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特別先行公開! 足のミカタ ~重症化を防ぐフットケア~ セミナーQ&A
特別先行公開! 足のミカタ ~重症化を防ぐフットケア~ セミナーQ&A
特集 会員限定
2024年12月24日
2024年12月24日

特別先行公開! 足のミカタ ~重症化を防ぐフットケア~ セミナーQ&A

2024年10月25日(金)に開催したNsPaceオンラインセミナー「足のミカタ ~重症化を防ぐフットケア~」では、重症な足病変の予防やケアについて、倉敷市立市民病院 形成外科医長 小山晃子医師が解説。今回は、セミナー時に寄せられたご質問について、特別に小山先生に回答いただきました。 なお、本記事はQ&Aの抜粋版です。完全版はお役立ちツールにてダウンロード可能ですので、そちらもぜひご利用ください。 【セミナー講師/質問回答】 小山 晃子 氏倉敷市立市民病院 形成外科医長平成16年 高知大学卒 倉敷市立児島市民病院にて臨床初期研修終了平成18年 川崎医科大学付属病院 形成外科・美容外科にて 褥瘡、創傷治癒を学ぶ平成24年より現職入院・外来・在宅で医療を行いながら、医療者、介護者、市民を対象としたセミナーを行い、褥瘡・フットケアの「ミカタ」を増やすべく活動中です。 ■お役立ちツールも公開! お役立ちツール『「足のミカタ ~重症化を防ぐフットケア~」Q&A 一覧』では、より多数のご質問への回答を読むことができます。ぜひご活用ください。>>「足のミカタ ~重症化を防ぐフットケア~」Q&A 一覧 足の洗浄について <Q1>・セミナーでは、「血流がない場合は足を洗ってはいけない」とおっしゃっていましたが、なぜでしょうか?感染が広がるためでしょうか。湿潤や摩擦、温度が影響するためでしょうか。 ・血行不良の状態で洗うと、どういう機序で悪化するのでしょうか。 「血流がない足=すべて洗ってはいけない」というメッセージを受け取られた方が多いようで、私の説明不足を反省しています。漫然と洗浄してはいけないのは、傷のある血流のない足です。 ミイラ化を目指している場合には、極力組織の水分を減らしたいため、当然洗浄は避けます。血流の乏しい足の傷に壊死した皮膚皮下組織、腱などの血流のない組織が露出しているケースを想定してみましょう。血流がない(免疫細胞が到達しない)組織は、血流がある(免疫細胞が到達できる)生きた組織・人体側と接しています。その二つの境界で、人体側はゆっくりと傷を治そうとしています。この状態で血流がない組織に水を含ませると、その組織は細菌にとってのよい培地(湿気と温度がある環境)になってしまいます。生きた傷の表面に、細菌培地で「湿布」することになるので、水分を避けることが望ましいと考えています。 壊死組織がなく、傷のある血流の乏しい足については、漫然と洗わないでいただきたいです。洗ってそのままにするのではなく、翌日以降 痛みの訴え浸出液傷の周囲の腫れ壊死組織 等の変化がないかを見て、洗浄したことの功罪を慎重に判断してください。 <Q2>・患部を避けた清拭や入浴、シャワー浴は可能ですか? ・血流がなく壊疽して感染している場合の洗わないケア方法を教えていただきたいです。 患部を避けた入浴、シャワー、清拭は可能です。 血流がなく感染しているときは、ケアではなく、キュア(治療)が必要です。抗菌薬全身投与、局所処置(浸出液の除去、消毒)、疼痛管理などの治療を行います。 <Q3>月に1、2回の訪問をしている独居の方で、足病変があった場合、医師に処置の指示を依頼し、洗浄をするために訪問頻度を増やしたほうがいいでしょうか。毎日が難しい場合は、最低限どれくらいの頻度で洗浄が必要ですか? 自分で足が洗えない方だと理解をしました。靴下を履き替えるだけでもいいのではないかと思っています。 