記事一覧

特集
2021年10月19日
2021年10月19日

第2回 生活をよく知る訪問看護師だからこそできること

福岡大学病院循環器内科では、地域の訪問看護ステーションと連携して、心不全患者の急性増悪・再入院を防ぐための取り組みを行って効果を上げています。第1回目は、大学病院と訪問看護ステーションの連携の概要を紹介しました。今回は、患者さん・家族が暮らす生活の場で訪問看護師が行うアセスメントの実際と、大学病院の専門医のサポートの実際を紹介します。 生活の場に密着している訪問看護師への期待 福岡大学病院循環器内科の志賀悠平医師は、「急性期医療を担う大学病院の外来では、多くて月2回、たいていは1~2か月に1回くらいしか患者さんを診ることができません。しかも、私たちは病院に来ている患者さんしか診ていません。お家にいらっしゃる状態というのが見えないため、在宅で食事をめぐる問題や行動面のトラブルが起こっていても把握できません。しかし、訪問看護師さんたちは少なくとも週1回入っていますから、病態の悪化や状態の変化などの細やかなチェックができます。在宅でのチェックにおいては、訪問看護師さんのほうがプロフェッショナルなのではないかと思っています」と訪問看護師への期待の大きさを語ります。 福岡大学病院循環器内科志賀悠平 医師 「病院ではわからない部分を知ることができるのは、私たち訪問看護師の特権だと思っています。患者さんの状態だけでなく家庭内のキーパーソンや家族の支援体制、家屋構造なども、在宅療養における有用な情報です」と博多みずほ訪問看護ステーションの黒木絵巨所長は言います。 博多みずほ訪問看護ステーション黒木絵巨 所長 何らかの症状があっても「年のせいだから」と見過ごされがち 心不全には、心臓の機能低下によって起こる2通りの症状があります。「収縮機能」が低下することによって全身の臓器に十分な血液が行き渡らないことから起こる症状と、「拡張機能」が弱くなり血液がうっ滞することによって起こる症状の2タイプです。血液が十分に行き渡らなくなって起こる症状には、疲労感、不眠、冷感などがあり、血液のうっ滞によって起こる症状には、むくみ(浮腫)、息切れ、呼吸困難などがあります。 黒木さんは特に『むくみ』には十分に注意するそうです。「通常は足背などを見てむくみの程度を判断しますが、訪問してお顔をみたときに『あれ? ちょっとおかしいな』と感じることもあります」と話します。 特に高齢者では、「収縮機能が保たれた心不全(拡張不全)」が多いことがわかってきています。血液を送り出す力が衰え、静脈や肺、心臓などに血液が溜まりやすくなってしまうもので、通常の検査では見つかりにくいとされています。さらに高齢者では自覚症状がはっきりと現れにくく、何らかの症状があっても「年のせいだから」などと見過ごされがちです。日常生活にいつも接している訪問看護師ならではの『直感』が重視される部分も大きそうです。 むくみのほかには、息切れや呼吸困難感も重要なサインの1つで、軽い場合は階段を上がる際に息切れする程度ですが、進行すると少し歩いただけで息苦しくなると言います。さらに悪化すると、夜寝ているときに咳が出て寝られなくなることもあります。「起座呼吸」にまで進んだ場合は入院が必要と言われています。 患者情報がタイムリーに多職種で共有されるメリット このように、訪問看護師の適切なアセスメントがタイムリーに多職種で共有されるメリットは大きいです。そのためには、ICTにより多職種が情報を共有できるツールの介在が欠かせません。 黒木さんはICTによる情報連携について、「現在は福岡大学病院の志賀先生のところと開業医、私たちの訪問看護ステーション、ケアマネジャーがICTツールでつながっています。私たちは医師とすぐに連絡を取りたいと思っても、この時間は電話してもいらっしゃらないだろうなと躊躇してしまうことも多いです。特に大学病院の先生との連絡ツールとして本当に助かっているので、もっともっと取り入れていきたいと思っています。こうやって即座に連携が取れるということは本当に心強いですね」と話しています。 志賀先生も、「訪問薬剤師と共有ツールでつながっていたこともあります。認知機能に少し障害があって服薬カレンダーをうまく使えず服薬管理ができないケースなどでは、薬剤の適正処方や服薬指導をきめ細かく行うために、薬剤師との情報共有ができて非常に有効でした」と、多職種連携のための共有ツールを高く評価されています。 心不全の再入院までの期間が延びているという『手応え』 福岡大学病院と博多みずほ訪問看護ステーションの有機的な連携によって心不全患者の再入院予防を図る取り組みの効果について志賀先生は、「まだまだ数は少ないのですが、確実に地域とつながっているという感触を得ています。少ない症例ではありますが、再入院までの期間が延びているという手応えはしっかり感じています」と述べてくださいました。 急性期病院での診療のかたわら、週1回訪問診療クリニックでの臨床を続けている志賀先生ならではの『地域包括ケアマインド』と、黒木さんをはじめとした訪問看護師の『在宅看護のスペシャリティ』がうまくマッチしたケースと言えるでしょう。 * 心不全看護の専門性をさらに高めるために黒木さんが取得された「心不全療養指導士」資格については、ご存知ですか?心不全療養指導士シリーズでご紹介します。 ** 志賀 悠平福岡大学病院循環器内科 医局長専門は心臓CT、高血圧、心不全、心臓リハビリテーション。日本内科学認定医、日本循環器学会専門医、日本高血圧学会専門医・指導医、日本心臓リハビリテーション学会指導士、医学博士。 黒木 絵巨博多みずほ訪問看護ステーション 所長大分県出身。3児の母。総合病院、透析クリニック勤務の後、2018年から訪問看護師として勤務。2021年3月に心不全療養指導士資格取得。 記事編集:株式会社照林社

