2021年1月21日
訪問看護業界は、看護師の離職率の高さが問題となっています。
ケアプロ株式会社では、成長を促進させる人事評価制度と手厚い福利厚生制度で定着率を上げる取り組みをしています。どんな制度を設けているのか、在宅医療事業部長の金坂さんにお話を伺いました。
成果の評価方法
金坂:
大学病院などでは、キャリアラダー評価と、経験年数に応じた人事評価などが行われていると思います。またその上がり方は、かなり緩やかです。
ケアプロでは、人事評価の指標としてラダーを活用しています。そのラダーに沿った絶対評価をしていることが特徴です。ラダーは6ステップに設定していて、ステップごとの目標と、達成時の給与のプラス額が明確になっています。
ラダーのステップに応じた目標や課題が明確に言語化されているので、若手の看護師に、漠然と「新規の利用者を受け持つには、まだ早い」と言うのではなく、「ここを強化する必要があるから、まだ新規の利用者さんを受け持つのは難しい」と伝えることができるようになりました。
―ほかにも、特徴的な評価システムはありますか?
金坂:
会社としては、貢献した人を表彰する機会を大切にしていて、3か月に一度、ミッション・ビジョンの表彰式を実施しています。例えば最近だと、セラピストスタッフを表彰しました。
入社する新人セラピストが増える中で、病院と訪問看護では求められる役割や考え方、連携のしかたが異なります。それをわかりやすく整理した比較表を作ってくれました。
表彰はただ「ありがとうございます」で終わるのではなく、表彰されるに値する行動になぜ移せたのか、その人の経験を言語化してもらいます。
そうすることで、「自分も何か少しでもやってみよう」と思う人が増え、社内が活性化するのを感じています。
スタッフの働き方をサポート
ーケアプロ株式会社では、スタッフの働きやすさのサポートに力を入れていると伺いました。
金坂:
はい、20代が6割くらいを占める会社なので、若い世代にもやりがいをもって長く働いてもらうことを目指しています。そのために、さまざまなサポートを用意しています。
休みが取りやすい
現在足立区と中野区にステーションにはそれぞれ、30名弱のスタッフが所属しているため、スタッフが一人休んでも、ご利用者さまの定期訪問が提供できる体制になっています。年間休日120日+有休、それに加えて、介護・子育て応援有休というものもありプラス5~10日間の特別休暇がつきます。
オンコールが2人体制
「いざとなったら所長に電話してもいいよ」というのは、訪問看護ではよく聞きますが、ケアプロのように最初から2名体制のところは珍しいかもしれません。
150人くらいの利用者さんを基本は1人で対応しますが、電話が重なった時や、新人スタッフの時は夜間でも2名のスタッフで同行訪問できるような体制にしています。
福利厚生、手当が充実
ステーションはスタッフのボランティア精神でなんとか維持するものではありません。利益率が多少悪くなっても、仕事としてしっかりと評価するようにしています。
例えば、夜間待機は一晩担当すると6,000円、1回出動すると加えて5,000円が支給されます。また、土日・祝日出勤に対する手当や、家賃補助もあります。
多様な働き方が可能
週5で8時間勤務が基本ですが、育児や副業などの理由で、時短で働きたいというスタッフについては、週休3日や6~7時間の時短勤務など多様な働き方が選べるようにしています。また1人1台パソコンとスマートフォンを貸与して、在宅ワークに対応するなど、働きやすい環境作りには力を入れています。
就学、資格取得、研修参加などキャリアアップへの支援の充実
ケアプロでは、キャリアアップの支援にも力を入れています。大学院への進学、認定看護師の資格取得、外部研修への参加時の費用補助や出張扱い、勤務調整など多様な方法で支援を行っています。
ケアプロ株式会社 在宅医療事業部 事業部長
金坂宇将
地元島根の急性期病院で臨床経験を積む。看護師3年目で看護連盟活動に参画し、病院看護だけではなく地域医療や政治の世界を知り、もっと地域医療に貢献したいという気持ちから、看護師10年目で在宅医療業界に転身。現在、日本の在宅医療業界の課題を解決するために、事業運営に取り組んでいる。
ケアプロ株式会社
「革新的なヘルスケアサービスをプロデュースし、健康的な社会づくりに貢献する」をミッションに2007年12月創立。直営で2店舗の訪問看護ステーションを運営するとともに、予防医療事業、在宅医療事業、交通医療事業の3事業を展開している。(2020年12月現在)