足病変があった場合、血の巡りがあるのかないのか、傷の深さがどうか、感染を起こしているかどうか、といったような専門の判断を一度受けて、みんなで「治療の組み立て」をしてからどれぐらいの頻度で看護師さんに助けていただくのが良いか、考えたいです。 「最低限」ということであれば、靴下を毎日履き替えるっていうことを、頑張ってみたらいかがでしょうか。清潔が何よりです。 ミイラ化について <Q4>血流障害の方は洗浄をしてはいけないとのことですが、ターミナル期で治療をしない方は、何もせずミイラ化を見守るだけでよいのでしょうか?軟膏塗布などの処置だけなのか、看護師がやるべき処置があったら教えていただきたいです。 ミイラ化を目指す場合、放置はすすめません。ターミナル期でも、目と手をかけることを続けていただきたいです。まずは、十分な除痛を行うことが最優先です。ミイラ化をしていく過程で生体と壊死部分の境目から浸出液が出る場合は、その境目をポビドンヨード液で清拭します。浸出液が多いときは、オムツパッド等で患部をふんわり巻いて、寝具が汚染したり、においで利用者さんやご家族が不快な思いをしたりしないよう配慮します。におい対策にはストーマ用のスプレーも有効です。 処置は、基本的に「シンプル」にすることも重要です。ターミナル期の利用者さんの大切な時間を浪費しないよう配慮してください。軟膏を使用した場合、次回の処置で落とす必要があります。落とすのに苦労するような種類の軟膏(ワセリン基剤のものは堆積します)は避けるようにしましょう。 足に傷・潰瘍がある場合について <Q5>訪問で、最初に創を見つけたとき、何をしたらよいのでしょうか?もちろん受診をすすめますが、すぐに行けない場合はそれまでどう手当てしたらよいのでしょうか?微温湯での洗浄もいけないのでしょうか。 初回の訪問では、まず微温湯で洗浄して足をよく観察していただくのがよいと思っています。よく見た結果、傷を見つけたら、以下の対応でよいと思います。 血流のない足は1日単位で悪化する可能性があるので直ちに受診をすすめる(少なくとも写真を病院に届けて、相談)血流に問題のない足は通常の創処置をし、1週間ごとの評価をする 保清・軟膏について <Q6>黒色壊死の方は洗ってはだめでしょうか?精製白糖・ポビドンヨードを使う場合が多いですが、微温湯洗浄をして処置をしていました。 血流があり、黒色壊死部をどんどん浸軟させて除去(物理的デブリードマン)したいときには、しっかり洗うこともあります。洗浄と併せて精製白糖・ポビドンヨードを使用し、浸出液の吸収と、抗菌を図ります。いずれにしても、行った処置の結果、傷が治癒傾向なのか悪化傾向なのかをしっかりと「見る」こと、悪化傾向の場合に主治医に伝えることが肝要です。 <Q7>・血流の悪い足を洗わない場合、毎日処置する際は軟膏の除去などはどうしたらよいのでしょうか?当院では基本的にほとんどの傷をしっかり洗浄するように指示があり、血流が悪い足の場合で血行再建前でもしっかり洗浄していました。 ・血流が悪い方の下肢の創処置を行う際に 医師からは洗浄し軟膏処置(ヨウ素軟膏)の指示が出ます。洗浄できない血流の悪い足の場合、軟膏を落とすためにはどのような方法が適切でしょうか? 病院で、「きれいな水がある」「しっかりと水分を拭き取ることができる」「十分な量の滅菌ガーゼがある」「毎日観察ができる」「すぐに医師に相談できる」環境があれば、創が悪化していかない限り、洗浄可能だと思います。一方、在宅においては衛生資材、観察環境、病院へのアクセスに制限のある環境を想定し、リスクヘッジのため無闇に洗わないことをおすすめしています。 また、洗浄の際に落としやすい軟膏を選択することも医師の責務だと考えています。ヨウ素軟膏を使っているということは、浸出液が多く、感染を制御したい傷があるということですね。浸出液が多いということは、血流はさほど悪くないと逆算できます。洗い流してよろしいのではないかと思います。 