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無理なくみんなで備える。日本訪問看護認定看護師協議会の災害対策【後編】
無理なくみんなで備える。日本訪問看護認定看護師協議会の災害対策【後編】
インタビュー
2025年7月8日
2025年7月8日

無理なくみんなで備える。日本訪問看護認定看護師協議会の災害対策【後編】

地震・大雨・台風等、各地で災害が起きているなか、医療現場における防災対策の重要性はますます増しています。今回は、日本訪問看護認定看護師協議会でBCP作成支援活動を行ってきた戸崎さんと碓田さんに、今後のBCP作成支援活動や災害対策に対する考え方などを伺います。 >>前編はこちら手探りで始めたBCP作成支援 日本訪問看護認定看護師協議会の災害対策【前編】  日本訪問看護認定看護師協議会訪問看護認定看護師のネットワーク構築と、訪問看護全体の質向上を目指して2009年に誕生。訪問看護・在宅ケアのスペシャリストである認定看護師が集い、情報交換をしつつ自己研鑽を積み、地域包括ケアシステムの推進に貢献できるように活動している。参考:日本訪問看護認定看護師協議会 立ち上げ経緯&想い【特別インタビュー】戸崎 亜紀子さん星総合病院法人在宅事業部長/在宅ケア認定看護師/日本訪問看護認定看護師協議会 理事。総合病院で急性期看護を経験した後、育児・介護のため一時退職。クリニック勤務を経て星総合病院に入職し、精神科病棟を経験した後、訪問看護ステーションへ。訪問看護ステーション管理者、在宅事業部事務局長、法人看護部長を経て、現職。東日本大震災(2011)や令和元年東日本台風(台風19号)(2019)では、被災者・支援者の両方を経験。碓田 弓さん訪問看護認定看護師。総合病院にて外科病棟、緩和ケア病棟、透析室を経験した後、病院系列の訪問看護ステーションに異動し、12年勤務。介護施設併設の訪問看護ステーションの立ち上げおよび管理者を経験したのち、2023年9月よりみんなのかかりつけ訪問看護ステーション四日市に入職。 ※本文中敬称略 地域に広がっていくBCP 2024年度BCP作成支援 セミナーの様子 ―前編ではこれまでのBCP作成支援活動について伺ってきましたが、今後の活動について教えてください。 戸崎: 活動内容は未定ですが、アンケートの反応も良かったので、可能であればニーズに応じて実施していきたいと思っています。いろいろな方向性が考えられますが、碓田さんは今後どういった活動が重要だと思いますか? 碓田: 個人的には、連携型BCP・地域BCP策定モデル事業が推進されているので、これをどう地域に広げていくか、というところが重要になってくるのではないかと思っています。 戸崎: 確かに、それは大切ですね。私は今後、事業所によってBCPへの温度差が広がっていくのではないかと考えています。BCPに関しては、「委託会社を利用してとにかく作成を間に合わせた」というケースもある一方で、「もっと連携を強めて地域に広げていきたい」という取り組みをしているケースもあります。 すでにBCPに関連する無料の研修やツールもかなり増えてきましたが、それでも「どうすればよいかわからない」「参加できていない」という方がいらっしゃる現状があります。基本のところからわからないと言っている方々を底上げした方がいいのか、それとも先を見据えているステーションに対してもっと先に行けるように支援していけばいいのか……。慎重に検討したいところです。 碓田: そうですね。私の体感としては「とにかく間に合わせた」事業所が大半なのではないかなと思っています。シミュレーションについても、「やってはいるけど、これでいいのかどうか分からない」という声をよく聞きます。 だからこそ、自分たちのステーションだけでやろうとするのではなく、「地域のステーションみんなでやろう」となれば、「自分はこれができてないな」とか「あの事業所はここまでやってるのか。真似してみよう」といった気づきや底上げに繋がるのではないかと考えています。 無理なく、できることから始める ―ありがとうございます。近年、南海トラフ地震に対する警戒も強まっていますが、災害に対する心構えを教えてください。 戸崎: はい。不安を抱えていらっしゃる方が多いと思います。私自身の経験として、2011年の東日本大震災の2年前に「宮城県沖地震の再発率が80%」という話があったことを思い出します。当時、「本当に来るんだろうか」という半信半疑の空気感がありましたが、「何か防災訓練をしておこう」という比較的気軽な気持ちで、事業所のスタッフと阪神淡路大震災の被災の記録や、日本海沖地震の新潟のステーションの手記などを読み合わせしました。「大変だったんだね」と感想を言い合い、「やっぱり対応マニュアルを少し見直しておこうか」という話になりました。 本当に肩の力を抜きながらやった訓練でしたが、振り返ってみれば、このときの話し合いや見直しが、東日本大震災での対応に活かされたと感じる部分がいくつもあるのです。災害について「みんなで話し合っておく」ことは本当に大事だと思います。 2023年度の研修(「どうする!うちのBCP」)に参加してくださった管理者さんも、「研修を機にみんなで話し合う場を持ってみたら、確かに質の向上につながると思った。みんながまとまったようにも感じた」とお話ししてくださいました。BCPを作るだけではなく、みんなで取り組むことが減災につながる。災害は起きてしまうから完全には防げませんが、「減災」には必ずつながります。 BCP作成支援活動をしていて、管理者や担当者が誰か一人で作っているケースが多いと感じたのですが、それではなかなか進まないんです。「ああでもない」「こうでもない」とみんなで議論する時間がとても大事だと思います。 ハードルを上げず、一人で抱え込まないことが大事 碓田: そうですね。BCPも一人で作っていると不安になり、手が止まってしまうと思います。事業所内外を問わず、まわりの人と相談しながら進めることが大事ですね。 戸崎: はい。つい忘れがちなのですが、BCPは「業務継続計画」なので、主語は利用者さんではなく「自分たち」。「私たちが」業務を継続できるための計画であり、「職員が何らかの事情で来られなくなっちゃったときにどうしましょう?」という計画も含まれるわけですよね。例えば、感染症が地域で流行り、子どもがいるスタッフが軒並みダウンする……といったこともあるかもしれません。想像以上に身近なんです。 「人が少なくなったときに、どの業務を優先し、どの業務を後回しにするか」を考えるのがBCPの基本ですから、事業所でスタッフと一緒に「どうする?」って考えたほうがいいでしょう。一度やってみると、きっと有意義だと感じるのではないかと思います。 碓田: 地域BCPに関しても、地域の人たちで一度でも実際に集まって話し合っておく、ということがとても大事になりそうですね。私も自分の地域でやっていきたいと思います。 戸崎: それも大切ですね。郡山でも最近、事業所の垣根を超えて、行政も入った机上訓練を初めて実施しています。地域の全員が参加できなくても、机上訓練だったとしても、1回実施するだけでも、やるとやらないとでは大きく異なります。机上訓練であれば、そこまでハードルは高くありませんしね。 碓田: あまりハードルを上げないことが大事ですね。立派な計画書を作ろう、完璧に訓練しようと思うと、何から手をつけていいのかわからなくなってしまいます。まずは災害について気軽に話せる場をつくるところから始めたいですね。そこから、「じゃあ〇〇が必要だ」などと繋げていける。そういったことの積み重ねでブラッシュアップしていけるのではないかと思います。 戸崎: そうですね。あとは、災害は、本当にどこでいつ、何が起きるかわかりません。2025年に入ってからだけでも、大規模な地震や山火事、道路の陥没やそれに付随するインフラ停止など、さまざまな災害がありました。「こんなことが起こるなんて」と驚くような災害も起こってしまいました。 不安になると思いますが、災害は「想定できるもの」と「想定できないもの」に分かれることを意識するといいかと思います。例えば台風は事前に気象予報で来ると知ることができますし、地震や停電などに関しては、事前にシミュレーションして対応方法を決めておき、マニュアルを作っておけば対応しやすくなるでしょう。 すべて想定することはできなくても、少しでも考えておけば、応用できることがきっとあります。「どうせわからないから」とやらないのではなく、やっぱり少しでも準備しておくことが大切なんです。自分事になっていないスタッフがいても、気軽に事業所内で話し合うだけでも、気負ってしまってやらないよりずっといいんです。ぜひ、そのことを意識していただきたいです。 ―ありがとうございました。 取材・編集・執筆:NsPace編集部

