1~2回塗布することを4~5日間続けることで改善が期待できます。改善しない場合は抗菌薬に対する耐性がある可能性を考慮し、別の抗菌薬の使用を検討します。また、症状が悪化したり広がったりする場合は、抗菌薬の内服治療も必要になる可能性があります。アトピー性皮膚炎の人はとびひの影響でかゆみが強くなるため、抗アレルギー剤の併用が必要となる場合があります。 とびひの対策・日常の注意点 日頃からスキンケアや保湿を心がけ、皮膚の防御機能を維持しましょう。また、とびひの流行期には、皮膚や手指を清潔に保ち、爪を短く整えて、感染を防ぐことが大切です。傷ができた場合はガーゼで保護しましょう。 また、むやみに手で傷に触れたり、鼻の穴を触ったりしないよう注意が必要です。年齢によっては子どもが自分で手を十分に洗えないこともあり、衛生管理が不十分になりがちです。保護者がこまめにチェックして、なるべく予防しましょう。 とびひになったときの登園・登校の扱い とびひは、法的には学校感染症第3種に該当し、基本的には医師の診断と適切な治療、病変部の保護が行われていれば登園・登校が許可されます。ただし、病変が広範囲に及ぶ場合やほかの児童への感染リスクが高い場合は、一時的に登園を控えることが望ましいでしょう。 * * * とびひは症状が急速に現れ、周りの人にうつる可能性がある疾患です。訪問看護の現場では、普段から利用者さんの皮膚の状態を観察し、清潔に保つことが大切です。とびひの症状が現れた場合には、今回解説した内容を参考にして、適切に対応をしましょう。 編集・執筆:加藤 良大監修:吉岡 容子医療法人容紘会 高梨医院 院長東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。 【参考】〇日本皮膚科学会「幼稚園・保育園、学校は行ってもいいですか?」https://www.dermatol.or.jp/qa/qa13/q18.html2024/6/28閲覧〇日本小児皮膚科学会「お役立ちQ&A」http://jspd.umin.jp/qa/02_tobihi.html2024/6/28閲覧

アロマテラピー 基礎知識&医療現場での注意点【セミナーレポート前編】
アロマテラピー 基礎知識&医療現場での注意点【セミナーレポート前編】
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2024年7月16日
2024年7月16日