ウオノメ、タコのケア方法について <Q8>・市販のタコ、ウオノメ用シール(サリチル酸絆創膏)を使う際の注意点はありますか? ・毎日観察できるわけではないため心配な面もありますが、在宅でサリチル酸絆創膏を使用することについての先生のご意見をいただきたいです。 少しでもそのウオノメ・タコ自体を柔らかくして対処しやすくしてあげようという考えであれば、尿素配合クリームやサリチル酸を塗っていただくとよいと思います。ただし、皮膚を少しただれさせるような効果もありますので、周りの薄い皮膚には塗らないように、ウオノメ・タコのところだけピンポイントで塗るようにお願いします。 ウオノメシールを貼るときは、肥厚している角質よりも一回り小さく切って貼って下さい。3日ほど貼りっぱなしにすると浸軟した角質がとれやすくなります。シールを固定するためのテープでまわりの皮膚を損傷しないようにすることも注意しましょう。 ただし、シールは「その場しのぎ」で、前述のとおり外力の除去が根本的治療です。極論ですが、「寝たきり」になったら足の裏のウオノメ、タコは「完治」します。外力を減らせるような履物を使うことを強くおすすめします。 爪切り、爪のケアについて <Q9>・爪白癬、肥厚爪についてケアのしかたを教えてください。・かなり肥厚している爪を小さくするために在宅で簡単に用意できるものはありますか? ・ワルファリンカリウム錠を服薬中のため、ニッパーは避けてヤスリがけをしています。ほかによい方法はありますか? 爪が非常に分厚くなっていて、どこから手をつけたらいいか分からないというような爪の方も本当に多くいらっしゃると思います。在宅で、簡単に肥厚爪に取り組むことはなかなか難しいことかもしれません。 爪切りをする前に、まずは必ず「血流があるかないか」を見てください。血流がある方に対して爪切りをする前提でお話をします。私の場合は、爪切りにはニッパーを使います。十分に明るい環境で、切りやすい方向から、少しずつ爪切りをすることを心がけています。 その時に、爪の甲がどのように変形しているのかのイメージをしっかりと持ちましょう。爪白癬の場合、爪がバームクーヘンのように層になっているので、そのバームクーヘンの層を1枚ずつ剥がすようなイメージで、ニッパーを層と層の間に入れていただくとポロッと剥がれると思います。そのようにして使ってみてください。大まかなところをニッパーで減量して、爪床が近くなってきたなと思ったら、ヤスリで整える…という風に手当てをしていただければと思います。 <Q10>白癬により爪が剥がれた場合の対処方法を教えてください。 あまりに白癬がひどいと、爪の根まで白癬菌が食べてしまい、爪の甲がぽろっと自然と取れてしまうという現象が起こることがあります。この場合、剥がれた後に出血していなければ、そのままで結構です。剥がれた後に爪床や爪母の部分に傷があったら、消毒などをしてください。 実は、白癬の分厚い爪が指先から取れたということは、「白癬菌のお家がいなくなった」ということなので、爪の表面にいる白癬菌の量は確実に減っています。ここをチャンスとして爪の水虫の治療をすると、分厚い爪の甲に塗るよりも塗り薬の効き目が早くしっかりと出ます。傷が治った後に爪白癬、水虫の薬をしっかり塗って、水虫菌をしっかりとやっつけてあげてください。 <Q11>・反っている小さい爪のケアについて教えてください。・寝たきりの児童で、肥厚して足背側にどんどん反沿ってしまうので、とりあえずやすりをかけていますが、それがいいのか悪いのかも分かりません。 例えば、この患者さんの右足の第3趾と左足の2、3趾が反り爪で、4趾も少し反り爪っぽくなっています。このちゃんと踏めない指の爪が反ってくるということを時々経験します。この方も含めて、反り爪は爪の甲がブリッジしたようになっており、爪先が指の近位側、体の中心に近い側にあります。 そのため、そこの部分に注意しながら細い爪切りで切っていただくのが、最も手っ取り早くて、患者さんの指の痛みを除去できる方法じゃないかなと思っています。 なので、この爪の先を、できたら気を付けてニッパーややすりで切っていただくっていうことをやってみてください。