感染症看護に関する記事

特集
2021年11月9日
2021年11月9日

Dr.高山が直伝 在宅のノロウイルス感染症対策(後編)

急性胃腸炎を引き起こす病原体の中でも、特に問題になるノロウイルス。この悩ましい感染症について、在宅ケアでの対策を考えてみましょう。後編では、具体策を解説します。 在宅患者が発症しているとき 接触予防策 訪問スタッフは、厳格な接触予防策をとってケアにあたります。すなわち、手袋と、袖まであるガウンを着用します。 ケアが終了したら、丁寧なガウンテクニック(汚染された外側を触れないこと)に従って手袋とガウンを脱ぎ、家庭の洗面台をお借りして、流水による手洗いを行ってください。 汚染時の処理方法 環境が嘔吐物や排泄物で汚染された場合には、乾燥して飛散する前に処理することが大切です。 家庭における嘔吐物や排泄物の処理方法  1.処理しようとする人は、使い捨ての手袋・マスクを着用する2.嘔吐物や排泄物をペーパータオルなどで静かに集めて、ビニール袋に入れる3.嘔吐物や排泄物で汚染された場所を塩素系消毒薬で浸すように拭き、その後、水で拭く4.使ったペーパータオル・手袋・マスクをビニール袋に入れ、全体が浸る量の塩素系消毒薬をかけてから、しっかり縛って廃棄する5.最後に、流水と石鹸でよく手を洗う 訪問スタッフだけでなく、できれば家族にも指導してください。 器材の取り扱い 血圧計のマンシェットや、聴診器といった、ノンクリティカル器材については、可能なら本人専用として、次の利用者と共用しないことが望ましいでしょう。 大切なことなので繰り返しますが、エタノールで清拭してもノロウイルスは不活性化できません。どうしても共用せざるを得ない場合には、次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒してください。 家庭で適切な濃度の溶液を作製する方法は、前編でお伝えしたとおりです。 いつまで必要か? こうした対策の実施期間については、いまだ考え方は定まっていません。 厳格な立場をとろうとすると、ウイルスが排出されている可能性のある2週間以上は続ける必要があることになってしまいます。しかし、排出されていることと、感染性があることは必ずしも一致しないと考えられます。米国CDCのガイドラインでは、ウイルス排出が「高水準」である期間は隔離を行なうことが望ましいとし、その期間について「通常は症状が軽快した後の24~72時間」という考えを示しています2)。 ちなみに、沖縄県立中部病院の在宅チームでは、少し長めにとって「症状が軽快してから5日間」を接触予防策の期間としています。3~5日間の範囲で、現実的かつ可能な対策を、事業所ごとに決めていただくのがよいと思います。 なお、症状を認める在宅患者のケアを担当した訪問スタッフは、急性胃腸炎の接触者とみなします。これはスタッフの家族に症状を認めているときも同様です。接触後3日間は事業所の責任者が症状を確認し(自己申告はあてになりません)、症状出現があれば、すぐに就業停止としてください。 同居する家族が発症しているとき 非常に悩むところです。正直なところ、ノロウイルスの家庭内における感染拡大を確実に防ぐことは困難だと思います。特に、(在宅患者さんが寝たきりではなく)トイレを家族と共用している場合には、感染してしまう可能性はさらに高まります。 