「ビタミン欠乏」の知識・注意点・最新情報【訪問看護師の疾患学び直し】
「ビタミン欠乏」の知識・注意点・最新情報【訪問看護師の疾患学び直し】
特集
2025年7月8日
2025年7月8日

「ビタミン欠乏」の知識・注意点・最新情報【訪問看護師の疾患学び直し】

このシリーズでは、訪問看護師が日々のケアで遭遇しやすい疾患について、おさらいしたい知識から最新の知見まで幅広く提供します。今回はビタミン欠乏について、訪問看護に求められる知識や注意点、押さえておきたい最新トピックスを在宅医療の視点から解説します。 ビタミン欠乏の基礎知識 歴史を紐解くと大航海時代(15~17世紀)には、航海中に新鮮な果物や野菜を摂ることがなかったため、ビタミンC欠乏症(壊血病)により多くの船員が命を落としました。 日本では、江戸時代に生活が豊かになり、都市部で白米を食べるようになったため、「江戸わずらい」と呼ばれるビタミンB1欠乏症(脚気)が流行しました。地方で主食だった玄米と比べて、白米にはビタミンB1がほとんど含まれていません。 明治から大正時代(1868〜1926年)には脚気で毎年数万人が亡くなったと推定されています。当時は原因が分かっていなかったため、私たちが経験したコロナ感染症以上の社会不安を起こしたと思います。 栄養の知識が普及した現代の日本では、ビタミン欠乏症は起こらないと思われがちです。しかし、高齢者を中心にビタミンB1欠乏症やビタミンB12欠乏症は非常によく遭遇します。 今回は、Aさんの症例をもとに、ビタミン欠乏症の症状をみていきましょう。 症例 Aさん、71歳女性。主訴:食欲低下。 1ヵ月前から食欲が低下し、2週間前からさらに食欲がなくなりました。訪問時、Aさんは「朝食は全部食べました」と答えましたが、記録では2割程度しか摂取できていませんでした。また、「母と同居しています」とAさんが言われたので、「お母さまはおいくつですか」と質問すると「81歳です」との返答がありました(母親が10歳の時に患者が産まれていることになります)。 事実関係を夫に確認したところ、次のような状態であることが分かりました。 「妻は2週間前から食欲がなくなっています。1週間前から意識がもうろうとしていて、今日が何日か分からないようです。会ってもいない友達と会ってきたと言うようになりました。妻の母は18年前に死亡しています」 Aさんの状態 意識:会話は可能体温:36.9℃ 血圧:114/79mmHg 心拍数:120/分呼吸数:16/分 SpO2:98%(室内気) 眼球運動を行うと水平方向への眼振(サッカード)が認められました。指タップ(親指IP関節と人差し指をできる限り早くタップする運動)を行わせると、着地点が一定せず、軽度の小脳失調症状がみられました。胸腹部の身体診察は問題ありませんでした。 夫の話からすると、1週間前から認知症のような症状が出現しているようです。急性または亜急性に認知症が進行している場合には、「治療可能な認知症」を想起することが大切です。その原因となる疾患は以下のとおりです。 治療可能な認知症 •甲状腺機能低下症•正常圧水頭症•慢性硬膜下血腫•ビタミンB1/B12欠乏症•肝性脳症•尿毒症•神経梅毒•うつ病•高齢者てんかん•薬物依存 頭部CT検査、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)、血清ビタミンB12、うつ病スクリーニングは異常を認めませんでした。しばらく食事が摂れていない状況や軽度の小脳失調症状を伴う認知症、作話(事実でないことを本当であるかのように話すこと)から、ウェルニッケ脳症とコルサコフ症候群を伴うビタミンB1欠乏症と診断しました。 ビタミンB1欠乏症 症状/身体所見(表1) ビタミンB1欠乏症は、乾性脚気(中枢/末梢神経症状)と湿性脚気(高拍出性心不全)を引き起こします。中枢神経症状は、ウェルニッケ脳症とコルサコフ症候群です。末梢神経症状として、手足のしびれや筋力低下、深部腱反射の低下が生じます。また、ビタミンB1が欠乏すると、末梢血管抵抗が低下し、静脈還流が増加するため、心拍出量が増えて高拍出性心不全(呼吸困難、心拍数増加、下腿浮腫)となります。症例のAさんも、心拍数が120/分と頻脈でした。 表1 ビタミンB1欠乏症が引き起こす脚気 ビタミンB1はたくさんのATP(アデノシン三リン酸)を産生するクエン酸回路の補酵素です。ATPがつくられなくなると、ATPを大量に消費する脳や心臓が障害を受けます。 ●ウェルニッケ脳症リスクファクターはアルコール多飲、がん、摂食障害などです。ビタミンB1が不足する食事を摂ると、1~2週間でビタミンB1が欠乏します。 症状は(1)意識障害(失見当識、無関心)(2)運動失調(歩行障害)(3)眼球運動障害(眼振、外転障害)が3徴として有名ですが、3分の1の患者しか3徴を示しません。多くの患者は軽度の意識障害のみです1)。治療をしないとコルサコフ症候群へ移行します。●コルサコフ症候群2)ウェルニッケ脳症の約70%にみられます。典型的な症状があっても、診断されていないケースが多いと考えられています。アルコール多飲者に多く、症状として逆行性および前向性健忘(発症前や発症後の記憶を失うこと)、作話、幻覚があります。ビタミンB1を投与しても症状は改善しないため、前段階のウェルニッケ脳症での治療が大切です。死亡率は、治療を行わない場合は約90%、治療を行っても約20%です。 診断 血清ビタミンB1を測定することはできますが、感度と特異度は不明です。すなわち、検査が正常でもビタミンB1欠乏症の可能性があります。したがって、1~2週間にわたる食事摂取量の低下、意識障害や運動失調、眼球運動障害の症状から臨床的に診断することが大切です。 治療 エビデンスは十分ではありませんが、次の治療が推奨されています。 ●乾性脚気 ブドウ糖液を投与する前に、チアミン500mgを1日3回、3日間点滴その後、250mgを1日1回、5日間点滴さらにその後、100mgを1日1回、経口(症状が安定するまで) ●湿性脚気 チアミン200mgを1日3回、点滴(症状が安定するまで) ビタミンB12欠乏症 症状3) 疲労、精神症状(認知機能の低下、いらいら、抑うつ)、貧血、左右対称性の知覚異常、またはしびれ、歩行障害、筋力低下がみられます。 身体所見 ハンター舌炎(舌の腫れ、びらん、痛み、舌乳頭萎縮)、皮膚の色素沈着、側索障害(膝蓋腱反射亢進、バビンスキー反射陽性(母趾の背屈)、後索障害(ロンベルグ試験陽性、下肢振動覚低下)が認められます。 高齢者におけるビタミンB12欠乏症の有病率は10%以上と推定されています4)。体内貯蔵量が多いため、ビタミンB12は5~10年かけて徐々に低下します。リスク因子は、萎縮性胃炎(最も多い)、胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬)や糖尿病治療薬(ビグアナイド薬)の長期内服、肉や魚を食べない、胃切除後です。高齢者のビタミンB12欠乏の原因で最も多いのは、胃酸や膵液の分泌障害(53%)です5),6)。 診断 血清ビタミンB12が200pg/mL未満の場合、ビタミンB12欠乏症と診断できます。血清ビタミンB12が300pg/mL以上であれば、ビタミンB12欠乏症の可能性は低いですが、測定上の問題で偽正常値や偽高値を示すことがあります。 治療 治療が遅れると不可逆性神経障害を起こします。治療は以下のとおりです。 メコバラミン500μgを週3回、2週間、筋肉内に注射その後、500μgを週1回、筋肉内に注射さらにその後、500μgを月1回、筋肉内に注射 または メコバラミン1日1,500μgを3回に分けて経口投与 訪問時における病歴聴取/身体所見のポイント   認知症の症状を認めた場合、いつから発症したのか、家族や施設関係者から詳しく聴取することが大切です。 食生活を確認してください。肉や魚の摂取状況(ビタミンB1やビタミンB12は肉や魚に多く含まれています)や、プロトンポンプ阻害薬の長期内服の有無を確認します。 がに股歩行(開脚歩行、図1)なら、小脳失調(ビタミンB1欠乏症)か後索障害(ビタミンB12欠乏症)を考えます。次に、両足をつけて起立させます。小脳失調なら開眼していてもふらつきます。後索障害なら閉眼させると、ふらつきがひどくなり転倒します(ロンベルグ試験陽性)。さらに、音叉を用いて内果または外果で振動覚をチェックします。5秒以下は明らかに異常です。 図1 開脚歩行 その他の代表的なビタミン欠乏とその症状を表2にまとめます。 表2 代表的なビタミン欠乏とその症状 最新トピックス ビタミンB1欠乏症は胃腸脚気(嘔気/嘔吐、腹痛、消化不良、ひどい便秘)も起こします7),8)。嘔気/嘔吐、腹痛、消化不良、便秘は他の疾患でも起こる症状なので、鑑別診断が非常に難しいです。治療はチアミン100~1,000mgを1日1回、点滴で投与します。 ●ビタミンB1欠乏症とビタミンB12欠乏症は非常によく見逃されています。●ビタミンB1欠乏によるウェルニッケ脳症の症状は、(1)意識障害(失見当識、無関心)、(2)運動失調(歩行障害)、(3)眼球運動障害(眼振、外転障害)です。●ビタミンB12欠乏症では、疲労、精神症状(認知機能の低下、いらいら、抑うつ)、貧血、左右対称性の知覚異常またはしびれ、歩行障害、筋力低下がみられます。   執筆:山中 克郎福島県立医科大学会津医療センター 総合内科学講座 特任教授、諏訪中央病院 総合診療科 非常勤医師、大同病院 内科顧問1985年 名古屋大学医学部卒業名古屋掖済会病院、名古屋大学病院 免疫内科、バージニア・メイソン研究所、名城病院、名古屋医療センター、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)、藤田保健衛生大学 救急総合内科 教授/救命救急センター 副センター長、諏訪中央病院 総合診療科 院長補佐、福島県立医科大学会津医療センター 総合内科学講座 教授を経て現職。編集:株式会社照林社 【引用文献】1)Hemphill JC,Smith WS,Josephson SA.Wernicke's disease.In:Joseph L,Fauci A,Kasper D,et al.,eds.Harrison's Principles of Internal Medicine.21st ed.McGraw Hill;2022:2273-2274.2)Koppel BS,Weimer LH,Daras AM.Korsakoff syndrome.In:Goldman L,Cooney KA,eds.Goldman-Cecil Medicine.27th ed.Elsevier;2024:2539.3)Hoffbrand AV.Megaloblastic anemias.In:Joseph L,Fauci A,Kasper D,et al.,eds.Harrison's Principles of Internal Medicine.21st ed.McGraw Hill;2022:766-776.4)Malouf M,Evans JG,Areosa Sastre A.Folic acid with or without vitamin B12 for cognition and dementia. Cochrane Database of Systematic Reviews 2003:(4):CD004514.doi.5)髙岸勝繁:巨赤芽球性貧血(ビタミンB12、葉酸欠乏).上田剛士監修,ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第3版,シーニュ,東京,2024:641.6)Dali-Youcef N, Andrès E:An update on cobalamin deficiency in adults.QJM 2009;102(1):17-28.7)Sriram K,Manzanares W,Joseph K:Thiamine in nutrition therapy.Nutr Clin Pract 2012;27(1):41-50.8)John E,Michael E.Thiamine(Vitamin B1).In:HallTextbook of medical physiology.14th ed.Elsevier;2021:888-889.