爪先側に、指先側に爪先がないので、よく見てどこを切るかをよくよく考えながら対応していただけるとありがたいです。 <Q12>爪の同じところに亀裂が入ります。治す方法はありますか? 爪甲の縦方向の亀裂は(1)爪甲に白癬などの感染を起こしている(2)爪床の変形(3)爪母に腫瘍ができているということが理由として考えられます。 一方、爪甲に横方向の亀裂が生じる場合、その原因が爪甲に限られることはまれで(1)爪床の変形(2)爪母全幅の問題 a:抗癌剤などで爪母の爪甲製造能力が一時的に衰えていた b:爪甲を伸ばしすぎたことで爪甲の自由縁を圧迫され、爪母に圧が加わったことで 製造された爪甲に横皺を形成した等の状況がよくみられる状態です。 また、爪甲先端のひび割れ・剥がれの場合は過度の乾燥が考えられます。それぞれの原因に対処することで爪の亀裂が改善する可能性があります。 医師との連携について <Q13>・医師への報告のしかたについて教えてください。 ・看護師からの報告について困るケース、助かるケースを知りたいです。 私たち形成外科の領域は特に、傷の状態を見れば何が起こっているかが分かるという場合が本当に多いです。そのため、報告のしかたとしては、ぜひ写真に撮って見せていただきたいです。写真を撮る際のポイントとしては、足の全体像と病気があるピンポイントの部分の2種類を撮ることです。その2種類をいただくと、何かお役に立てることが多いです。また、写真からは伝わりませんがぜひ伝えていただきたい情報が、「血流」です。「この人の足は冷たいです。そしてこのような症状が出ています」と写真を添えて相談していただけると本当に助かります。写真を撮った日付もお願いします。 また、セミナーでも申し上げたとおり、体にできた傷は基本的には治ります。治らない傷には、治らない理由があります。その理由を見つけて取り除かない限りは、傷は「治りたくても治ることができない」んです。様子を見る期間は2週間です。皆さんが困って、あるいは主治医の先生が何か対応を始めて、それでも2週間経ってなかなか治らない傷には、理由が必ずあります。その治ることができない理由を、もしかしたら形成外科の医師は見つけることができるかもしれません。なので、2週間やってみて難しいケースは、傷を診る専門の先生にぜひ繋いでいただきたいんです。 NsPace読者の方は全国にいらっしゃるので「困ったら私に見せてください」といういつもの逃げ口上が言えないのですが、皆さんの地域にも形成外科はきっとあると思います。皮膚科の先生の中にも足の傷を診ることに長けた先生はいらっしゃるし、糖尿病専門の先生の中に足の傷まで診てくれる先生も全国に散らばっています。 フットケア・足病医学会のホームページを見ていただけると、どんな先生が頼りになるのかのヒントがありますので、ぜひ一度勇気を持って「困ったときには相談に乗ってもらえませんか?」という風に一度声を掛けていただいて、そして本当に困ったときには写真を持って、血の巡りの有無を添えて、相談していただければと思っています。 * * * 後日、オンラインセミナー「足のミカタ ~重症化を防ぐフットケア~」の講義内容をダイジェストにしたレポート記事も公開いたします。ぜひそちらもご覧ください。 >>シリーズ一覧はこちら「足のミカタ~重症化を防ぐフットケア~」セミナーレポート>>お役立ちツールはこちら「足のミカタ ~重症化を防ぐフットケア~」Q&A 一覧 編集: NsPace編集部 ■「みんなの訪問看護アワード」エピソード募集中!(~2025/1/24)今回で3回目となるNsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」では、2025年1月24日(金)17:00まで「つたえたい訪問看護の話」を募集中です! 訪問看護にかかわる方であれば、誰もが共有したいエピソードがひとつはあると思います。皆さまのエピソードをお待ちしています!