とはいえ、腎不全など基礎疾患がある在宅高齢者にとって、急性胃腸炎は命にかかわりかねない感染症です。現実的な範囲での対策について、家族に提案していきたいところです。 食事の準備 まず、症状のある家族は、在宅患者に提供する食事の準備にかかわらないことが原則です。ほかの家族にがんばっていただくか、ヘルパーさんに集中的に入っていただくなどの対応を、訪問看護師から提案していただければと思います。 どうしても症状のある家族が食事の準備をしなければならないときは、すべての手順において手袋を着用し、サラダなどの生モノの提供は避けること。85℃以上かつ1分以上の加熱調理を原則とします。 食器を共用しないことも大切です。特に、症状のある家族が箸をつけた惣菜を、在宅患者が後から口にしないよう、あらかじめ取り分けておくよう指導しましょう。 手洗い もう一つ大切なことは、こまめに手を洗っていただくことです。特に、トイレの後とケアを開始する前には、石鹸を使って丁寧に洗うように伝えます。 また、風呂については症状がある家族が在宅患者よりも後に入り、リネン類は共用しないようにします。 症状のある家族がトイレや風呂を使用した後には、次亜塩素酸ナトリウム溶液で清拭するほうがよいかもしれません。 ただし、どこまでやれるかは家族次第です。現場で続けられず、破綻することが明らかな対策を、専門家として提案すべきではありません。ある意味、それは責任転嫁ともいえます。家族に挫折感や罪悪感を残すことがないよう、家族ごとに「可能な感染対策のレベル」と「対策疲れに陥らない期間」を見極めてください。 訪問スタッフが発症しているとき 嘔気や下痢、発熱などの症状を認める場合は、診断が確定しているか否かに関わらず、症状が消失するまで仕事を休んでください。 感染対策が励行できることを前提として、症状が消失すれば就業は可能です。すなわち、ケアの前に手を洗い、手袋を着用するなど接触予防策を行ってください。こうした対策は、少なくとも症状が消失してから5日間は徹底するようにします。 ** 執筆者高山義浩沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科 副部長 記事編集:株式会社メディカ出版 【参考】 1)Gerald,LM.et al.Mandell,Douglas,and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases.6th ed.London,Churchill Livingstone,2004.2)CDC.Immunization of health-care workers:Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)and the Hospital Infection Control Practices Advisory Committee(HICPAC).MMWR.46(RR-18),1997,1-42.3)CDC.Prevention and control of influenza.MMWR.53(RR-6),2004,1-40.4)CDC.Updated norovirus outbreak management and disease prevention guidelines.MMWR.60(RR-3),2011,1-15.

