家族看護に関する記事

コラム
2021年1月20日
2021年1月20日

訪問看護における家族へ求められる3つの役割

在宅療養を支援する中で家族が利用者にとって一番身近なケア提供者となることが多いです。社会資源を利用したとしても家族に求められる役割は様々あり、ストレスも多いのが実情です。 負担感が増すことで家族がケア提供することが困難になり、在宅療養の継続が困難になってしまうケースもあります。訪問看護師として、家族はどんな役割を担っているか把握し、その負担感を軽減するアプローチを実践していくことが大切となってきます。 今回は大きく3つの役割に分類して、それぞれの対応についてお伝えできればと思います。 ①日々のケアを実施する役割 家族は、起床〜就寝まで食事介助や排泄介助など日々のケアを実施することが求められています。それはたとえ家族だとしても身体的にも心理的にも負担がかかります。そこで訪問看護・介護サービスでケアを巻き取ろうと考えると思いますが、いい塩梅を探ることが大切です。 社会資源を必要以上に導入することで家族の介入を阻害してしまい、家族が効力感を得られなくなってしまうことや、必要量に足りず家族が疲弊してしまうこともあります。 そして、その塩梅は病状によっても変化していくため、現状に対して適切なケアプランであるのかを常に意識してケアマネジャーとも連携を取ることが重要です。 ②症状変化やトラブル発生に気づき、相談・対応する役割 痛みや発熱といった症状が出たときに往診医や訪問看護師に相談し、指示された対応をする。また、点滴管理や吸引等の手技について理解し必要時に対応する。病院では看護師が担う役割を在宅では家族が求められます。 訪問看護師として、起こりうる症状変化やトラブルを事前に予測し対応を家族に共有しておくことが大切です。緊急時は誰しも焦ってしまうものですが、予測ができていれば少し気持ちに余裕が出ます。 手技獲得に向けては一時的に訪問頻度を上げて指導することや分かりやすく紙面にまとめることで対応します。 ③代理意思決定者としての役割 本人が意思表示困難な場合には、治療方針や療養場所の選択を家族が代理で意思決定する役割があります。利用者等がどのような人生を送り、どのような価値観を持っていたのか、それを一番知っているのは家族です。しかし、代理で意思決定することは家族にとっても心理的負担は大きいものです。 訪問時には、家族が意思決定をするために必要な選択肢の情報提供や一度決めたことでも変更できることを伝え、意思決定に寄り添う姿勢を保つことが重要です。 通常訪問とは別に家族との話し合いをするために訪問を追加することや多職種含め話し合いの場を設けることで意思決定を支援することもあります。 さいごに 今回お伝えした家族に求められる3つの大きな役割とその対応を今後の訪問看護実践の参考にしていただければと思います。また、家族もケアの対象者であることを忘れずに“支える”ことも意識してみてください! 藤井 達也 地元名古屋の大学を卒業後、聖路加国際病院の救命救急センターで看護師として働き始める。高齢者の最期の在り方について疑問を抱く中で、より深く意思決定の場面に関わっていきたいと考え、訪問看護の道へ。現在はウィル訪問看護ステーション江戸川にて訪問看護師として働きながら、教育、採用、管理業務の一端も担っている。

コラム
2021年1月20日
2021年1月20日

末期がん利用者の受け入れ時、3つのポイント 

  訪問看護の働く上で、いずれは受け持つことになる末期がんの利用者。病院から訪問看護に転職する理由に、「自宅での看取りに関わりたい」という方は多いのではないでしょうか?しかし、いざ受け持つとなると、どんな情報を収集して調整していけば良いか迷うことも多いと思います。今回は、末期がんの利用者の受け入れから退院するまでにやるべき3つのポイントをお伝えしたいと思います。   ①基本情報を収集する 新規依頼の電話相談を受ける際に事前に収集する項目をテンプレート化しておくと漏れなく確認することができます。診療情報提供書や看護サマリーを病院に依頼しても良いかと思います。具体的な確認項目としては、現病歴・既往歴、本人・家族へのIC状況、病識、ADL、使用薬剤、デバイス、KP/家族、介護保険の使用状況などが挙げられます。また、病院側には退院カンファレンスを依頼して退院前に利用者・家族と直接顔を合わすことも重要です。 ②利用者・家族が安心して家に帰れるように配慮する 末期がんの利用者やその家族は「本当に家に帰って大丈夫かな」「やっぱり最期は病院のほうが安心かな」など退院することに対して不安を抱えています。その点でも退院カンファレンスの開催を依頼し、退院するにあたって不安に感じていることを事前に把握して少しでも軽減できるようにアプローチすると良いかと思います。退院前に顔合わせして自宅でのサポート体制を知ってもらうことや緊急時対応も具体的に説明することで安心してもらえることが多いです。 ③多職種で目標の共有、サービスを調整する 基本情報を収集したら、退院後の生活をイメージします。現状で家に帰ったら何が困りそうか、その困りごとはどのようにサポートすれば解決もしくは軽減することができるだろうかを考えます。訪問看護としては、訪問頻度やケア内容、使える社会資源は何かを検討します。末期がんの方は亡くなる直前までADLが保たれている場合が多く、訪問診療の導入や介護保険の利用が後手に回るケースがあります。そのため起こりうる症状や状況を予測しながら早めに訪問診療やケアマネジャーを打診しておくことも必要です。その際に「どうして家に帰る選択をしたのか?」「今後どのように過ごしたいのか?」を多職種で共有することも重要です。 さいごに 私自身、がん末期の方と関わる中で本人・家族の葛藤と向き合いながら最期に向けて伴走できることが訪問看護の醍醐味だと思っています。退院支援は伴走のスタートラインなので、ここを丁寧に実践することが大切です。上記3つのポイントを意識して利用者・家族と信頼関係を築きながら介入してみてください。 藤井 達也地元名古屋の大学を卒業後、聖路加国際病院の救命救急センターで看護師として働き始める。高齢者の最期の在り方について疑問を抱く中で、より深く意思決定の場面に関わっていきたいと考え、訪問看護の道へ。現在はウィル訪問看護ステーション江戸川にて訪問看護師として働きながら、教育、採用、管理業務の一端も担っている。

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