訪問看護の認知症ケア 学べる情報まとめ
訪問看護の認知症ケア 学べる情報まとめ
特集
2024年12月24日
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訪問看護の認知症ケア 学べる情報まとめ

訪問看護では、認知症の利用者さん・ご家族との関わりも多いですよね。NsPaceでは、これまで認知症に関連する多くの記事やセミナーをお届けしてきました。今回は、知りたい情報にアプローチしやすいように、記事をピックアップしてご紹介。気になる記事からチェックしていただき、日々の看護に役立てていただけたら嬉しいです。 「認知症」疾患の知識を深める! 認知症という病気がもたらす事象の原因や理由を理解することで、対応が変わり、できることが増えます。利用者さん・ご家族への貢献度が上がることはもちろんのこと、日々の看護の喜びも増えるはず。ケアする側のこころの状態が相手に大きく影響するので、好循環が生まれます。 【在宅医が解説】「認知症」の知識&注意点【訪問看護師の疾患学び直し】 認知症の鑑別、認知症以外の可能性や治る認知症を見逃さない、悪化させないなどの視点で、わかりやすく解説いただいています。 また、鑑別に役立つ「せん妄アセスメントシート」を以下記事にてご紹介しています。ぜひご活用ください。>>せん妄への対応【精神症状の緩和ケア】 「高齢者のうつ病の特長」などについて解説されている以下の記事もおすすめです。>>【在宅医が解説】「うつ病」の知識&注意点【訪問看護師の疾患学び直し】 【セミナーレポート】看護師が意識したい7つのポイント -在宅で行う認知症看護-   講師の福岡裕行さん(認知症看護認定看護師)の優しい言葉と関わりが心に染みる記事です。ポイントがわかりやすく紹介されていて、「すぐにやってみよう!」と楽しみになる内容です。後編では、「認知症患者を支えることは、その家族の心を癒すこと」という言葉が印象的。Q&Aセッションも学びが深まる内容です。あわせてお読みください。>>セミナーレポート後編【セミナーレポート】ご家族とのかかわり方 -在宅で行う認知症看護- 高齢者の栄養ケアマネジメント~窒息・認知症対応~【セミナーレポート後編】 高齢者の栄養管理を専門とする医師の吉田 貞夫先生にご登壇いただいたセミナーのレポート記事です。認知症の方に対しての具体的な食事支援や認知症予防につながる食事について学ぶことができます。 事例を通じてケアを磨く! 認知症のある方やそのご家族へのケアは多種多様。事例を通じて、引き出しを増やしていきましょう。 認知症のある患者さんに接するときの7か条(前編)   シリーズ「認知症患者とのコミュニケーション(全12回)」の第1弾の記事です。シリーズ第1回~2回では認知症患者さんと接するときのポイントを、第3回~12回では、「言葉による返事がない」「物盗られ妄想がある」など、ケースごとにケアのポイントを解説いただいています。実践に生かせる内容なので、興味のあるテーマから学んでみてください! >>認知症のある患者さんとのコミュニケーションシリーズhttps://www.ns-pace.com/series/dementia-patient-communication/ 自己流の介護を続ける家族への関わり【家族看護 事例】 認知症のある利用者さんのご家族は、複雑な心情や多くのストレスにさらされているからこそ、訪問看護師との関係性が難しくなってしまうこともありますよね。本記事では、「渡辺式家族アセスメント/支援モデル」を用いた事例解説を通じて、訪問看護ならではの家族看護について学ぶことができます。 認知症と義歯の関係 認知症があると口腔ケアに難色を示されることや意思の疎通が難しい状況で効果的なケアが行えないこともありますよね。咀嚼機能が回復した事例を通して、工夫のしかたを学べる記事です。 高齢者の頭の体操10選 脳トレに期待できる効果や方法について解説 脳トレや「脳トレ+運動」で、認知機能の向上、身体機能の向上が期待できます。具体的な方法と効果についてご紹介しています。