特集
2021年10月19日
2021年10月19日

訪問看護あるある座談会 vol.7 認知症看護編

2025年には日本の65歳以上の高齢者のうち約5人に1人が認知症になると言われています。(引用元:厚生労働省 認知症の人の将来推計について https://www.mhlw.go.jp/content/000524702.pdf  )また、介護や支援が必要になる原因の第1位が認知症で、介護保険を利用した訪問看護おいて関わる機会も多いかと思います。今回は3人の訪問看護師さんにお集まりいただき、在宅での認知症看護の「あるある」についてトークをしてもらいました。 ■座談会に参加してくれた看護師さんプロフィール ゆりやりたいことを支えられる看護に魅力を感じて訪問看護に転職。訪問看護ステーションの管理者経験もあるママナース。訪問看護師7年目。 あい病棟、介護施設を経て、家族が訪問看護を利用していた経験から訪問看護ステーションに転職。訪問看護師2年目。 みほ訪問看護の実習で暮らしが見える面白さを感じ、新卒から訪問看護師に。オンコールやプリセプターもこなす中堅ナース。訪問看護師6年目。 本人に告げずに施設入居することのモヤモヤ あい:最近訪問している利用者さんに徘徊のトラブルがあったんです。認知症の方への対応って悩みますね。 みほ:徘徊ですか…。印象に残ってる利用者さんがいて、一人暮らしで認知症がある方でした。足腰は元気で、近所の食堂にご飯を食べに行くんだけど、お金を払い忘れてしまって。その度に遠方に住んでる息子さんがわざわざ謝罪に来ていました。いろいろ工夫はしたのですが、トラブル続きで息子さんが限界になってしまって、最終的に施設に入ることになったんです。ちょっと徘徊とは違うかもしれませんが。 あい:ご家族もお辛い時期がありますよね…。 みほ:でもご本人に「施設」という言葉を出すと怒るので、最終的には遊びに行くという名目で息子さんが施設まで連れて行ったんです。本人に告げずに施設に入ることにはモヤモヤしましたね…。ご家族の心配とか疲れとの兼ね合いもあるけど、あまり会えないご家族のフォローは難しいですね。 ゆり:あのときご家族にこうフォローしておけばよかった、とか思い返すこともありますよね。コロナ禍になって、直接話せる機会が減って余計に難しくなってる。 みほ:ご本人も一人で暮らすことのつらさを時々話したりはしてたんですけど、それでもやっぱり家にいたいって言っていて。 あい:自分でも忘れちゃうことに葛藤していて、不安だけど家にいたいっていう時期だったんですね。 ゆり:モヤッとしますよね。もともとの家族関係もさまざまだと思うんだけど、なんとなくのニュアンスで伝わるような関係もあれば、はっきり言うことでうまくいく関係のご家族もいたりするし。もしかしたら、何も言わなくても施設に連れて行くときの雰囲気で察せるような家族関係の人もいるかもしれない。そのご家族にどのパターンが合っているのかを探るのも、看護師の大切な役割かもね。 みほ:たしかに。当時はまだ新人で「認知症の方にも正しいことを正しく伝えるべき」って思っていたんですけど、正しい情報を伝えるとか、本人の意思をすべて汲むのが、必ずしも正解ではないなと。ふんわりケアする方向に誘導して、利用者さんの命とか体調を守ることも必要だと最近は思うようになりましたね。 ゆり:そうねー。命に関わるようなお薬を飲むのを見届けなきゃいけないんだけど、利用者さんが他のことに集中して飲んでくれない時とか、お話して気をそらして薬を飲んでもらうとかも必要なことだし。興奮してバイタルサイン測れない時には、お話だけ聞いて帰ってくるときもあるしね。 みほ:バイタルサイン測定できない時は、そっと手首に指当てて、脈は大丈夫、皮膚も熱くないので熱もなさそう、って確認したりします。基本的な視診や触診、会話などから得られるものもありますね。 チームでケアを繋ぐ!奥が深い認知症看護 あい:毎回のケアの順序って大体決まってるじゃないですか。でも認知症の方の訪問は特に毎回違っていて「今日はどこからやろう」ってなります。今日は入浴介助の日だったけど、利用者さんの気分が乗らなくて、じゃあ代わりにこれをしよう、みたいな。決まった流れができるだけではなくて、応用力必要だなって思います。 みほ:めっちゃわかります。訪問時間に収まるようにケアを組み立ててイメトレして行ったけど、おうちに着いてみたら「入れ歯がないのよ」ってずっと探し物をしていて。結局入れ歯を探して訪問時間が終わったこともありました。でも入れ歯も見つかったし、これで食事も食べられるし、利用者さんの心配事も解消されたしオッケーかなと。 あい:そうそう、ポジティブに捉えて置き換えますね。その日のケアができなくても、1人でどうにかするのは難しくても、1週間でチームでケアを繋いでいけば生活を保てるなって。次に行く看護師に「今日はこれができなかったので、次行ってできそうであれば、このケアをお願い」って引き継いでやってもらうとか。 ゆり:ヘルパーさんと連絡ノートを作って、これできましたってリレーしていくのもいいよね。連絡ノート書くの、時間かかるけど。 あい:連携は何かと時間かかりますよね。お薬とか排泄のこととか…。 ゆり:ケア内容を変えるだけでも、試行錯誤して数ヶ月とかかったりしますよね。でもピタッとケアがハマった時って、嬉しいよね。 あい:嬉しいですね。利用者さんで薬の飲み忘れが増えた方がいて、看護師管理で内服カレンダーを使い始めたんですけど、いざ導入してみたら混乱してしまって。色々試していたら「薬は自分でセットできるよ」って仰るのでやってもらったら、自分でセットできたんです。思ったより自分でできるね!ってみんなびっくりして。落ち着くまでに2〜3ヶ月かかりましたけど、利用者さんも慣れればちゃんと自分でできたりするんですよね。 ゆり:こっちができることを奪っている場合もあるから、利用者さんに合う方法を考えるとか、その人がやりやすいような置き場所にするとかも大切。医療的なケアが少ないからか、認知症看護って楽でしょ?って言う人もいるけど、すごく奥が深いんだよね。 記事編集:NsPace

特集
2021年10月19日
2021年10月19日

第4回 残業・休憩・休日編/[その2]朝礼や昼休みの電話当番、これって労働時間に入りますか?