受賞エピソード漫画化!「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」前編【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」前編【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年7月2日
2025年7月2日

受賞エピソード漫画化!「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」後編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、審査員特別賞を受賞した大橋 奈美さん(訪問看護ステーションハートフリーやすらぎ/大阪府)の投稿エピソード「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」をもとにした漫画をお届けします。  「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」前回までのあらすじ在宅でのお看取りがまだあまり一般的ではなかったころ、どうすれば「その人らしく生きる」ことを支えられるか考えていた大橋さん。そんなときにふと頭に浮かんだのは、病棟看護師時代に受けた訪問看護ステーション所長からのフィードバックだった。病院に向けて、手紙のように温かみのあるフィードバックをしようと考えた大橋さんは……。>>前編はこちら受賞エピソード漫画化!「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」前編【つたえたい訪問看護の話】 「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」後編   漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。投稿者: 大橋 奈美(おおはし なみ)さん訪問看護ステーションハートフリーやすらぎ(大阪府)この度は、審査員特別賞をいただき、本当にありがとうございました。審査員の先生方やNsPaceの皆さまに感謝申し上げます。エピソード投稿をきっかけに、普段していることを言語化し、振り返るきっかけをいただいたと同時に、改めて看看連携の大事さを思い起こしました。これから先、どのような利用者さんとの出会いが待っているかわかりませんが、今後も一人ひとりの人生に寄り添いながら、その方のエピソードを大事にしながら、望みを最後まで伺い、最善を尽くす訪問看護・在宅医療を目指していきたいと思います。 [no_toc]

受賞エピソード漫画化!「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」前編【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」前編【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年7月1日
2025年7月1日

受賞エピソード漫画化!「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」前編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、審査員特別賞を受賞した大橋 奈美さん(訪問看護ステーションハートフリーやすらぎ/大阪府)の投稿エピソード「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」をもとにした漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちら・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!大賞・審査員特別賞・ホープ賞・協賛企業賞【2025】・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!入賞【2025】 「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」前編 >>後編はこちら受賞エピソード漫画化!「ハッピーライフ通信を活用してから意味のある看看連携ができた」後編【つたえたい訪問看護の話】   漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。投稿者: 大橋 奈美(おおはし なみ)さん訪問看護ステーションハートフリーやすらぎ(大阪府) [no_toc]