特集
2021年11月2日
2021年11月2日

Dr.高山が直伝 在宅のノロウイルス感染症対策(前編)

急性胃腸炎を引き起こす病原体のなかでも、特に問題になるノロウイルス。この悩ましい感染症について、在宅ケアでの対策を考えてみましょう。前後編でお届けします。 ノロウイルス感染症の特徴 ノロウイルスは、感染力が強いため、しばしば地域で集団発生を引き起こします。通常は2~3日程度で軽快しますが、感染後約2週間は、便からウイルスを排出しているといわれます。 一度かかると免疫ができますが、免疫効果も6か月で低下し、2年で完全に消失します。 健康な人であれば、水分を摂取しながら「寝ていれば治る病気」です。しかし高齢者では、脱水が進んで多臓器不全をきたすことや、吐瀉物を喉に詰まらせて窒息を起こすこともあります。また、高齢者では誤嚥性肺炎を続発することもあり、下痢が治まってからも見守りが必要となります。 ノロウイルスの感染経路 ノロウイルスに感染すると、腸内でウイルスが増殖し、感染者の嘔吐物や排泄物を介して、他者に感染伝播します。 具体的には、食中毒、接触感染、空気感染に大別されます。 食中毒 感染している人が調理した食物を、食べることによる伝播接触感染 感染している人の嘔吐物や排泄物を、直接触れてしまうことによる伝播空気感染感染している人の嘔吐物や排泄物が、乾燥して飛散することによる伝播 在宅で必要になる感染対策 在宅における感染対策としては、感染者の嘔吐物や排泄物を確実に処理することと、食べ物の安全を確保することが重要です。 ノロウイルスが空気感染するには、嘔吐物や排泄物が乾燥することが条件となります。 一般に、医療機関では湿式清掃なので、(きちんと清掃しているかぎり)医療機関で空気感染のリスクは高くありません。ですから、医療機関では、空気感染を前提とした感染対策は必要ありません。 一方、家庭での清掃は、乾式清掃が一般です。乾式清掃では嘔吐物や排泄物を洗い流すことができません。それらを拭い取ったとしても、最後は乾燥させてほうきで掃いたり、掃除機で吸引したりしていると思います。 つまり、在宅の現場では、空気感染を考慮する必要があるということです。 もちろん「だからN95マスクを使いましょう」ということではなく、以下に紹介するように「きちんと次亜塩素酸ナトリウムで不活性化しましょう」ということです。 残念ながら、エタノールではノロウイルスを消毒することはできないのです。ただし次亜塩素酸ナトリウム溶液が有効とはいえ、手指の消毒を含め人体には使えません。よって、ウイルスの除去は流水による手洗いが原則となります。 ノロウイルスに有効なのは次亜塩素酸ナトリウム溶液 ノロウイルス胃腸炎による嘔吐物や排泄物を処理するときは、次亜塩素酸ナトリウムを600ppmに薄めた溶液を、ペーパータオルなどに染み込ませて清拭するのが基本です。 ノロウイルスは、アルコールでは不活性化せず、乾燥させても死滅しません。ですから、このノロウイルス専用の消毒液があると便利です。ここでは、600ppm(=0.06%)の溶液を手軽に作る方法を紹介します。 家庭における600ppmの塩素系消毒薬の作りかた まず、500mLのペットボトルを準備します。ペットボトルのふた1杯(5mL)の次亜塩素酸ナトリウム6%溶液(ハイター®など)をペットボトルに入れて、残りを水道水で満たしたら600ppm溶液になります。 家庭でノロウイルス胃腸炎が出たら、この消毒液を1本作っておいて、吐物の処理や、汚染された衣類の消毒に使用すると簡便です。 人体には使わない! この溶液を扱うときは、必ず手袋を着けてください。間違っても人体の消毒に使ってはいけません。もし、溶液が手に直接付着してしまった場合は、流水でよく洗い流してください。 万が一にも誤飲したら大変です。対策を講じましょう。 イラストのように、ペットボトルに注意書きするなど、飲み物と間違えないような対策に加えて、絶対に、子どもの手の届くところには置かない! リスクがある家庭では、作り置きせず、使用する度に調整するよう指導するほうが良いかもしれません。ご家庭の状況をアセスメントして提案してください。 発症者がいるときの対策のポイント これら具体的な対策について、次回の記事で解説します。 **  執筆者高山義浩沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科 副部長 記事編集:株式会社メディカ出版 【参考】 1)Gerald,LM.et al.Mandell,Douglas,and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases.6th ed.London,Churchill Livingstone,2004.2)CDC.Immunization of health-care workers:Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)and the Hospital Infection Control Practices Advisory Committee(HICPAC).MMWR.46(RR-18),1997,1-42.3)CDC.Prevention and control of influenza.MMWR.53(RR-6),2004,1-40.4)CDC.Updated norovirus outbreak management and disease prevention guidelines.MMWR.60(RR-3),2011,1-15.