前回の記事で、労働時間には「所定」と「法定」があること、「1日8時間・1週間40時間」という法定労働時間を超える残業に対しては、時間外割増賃金を支払う必要があることを説明しました。今回は、休憩時間などの周辺知識を含めて、何が「労働時間」とみなされるのかを具体的に検討します。 私の事業所は9時から始業ですが、実際は、毎朝8時30分にみんなで集まり、その日の業務を確認する「朝礼」を行っています。この始業前の朝礼は、労働時間に含まれますか?朝礼への参加を義務づけていれば、労働時間になります。 使用者の指揮命令下にあるかどうかがポイント 労働時間とは、過去の判例で次のように定義されています。 「労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」(三菱重工長崎造船所事件・最高裁平成12年3月9日判決) 少し難しい表現ですが、ポイントは、使用者の指揮命令下にあるかどうかということです。あくまで客観的に判断するため、事業所が「始業時間は9時ですので、その前の朝礼は労働時間ではありません」と勝手に(主観的に)決めることはできません。 参加が義務づけられた朝礼は労働時間 質問のケースでは、仮に、朝礼に参加しなくてもよく、参加が完全に自由であれば、「使用者の指揮命令下」にあるとはいえないでしょう。 しかし、参加が義務づけられていたり、参加をしなければ上司から注意を受けたり、処分を受けたりするといった不利益がある場合には、「使用者の指揮命令下」にあるといえ、朝礼に参加している時間は労働時間になります。 私の事業所では、昼の12時から13時までを休憩時間としています。ただし、休憩時間中に利用者様から電話がかかってくることがあるため、その電話には出られるよう、スタッフに交代で電話当番をしてもらっています。先日、あるスタッフから「電話に出なくてはいけないなら、休憩時間といえないのではないか?」と言われました。電話がかかってくることは多くないので、それほど負担になっていないと思うのですが、これは休憩時間とはいえないのでしょうか?休憩時間とはいえず、法定労働時間になります。 必要な休憩時間を正確に把握しましょう 使用者(事業所)は、一定の休憩時間を労働者に与えることが法律で義務づけられています(労働基準法34条1項)。具体的には、図1に示すように、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、また8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間が必要とされています。ポイントは、「超える」という言葉の意味です。労働時間が8時間ぴったりちょうどの場合は、8時間を「超え」ていませんので、「8時間以内」として45分の休憩を与えればよいということになります。なお、この休憩時間は分割して与えてもよく、例えば1時間の休憩を30分×2回とすることも可能です。 図1 労働基準法上の休憩時間のルール ポイントは、休憩時間は「労働から解放されていなければならない」ということです。法律でも、労働者は、休憩時間を自由に利用できると定められています(労働基準法34条3項)。 休憩中の電話当番は労働時間 ここで質問のケースを振り返ってみましょう。この事業所では、休憩時間中に利用者様から電話があった場合は、当番制でその電話に出てもらうようにしているとのことですが、これはスタッフの立場からすると「電話にすぐに気づけるように、音楽を聞くのはやめておこう」「昼休みの外出はできないな……」というように、休憩時間を自由に利用できなくなってしまいます。そのため、労働から完全に解放されているとはいえず、結果的に電話当番をしている間も労働時間となっています。これは、仮に1本も電話がなかったとしても同じです。 休憩はみんなで一斉にとるの? この事業所の場合、12時から13時まで電話当番をしてもらうスタッフには、この時間帯とは別に休憩時間をとってもらうようにするとよいでしょう。 なお、法律では、休憩は全スタッフに一斉に与えることが原則とされていますが(労働基準法34条2項)、看護事業に関しては、例外的にそのような原則は適用されないこととされています(労働基準法施行規則31条)。そのため、訪問看護の事業所においては、休憩は皆バラバラにとってもよいことになっています。 看護事業に関しては特別な取り扱いが認められていますので、チェックしておきましょう。 上司から指示されているわけではないのですが、業務量が多いため、仕事を自宅に持ち帰ってやらざるを得ません。深夜に上司に対してメールで成果物を提出したりしています。この場合、割増賃金は何ももらえないのでしょうか。事業所が、自宅に持ち帰って仕事をしていることを黙認している場合、労働時間とされ、割増賃金の支払いが必要になることがあります。 使用者の指揮命令下であれば残業代は必要 これまで説明してきたように、労働時間にあたるかどうかは、「使用者の指揮命令下」にあるか否かによって決まります。仕事をする場所が、職場でないといけないという決まりはありません。 上司が、自宅で作業することを指示した場合、それは強制にあたり、仕事をしている時間は労働時間になります。 黙認された持ち帰り残業は労働時間にあたる場合も では、上司からの明確な指示がない場合はどうでしょう。 質問のようなケースでは、上司は、深夜にメールで提出された成果物を受け取っているのですから、スタッフが深夜まで作業をしていることを認識できているといえます。にもかかわらず、深夜の作業は止めるように指導せず、成果物を利用しているならば、結局、その上司は、スタッフが自宅で作業していることを黙認しているといえるでしょう。そのような場合は、作業をしていた時間は労働時間にあたるとされることがあります。そのため、事業所としては、①自宅での持ち帰り残業は「許可制」とし、②仮にスタッフが自宅での持ち帰り残業を事業所の許可なく行っていることがわかった場合は、それを黙認するのではなく、注意して止めさせるべきでしょう。また、スタッフ一人ひとりの業務量を見直すなど、職場環境の整備も必要といえます。 ** 前田 哲兵 弁護士(前田・鵜之沢法律事務所) ●プロフィール医療・介護分野の案件を多く手掛け、『業種別ビジネス契約書作成マニュアル』(共著)で、医療・ヘルスケア・介護分野を担当。現在、認定看護師教育課程(医療倫理)・認定看護管理者教育課程(人事労務管理)講師、朝日新聞「論座」執筆担当、板橋区いじめ問題専門委員会委員、登録政治資金監査人、日本プロ野球選手会公認選手代理人などを務める。 記事編集:株式会社照林社

インタビュー
2021年10月19日
2021年10月19日

『自分なりのこだわりを貫きたい』という思いに寄り添い、支えた38日間

数々のお看取りに寄り添ってきた望月さんが出会った印象的な方々。後編は、末期がんで在宅に戻り状態が厳しくなっても、自分なりの在り方・こだわりを貫こうとしたBさんの支援について語っていただきました。 自分のことは自分で 【患者Bさん】60歳男性。膵尾部がん末期、肝臓・骨への転移あり。化学療法を受けていた大学病院のソーシャルワーカーの勧めで、訪問看護を利用開始。2020年9月3日から10月10日まで担当。 初回訪問の時、すでにBさんは瘦せて腹水がたまり、厳しい様相でした。病院から勧められての訪問看護開始だったこともあり、Bさんは「別に必要ないから」という口ぶりでした。 すでに食べられない状態だったBさんは、「食べないと体力がつかないから」と、化学療法のために造設されていたポートからの高カロリー輸液を希望されました。訪問看護では、輸液の管理などを行うことになりました。 Bさんは、「とにかく自分のことは自分で」という人でした。訪問医が腹水を抜いたら5リットルも出るような状態だったのに、「お風呂も自分で入るから清潔ケアは必要ない」と言うのです。 一般的に、在宅療養する男性は、奥様に頼り切りになりがちです。ですが、Bさんは奥様にも手を出させないようで、初回訪問の時、奥様はひと言も発しませんでした。 高カロリー輸液も、自分で動けるよう点滴ポールではなく、携帯用バッグを使うことを希望されました。それも、看護師が用意した後に自分で確認して入れ直すなど、几帳面な人でした。 『這ってでもトイレに行く』という強い意志 高カロリー輸液を入れれば、どうしても腹水は増えるので、Bさんは苦しかったと思います。それに、間もなく消化管が閉塞して、イレウス症状が出てきたことも厳しい状況でした。消化液がたまると吐き気を催しますが、Bさんはとにかく寝床では吐きたくなかったのでしょう、輸液のバッグを持って、トイレに駆け込み、吐いていました。 どう見ても、Bさんにはサポートが必要な状態でした。しかしBさんは、サポートは受けたくない、ポータブルトイレを置くのも嫌、自分で這ってでもトイレに行こうとする人でした。訪問看護は1日おき、ないし連日訪問していましたが、最後まで訪問介護は利用しませんでした。 状態の厳しさを、Bさん自身もわかっていたと思います。しかし、それは決して口にされません。どうしたいのかを私たちに訴えてくることもありませんでした。Bさんは、看護師に必要な情報を尋ね、それを受け止めるというスタイルの人でした。 入院と再度の在宅療養 嘔吐症状はその後もどうにもならず、Bさんの希望で2020年9月21日に一度入院しています。そのときも、Bさんは「病院に行けば、どこで吐こうがスタッフにケアしてもらえるから」という言い方をされていました。救急車で行くように伝えたのですが、結局、ご自分でタクシーを拾って乗り込み、途中でドアを開けて吐いて、病院まで行ったようです。 このとき私たちは、「もう在宅療養に戻るのは無理かもしれない」と覚悟をしていました。しかしBさんは、10月2日に退院してきたのです。在宅でも一度イレウス管を試していて、入院中も試したが不快で苦しい、病院にいたところで状況は変わらない、ということに納得されたからでした。 Bさんは、それまでいつも病状説明を一人で聞いていました。しかしこのときは、奥様も一緒に話を聞き、そして、家に帰ることを決めて戻ってきました。痛みが強くなり、麻薬性鎮痛薬を使いはじめ、退院後は1日2回訪問するようになりました。 イレウスがある人は、本当に気の毒なのですが、嘔吐症状がとても強いのです。 Bさんは、家に戻ってからは、トイレに行かず、好きなときに好きなように吐く、と決めたのだと思います。それまで布団を敷いていた部屋に、「入れたくない」と言っていたベッドを入れて、ケアシーツをいっぱい敷きました。そして、飲みたいものを飲み、吐きたいときに吐く。Bさんのその決断に合わせて、奥様も下着をたくさん用意していました。体を起こしての着替えも大変になってきたので、下着が汚れたら切って脱がせて捨てるようになりました。 何回か緊急訪問もあって、亡くなる2日前の訪問で、奥様がこんなことを話してくれました。 「最初は何も手を出せない状態で、本人の好きにさせるしかありませんでした。でも、退院を機に、坐薬を入れたり、本人が欲しいものを飲ませたり、体をさすったり、着替えさせたりできるようになって。まとまった睡眠がとれないですけど、自分の手を出せるようになり、介護できて、何だか楽しくなってきました。」 もともと関係が悪いご夫婦ではなかったのです。私たちは再度の在宅療養はないかもしれないと思っていましたが、奥様は「絶対帰る」と思っておられたそうです。退院して、本人の鎧がようやく取れたのかなと思いました。 最後は、奥様から、「起きたときには心臓が止まっていました」と連絡をいただきました。「次に起きたら亡くなっているかも、と思ったが寝ました」とおっしゃっていました。奥様も覚悟の決まった人でした。 「訪問看護ノー」と言われず、最期まで寄り添えるように Bさんに対して、訪問をはじめたころ、提案を色々していました。たとえば、「息も絶え絶えになりながらシャワーを浴びなくても、清潔ケアをお手伝いできますよ」などです。しかし、答えはいつも「ノー」でした。 けれど、訪問看護はそれでいいと思うのです。 病院から家に帰れば、みなさん、自分のやり方・自分の好みを大切にする。それが当たり前です。体に影響があることであれば、タイミングをみて、より安全な方法を伝えていくことも考えますが、それもケースバイケースです。 患者を受け入れる病院とは違い、支援するこちらがご家庭を訪問し、ケアを受け入れていただくのが訪問看護です。頭ごなしに指導する・正しいやりかたを押しつけるようでは、訪問看護自体を「ノー」と言われてしまう可能性もあります。 最期まで介護者をサポートしながら寄り添うために、ご本人・ご家族が主体の療養生活を支えていくのが、訪問看護の役割だと思っています。 ※掲載の内容については、ご本人とご家族の了承を得て掲載させていただいております。 ** 望月葉子白十字訪問看護ステーション看護師 記事編集:株式会社メディカ出版