手探りで始めたBCP作成支援 日本訪問看護認定看護師協議会の災害対策【前編】
手探りで始めたBCP作成支援 日本訪問看護認定看護師協議会の災害対策【前編】
インタビュー
2025年7月1日
2025年7月1日

手探りで始めたBCP作成支援 日本訪問看護認定看護師協議会の災害対策【前編】

地震・大雨・台風等、各地で災害が起きているなか、医療現場における防災対策の重要性はますます増しています。より質の高い備えに寄与できるよう、災害対応に取り組む事例をご紹介します。今回は、日本訪問看護認定看護師協議会のBCP作成支援活動について、当協議会の戸崎さん、碓田さんにお話を伺いました。前編では、BCP作成支援活動を始めたきっかけや内容について教えていただきました。  日本訪問看護認定看護師協議会訪問看護認定看護師のネットワーク構築と、訪問看護全体の質向上を目指して2009年に誕生。訪問看護・在宅ケアのスペシャリストである認定看護師が集い、情報交換をしつつ自己研鑽を積み、地域包括ケアシステムの推進に貢献できるように活動している。参考:日本訪問看護認定看護師協議会 立ち上げ経緯&想い【特別インタビュー】戸崎 亜紀子さん星総合病院法人在宅事業部長/在宅ケア認定看護師/日本訪問看護認定看護師協議会 理事。総合病院で急性期看護を経験した後、育児・介護のため一時退職。クリニック勤務を経て星総合病院に入職し、精神科病棟を経験した後、訪問看護ステーションへ。訪問看護ステーション管理者、在宅事業部事務局長、法人看護部長を経て、現職。東日本大震災(2011)や令和元年東日本台風(台風19号)(2019)では、被災者・支援者の両方を経験。碓田 弓さん訪問看護認定看護師。総合病院にて外科病棟、緩和ケア病棟、透析室を経験した後、病院系列の訪問看護ステーションに異動し、12年勤務。介護施設併設の訪問看護ステーションの立ち上げおよび管理者を経験したのち、2023年9月よりみんなのかかりつけ訪問看護ステーション四日市に入職。 ※本文中敬称略 BCP作成支援活動を始めたきっかけ ―日本訪問看護認定看護師協議会(以下「協議会」)では、2023年度からBCP作成支援活動をされています。まずは、こちらの活動を始めたきっかけや想いについて教えてください。 戸崎: はい。協議会では、かねてより地域貢献活動事業を行ってきましたが、2023年度の活動を理事会で決めていく際、義務化が迫っているBCP策定に関連する事業を行ってはどうか?という提案をしたことがきっかけです。 私は福島県郡山市に住んでおり、東日本大震災や令和元年東日本台風の際は、自分自身が、そして地域が被災しています。また、災害時に地域の人たちをどうやって支援していくか、試行錯誤しながら対応してきました。新型コロナウイルスの感染拡大時も、住民や職員が罹患することもありながら、保健師のチームを行政に応援派遣するなどの取り組みを行っています。振り返ってみると、地域のつながりの中で、支援する側とされる側の両方を体験してきたように思います。 訪問看護師の皆さんも、地域に根差しているお仕事だからこそ、被災者であり支援者の立場になる可能性があります。私は、自分が大きな災害を経験しているからこそ、少しでも災害発生時に備えることの重要性を皆さんに伝えたいと考えているんです。参考:地域住民の心身の健康のために【訪問看護認定看護師 活動記/東北ブロック】実は、当時BCP作成支援の研修を運営する自信はなかったのですが、協議会の理事たちから「経験者が想いを直接伝えたほうがいい」という後押しをもらい、思い切ってチャレンジしてみることにしました。そして、活動メンバーを募ったところ、碓田さんを含めて6名の方が手を挙げてくださったんです。 ―ありがとうございます。碓田さんは、なぜ活動メンバーに入ろうと思ったのでしょうか。 碓田: コロナ禍での経験が大きく影響しています。新型コロナウイルス感染症が拡大していた当時、私は介護施設に併設する訪問看護ステーション(以下「ステーション」)の立ち上げをしていたのですが、施設内でクラスターが発生してしまったんです。情報が錯綜し、みんな得体の知れないウイルスへの恐怖感を抱えていました。 医師に診察を頼んでも断られる状況でしたし、介護施設のスタッフのなかには比較的高齢な方がいて、「自分たちの命の問題に関わるから、もう働けません」というお話がありました。働くスタッフが極端に減り、どうやって事業を継続すればいいのか、途方に暮れる経験をしたんです。 だからこそ、「BCP作成は絶対に必要だ」という強い想いを持っています。しかし、当時はBCPをどう作成すればよいのか、私もよくわかっていませんでした。「自分自身も学びながら支援したい」という思いがあって、運営委員に立候補したんです。 何度も集まり方向性を検討 ―どういった支援を提供すればいいのか、正解がなかなか見えないなかでのチャレンジだったと思いますが、実際に活動をスタートさせるまでの経緯を教えてください。 戸崎: はい。運営メンバーの中には、災害対応にまつわる講師の経験もある稲葉典子さん(西宮協立訪問看護センター/兵庫)や、杉山清美さん(大野医院/愛知)がいらしたので、お二人に色々と教えてもらいながら検討していきました。稲葉さんは在宅医療のBCP策定に関わる研究(厚生労働科学特別研究事業)の訪問看護BCP分科会メンバーでしたし、杉山さんは「まちの減災ナース」(日本災害看護学会)の認定を受けていますから、大変心強かったです。 ただ、それでも方向性を含めてゼロから作っていったので時間がかかり……。開始までに合計7回ほど打ち合わせをしました(笑)。 碓田: そうでしたね(笑)。でも、これを機に「まちの減災ナース」の活動なども知ることができましたし、個人的にはとても勉強になりました。当初は現地に出向いてBCP作成支援をしていくことも検討していましたが、なかなか時間も取れないだろうということで、オンラインでやることにしましたよね。 戸崎: そうですね。中身についてもかなり悩みましたが、BCP作成にお困りの事業所に対して、ある程度の形になるところまで寄り添っていくことにしました。初めての試みということもあり、定員は3事業所に絞りました。  当時の募集案内より抜粋 ―研修当日、どのように進行したのかについても教えてください。 戸崎: 合計3回のプログラムで、1回目は1時間。BCPに関する解説(座学)と、みなさんのBCP作成進捗状況に応じて、次回までの宿題を決めていく、という流れです。基本的には、厚生労働省が提供しているBCP策定の手引き(オールハザード型BCP)を埋めていく、という作業ですが、「どう埋めればいいかわからない」と悩んでいる方もいたので、ヒアリングしながらアドバイスしていきました。 2回目は、随時講義を挟みながら、3時間ほどかけて個別にしっかりとBCPに関する質疑応答をしました。「ここがうまく埋められない」などの悩み事を伺いながら、一つひとつアドバイスしていくという流れです。 最後となる3回目は、研修実施支援として、洪水が起こった際のシミュレーションを体験いただきました。3回目だけは、ご参加いただいた事業所のスタッフの方々も参加可としています。なお、個別にお話を伺う際はオンラインビデオツールでグループを分割し、1事業所につき2人ぐらい担当がついてBCP作成のサポートを行っていきました。順次、講師もグループを巡回するという形式です。  当時の募集案内より抜粋 ―シミュレーションの設定として「洪水」を選んだのはなぜでしょうか。 碓田: 災害時にトイレの使用ができなくなることや、避難所に移動できなくなる、といった状況を一度想定しておいたほうがいいだろうという意見が委員内で出たためです。洪水の場合、そういった困りごとが発生する可能性が高いそうです。 翌年度はオンラインのセミナー形式へシフト ―ありがとうございます。その後、2024年度のBCP作成支援では、オンラインで単発のセミナーを開催されています。これについては、どういった経緯で内容を決定されたのでしょうか。 戸崎: はい。支援のニーズは引き続きあったものの、皆さん2024年度からの義務化に合わせて一旦BCPの作成自体はされているはずなので、「研修・訓練・見直し」部分を中心に講義を展開することにしました。 碓田: 2023年度の対象を絞った支援も密度が濃く有意義だったと思いますが、2024年度はより多くの方々に聞いていただき、最終的に地域BCPにもつなげていけるような研修を目指そうというお話にもなりましたね。 戸崎: はい。そのため、訪問看護師だけではなく、ケアマネジャー、理学療法士、作業療法士、事務職など、さまざまな職種の方々に門戸を開きました。参加しやすい日程で参加してもらえるよう、同内容を2回行うことにし、合計86名の方々に参加いただくことができました。  当時の募集案内 アンケートも好評で、「BCPは災害マニュアルではないことがわかった」「事業所で研修担当になったが、何をすればいいかイメージがついた」といったお声もいただきました。 ―知りたいことをコンパクトにまとめたセミナーを展開されたのですね。ありがとうございます。後編では、今後の活動についてや、災害対策に対する考え方を伺います。 >>後編はこちら無理なくみんなで備える。日本訪問看護認定看護師協議会の災害対策【後編】 取材・編集・執筆:NsPace編集部