利用者さんが楽しめるケアのヒントになれば幸いです。 「上手く伝えられない」に対応する! 認知症では、辛さや症状を上手く表現できないからこそ、看護師が異常を察知し、適切に評価できることが求められます。場合によっては表現通りの意味とは限らない訴えや拒否をいかに捉えられるかが重要です。利用者さんの価値観をおもんぱかるために、見識を拡げていきましょう! 悪性消化管閉塞への対応【がん身体症状の緩和ケア】 認知症の終末期は、症状マネジメントに苦慮しますよね。事例をとおして、悪性消化管閉塞について学びつつ、認知症の在宅看取りについてイメージを持てる記事です。 大学教授が解説!大量嘔吐でイレウスが疑われる場合のアセスメント 「イレウスの既往のあり、認知症が進み、自分からは訴えられない方が大量に嘔吐…。あなたはどう考えますか?」という事例とおして、フィジカルアセスメントについて学べる記事です。なお、このフィジカルアセスメントシリーズは全12回です。ほかにも『認知症のある患者さんが「転んだけど大丈夫」と話している場合』など、認知症の方の事例解説がありますので、あわせてご覧ください。 >>訪問看護のフィジカルアセスメントシリーズhttps://www.ns-pace.com/series/physical-assessment/ もしかしてネグレクト? 訪問看護師は虐待疑いにどう対応すべきか 虐待が疑われる場合、どのように行動すればよいか。状況に合わせた慎重な対応が求められ、特に認知症が疑われる場合は、判断が難しくなることもあります。このようなセンシティブな状況では、多角的な視点で考え、細心の注意を払った言動が求められます。本記事は、弁護士の外岡潤先生に解説いただいた、法律・制度を踏まえた事例解説記事です。訪問看護に発生する義務は何か?という点も含めて確認しておきましょう。 * * * 認知症のある方は、今後もますます増加すると予測されています。地域を支える訪問看護師のサポートへの期待もさらに高まっていくでしょう。認知症のある方が幸せに生きられる社会になるヒントは、日々のケアの蓄積の中から見出されていくようにも感じます。NsPaceでは、今後も日々の学びの機会を通して、訪問看護に携わる皆さまの力になる企画を提供していきます。 執筆・編集: NsPace編集部 ■「みんなの訪問看護アワード」エピソード募集中!(~2025/1/24)今回で3回目となるNsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」では、2025年1月24日(金)17:00まで「つたえたい訪問看護の話」を募集中です! 訪問看護にかかわる方であれば、誰もが共有したいエピソードがひとつはあると思います。皆さまのエピソードをお待ちしています!

寒冷蕁麻疹(寒暖差アレルギー)とは?症状・原因・治療法・予防法を解説
寒冷蕁麻疹(寒暖差アレルギー)とは?症状・原因・治療法・予防法を解説
特集
2024年12月17日
2024年12月17日

寒冷蕁麻疹(寒暖差アレルギー)とは?症状・原因・治療法・予防法を解説

寒冷蕁麻疹(かんれいじんましん)は、冷たい風や空気、冷水などの寒冷刺激によって皮膚に発赤やかゆみを伴う膨疹(ぼうしん)が生じる症状です。「寒暖差アレルギー」とも呼ばれ、冬場に多いイメージがありますが、季節を問わず冷えによって発症することがあります。 本記事では、寒冷蕁麻疹の症状や原因、治療法、日常生活でできる予防法について解説します。寒冷蕁麻疹を発見した際のアセスメントにお役立てください。 寒冷蕁麻疹とは 寒冷蕁麻疹は、皮膚に冷たい刺激が加わることで発症するアレルギー反応の一種です。通常の蕁麻疹と同様に、皮膚内の肥満細胞からヒスタミンが放出されることで、かゆみや炎症、膨疹が引き起こされます。膨疹とは一過性の真皮の浮腫で、皮膚の一部が突然、境界明瞭に赤く盛り上がった状態を指します。子どもから高齢者まで年齢を問わずに発症し、好発年齢はありません。 寒冷蕁麻疹の症状 寒冷蕁麻疹の主な症状は、冷たい刺激が加わった直後から数十分以内に皮膚に現れるかゆみや発赤です。