アロマテラピー 基礎知識&医療現場での注意点【セミナーレポート前編】

2024年4月19日に開催されたNsPace(ナースペース)主催オンラインセミナー「アロマテラピーの基礎知識&活用術~毎日に癒しを~」。アロマアドバイザーの資格をもつ訪問看護師の有賀莉奈さんを講師にお招きし、アロマテラピー(アロマセラピー)に期待できる効能や訪問看護の現場での活用方法などを教えていただきました。 今回はそのセミナーの内容を、前後編に分けて記事化。前編では、アロマテラピーの基礎知識と、医療現場で実践する際の注意点をご紹介します。 ※約60分間のセミナーから、NsPace(ナースペース)が特に注目してほしいポイントをピックアップしてお伝えします。 【講師】有賀 莉奈さん訪問看護師/アロマアドバイザー(ナード・アロマテラピー協会)看護師として諏訪赤十字病院で8年間勤務した後、出産・育児に専念する期間を経て、yui訪問看護ステーションにて臨床現場に復帰。アロマテラピーを深く学ぼうと考えたきっかけは、自身の母親が闘病中に「アロマの力」に救われた場面を目の当たりにしたこと。現在は看護業務の傍らメディカルアロマセラピストとして、利用者さんの心身を支えるケアに取り組んでいる。 アロマテラピーとは アロマテラピーとは、植物の香り成分を抽出した精油(アロマオイル)を用いて、心と体の不調の改善を目指す健康管理法です。精油とは、植物から採取・生成した香りの油(揮発油)のこと。その香りはとても強く、植物の有効成分も高濃度に含んでおり、たった一滴でも十分に楽しめるものが多いです。 代表的なメリットは、心身のリラックス。精油の力で自律神経やホルモンバランスを整え、体の緊張をほぐし、気持ちを落ち着け、心身ともに心地よい状態をつくることを目指します。 なお、精油を活用する方法は、大きく以下の2種類に分かれます。 活用方法1:精油を嗅ぐ 嗅覚は、五感の中で唯一、脳へダイレクトに刺激を伝えられます。精油を嗅ぐと、香り成分が鼻の粘膜から脳に伝わり、自律神経系や内分泌系、免疫系などの神経系に影響を与えます。感情や本能を司る大脳辺縁系にも刺激が直接伝わるため、人は「そのときの自分の体が求めている香り」を嗅ぎ分けられるといわれています。 活用方法2:精油を塗る 精油を体に塗ると、その部位に作用します。中には、皮膚から吸収されて血管に入り、体をめぐって作用する精油もあります。 精油を安全に使用するための原則 精油を扱う際は安全への十分な配慮が必要です。以下の点を必ず守ってください。 ・パッチテストを行うアレルギー反応が出る可能性があるため、使用前はパッチテストを行いましょう。・原液のまま使用しない精油は、ホホバオイルやスイートアーモンドオイルなどの「キャリアオイル(精油を体へ運ぶためのオイル)」で薄めて使用します。精油は「油」なので水には溶けません。そのため、手浴や足浴で楽しむ場合には、乳化剤を使用します。精油が直接皮膚に付着すると皮膚トラブルを起こす可能性があるので、十分に注意してください。・異変を感じたら使用を中止するかゆい、ヒリヒリする、気分が優れないなどの異変を感じた場合は、すぐに使用を中止しましょう。体に精油を塗った場合は、塗布した部位を水で洗い流したり、濡れたタオルで拭きとったりしてください。・安全に配慮して保管する引火性があるため、火のそばに置かないでください。また、子どもやペットの手が届かない場所に保管することも重要です。 なお、使用期限は開封後半年から一年程度と考えてください。それ以上経つと、酸化が進んで香りが変わってしまいます。特に柑橘系の香りは酸化の影響を受けやすいので、半年を目安に使い切りましょう。 医療現場で実践する際の注意点 訪問看護にアロマテラピーをとり入れる場合は、精油の特徴や利用者さんに与える影響、起こりうるトラブルを整理して医師に説明した上で、必ず使用の許可を得てから実践してください。 精油ごとの禁忌事項と、利用者さんの既往歴を照らし合わせることも大切です。例えば、高血圧の方、婦人科系疾患がある方、アスピリンアレルギーの方などには使用できない精油もあります。また、精油を塗布する場合、傷や炎症を起こしている箇所には原則使用しません。 そのほか、以下の2点もチェックしてください。 利用者さんの反応 過去に同じ精油を使ったことがある場合や、パッチテストで問題がなかった場合でも、使用後の利用者さんの反応は必ず毎回確認しましょう。その日の体調によってアレルギー反応が出る場合もあります。また、体調が優れないときは使用を控えてください。 精油の濃度 精油を体の広い範囲に使うときは「3%以下」の低い濃度に調整しましょう。特定の部位に作用させたい場合には、30%以上の濃い濃度で使用することもありますが、皮膚が弱い高齢者の方も多くいらっしゃるので、低濃度にするのがおすすめです。 アロマテラピーの資格 2024年4月現在、日本にはアロマテラピーに関する国家資格はなく、すべて民間資格です。資格ごとに合格条件は異なりますが、教室やサロン、オンライン等で講義を受けて、試験に合格すれば資格を取得できるものがほとんどです。 アロマテラピーを深く学んで資格をとるメリットは、やはり精油の特徴や注意事項などを理解した上で、ケアに活用できる点にあるでしょう。例えば、アロマテラピーの本場であるフランスでは、精油を薬の代わりに使うケースもあります。近年は精油を認知機能低下の予防・改善、精神疾患の治療に活用する研究も進められており、医療現場でのアロマテラピーの注目度は、日本でもさらに高まっていくと予想しています。 >>後編はこちら アロマテラピー 代表的な精油&訪問看護での活用法【セミナーレポート後編】 執筆・編集:YOSCA医療・ヘルスケア

紫外線&日焼け対策
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2024年7月16日
2024年7月16日

日焼けを防ぐオススメの紫外線対策グッズ 日焼け止めのSPF・PAとは?