コラム
2021年10月12日
2021年10月12日

トータルペインでとらえる

在宅緩和ケアのtipsを紹介します。第2回は、在宅緩和ケアのtipsのなかでも、基本となる「全人的苦痛(トータルペイン)」の概念について紹介します。 がん患者と家族の苦痛 杉並PARK在宅クリニック 院長の田中公孝と申します。 痛み、呼吸苦、食欲不振、うつ状態、精神的な不安、家族の不和の顕在化、遺産相続の悩み、……etc.がん末期の患者さんとその家族には、経過のなかで、さまざまな苦痛が訪れる事実。訪問看護師の皆さんには、イメージがつくところではないでしょうか。 がん末期の場合、病院から在宅医療に切り替わってからは、経過が速いことも多く、一つ一つのプロブレムに何とか対処しようと、目の前のことに精いっぱいになってしまいがちです。しかし、そんなときこそ、トータルペインの考えに立ち戻って、一度冷静になって整理することをおすすめしたいと思います。そして、プロブレムに対して多職種でどうアプローチしていくかを検討・相談するのです。 トータルペインとは 簡単に説明すると、患者の苦痛をトータルにとらえる考えかたです。 患者の苦痛は、 ●身体的苦痛●精神的苦痛●社会的苦痛●スピリチュアルペイン の四つに分類されます。 これらの苦痛は、密接に絡み合っています。たとえば、直接の訴えは「痛み」の場合でも、身体的要因だけをみるのではなく、すべての要因を考える必要があります。 身体的苦痛である「痛み」が強いと、精神的苦痛である「うつ状態」や「いらだち」につながります。逆も然りで、精神的苦痛は、身体的な痛みの増強要因でもあります。 終末期に経済的な問題を抱えているとサービスが十分に入れず、身体的苦痛への対処が後手後手になってしまう、という事例もときどき見かけます。こうした金銭面の問題があった場合、公的な援助を利用できないかと考えることも、身体的苦痛を先々取り除いていくために大事なアプローチといえるでしょう。 さらに、在宅で看取りをしていく以上、「家族の介護負担」という苦痛も出現します。これまで距離をとっていた家族が急遽介護に参加する、という場面もみられます。家族内の微妙な距離感や、意見の違いなども、あらかじめ聴取し、認識しておく必要があります。 プロブレムを正確にとらえる さて、以上のようにがん末期の事例では、身体的・精神的・社会的・スピリチュアルといったそれぞれの苦痛が互いに関連します。まずは、目の前の患者さんとご家族のプロブレムがどれだけあって、それらが、四つの苦痛のどれに当てはまるか。それを考えることから始めるのがおすすめです。 具体的には、身体的苦痛は? 精神的苦痛は? 社会的苦痛は? スピリチュアルな苦痛は? ……と、順々に目の前の患者さんの状態を想起して、文字にして書き出してみるのです。 言語化することは大変ですが、このトレーニングを繰り返すことで、がん末期の患者さんとその家族に起きているプロブレムを、より正確にとらえることができるようになります。   複数の苦痛が絡み合った事例 それでは、トータルペインに沿ったプロブレムの列挙の方法について、より具体的にイメージしてもらえるように、私が経験した事例を挙げたいと思います。 【事例】70代女性、膵がん末期。20××年12月末から心窩部痛あり、20××+1年2月A病院受診。切除不能局所進行膵頭部がんの診断。手術は不可、抗がん剤を服用したが副作用(食欲不振、便秘、発熱、皮膚そう痒など)のため中止。緩和ケアの方針で、当院訪問診療となった。 【家族構成】ご本人と、弟夫婦の3人暮らし。 【経過】当院介入後は、前医への不信感・強い悲嘆があり、時間をかけて傾聴。今後は私たちと訪問看護と相談しながら一つ一つ進めていきましょうとお話しした。病状の進行が速く、がん疼痛が週単位で悪化。内服の麻薬は訪問のたびに増量、その後、貼付薬にオピオイドローテーション。もともと繊細な性格だったが、がんになって以降、感情失禁が多く、抗不安薬も適宜使用。下腿浮腫が著明だったことから利尿薬を追加し、弾性ストッキングおよび訪問マッサージを導入。徐々に排便コントロールも難しくなってきたことから、下剤を増量し、訪問看護の臨時訪問で適宜浣腸を施行。加えて、老老介護のためご家族の介護疲弊がかなりたまってきていること、毎週のペースで麻薬を増量しており、病状が悪化していることから、入院のタイミングをご本人・ご家族・多職種で相談し、緩和ケア病棟入院へ。しかし、「入院生活は思っていたものと違った」とご本人より話があり、早期退院。最期は弟夫婦も自宅看取りの覚悟を決められ、数週間後看取りとなった。 本事例の苦痛を整理していくと…… ・身体的苦痛:がん疼痛、便秘、下腿浮腫・精神的苦痛:前医への不信感、強い悲嘆、入院生活へのストレス・社会的苦痛:老老介護による家族の介護疲弊・スピリチュアルペイン:本人の計り知れない死生観に対する悩み、家族の自宅か病院か迷う最期の場の検討 ととらえました。(なお、スピリチュアルペインはこの字数で述べることは困難なので、今回は触れないでおきます。) それぞれのプロブレムに対して薬を用いたり、訪問看護と相談・対応したり、ご家族に現在感じていることを伺ったりと対応していきました。そして、ご本人の希望を尊重し、紆余曲折しながらも、自宅看取りまで進めていったという事例でした。 早期からの情報収集と整理が重要 この事例からもわかるように、がん末期の事例では常に、複数のプロブレムが起こります。 身体的苦痛 × 精神的苦痛 × 社会的苦痛 × スピリチュアルペイン ── といったコンボがきたとき、さまざまな薬、さまざまな把握、さまざまな説明が、現場では必要になってきます。そうなったとき慌てないよう、初回訪問の時点で(難しければ2回・3回の訪問までに)、四つの苦痛の概念を頭に浮かべて、きたるべき時に備えて情報収集をし、検討しておくことがとても重要です。 そして、自身で、プロブレムをトータルペインのどれにあたるかを整理できるようになってきたら、ぜひ医学的アプローチは医師に、社会的苦痛に関係することはケアマネジャーに、相談または提案をすることを実践していきましょう。緩和ケアを実践できる訪問看護師が、今後ますます増えていくことを期待しております。 ** 著者:田中 公孝 2009年滋賀医科大学医学部卒業。2015年家庭医療後期研修修了し、同年家庭医療専門医取得。2017年4月東京都三鷹市で訪問クリニックの立ち上げにかかわり、医療介護ICTの普及啓発をミッションとして、市や医師会のICT事業などにもかかわる。引き続き、その人らしく最期まで過ごせる在宅医療を目指しながらも、新しいコンセプトのクリニック事業の立ち上げを決意。2021年春 東京都杉並区西荻窪の地に「杉並PARK在宅クリニック」開業。 杉並PARK在宅クリニックホームページhttps://www.suginami-park.jp/ 記事編集:株式会社メディカ出版