結核の感染者数は増えている?症状・原因・感染経路も解説
結核の感染者数は増えている?症状・原因・感染経路も解説
特集
2025年7月1日
2025年7月1日

結核の感染者数は増えている?症状・原因・感染経路も解説

結核は過去の病気と思われがちですが、2025年現在でも世界的に多くの感染者が報告されており、日本でも完全に根絶されたわけではありません。特に高齢者や基礎疾患を持つ人、免疫が低下している人は発症リスクが高く、注意が必要です。 本記事では、結核の最新の感染状況、症状や原因、感染経路、感染を防ぐための対策について解説します。訪問看護の利用者さんやご家族が結核が疑われる症状を訴えた際のアセスメントに役立ててください。 結核とは 結核は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)によって引き起こされる感染症です。主に肺に影響を及ぼしますが、リンパ節や骨、腎臓、脳など全身のさまざまな臓器にも感染する可能性があります。 結核菌は、一般的な細菌とは異なり、手指や土壌、水回りなどの環境中には存在せず、基本的に人の体内でのみ生存し増殖します。感染者が咳やくしゃみをした際に排出される飛沫の中に含まれる結核菌が空気中を漂い、それを長時間かつ大量に吸い込んだ人に感染が広がります。 結核の現在の感染者数 結核の感染状況は近年改善傾向にあり、日本の結核罹患率は低下し続けています。2023年の結核罹患率は人口10万人あたり8.1人で、前年の8.2人からわずかに減少しました。結核の低まん延国の水準である10.0人を下回っており、2021年に初めてこの基準を達成して以来、継続的に低い水準を維持しています。 乳幼児や思春期の若者では発症率が比較的高く、糖尿病、慢性腎不全、エイズ、じん肺などの基礎疾患を持つ人もリスクが高まります。さらに、副腎皮質ホルモン剤やTNFα阻害薬などによる治療を受けている場合、体内の免疫機能が抑制されることで結核の発症リスクが上昇します。 出典:厚生労働省「2023年 結核登録者情報調査年報集計結果について」 結核の症状と進行の特徴 結核は多くの場合、6ヵ月から2年の間に症状が現れます。初期症状は軽く、風邪や慢性的な疲労と勘違いされやすいため、自覚するのが遅れることが少なくありません。 症状は咳や痰、血痰、胸の痛みなどの呼吸器症状だけではなく、発熱や倦怠感、冷や汗、体重減少なども起こります。 特に、2週間以上咳が続く場合は、結核の可能性を考慮し、早めに医療機関を受診することが重要です。結核は感染力が強いため、発症した本人が気づかないまま放置すると、周囲の人々にも感染を広げてしまう恐れがあります。 結核の感染経路 結核の主な感染経路は、飛沫核感染(空気感染)です。感染者が咳やくしゃみをした際に排出される飛沫が乾燥し、小さな粒子(飛沫核)となって空気中を漂います。これを吸い込むことで、健康な人の肺に結核菌が侵入し感染が成立するとされています。 飛沫は5μm以上であり短時間で落下するため、感染は近距離のみに限定されますが、飛沫核感染では5μm以下の粒子が長時間空気中に残るため、感染が広がりやすいとされています。 結核の感染予防には、以下のような消毒液を使った消毒が有効です。 高水準消毒薬中水準消毒薬低水準消毒薬グルタラールフタラール過酢酸次亜塩素酸ナトリウムアルコールポビドンヨード両性界面活性剤 結核の検査 結核の感染を調べる検査は、ツベルクリン反応検査とインターフェロンγ遊離試験(QFT・T-SPOT)です。ツベルクリン反応検査は、BCG接種や類似の非結核性抗酸菌の影響を受けるため単独で結核感染の診断には用いられません。一方、インターフェロンγ遊離試験は結核菌に特異的な免疫反応を検出する血液検査で、結核菌感染の有無を調べるのに有用です。 また、胸部レントゲンや胸部CTにて結核を疑い、喀痰検査などで確定診断を行います。喀痰検査には、結核菌を検出する方法として塗抹検査(顕微鏡検査)、培養検査、核酸増幅検査(PCR法)があります。 塗抹検査(顕微鏡検査)喀痰を染色し、抗酸菌の有無を調べる。ただし、検出された抗酸菌が結核菌とは限らない(非結核性抗酸菌の可能性もある)。 培養検査痰の中に含まれる結核菌を、特殊な培養液で増やして検出する検査。確定診断に有用だが、結果が出るまで数週間かかる。 核酸増幅検査(PCR法)痰の中に含まれる結核菌の遺伝子を検出する検査。結核菌の遺伝子を検出するので、迅速な診断が可能。ただし、菌の生存は確認できないため、培養検査と併用するのが望ましい。また、既往歴に肺結核がある場合、死菌を検出し陽性になる可能性があるため、慎重な判断が必要。 結核のワクチン 結核の予防として広く使用されているBCGワクチンは、結核の感染および重症化を防ぐために開発された生ワクチンです。 接種方法は一般的な注射とは異なり、専用の管針を用いた「スタンプ方式」。ワクチンの液を皮膚に滴下し、針を皮膚に押し当てることで薬剤を浸透させます。 生後1歳までに行うことが推奨されており、特に生後5ヵ月から8ヵ月までの間に接種することが望ましいとされています。 結核疑いのある方への訪問の注意点 結核は空気を介して感染する疾患のため、訪問時には感染対策を徹底することが重要です。感染防護の基本としてN95マスクを適切に装着し、呼吸器を通じた病原体の吸入を防ぐことが求められます。 訪問先の室内環境についても十分な配慮が必要で、窓を開けるなどして定期的に換気を行うことで、空気中の菌濃度を下げるよう努めましょう。 なお、利用者さんの健康状態を把握するためにバイタルサインの測定を行いますが、測定機器や手指の消毒については、ほかの利用者さんと同様の衛生管理を徹底すれば問題ありません。 結核にて在宅療養をする場合の注意点 結核の診断を受けた利用者さんが在宅で療養を行う場合、感染予防の徹底と体調の変化を早期に察知することが重要です。 内服管理については、治療の基本となる抗結核薬を確実に服用し続けることが求められます。薬の飲み忘れや自己判断による服薬中断があると、薬剤耐性結核を引き起こすリスクが高まるため、家族や訪問看護師が服薬状況を定期的に確認し、必要に応じて服薬の支援を行います。 また、在宅療養中の環境整備として、室内の換気を徹底しましょう。結核菌は空気中に長時間浮遊するため、窓を開けて空気の流れを作り、清潔な空間を保つよう心がけます。さらに、同居する家族が感染リスクを減らすためにも、マスクの着用を徹底しましょう。 異常の早期発見も在宅療養の重要なポイントです。結核治療中に発熱や倦怠感が強まる、血痰が増える、体重減少が著しいといった症状が現れた場合、病状の悪化や副作用の可能性が考えられます。こうした変化が見られた際には、すぐに医療機関へ相談し、適切な対応を取ることが必要です。 結核の既往歴がない利用者さんであっても、慢性的な咳や血痰が続く場合は結核の可能性を考慮し、訪問時にはN95マスクを着用しながら対応し、医師へ速やかに報告することが重要です。 * * * 訪問看護師が適切な知識を持ち、早期に異変を察知し対応することで、結核の重症化を防ぐことができます。結核の感染リスクを考慮しながら、適切な対応を心がけましょう。 編集・執筆:加藤 良大監修:村田 朗医療法人財団日睡会 理事長御茶ノ水呼吸ケアクリニック 院長日本医科大学内科学講座(呼吸器・感染・腫瘍部門)非常勤講師。日本医科大学、 同大学院卒業。資格・学会:医学博士、日本内科学会認定内科医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本睡眠学会会員、肺音(呼吸音)研究会世話人、東京呼吸ケア研究会幹事、American Thoracic Society 会員、European Respiratory Society 会員、International Lung Sounds Association 会員、NPO法人日本呼吸器障害者情報センター顧問、東京都三宅村呼吸器専門診療委託医、日本医師会認定産業医、身体障害者福祉法指定医(呼吸器)、千代田区公害健康被害診療報酬審査委員。 【参考】〇日本小児科学会.「BCGワクチン」(2018年3月)https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_B-06BCG_202312.pdf2025/6/25閲覧〇厚生労働省.「2023年 結核登録者情報調査年報集計結果について」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001295037.pdf2025/6/25閲覧〇厚生労働省.結核「感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-02-02.html2025/6/25閲覧〇東京都感染症情報センター.「結核 Tuberculosis」(2025年2月27日)https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/tb2025/6/25閲覧