日焼けは、しみやしわ、たるみなどの美容的な問題だけではなく、皮膚がんのように健康面への影響が懸念されます。そのため、訪問看護師さんが利用者さんの元へ移動する際は、万全に紫外線対策をすることが大切です。 本記事では、日焼けを防ぐ方法をテーマに、移動中に使える紫外線対策グッズやアフターケアの方法などについて解説します。訪問看護において利用者さんのアセスメントに活かすことはもちろん、ご自身の紫外線対策のためにぜひご一読ください。 紫外線対策の方法 紫外線対策の基本は、日焼け止めを塗った上で帽子や衣類、サングラスなどで紫外線が肌に降り注ぐ量を抑えることです。紫外線対策の方法について見ていきましょう。 日焼け止めを塗る 日焼け止めには、リキッドや乳液、クリーム、スプレー、スティックなどさまざまなタイプがあります。紫外線を防ぐ成分には紫外線吸収剤と紫外線散乱剤があり、それぞれの違いは次のとおりです。 種類特徴代表的な成分紫外線吸収剤    ・紫外線を吸収することで肌へ届くことを防ぐ・まれにかぶれる人がいる・メトキシケイヒ酸オクチル・ジメチルPABA・オクチルt-ブチルメトキシジベンゾイルメタンなど紫外線散乱剤・紫外線を吸収、散乱することで肌へ届くことを防ぐ・皮膚に塗ったときに白く見えやすい・酸化亜鉛・酸化チタン また、日焼け止めにはSPF・PAという値が定められています。  <日焼け止めのSPF・PAとは> 日焼け止めのSPF(Sun Protection Factor)は、日焼けを引き起こし、シミやそばかすの原因となるUV-Bを防ぐ指標です。一方、PAは肌の奥深くまで届き細胞やDNAにダメージを与えるUV-Aを防ぐ指標です。 SPFは30や40といった数字、PAは+の数で効果が示されています。以下のように、シーンに合わせてSPFとPAが適切な日焼け止めを選びましょう。 日常生活や短時間の屋外活動(通勤や散歩、軽いレジャーなど)……SPF10~30、PA+~++長時間の屋外活動(ハイキングやマリンスポーツなど)……SPF30~50+、PA+++~++++ また、ガーデニングや洗車、沢遊び、屋外プールや海水浴など水に触れたり浸かったりする場合は、耐水性に優れたものを使いましょう。特に、水に浸かる場合は耐水性がなるべく高いものを選ぶことが大切です。 >>関連記事日焼け(日光皮膚炎)の基礎知識 肌への悪影響や紫外線アレルギーとの違い  <日焼け止めの使い方> 日焼け止めは、正しく使用しなければ効果を得ることができません。 一円玉程度の大きさに手に取り、額・鼻・両頬・顎に分けて置いてから薄く伸ばしていきます。それが終わったら、再度同じように塗りましょう。また、腕や脚は表側と裏側にそれぞれ直線を描くように塗ってから、らせんを描くように伸ばします。 日焼け止めは、どれだけ効果が高いものでも汗によって流れ落ちてしまうため、こまめに塗り直しましょう。また、汗をかいていなかったとしても、2~3時間ごとに塗り直すことが大切です。洗い流す必要はなく、重ね塗りで問題ありません。 帽子をかぶる つばが広い帽子をなるべく選び、紫外線が肌に降り注いで日焼けになるリスクを抑えましょう。UVカット加工が施されたタイプの帽子を使用すると、さらに効果的です。 サングラスをかける 紫外線の影響で角膜に炎症が起こり、強い目の痛みや充血などが起きる場合があります。環境省によると、紫外線防止効果のあるサングラスや眼鏡を適切に使用すると、眼に受ける紫外線量を最大で90%カットできます。移動中にサングラスをかけることに抵抗がある場合は、クリアタイプのサングラスを検討してみましょう。 日傘をさす 日傘は、衣類や帽子と同じく紫外線が肌に到達する量を抑えることができます。昨今は紫外線対策とデザイン性に優れた日傘が多くあります。なるべく全身を守ることができるサイズの日傘を使用しましょう。 