インタビュー
2021年2月24日
2021年2月24日

感染管理認定看護師に聞く、新型コロナの感染対策

テンハート訪問看護ステーション管理者の佐渡本さんは「感染管理認定看護師」の資格をお持ちです。訪問看護ステーションでも参考になる、新型コロナウイルス感染症をはじめとした感染症予防で気をつけるべきことについて伺いました。 在宅でも気をつけたい、個人防護服の管理 ー新型コロナの疑いの利用者さんがいる時はどうしていますか? 佐渡本: まずは、訪問に行くか行かないかは主治医と相談して決めています。以前、利用者さんで新型コロナ感染疑いの方がいたのですが、その時は主治医と相談してサービスを一旦停止しました。 熱がある患者さんを訪問する時は、しっかり個人防護具を着て、マスクやフェイスシールドをつけて対応しています。ここでひとつ見落としがちなのが、個人防護具を外す時の感染リスクです。 ー「個人防護具を外す時」ですか。 佐渡本:   例えば、手袋を外す時やマスクを外す時に、不潔な部分に触れて手などにウイルスが付着してしまうことがあります。ですので、個人防護具を「つけているから大丈夫」ではなく「外して、破棄して、手洗いする」ところまでやって、はじめてきちんした感染症対策になると思います。 ー個人防護具を扱う際の注意点など、詳しく聞かせてください。 佐渡本: 個人防護具を外すタイミングは、利用者さんと2メートル以上離れた、部屋の出口や玄関先でいいと思います。その際も、脱いだエプロンで手や周囲を汚染しないように注意してもらえればと思います。 もうひとつ可能であれば実践してもらいたいのが、新型コロナに感染した疑いの利用者さん自身にもマスクを着用していただくことです。言わないとマスクをしてくれない利用者さんも多いかと思いますが、お互いにマスクをしていれば感染のリスクは下がります。 訪問看護師の持ち物も清潔に ー新型コロナ感染症に限らず、普段の感染症対策で大切にしていることを教えてください。 佐渡本: スタンダードプリコーション(標準予防策)は徹底しています。手洗いとか咳エチケットですね。 あとは物品の取り扱いですね。体温計とか血圧計など、利用者さんごとに消毒して綺麗にリセットすることを徹底しています。 ーこれは見落としがち、というものはありますか? 佐渡本: 在宅ではあまり問題視されていないのですが、気を付けないといけないと思うのが、多剤耐性菌です。 多剤耐性菌は健康な私たちには悪さをしませんが、高齢の方にはリスクになる菌です。 処置後の手洗いはもちろんですが、菌を次の家に持ち運ばないように気をつけるよう、いつもスタッフに指導しています。 また、訪問バッグの中の物を清潔に管理するのも訪問看護師として大事なことだと思います。 訪問バッグ自体も、もし床面に置いた場合は拭くなどして綺麗にしておいた方がいいと思います。 ステーションが全滅しない感染対策を ー最後に、感染管理認定看護師として他のステーションへのアドバイスなどあればお願いします。 佐渡本: ステーション運営の上で重要だと思っているのは、仮にスタッフに新型コロナウイルス感染症の陽性者が出たとしても、ステーションが全滅しない対策を取ることです。 例えば陽性者が1人出た時、保健所から「スタッフ全員が濃厚接触者です」と言われてしまったら、2週間休業になってしまいます。もし陽性者が出ても、濃厚接触者には当たりません、と言ってもらえるような対策を常に取っておくことが大事だと思います。 あとは、プライベートでも気を抜かずにスタッフみんなが予防を意識することも必要です。 ー万が一感染してしまった場合はどうしたらいいでしょうか? 佐渡本: どれだけ細心の注意を払っていても、感染してしまうことはあると思います。 実際に自分やスタッフが感染しても慌てないように、あらかじめ起こりうることを想定して、対策を具体的に考えておきましょう。これは災害対策も一緒ですね。 例えば、利用者さんとスタッフの体温をチェック表に毎日書いて管理するなども有効だと思います。見える化されていることで、早期に異常を発見できることもあると思います。 合同会社Beplace代表 / テンハート訪問看護ステーション管理者 / 感染管理認定看護師・臨床検査技師 佐渡本琢也 臨床検査技師として勤務する中で、患者と接する仕事に魅力を感じ、看護師の道へ。病院では脳神経外科、消化器外科を経験し、感染管理認定看護師の資格を取得。母を癌でなくした経験から「在宅で看護師ができることが、まだあるのではないか」という思いを持ち、同僚からの誘いをきっかけに愛知県名古屋市にテンハート訪問看護ステーションを立ち上げた。   新型コロナ感染症対策についてもっと知りたい方は、こちらの特集記事をご覧ください。

インタビュー
2021年1月21日
2021年1月21日

コロナ禍で、利用者さんが発熱したら訪問するべきか?