特集
2021年10月12日
2021年10月12日

第1回 地域ぐるみで心不全患者を支える

超高齢社会を迎えて心不全患者が増加しています。心不全の主な症状はむくみ(浮腫)、息切れ、呼吸困難などですが、高齢心不全患者は自覚症状に気づかないことが多く、知らない間に急性増悪を起こして再入院するケースが多いといいます。福岡大学病院循環器内科では、地域ぐるみの包括医療を行って再入院を防ぐ好結果を得ています。地域連携の取り組みの実際を2回にわたって紹介します。 必要なのは地域ぐるみの多職種チーム医療 心不全とは、何らかの異常により心臓のポンプ機能が低下して、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態をいいます。心不全患者数は全国で約120万人、2030 年には130 万人にもなると推計されています。特に高齢になればなるほど罹患者率が高くなることが知られており、超高齢社会を迎えつつあるわが国では、近未来的に心不全患者数は急増するものと予想されています¹。 そこで、日本心不全学会では2016年に、75歳以上の高齢心不全患者を対象にした治療指針である「高齢心不全患者の治療に関するステートメント」を公表しました。この中で、高齢心不全患者の円滑な診療のためには、基幹病院専門医とかかりつけ医、および多職種チームによる管理システムの構築が必要であることが明らかにされています²。 再発・再入院を防ぐ専門職どうしの密なつながり 急性期循環器医療を担う福岡大学病院循環器内科では、心不全の急性増悪・再発予防のための地域包括ケア活動として、チーム医療を推進しています。 福岡大学病院1973年開院。病床数915床(一般:855床、精神:60床)を有する福岡市西部地区および周辺地域の中核的医療センターの役割を果たす。 志賀悠平医師は、「増加する心不全患者の継続的な管理を考えるとき、急性期を担う循環器医師と地域に密着して活動されている開業医の方々、そして患者さんの生活をいつもそばで看ている訪問看護師や訪問理学療法士が、連携して包括的な医療に取り組む必要があります」と言います。 急性増悪を引き起こす要因としては、水分や塩分の制限の不徹底、治療薬内服の管理不足、さらに過度な活動による過労などが挙げられます。「これらは、患者さん自身の自己管理の不徹底によることもありますが、医療者側がうまくコントロールできていないこともあり、そのアンバランスによって入院になってしまうことが多いです。ですから、在宅で常に日常生活を看ている訪問看護師さんの役割は大きいのです」と志賀先生。 福岡大学病院循環器内科志賀悠平 医師 患者・家族の生活に密着している訪問看護師だからできること 同科と連携を密にしている博多みずほ訪問看護ステーションの黒木絵巨所長は、「在宅に戻られた心不全患者さんでは、特に水分や塩分の適正なコントロールが必要で、そのための食事指導が大切です。家に戻ってくると、どうしても好きなものを食べてしまう方が多く、漬物などが好きな高齢者は過剰な塩分を摂ってしまいがちです。日々の食事の内容は私たち訪問看護師が最も把握しなければならないところだと思います」と言います。 博多みずほ訪問看護ステーション黒木絵巨 所長 〈博多みずほ訪問看護ステーション〉2000年より福岡市で開設。呼吸器疾患の利用者が多く、呼吸リハビリテーションや機器管理などに力を入れて、サービスを提供。 塩分摂取の目安は、軽症ならば1日7g以下、重症では1日3g以下に制限するように指導します。具体的には、黒木さんが言うように漬物や佃煮を減らすこと、香辛料やレモンなど使って味付けや調理法を工夫することによって塩分制限を行います。「患者さんも自分をよく見せたいから、『そんなに漬物は食べていない』などとおっしゃるのですが、実態を把握するのが私たちの役目だと思っています」と黒木さん。 同訪問看護ステーションには訪問リハビリテーションのスタッフもいるため、運動や休息・睡眠にかかわること、さらには家の構造など、病院では知り得ない情報を主治医に伝えて適切な指示をもらうことができます。入院中にはわからない、在宅での日常生活の中に潜んでいる心不全の再発リスクをみつけて医師につなぎ、的確な指示のもと適切にコントロールするのが訪問看護ステーションの大切な役割です。 有機的連携のために必須な多職種の情報共有システム このような有機的な地域連携を実現するために必須なのが、多職種連携のための情報共有システムです。福岡大学病院と博多みずほ訪問看護ステーションでは情報共有のためのICTツールを活用しています。 志賀先生は、「訪問看護師さんが何かを察知した場合、いち早く大学病院に情報提供してくれることで、我々もタイムリーに医療上の指示を出すことができます。患者さんに最も密着している訪問看護師さんの視点だからこその情報も多くあります。家庭内にはさまざまな状況があります。家族間トラブルなどがある場合は、ご家族からの一方的なお話では判断できないこともあります。訪問看護師さんや訪問理学療法士の方々はケアの場面で日々、本人やご家族と接していますから、現場の『空気感』をお持ちです。そうしたリアルな情報を即時にウェブ上で共有できて初めて、有効な地域連携ができるのだと思っています」と話してくださいました。 ** 志賀 悠平福岡大学病院循環器内科 医局長専門は心臓CT、高血圧、心不全、心臓リハビリテーション。日本内科学認定医、日本循環器学会専門医、日本高血圧学会専門医・指導医、日本心臓リハビリテーション学会指導士、医学博士。 黒木 絵巨博多みずほ訪問看護ステーション 所長大分県出身。3児の母。総合病院、透析クリニック勤務の後、2018年から訪問看護師として勤務。2021年3月に心不全療養指導士資格取得。 記事編集:株式会社照林社 【引用文献】1.日本心臓財団『高齢者の心不全』https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/01/ 2.日本心不全学会ガイドライン委員会『高齢心不全患者の治療に関するステートメント』http://www.asas.or.jp/jhfs/pdf/Statement_HeartFailurel.pdf?iref=pc_rellink_01