受賞エピソード漫画化!「看護師にご褒美をくれたA氏」【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「看護師にご褒美をくれたA氏」【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年6月25日
2025年6月25日

受賞エピソード漫画化!「看護師にご褒美をくれたA氏」後編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、審査員特別賞を受賞した田端 支普さん(訪問看護ステーションハートフリーやすらぎ/大阪府)の投稿エピソード「看護師にご褒美をくれたA氏」をもとにした漫画の後編をお届けします。※漫画タイトルは「看護師にご褒美をくれたあゆみさん」です。※エピソードに登場する人物名等は一部仮名です。  「看護師にご褒美をくれたあゆみさん」前回までのあらすじ利用者のあゆみさんは、腎臓がん末期で一人暮らし。入院していましたが、ご本人の「家に帰りたい」という要望が強いことから、訪問看護が入ることになりました。当時訪問看護師になったばかりだった田端さんは、「タバコを吸いたい」という希望に最初は少し戸惑いましたが、安全に配慮しながらご本人のしたい暮らしをサポートしていくことにしました。そして、訪問看護に入って数日経った頃、あゆみさんからオンコールが……?>>前編はこちら受賞エピソード漫画化!「看護師にご褒美をくれたA氏」前編【つたえたい訪問看護の話】 「看護師にご褒美をくれたあゆみさん」後編 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。投稿者: 田端 支普(たばた しほ)さん訪問看護ステーションハートフリーやすらぎ(大阪府)受賞のお知らせをいただいたときは驚きました。ハートフリーやすらぎからは複数名受賞させていただき、みんなが普段頑張ってきたことが報われたようで、本当にうれしいです!表彰式でもさまざまな訪問看護師さんに出会い、全国に熱い思いを持つ訪問看護師さんがいるんだな、と刺激を受けました。 今回のエピソードは十数年前のもので、これを機に久しぶりにあゆみさん(仮名)にお会いして、プレゼントをいただいたような気持ちにもなりました。皆さんにもあゆみさんの人生の一部を知っていただくことができ、嬉しく思っています。 訪問看護は、制度も含めて変化が激しく、大変なこともあります。でも、「やっぱり訪問看護が好き」という想いを持つ訪問看護師さんは多いと思います。みんなでより良い訪問看護をつくり、楽しく看護をし、訪問看護に関わる人みんなが笑顔になればいいなと思っています。本当にありがとうございました。 [no_toc]

受賞エピソード漫画化!「看護師にご褒美をくれたA氏」【つたえたい訪問看護の話】
受賞エピソード漫画化!「看護師にご褒美をくれたA氏」【つたえたい訪問看護の話】
特集
2025年6月24日
2025年6月24日

受賞エピソード漫画化!「看護師にご褒美をくれたA氏」前編【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「第3回 みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、審査員特別賞を受賞した田端 支普さん(訪問看護ステーションハートフリーやすらぎ/大阪府)の投稿エピソード「看護師にご褒美をくれたA氏」をもとにした漫画をお届けします。※漫画タイトルは「看護師にご褒美をくれたあゆみさん」 >>全受賞エピソードはこちら・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!大賞・審査員特別賞・ホープ賞・協賛企業賞【2025】・つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!入賞【2025】 ※エピソードに登場する人物名等は一部仮名です。 「看護師にご褒美をくれたあゆみさん」前編 >>後編はこちら受賞エピソード漫画化!「看護師にご褒美をくれたA氏」後編【つたえたい訪問看護の話】 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター/グラフィックデザイナー/漫画家。都内デザイン会社を経て現在フリーランスで活動中。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『SUUMO』など多数の雑誌のほか、釣り具メーカー『DAIWA』『LIFE LABEL』などのWebやYouTube、CMでもイラスト・漫画制作を手掛ける。投稿者: 田端 支普(たばた しほ)さん訪問看護ステーションハートフリーやすらぎ(大阪府) [no_toc]

エンゼルケア応用編 ~ご家族対応とQ&A~【セミナーレポート後編】
エンゼルケア応用編 ~ご家族対応とQ&A~【セミナーレポート後編】
特集 会員限定
2025年6月24日
2025年6月24日