岩本さんは、有志のメンバーとともに新型コロナウイルス感染症対策の情報をまとめて、ウェブ上に公開しています。 利用者さんに感染の疑いがあるケースは?感染症対策の物品が不足したら?訪問看護ステーションでの感染対策に関して、日常的に直面する問題について伺いました。 訪問時に気をつけること 岩本: 利用者が新型コロナウイルス感染症になった、または感染の疑いがある場合、自分が濃厚接触者にならないことが重要です。 そのためには、保健所から「濃厚接触者には当たらない」と言ってもらえる対策を心がけてやっていくとこが必要です。 このコロナウイルスが非常に厄介なのは、本人に感染症状が出る前から他者に感染してしまうことです。そのため、利用者の方にコロナの症状が出て陽性が確定した、あるいは感染の疑いが非常に強いと判明した場合、その前日~数日前に訪問看護に入っていたら、その時はどうだったのかということの判断が難しくなってきます。 私たちの『COVID-19在宅医療・介護現場支援プロジェクト』ではこういった「訪問にあたるスタッフの基本的態度」「濃厚接触者、感染の疑いのある利用者、陽性確定の利用者へ訪問をする場合の対応」などについて詳しく説明しています。ここでは、プロジェクト内容の一部をご紹介します。 (プロジェクト情報は記事最後を参照ください。) 利用者さんが発熱した時の対応 岩本: 在宅ケアにおいては発熱というのは非常にポピュラーな症状です。高齢者は熱がこもりやすいことに加え、気候による環境の変化、脱水、誤嚥性肺炎など色々な理由での発熱が考えられます。 熱源が何なのかのアセスメントは当然重視してもらいつつ、熱が出たからといって訪問を取りやめることは尚早な判断かもしれないと考えられるといいと思います。 もちろん濃厚接触者として対応しなければいけない発熱者で、かつケアがなくても過ごせるようであれば、訪問を控えるのも大切なことだと思います。 ただし、訪問看護師が訪問しなくなることで生命に直結する、あるいは生活に破綻及ぼす可能性がある場合、私たちはインフラの一つとしてきちんと防御を取った上で訪問を継続する必要があると考えます。訪問では感染管理期間に最低限何をすべきか考え、ケアについても再検討し、実施していく必要があるかなと思います。 利用者さんの感染が確定した時の対応 岩本: おそらく多職種で入っているサービスはほとんど止まってしまうと思いますが、一部のヘルパーさんについては一緒に入ることもあるとは思います。 ヘルパーさんたちは教育体系がそもそも違いますので、基礎教育で感染防御について学んできているわけではありません。確実な感染防御の手順が守れるかを互いに確認しながら介入を継続していく、そのためには看護師の果たすべき役割は非常に多いと思います。 ヘルパーさんが感染防御の手順がよく分からないという場合であれば、看護師がきちんと防護服の着脱のやり方などを指導して、確実に皆で防御していく。看護師はこういったチームをサポートする役割も担っていると思います。 防護服などの物品が不足した場合の対応 岩本: 日本看護協会や訪問看護財団、全国訪問看護事業協会などさまざまな業界団体や寄付団体が現場に対しての物品の供給やサポートを実施してくれています。 こういった情報を収集し地域の連絡会で共有されていると思いますので、地域のステーション同士、さらに協力する体制を作っていけるといいと思います。 利用者自身が感染を起こさないように、起こしたとしても広がらないように。そして私たちも同じように広げないようにしていく。おそらくはコロナは長いと来年の春まで続くような事態になると考えながら、日常を運営していくべきだと考えています。 『COVID-19在宅医療・介護現場支援プロジェクト』 有志のメンバーが2020年3月の当初から手探りでとってきた対策について、現実性・実務性を踏まえてさらにディスカッションし、訪問看護事業所向けに内容をまとめたものをウェブ上に公開している。 WyL株式会社 代表取締役 / ウィル訪問看護ステーション江戸川 所長 / 看護師・保健師・在宅看護専門看護師 岩本大希 ドラマ『ナースマン』に影響を受け、「最も患者さんに近い存在」として医療に関わりたいと思い、看護師になることを決意。2016年4月にWyL株式会社を創立し、直営で2店舗、関連会社でフランチャイズ4店舗を運営。(2020年12月現在)「全ての人に“家に帰る”選択肢を」を理念に掲げ、小児、精神、神経難病、困難な社会的な背景があるなど、在宅療養の中でも受け皿の少ない利用者を中心に訪問看護事業を展開している。 インタビューをした人 シニアライフデザイン 堀内裕子 桜美林大学大学院老年学研究科博士前期課程修了。「ジェロントロジスト」のコンサルタント・マーケッターとして、シニア案件に数多く参画。日本応用老年学会常任理事、日本市民安全学会常任理事を務め、リサーチ・コンサルティングとして、大手不動産企業新規商業施設戦略/大手GMSのシニア向け売り場企画/大手百貨店の高齢者向けサービス・婦人服企画等を多数行う。活動にはNHK 総合 「首都圏情報ネタドリ!」出演、「新シニア市場攻略のカギはモラトリアムおじさんだ!」(ダイヤモンド社)編著他、企業・自治体での講演多数。 新型コロナ感染症対策についてもっと知りたい方は、こちらの特集記事をご覧ください。

特集
2021年1月19日
2021年1月19日

新型コロナ、感染対策どうしてる?