インタビュー
2021年10月12日
2021年10月12日

本人の強い意志をチーム力で支える

ベテラン訪問看護師の望月葉子さんが出会った、印象深い意思決定支援のケースを前後編で紹介します。前編は、重度の障害のある人に対する現在進行形の支援について語っていただきました。 東京のICU病室から博多でのコンサートへ 「意思決定支援」というテーマをいただいたとき、まず思い浮かべたのが10年のお付き合いになるAさんです。「こうしたい」という強い意思を持ち、周りを巻き込んでそれを実現していける人だからです。 【患者Aさん】 現在63歳、アテトーゼ型脳性麻痺の女性。車いす使用。望月さんが担当するようになったのは2010年、Aさんが53歳の時から。当時、直腸膀胱障害があり、すぐに尿道カテーテルを留置。その後、気管切開、胃瘻造設、乳がん手術などを経て、今も94歳の母親と二人で在宅生活を継続している。 Aさんへのこれまでの支援で最も大きなエピソードは、2014年10月、Aさんが交流のある演歌歌手のコンサートに招待され、病院のICUを自主退院して東京から博多に行ったことです。 そのころのAさんはすでに嚥下状態が悪くなり、この年の2月には誤嚥性肺炎で入院していました。博多に行きたいと言われたとき、私は最初、本気とは思っていませんでした。でもAさんは本気でした。それでケアチームの会議を招集し、本当に博多に行けるかを検討しました。 Aさんの強い思いに、相談支援専門員(障害分野のケアマネジャー)が寄り添ってくれたことで、ケアチーム全員が実現の方向に動けたように思います。お母様も博多行きにかかる費用はすべて出すと言いました。在宅医も、万一のことが起こる覚悟を本人とお母様に確認したうえで、診療情報提供書を用意してくれました。 そうしてコンサートの半年ほど前から、ヘルパーや自費の看護師、現地でケアを引き継いでくれる看護師、携帯用の酸素などを手配し、博多行きの準備をしていました。ところがコンサートの直前、Aさんは誤嚥性肺炎で呼吸不全になり、救急搬送されてしまったのです。しかも入院中に痰が詰まって、一時は心肺停止状態に。 常識だったら「これではコンサートは行けないね」となりますよね。でも、Aさんは「どうしても行きたい」と諦めなかったのです。退院は認めないという病院と交渉し、結局Aさんは、「急変したとしても再入院は求めません」という約束をして、自主退院することになりました。 私は病院から東京駅まで車に同乗し、Aさんを自費の看護師に引き継いで新幹線に乗車させました。そしてヘルパーが合流し、何とか博多まで行き、Aさんはコンサートを楽しむことができたのです。 選択の数々 博多から帰ってきてまたすぐに、Aさんは呼吸不全になって救急搬送されました。「呼吸筋力の低下で、自力での痰の喀出は困難、経口摂取はもう無理」という医師の診断でした。Aさんも納得の上、気管切開を受けました。 その後は、胃瘻にするかどうするかの選択を迫られました。在宅でケアにあたっているお母様もこれには悩みました。お母様は当時80代後半です。在宅医や私たち訪問看護師にたびたび電話をしてきていました。 Aさん自身はとにかく生きる意欲が旺盛なので、胃瘻云々ではなく、「とにかく家に帰りたい」と訴えていました。 Aさんは気管切開で声を失っていますから、介護者が読み上げる50音に舌で合図を出して意思を伝える方法をとっています。いつもの介護者とお母様は、このコミュニケーションに慣れていますが、病院ではそうはいきません。体を動かせないAさんには、ナースコールを押すこともできません。 しかし家に帰れば、意思疎通ができるヘルパーさんが24時間いてくれるのです。結局、Aさんは胃瘻を造設して自宅に戻りました。 この後、Aさん自身もお母様も、がんの手術を受けています。でも、それらの出来事もケアチームで支え、乗り越えて、現在に至ります。胃瘻から栄養注入しながら、チョコレートや、お母様手作りのゼリーを口から召し上がっています。 いいゴールはケアチームみんなで考えたい Aさんとこれほど長いお付き合いになるとは思っていませんでした。長い期間その人の人生に寄り添っていけることは、訪問看護の醍醐味です。とても幸せなことですね。今、Aさんの自宅へは週2回の訪問で、入浴介助、摘便、服薬管理、尿道カテーテル交換などをしています。 Aさんの博多行きを経験したことなどもあって、10年の間にケアチームとしての成長を感じています。チームメンバーは入れ替わりもありますが、定期的に行政メンバーも交えてケアチーム会議をしていることもあり、Aさんの意思はみなよく分かっています。 これから起こりうる大きなエピソードとして考えられるのは、おそらくお母様に何かあったときでしょう。そのときどう対応するかについて、ケアチームで話題に上っています。しかし、施設を探すといった話はまったく出ていません。Aさんは「このまま在宅で生活する」と言うだろうと、みな思っているからです。 Aさんは、状態の悪化を嘆いて悲観的になることはありません。もちろん、感情の波はありますが、怒るエネルギーは衰えません。いろいろな難題を突き付けてくる人ですが、意思がはっきりしている分、支援の方向性は決めやすいのです。どこが本当に良いゴールなのか、今はまだわかりませんが、それはチームみなで考えていけると思っています。 ※掲載の内容については、ご本人とご家族の了承を得て掲載させていただいております。 ** 望月葉子白十字訪問看護ステーション看護師 記事編集:株式会社メディカ出版