エンゼルケア応用編 ~ご家族対応とQ&A~【セミナーレポート後編】

2025年3月14日、NsPace(ナースペース)は、エンゼルケアの実践的な知識をご紹介するオンラインセミナー「エンゼルケア 応用編 ~状態別対応とコミュニケーション~」を開催。「エンゼルメイク研究会」代表の小林光恵さんに、顔や体の状態別のケア方法やお看取り前後のコミュニケーションについて教えていただきました。 セミナーレポート後編では、ご家族とのコミュニケーションの工夫やQ&Aセッションの内容をお届けします。 ※約90分間のセミナーから、NsPace(ナースペース)がとくに注目してほしいポイントをピックアップしてお伝えします。 >>前編はこちらエンゼルケア応用編 ~お顔の状態別ケア~【セミナーレポート前編】 【講師】小林 光恵さん看護師、作家。編集者を経験後、1991 年からは執筆業を中心に活躍しており、漫画「おたんこナース」、ドラマ「ナースマン」の原案者としても知られる。2001 年には、看護師としての経験をいかして「エンゼルメイク研究会」を発足し、代表に就任。2015 年より「ケアリング美容研究会(旧名・看護に美容ケアをいかす会)」代表も務める。 切開部や拘縮への対応 亡くなられた後、気切部をはじめとした切開部の断端は生着しません。そのため、ケアとしてはまず清拭を行い、創部をしっかりと合わせて、できれば皮膚接合用などのテンションの高いテープを貼ります。その上からフィルム剤、さらにベージュの不織布を貼って、切開部を目立たなくしましょう。ポイントは、一貫して「生着しないこと」に留意して対応することです。 また、関節部分が屈曲したまま硬く固定される「拘縮」が見られる方の対応は、医療者側では行いません。ご家族から関節を伸ばしたいとご要望があった場合は、葬儀社への相談を促してください。 ご家族とのコミュニケーション エンゼルケアでは、ご家族とのコミュニケーションも大切な要素のひとつです。お看取り前後やケアを行う際には、以下のような声かけを意識すると、ご家族の安心や信頼につながります。 お看取り前の声かけ 着替え用衣類の準備については、医師から「残された時間」や「最期が近づいていること」などの病状説明があったタイミングでご案内するとより自然です。「万が一のときは」と前置きのひと言を添えることで、ご家族にも配慮した伝え方になります。 エンゼルケア時 私が自身の母を看取った際は、看護師の方々が「息が止まったら連絡をください」「担当医は◯時に到着します」といった業務的な案内にとどめてくださったことが、かえって心の支えになりました。そうした経験から、私は亡くなった後の言葉がけは必須ではないと考えています。無理に声をかける必要はなく、ご家族の状況に応じた柔軟な対応が大切です。 例えば、抱き移しの際に「どうぞ抱いて差し上げてください」とお声かけするだけでも、ご家族の心情に寄り添う関わりになります。 また、事業所のスタンスにもよりますが、エンゼルケア終了後に「ご不明な点がありましたらいつでもご連絡ください」と伝えておくと、ご家族は心強いはずです。 時代の流れをふまえたエンゼルケアを 近年、「死」への対応についての社会の捉え方は大きく変化しています。とくに葬送はこのところ大幅な簡略化が進み、時間をかけずに終わらせるケースが増加傾向にあります。つまり、ご遺体と過ごす時間が少なくなりつつあります。 これからのエンゼルケアのあり方について検討する際も、そうした流れをふまえる必要があるでしょう。グリーフワークにとってプラスになることを意識しながら、ぜひ事業所のみなさんで考えてみてください。 Q&Aセッション Q.エンゼルケアの説明と料金の提示はどのように行うとよいでしょうか? エンゼルケアの料金は、細かな金額こそ異なるものの、多くの事業所で請求されています。金額提示方法については、研究会では契約書へ記載することを推奨しています。金額とあわせて、事業所で実施しているエンゼルケアの内容を整理して記載しておくとよいでしょう。「担当看護師◯名が◯分間の中で、必要と判断した看護(体をきれいにする、着替えさせるなど)を行います」のように書くのがおすすめです。 Q.自壊創があり、滲出液や出血が見られる場合はどのように対応すればよいですか? 研究会では、生前と同様の処置を継続するのがよいと考えています。滲出液が多く臭気が強い場合は、次亜塩素酸水をスプレーし、その上で生前お使いだった臭気を抑制する軟膏を塗布するなどがよいでしょう。 【お顔への対応】 後頭部や体の背面に滲出液や出血が見られる場合は、重力の影響を受けて流出が続き、時間経過とともにそれらが溜まって汚染が広がる可能性があり、フィルム剤で創部を密閉したり、汚染を吸収する布類を敷いたりなどの対応の必要があります。 それに比べて、お顔の創部は重力の影響は大きくなく、水分を吸収するガーゼなどを当て、フィルム剤で密閉したあとは、ベージュのテープや肌の色に近い布などでカバーして目立ちにくくします。 【浮腫によって滲出液が出ている場合の対応】 浮腫による滲出液はいつまで出続けるか予測がつかないため、汚染しないように吸収するものを当てておく必要があります。身につける衣服も滲出液に汚染される可能性があるので、とくに大事なお着替えの場合は、時間を空けて着せる、吸収するものを当てた状態で着用していただくなどの対応をとってください。 Q.お顔の乾燥を最小限にするコツ、また手に入れやすい保湿剤を教えてください。 乾燥の防止に必要なのは油分をたっぷりなじませることです。おすすめの保湿剤は、化粧品のクリーム。油分で油膜をつくるワセリンやオリーブオイルでも乾燥は防止できますが、化粧品としてつくられた保湿クリームは、伸びのよさやなじみやすさの点で優秀です。 クリームを選ぶ際は「バニシングクリーム」や「コールドクリーム」を避けてください。前者は油分が少ない、あるいは油分がまったく入っておらず、後者はクレンジングやマッサージに適したもので、いずれも保湿には向きません。「保湿クリーム」と表記されているものを選びましょう。 また、最も乾燥に注意したい部位は唇で、葬儀社の方も「唇はとにかく早い段階で保湿してほしい」と話します。唇はワセリンやオリーブオイルなどで保湿し、メイクをする場合は口紅をしっかり塗ります。 * * * 今回は研究会が考えるエンゼルケアのノウハウについて、具体的な場面をイメージしながらお伝えしてきました。ぜひ現場で実践して、より質の高いケアを目指していただければ幸いです。 執筆・編集:YOSCA医療・ヘルスケア

分かりやすい! ALSの診断方法〜二転三転した私の病名〜
分かりやすい! ALSの診断方法〜二転三転した私の病名〜
コラム
2025年6月24日
2025年6月24日