数時間で自然に軽減することが多いものの、症状の現れるタイミングや強さには個人差があります。 寒冷蕁麻疹は、次の2つに分類されます。 局所性寒冷蕁麻疹 局所性寒冷蕁麻疹は、冷たいものが触れたところに円形や地図状の膨疹が現れ、通常はかゆみと発赤を伴います。ただし、かゆみがなく発赤が目立つものや、反対に発赤がなくかゆみだけが生じるもの、痛みを伴うものもあります。 全身性寒冷蕁麻疹 全身性寒冷蕁麻疹は、全身が冷えることで小豆大ほどの発赤とかゆみを伴う膨疹が腕や脚、背中、腹部、首まわりなどを中心に全身に現れます。 膨疹の外見は、運動や入浴後に発症するコリン性蕁麻疹と似ているため、見分けがつきにくい場合もあります。 寒冷蕁麻疹の原因 局所性寒冷蕁麻疹は、冷水や冷風などが触れた部位にのみ現れます。一方、全身性寒冷蕁麻疹は、エアコンの効いた部屋に入る、冷たい外気に触れる、運動後や入浴後に体が冷えるなど、全身の急激な冷えがきっかけで発症します。暖かい場所から寒い場所へ移動するような急な温度変化によって症状が現れることがよくあります。 どちらのタイプも、寒冷刺激を受けると皮膚の肥満細胞からヒスタミンが大量に放出され、それがかゆみや膨疹を引き起こす点に違いはありません。ヒスタミンの分泌メカニズムについては未だ解明されていませんが、アレルギー反応や免疫系の異常が関与していると考えられています。なお、全身性寒冷蕁麻疹の中には、遺伝的な要因によるものも報告されています。 寒冷蕁麻疹の予防策 寒冷蕁麻疹は、次のように予防しましょう。 温める 寒冷蕁麻疹は、温めることで症状が緩和される場合が多いため、冷やさない工夫が重要です。症状が出やすい部分は重ね着をして、暖かい部屋で全身を温めましょう。冷たい空気や風に長時間さらされないよう、外出時も防寒対策を徹底することが大切です。 掻きむしりによる悪化を防ぐ 強いかゆみを感じると掻きむしってしまいがちですが、それによって症状が広がったり、蕁麻疹が悪化したりするため注意が必要です。抗ヒスタミン作用のある市販の塗り薬や内服薬を利用することで症状が和らぐことがあります。また、潤いを保つために保湿剤を使用することで肌のバリア機能が高まり、蕁麻疹が出にくくなります。そのため、皮膚を日常的にケアすることも大切です。 ただし、かゆみが強く再発を繰り返す、症状がなかなか治まらない場合は、自己判断せず早めに皮膚科を受診しましょう。 冷えを避けるための日常の工夫 寒冷蕁麻疹を予防するためには、日常生活での冷え対策が重要です。寒暖差が原因となるため、気温の低い場所に行く際はしっかりと防寒対策を行いましょう。冬場だけでなく夏場も注意が必要です。たとえば、プールや入浴のあとにエアコンが効いた部屋に行くと、体が急激に冷えて寒冷蕁麻疹の原因となることがあります。 また、冷たい飲み物や食べ物は体を冷やすため、少量ずつ摂取し、体が冷えすぎないようにしましょう。足もとの冷えも寒冷蕁麻疹を悪化させる要因です。足もとが冷えやすい方は、厚手の靴下やスリッパなどを履きましょう。 寒冷蕁麻疹の治療法 寒冷蕁麻疹の治療では、原因となる寒冷刺激を避けることが基本です。症状が軽い場合でも、再発を防ぐために冷えを避けた生活を心がけることが重要です。症状が出た場合には、抗ヒスタミン薬を内服することで、かゆみや発赤を緩和できます。 皮膚科では、発症時の状況を詳しく問診し、必要に応じて寒冷負荷試験や血液検査を行い、寒冷蕁麻疹かどうかを診断します。また、息苦しさやむくみといった重篤な症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。 抗ヒスタミン薬を継続的に内服し、症状をコントロールする場合もあります。寒冷蕁麻疹は内科的な病気が関与していることもあるため、長期化する場合や改善が見られない場合には医師に相談し、適切な診断・治療を受けることが大切です。 * * * 寒冷蕁麻疹は、訪問看護の現場でも利用者さんが症状を訴えることがあるかもしれません。家庭環境や症状が現れたタイミングなどを聞き取りして、適切な対策方法を伝えましょう。 編集・執筆:加藤 良大監修:吉岡 容子医療法人容紘会 高梨医院 院長東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。