特集
2021年10月12日
2021年10月12日

第4回 残業・休憩・休日編/[その1]この違いわかりますか? 割増賃金が発生する残業、しない残業

労働時間の管理は、労務管理の『基本中の基本』です。何が労働時間にあたるのかをきちんと理解していないと、法律で定められた残業代(時間外割増賃金)を適切に支払うことはできません。残業代の未払いに気づかず、ある日突然、スタッフからまとめて請求される……というケースも少なくありません。こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、法的に正しい知識を身につけ、日頃からきちんと労働時間を管理しましょう。 私の事業所では、就業時間は9時~17時まで(うち1時間休憩あり)と決まっています。忙しい日にスタッフに18時まで1時間の残業をしてもらった場合、その分の割増賃金を支払う必要はありますか?この場合は法内残業にあたりますので、労働基準法が求める割増賃金の支払いは不要です。  労働時間には「所定」と「法定」がある 労働時間には「所定労働時間」と「法定労働時間」があります。まずはこの違いをしっかりと押さえることが管理におけるポイントです。 まず、「所定労働時間」とは、就業規則や雇用契約書の中で定められた労働時間のことで、始業から終業までの合計時間から休憩時間を差し引いた時間をいいます。所定労働時間は、企業や労働者ごとに自由に決めることができるので、労働契約の内容によってさまざまです。例えば、「9時~18時」と定めているところもあれば、「10時~17時」と定めているところもあるでしょうし、パートについては「13時~17時」としているところもあるでしょう。 対して、「法定労働時間」とは、その名のとおり「法律で定められた=法定」、つまり労働基準法32条で定められた労働時間をいいます。同法で、使用者は、労働者を1日あたり8時間、1週間あたり40時間を超えて働かせてはいけないことになっています。 これを超えて働かせるには、①36協定(※)を締結し、かつ、②労働基準法で定められた割増賃金(時間外労働は原則25%増)を支払う必要があります。 割増賃金の支払いが必要なのは法定外残業 この質問のケースでは、就業時間が「9時~17時、うち1時間休憩あり」なので、所定労働時間は、始業から終業までの8時間から休憩時間の1時間を差し引いた7時間です。 ですので、17時から18時まで1時間の残業を行っても、法定労働時間の「1日8時間」という上限を超えないため、割増賃金を支払う必要がありません。このように、残業はしているけれども法定労働時間内に収まっている残業を「法内残業」といいます。なお、賃金規程などで「法内残業についても割増賃金を支払う」と定めることは自由ですが、定めた場合は、当然その支払いをしなければいけません。 では、19時まで2時間の残業を行った場合はどうでしょうか。この場合、17時から18時までの1時間は法内残業ですが、18時から19時までの1時間は、1日8時間の上限を超えています。このように、法定労働時間を超える残業を「法定外残業」といいます。法定外残業に対しては、労働基準法で定められた25%増の割増賃金を支払う必要があります。 ここまでの内容を図1にまとめましたので、ご参照ください。 図1 所定労働時間7時間の場合の割増賃金 ※36(さぶろく)協定:労働基準法36条(時間外及び休日の労働)に基づく労使協定のこと。使用者が法定労働時間の上限を超えて労働させる場合に必要となる。 ある日、利用者様の体調変化が重なり、とても忙しい日がありました。スタッフのAさんは、午前9時から始業し、昼に休憩を1時間とりましたが、その後、午後11時まで働きました。この場合、13時間労働ということになりますが、割増賃金は1日8時間を超えた分に対して25%増で支払えばよいのですよね?いいえ。午後6時から午後10時までは25%増ですが、午後10時から午後11時までは深夜割増賃金が加算されますので、50%増で支払う必要があります。 割増賃金の3つの種類 割増賃金のしくみをきちんと押さえておきましょう。まず、割増賃金には、①時間外割増(1日8時間、1週間40時間超えの労働)、②休日割増(法定休日における労働)、③深夜割増(午後10時から午前5時までの労働)の3種類があります。それぞれの割増率は図2に示したとおりです。 図2 時間外労働、休日労働、深夜労働の割増率 時間外労働が1か月60時間を超える場合は、時間外割増は50%増となることに注意(ただし、中小企業は2023年4月1日以降から適応) 深夜労働が重なると割増賃金は50%増に 注意しなければいけないこととして、深夜労働の割増賃金は、時間外労働と休日労働の割増賃金に『加算される』ということです。下の図3をご覧ください。 図3 深夜労働と重なった場合 深夜労働をするという時点で、すでに1日8時間の法定労働時間は超過していることが多いですから、深夜に行われた作業に対しては50%増(25%+25%)の割増賃金を支払うことがしばしばあります。事業所としては、スタッフの健康のためのみならず、人件費抑制の観点からも、深夜の作業は可能な限り控えてもらうように指導したほうがよいでしょう。 なお、労働時間の管理については、厚生労働省が出している「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン 」が参考になります。厚生労働省のホームページから誰でもアクセスすることができますので、ぜひ、ご参照ください。 ** 前田 哲兵 弁護士(前田・鵜之沢法律事務所) ●プロフィール医療・介護分野の案件を多く手掛け、『業種別ビジネス契約書作成マニュアル』(共著)で、医療・ヘルスケア・介護分野を担当。現在、認定看護師教育課程(医療倫理)・認定看護管理者教育課程(人事労務管理)講師、朝日新聞「論座」執筆担当、板橋区いじめ問題専門委員会委員、登録政治資金監査人、日本プロ野球選手会公認選手代理人などを務める。 記事編集:株式会社照林社