分かりやすい! ALSの診断方法〜二転三転した私の病名〜

ALSを発症して10年、現役医師・梶浦先生によるコラム連載、第2弾。今回は、医師がどのようにALSと診断するのか、梶浦先生のご経験も交えながら解説していただきます。 ALSの診断には2つの重要なポイントがある 重要なポイント、それは次のとおりです。順番に説明していきます。(1) ALSは除外診断である(2) 上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両方が体の広範囲で障害されていることを証明できる ALSは除外診断である 例えば、インフルエンザはウイルスを特定することで診断され、がんは画像検査や生検(腫瘍細胞の一部を採取して行う検査)によって診断を確定できます。しかし、ALSには特異的マーカーや決定的な検査所見がありません。そのため、ALSと同じように運動ニューロンが障害される疾患を一つひとつ除外し、どれにも当てはまらない場合に初めてALSと診断されます。これを「除外診断」といいます。 ALS以外の疾患を除外するために、以下のような検査が行われます。・神経伝導検査・筋電図検査・血液検査・髄液検査・MRI検査(脳、脊髄) など 運動ニューロン障害の広がりを証明する 前回のコラム(>>分かりやすい! ALSの病態と症状)でお伝えしたように、上位運動ニューロンは主に「ブレーキ」の役割を、下位運動ニューロンは主に「アクセル」の役割を担っています。これらが体の広範囲で障害されていることを証明していきます。 ■上位運動ニューロン障害の検査方法 「ブレーキ」が障害されるため、「アクセル」の制御ができない状態です。代表的な症状として、以下の現象がみられます。 腱反射亢進:アキレス腱や膝、肘などの腱を医療用のハンマーで軽く叩くと筋肉が過剰に動く。 クローヌス:アキレス腱や太ももなどの大きな筋肉や腱を急に動かすと、筋肉の動きを止めることができず、「ガクガク」と一定のリズムで動き続ける。 医師はこれらの症状の有無や範囲を診察し、上位運動ニューロンの障害を確認します。 下位運動ニューロン障害の検査方法 「アクセル」が障害されるため、以下のような変化が起こります。 筋力低下と筋委縮:筋肉が動かせず、筋肉が細くなり、筋力が落ちていく。 筋力が低下している部位を客観的に把握するため、筋力を数値化していきます。具体的には、握力の測定や、筋力を徒手的に評価する「徒手筋力検査」(manual muscle testing:MMT)が行われます。MMTは主要な部位の筋力を判定し、0~5点の6段階で判定します。参考までに表1に実際の点数の付け方を示します。 表1 徒手筋力検査(MMT) 点数 機能段階 5 強い抵抗を加えても、運動域全体にわたって動かせる 4 抵抗を加えても、運動域全体にわたって動かせる 3 抵抗を加えなければ重力に抗して、運動域全体にわたって動かせる 2 重力を除去すれば、運動域全体にわたって動かせる 1 筋の収縮がわずかに確認されるだけで、関節運動は起こらない 0 筋の収縮はまったくみられない 線維束性収縮:体のさまざまな場所の筋肉が、自分の意思とは無関係に「ピクピク」と細かく動く症状。 前回のコラムで紹介したとおり、線維束性収縮も下位運動ニューロン障害の存在を証明する大切な所見です。線維束性収縮は自覚でき、強く症状が出ているときは他人からも目視できますが、わずかな症状でも客観的に確認できる「針筋電図検査」を実施します。 針筋電図検査は、細い針電極を体のさまざまな部位の筋肉に刺し、筋肉のわずかな「ピクピク」を電気的な活動として捉えることで、まだ筋力低下が起こっていない早期の段階でも異常を発見できます。ただし、線維束性収縮は常にみられるわけではなく、同じ場所に起こるとも限りません。針を刺した場所とタイミングで「ピクピク」が出ていなければ、確実な診断が難しい場合もあり、そこにもどかしさを感じています。 なお、最も多いALSの症状の進行パターンは、まず左右どちらかの手や足の遠位部の筋力が低下していき、徐々に体の中心に近い部分や反対側の筋力が低下していき、全身に広がっていきます。 発症初期は、まだ筋力の低下は限局した部位にしかみられないため、この段階で診断するのはとても難しいです。 私の診断までの経過 発症と初めての受診 2015年、当時34歳の私は、アメリカのカリフォルニア大学(UCSD)に研究のために留学していました。同年の7月に、右手の指先の筋力低下と、利き腕である右腕が左腕よりも細いことに気がつきました。8月にUCSDの神経内科を受診すると、「ALSの可能性が高いので精査が必要です」と言われ、10月に帰国しました。 診断への長い道のり 帰国後、すぐに総合病院の神経内科を受診し、MRIや筋電図検査などで精査したところ、「まだ右腕だけに症状は限局しているものの、ほかの疾患は考えにくいので、おそらくALSだろう」と言われました。「もしかしたらALSではないのでは?」という私の淡い期待は崩れ去り、絶望と恐怖で一晩中泣いていました……。 しかし、その後、診断は二転三転したのです。 2015年11月 今後の治療法を相談していくために神経内科専門の病院を紹介され受診しました。そこで、担当の医師に「ALSと確定するのはまだ早いので、運動ニューロン病を専門としている大学病院の神経内科にセカンドオピニオンに行かないか」と提案されました。わらにもすがる思いだった私は、すぐに行くことを決めました。 同年12月 あらためて精査するために、紹介された大学病院に2週間入院することになりました。そこではMRIや筋電図検査に加えて髄液検査やエコー検査など、さまざまな検査をしました。 すべての検査結果が出て、教授回診のときに診断が告げられることになりました。尋常ではない緊張感で座って待っていた私のもとに、教授を筆頭に医局の医師たち、研修医、医学部の実習生たちなど10人以上がやってきました。そして、少しの沈黙の後に、教授が私の肩をポンポンと軽く叩き「よかったね、ALSじゃないよ」と言ってくれました。 その瞬間、私はあまりのうれしさと安堵感で、緊張の糸が切れ、その場で泣き崩れました。「先生、僕はまだ生きられるんですね!」と言って、人目もはばからず、大勢の前で泣きじゃくりました。そのときの診断名は「多巣性運動ニューロパチー」というものでした。 翌年(2016年)1月 診断名もついたことですし、私は神奈川県にある自分の所属する大学病院で仕事を再開しながら、治療をしていくことにしました。検査結果や紹介状を持参して、自分の所属する大学病院の神経内科を受診すると、「この診断は違うのではないか」と言われ、再度精査することになりました……。 感情が揺さぶられ過ぎて、まるでジェットコースターに乗っている感じで、精神的にどんどん削られていき疲弊していきました。結局そこでも筋電図検査をはじめさまざまな検査を行い、今度は「平山病」という診断になりました。平山病は手術をすれば症状の改善が見込めるため、手術をする予定になりました。 同年4月 手術の予定日が決まっていましたが、手術の直前に舌に線維束性収縮がみられたため、ALSと確定診断され、手術は急遽中止になりました。そのときの私は「自分はALSじゃないのか?」とうすうす気がついていたため、ショックという感情よりは、やっと診断が確定したことに対する安堵感のほうが強かったことを覚えています。 診断の難しさと私が伝えたいこと 私を担当してくださった神経内科専門医の皆さんは、本当に親身になって一所懸命に検査をしてくれました。それでも、そのつど診断名が変わり、確定診断に9ヵ月かかりました。そのくらい、発症初期の段階でALSを診断するのは難しいのです。 私と同じように、なかなか確定診断にいたらず、「つらくて不安な期間」を過ごしている方も少なからずいらっしゃると思い、今回は診断方法とともに私の経験談も書きました。  コラム執筆者:医師 梶浦 智嗣「さくらクリニック」皮膚科医。「Dermado(デルマド)」(マルホ株式会社)にて「ALSを発症した皮膚科医師の、患者さんの診かた」を連載。また、「ヒポクラ」にて全科横断コンサルトドクターとしても活躍。編集:株式会社照林社

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