2020年は新型コロナウイルス一色の年になりました。訪問看護の現場でも感染に注意を払い、気を張った対応を迫られていたのではないでしょうか。 2021年を迎えてもなお全国的に感染拡大し、中核都市だけでなく、地方にも感染の魔の手が迫っています。 そんな中、積極的に対策に乗り出している訪問看護ステーションがあります。今回は、感染対策マニュアルの作成やテレワークの導入など、さまざまな対応をしているステーションを特集でお届けします。 「濃厚接触者にならない」感染対策とは 東京都江戸川区を中心に全国に展開するWyL(ウィル)訪問看護ステーション。 代表の岩本さんは、有志のメンバーと共に「訪問看護事業者向け対応ガイド」を作成しました。 みなさんの訪問看護ステーションでも、発熱した利用者さんが新型コロナウイルス感染症の可能性があった場合、どのように対応すべきか悩んだというケースがあったかもしれません。 岩本さんは、こうした在宅でよく遭遇するケースに関してどう考え、どう対処したら良いかの情報を発信しています。詳しくはこちらの取材記事をご覧ください。 コロナ禍で、利用者さんが発熱したら訪問するべきか?(WyL訪問看護ステーション 岩本大希) コロナ禍でも利用者数アップの秘訣 全国に展開するリカバリー訪問看護ステーション。 コロナ禍に1人で悩む利用者さんを救うため「こういった時期だからこそ、訪問看護に行こう」と伝えていると代表の大河原さんは言います。 新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの訪問看護ステーションで収益が下がっている中、リカバリーでは20%ほど利用者が増えたそうです。 直接会いにいくのではなく電話での営業に切り替えるなど、営業方法を工夫することで、順調に収益も伸ばすことに成功されています。具体的なコロナ禍での営業方法やステーションの方針決定等について、詳しくはこちらの取材記事をご覧ください。 牛丼チェーンを見習って、訪問看護をメジャーに!(リカバリーインターナショナル株式会社 大河原峻) ICTを活用したテレワークの導入 東京都で展開するケアプロ訪問看護ステーション。 緊急事態宣言の時は、情報がまだ少なく何をどうすべきか対応が難しかったと、在宅医療事業部長の金坂さんは話します。 一方、状況が整理できてくると、電子カルテの利用やGoogleカレンダーでのスケジュール管理など、元々ICTを活用していたことで、対応がスムーズに進んだそうです。 現在でもテレワークの導入や可能なスタッフには直行直帰をしてもらうことで、スタッフ同士の接触を最小限にするような工夫をされています。 テレワーク導入等の具体的な新型コロナウイルス対応について、詳しくはこちらの取材記事をご覧ください。 災害時対応を変えるためのチャレンジ(ケアプロ株式会社 金坂宇将) 感染管理認定看護師ならではの視点で対策 愛知県名古屋市にあるテンハート訪問看護ステーション。管理者の佐渡本さんは、感染管理認定看護師の資格を持っています。 一番重要なのは「全滅しない対策をすること」と佐渡本さんは言います。仮にスタッフ全員が濃厚接触者になってしまった場合、2週間は訪問看護業務が停止になってしまうからです。 そのためには、適切な対策が必要になります。発熱者の訪問に個人防護具を身に付けて対応することもあると思いますが、つい見落としがちになるのは「個人防護具を外す時」だそうです。 在宅の現場では清潔管理の限界があるかもしれませんが、個人防護具を身につけていても、対応に不備があるとウイルスが付着してしまう可能性があります。 感染管理認定看護師ならではの新型コロナウイルス感染症への具体的な感染管理アドバイスについて、詳しくはこちらの取材記事をご覧ください。 感染管理認定看護師に聞く、新型コロナの感染対策(テンハート訪問看護ステーション 佐渡本琢也) どの訪問看護ステーションも、苦しい状況の中で訪問し続けてくださっていると思います。この特集が、新型コロナウイルスの猛威を乗り切っていくためのヒントとなれば幸いです。 またツールには感染症のマニュアルも準備しておりますので、こちらも合わせてご活用下さい。

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