インタビュー
2021年10月5日
2021年10月5日

コロナ禍に行ったアンケート調査にみる 不安を克服し前に進もうとする姿に誇り

公益財団法人日本訪問看護財団常任理事の佐藤美穂子さんインタビュー、後編は日本訪問看護財団が昨年から今年にかけて4回にわたり行ったアンケート調査から見えてきたものを中心に語っていただきました。コロナに翻弄される訪問看護師の不安と、その先にある光明とは。 コロナで明らかになった 日本人のヘルスリテラシー コロナ禍の中で1年半経って私が感じたのは、日本は諸外国に比べ、ヘルスリテラシーがしっかりしていると思っていましたが、実はそうでもなかったということです。「マスク着用」「手指消毒」といえば、みんな従うところは徹底しているなあと感心します。しかし、緊急事態宣言も度重なり、その効果はしだいに薄れてしまっています。 またコロナ禍で医療従事者にスポットが当てられ、報道番組などで多くのドキュメンタリーも作られましたが、メディアは「医療崩壊」などセンセーショナルな話題を取り上げる傾向にあります。現実には、感染病棟の看護師は、着脱に時間がかかる個人防護具のフル装備で、トイレを長時間我慢し、食事もままならないという現状がありました。医師は定期的に見回りに来ますが、人工呼吸器も経管栄養も、実際にベッドサイドでマネジメントしているのは看護師です。これらの行為は看護師の特定行為研修制度にもつながるのですが、そういう看護師の総合的な力量 —— 対応力、技術力、指揮力をこそ、メディアにもっと取り上げてほしかったですね。 看護師のメンタルヘルスを良好に保つためには 昨年から今年にかけて財団が4回実施しているアンケート調査からみえてきたのは、コロナ禍で働く訪問看護師のメンタルヘルスの不安定さが、完全に解消できていないことです。看護師は医療者として最前線に立ち、猛烈な感染力がある未知のウイルスに対峙しなければなりません。訪問先や、移動中に、万が一にも感染したらどうしようという恐怖心はどれだけのものだったでしょう。また、個人防護具が足りなくなることへの不安、本人たちの気分の落ち込み、疲労感、イライラ、孤立感を募らせた看護師が多かったことが、アンケートからうかがえました。利用者の命も、自分の家族の安全も守らなくてはならない緊張感に押しつぶされ、休職・退職していった看護師もいました。家族から「そういう(リスクの多い)仕事は休んだら」と言われ、身近な人から仕事に対する理解を得られなかったことで落ち込んだという人もいました。 一方で、不安でメンタルが低下したスタッフに対して、「このままではいけない」と別のスタッフが奮起してカバーしあっていることもアンケートからみえてきました。たとえば、ふだん控えめなスタッフが「とにかく感染に気を付けてこの危機を乗り越えよう」と発言したり、ウイルスについてもっと医学的・科学的・客観的に学ぼうという姿勢がみえたりしていました。なるべく接触時間を短くする分、ICTを活用して利用者の体調管理や健康相談を行っているステーションもありました。管理者はそういう姿を頼もしく感じ、スタッフに、いっそう感謝の気持ちを持ったといいます。 パンデミック下での訪問看護 管理者が行うべきこと 管理者ならではの悩みもあります。万が一スタッフが濃厚接触者や感染者になってしまうと事業所が回らなくなるので、とにかくみんなが安心して働けるよう、「スタッフの命は必ず守るし、健康な暮らしを第一に考えて行動しますから、皆さん安心して」など、管理者からのメッセージを丁寧に伝えて安心してもらっている様子もうかがえました。もちろんその裏付けとして、感染に対する正確な知識をみんなで共有する、個人防護具を全員が十分に使えるように整備するなどを、怠りなくやらなくてはなりません。 感染者に対する差別などが起こっている場合、スタッフの精神的な負担を管理者がフォローすることも大切なことです。濃厚接触者になって10~14日間仕事ができなくなったスタッフが職場復帰したときには温かく迎える。そして当事者の体験をしっかり共有して、根拠に基づく感染防護をさらに徹底する。そんなフォローも管理者には必要です。 訪問看護サミット2021で多くの仲間と会える日まで 感染症は、いつかは必ず治まります。来年あたりは、ポストコロナという新たな状況を描かないといけないでしょう。そして10年後くらいに、また新たなウイルスが出てくるかもしれません。今回、このような世界的なパンデミックをみんなが経験したのですから、これを契機に私たち訪問看護師には地域でどんな役割があって、どういうことをすればいいのか、地域とのつながりを強めるためにも、しっかり業務継続計画(BCP)を作成していただければと思います。 なお、これからも人材確保がままならない状況は増えてきます。みんなで集まることができない今、ICTを活用するなどして、屋根の下の連携ではなく大空の下での地域との連携をより強めていく必要があります。管理者層は、苦手意識を克服するためにも、ICTに強いスタッフの経験を共有し、若いジェネレーションとうまくやっていってほしいですね。 また、日本訪問看護財団の個人防護具無料提供は現在も続けています(2021年9月28日時点)。感染者対応に限定しているわけでもなく、フル装備でなくてもいいですし、ヘルパーさんにも使っていただけます。財団ウェブサイトより申し込みいただけますので、ご利用ください。◎日本訪問看護財団『感染防護具支援プロジェクト』https://www.jvnf.or.jp/covid-19_project2020.html また、11月6日には訪問看護サミット2021を開催します。テーマは「どんな時も共にある訪問看護をめざして、ポストコロナの最善のシナリオを描こう」です。ライブ配信を行いますので、ぜひご参加ください。 ◎訪問看護サミット2021の詳細はこちら↓https://www.jvnf.or.jp/summit2021/index.html ** 佐藤美穂子公益財団法人日本訪問看護財団常務理事 記事編集:メディカ出版

コラム
2021年10月5日
2021年10月5日

訪問看護の社長業~創業経営者 水谷氏から学んだこと 内部体制に関する方針 パート3~

第11回は、いよいよ「内部体制に関する方針」のパート3です。パート1の冒頭に紹介したとおり「成果はすべてお客様から得られます。会社の内部は全て費用でしかありません。赤字会社の社長は、いつでも内部管理に終始しますが、本末転倒です。」というのが基本姿勢ですが、とはいえ、そこで働くスタッフが基本方針を間違って解釈したり、方向性に迷ったりしないようきちんと明示しておくことは大切です。今回は、その中であえて1項目を抜き出して説明します。 会議に関する方針 以下、事業所専門職スタッフ全員参加のミーティングを想定しています。日常的に実施される専門職のケースカンファレンスだけではなく、事業所の運営をスムーズに行うための全体ミーティングを月に1回は実施すべきと水谷氏は勧めます。各事業所が自走経営するための会議、といったところでしょうか。ただ訪問すればいいだけ、という意識で仕事をするのではなく、労働生産性を意識して高め合うためにも、このような会議を定期実施してはいかがでしょうか。 ①情報交換と意思統一、計画・実績確認を重視します。 ②会議の目的とは? 以下の項目について情報共有と対策検討をします。 ・お客様サービス・ご要望・クレーム対応 ・ご紹介先、関係機関との情報疎通・増客 ・人員・設備の過不足、スタッフ空き情報、請求回収について ・教育・研修計画/実施、地域集会参加促進 ・制度変更や実地指導の確認 ③会議開始にあたり、前回決定事項の確認をする。終了時には、当日決定事項の確認をする。 ④お客様が主体ということを念頭におく。 ⑤機微、場の空気を読むこと。話が飛んだり、すり替わったりすると時間を無駄にし、全員の神経を疲労させます。 ⑥先行き対策に知恵を出すことが優先です。誹謗・中傷の場ではありません。 ⑦決まった時間内で終了するのがベストです。会議前には、話す要点を整理してくると運営がスムーズです。 ⑧アジェンダ(議題)と議事録は必須です。レジメは開始数日前、議事録は翌日が基本です。担当を決めて習慣にしてください。 上記、②は運営・経営に直結する内容。それ以外は、会議への臨み方です。各社多少のアレンジはあると思いますが、スタッフが慣れないうちは、社長や本部スタッフなどがファシリテートして会議を進行してください。大事なのは、現場で起きていること(特に悪い事)がきちんと社長へ上がることです。どこかでクレームが隠蔽されたり、ご要望に対して何かにつけボトルネックがあったりすると、正常な経営ができません。現場で起きていることが正しく社長・本部へ伝わり、逆に会社の経営方針や意思を現場に浸透させるには、膝をつめて話し合いを重ねるしかありません。ある程度の緊張感をもった「会議」を実施することで、なあなあ体質にならない集団ができることと思います。 さて、「水谷氏から学んだこと」も佳境に入って参りました。次回は「評価についての方針」についてお話しします。ご期待ください。 ** 一般社団法人訪問看護エデュケーションパーラー理事長  上原良夫 【略歴】2012年ソフィアメディ(株)入社。訪問看護事業の営業開発課長・教育研修事業部長・介護事業統括部長・医療連携推進室長を経て、(株)CUCの支援医療法人の訪問診療事務長、在宅事業企画担当。2020年7月より一般社団法人訪問看護エデュケーションパーラー理事長に就任。訪問看護事業の教育研修企画・ 各種 コンサルティング、業務委託においてアームエイブル(株)ゼネラルマネージャー兼務

あなたにオススメの記事

× 会員登録する(無料) ログインはこちら