日陰を歩く なるべく日陰を選んで歩くことも大切です。ただし、太陽からの直接の紫外線だけでなく、空気中に散乱した紫外線や地面・建物などから反射した紫外線の影響を受けるため、ほかの対策も欠かすことはできません。 衣服で肌を覆う なるべく目が詰まっている衣類で肌を覆うことも紫外線対策として有効です。ただし、通気性が悪い衣類は汗がこもりやすく、熱中症のリスクが高まる恐れがあります。気温や湿度などを踏まえて、快適性と紫外線対策を両立した服装を考えましょう。 また、アームカバーのように脱着可能なものを使用することもおすすめです。UVカット素材を使用したアームカバーを使うとよいでしょう。 日焼けしてしまった場合のアフターケア もし日焼けをしてしまった場合は、次のようにケアして肌のダメージを抑えましょう。 日焼けしたところを冷やす 日焼けした肌を冷やすと炎症や赤みが軽減し、痛みを和らげることができます。冷水をかける、濡れタオルをまく、タオルで包んだ氷や保冷パックを当てるなどしましょう。ただし、冷やしすぎると血行不良になる恐れがあるため、肌の火照りが鎮まったら冷やすのをやめてください。 日焼けしたところを保湿する 日焼けによるダメージを受けた肌は、水分が失われた状態です。乾燥肌や肌トラブルの原因になるため、保湿ケアで肌に水分を補給しましょう。 日焼け後の肌は刺激に敏感なため、香料やアルコールなどが含まれていないシンプルな成分の保湿剤をおすすめします。また、こまめに水分補給をして、身体の内側からも肌に水分を与えることが大切です。 美白化粧品を使用する 紫外線を浴びると、防御反応の一環としてメラニンが過剰に生成されます。過剰なメラニンは新陳代謝で十分に排出できず、肌に沈着することでしみやくすみを引き起こします。肌の火照りや乾燥が落ち着いたら、次のような美白成分が含まれた化粧品でケアしましょう。 成分名働きアルブチンチロシナーゼの働きを阻害し、メラニンの生成を抑えるビタミンC誘導体メラニンの還元を促し、色を薄くするカモミラETメラノサイトの活性化や増殖を抑え、メラニンの生成を抑えるハイドロキノンチロシナーゼの働きを抑え、メラニンの生成を抑えるトラネキサム酸メラノサイトの活性化を抑え、メラニンの生成を抑えるプラセンタエキスメラニンの生成を抑え、シミやそばかすを防ぐコウジ酸チロシナーゼの働きに必要な銅原子を奪い、働きを阻害するリノール酸Sチロシナーゼを分解し、メラニンの生成を抑えるニコチン酸アミドメラニンの移動を防ぎ、過剰なメラニンの肌表面への蓄積を防ぐ4MSKシミのある部位の角化を調整し、メラニンの排出を促進するマグノリグナンチロシナーゼの成熟を妨げ、メラニンの生成を抑えるエナジーシグナルAMPターンオーバーを促進し、メラニンの排出をサポートする * * * 日焼けは、皮膚がんの原因になるだけではなく、しみやしわ、たるみの原因にもなるため、できるだけ紫外線から肌を守ることが大切です。今回、解説した内容を自身の日焼け対策と利用者さんのアセスメントにぜひ役立ててください。 編集・執筆:加藤 良大監修:吉岡 容子医療法人容紘会 高梨医院 院長東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。 【参考】〇環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」(2020年3月)https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf2024/7/10閲覧〇公益社団法人日本皮膚科学会「UVBとUVAはどう違いますか?」https://www.dermatol.or.jp/qa/qa2/q03.html2024/7/10閲覧

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