看取りの作法2024 終末期・看取りの基礎知識【セミナーレポート 前編】
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2024年12月10日
2024年12月10日

看取りの作法2024 終末期・看取りの基礎知識【セミナーレポート 前編】

2024年9月20日に開催したNsPace(ナースペース)主催オンラインセミナー「看取りの作法2024 〜習得のための理論と実践〜」。家庭医療専門医で訪問診療専門クリニック院長の田中公孝先生を講師にお迎えし、訪問看護師が看取り支援をより身近な業務として捉えられるように必要な基礎知識を教えていただきました。 セミナーレポート前編では、看取り支援にあたって知っておきたい理論や田中先生が現場で意識しているポイントなどをまとめました。 ※約75分間のセミナーから、NsPace(ナースペース)がとくに注目してほしいポイントをピックアップしてお伝えします。 【講師】田中 公孝先生杉並PARK在宅クリニック 院長/日本プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医滋賀医科大学卒業。2017年から東京都三鷹市で訪問クリニックの立ち上げに参画し、2021年4月には訪問診療に特化した杉並PARK在宅クリニックを開業。すべての患者さんに「最期までその人らしく過ごせる在宅医療」を提供することを目指す。 「病の軌跡(がん、非がん)」を理解する 看取り支援に必要な知識としてまず挙げられるのが、病の軌跡。「がん」「非がん」の2パターンの軌跡を理解しておくと、看取りの流れをイメージしやすくなります。 がんの軌跡 がんの軌跡の特徴は、身体機能が非がん疾患と比べて長い期間保たれ、その後亡くなる直前に急速に悪化する点が挙げられます。機能が急速に低下する期間は、平均して約2ヵ月ともいわれており、若い方の場合は急激に悪化するため、この期間が短くなるケースにもしばしば遭遇します。一方、ご高齢の方では、がん細胞の進行も老いてゆっくりなのか、悪化のペースが緩やかになることもあります。 また、がんの悪液質を緩和するステロイド治療を行った場合、食欲が回復したり体を動かせたりするようになり、亡くなるまでの期間が1、2ヵ月ほど延びることもあります。しかし、原則として最期の2ヵ月間は急速に機能が低下し、排泄介助が必要になる、疼痛が悪化するなど問題に直面する機会が増えていきます。 非がん疾患の軌跡 非がん疾患の軌跡の特徴は、予後予測が難しい点が挙げられます。例えば心・肺疾患では、急性増悪を繰り返しながら徐々に機能低下が起こり、最後は比較的急な経過を辿るケースも見られます。一方、認知症・老衰の場合は、誤嚥性肺炎で一度口から食事がとれなくなっても、状態が安定して再び食事ができるようになる方もいます。そのため、ご家族には亡くなる可能性についてお伝えする一方で、機能が一時的に持ち直す可能性もあることを事前に説明しておくとよいでしょう。 「全人的苦痛(トータルペイン)」を活用する 全人的苦痛とは、利用者さんの苦痛を総合的に捉えるための概念のこと。「身体的苦痛」「社会的苦痛」「スピリチュアルペイン」「精神的苦痛」の4つに分類され、密接に影響し合っているという考え方です。例えば、がんの症状に伴う疼痛や息苦しさ、倦怠感などの身体的苦痛がある場合も、精神的、社会的、スピリチュアルな要因を含めたすべての側面を考慮する必要があります。適切なケアを提供する上で役に立つ考え方なので、ぜひ活用してください。 >>関連記事全人的苦痛(トータルペイン)の詳しい解説については以下をご参照ください。トータルペインでとらえる 終末期の現場で医師が考えていること 看取り支援の現場で私が意識しているポイントもお伝えします。 がんの症状 「肺がんは呼吸器に症状が現れる」「膵臓がんは強い痛みを伴う」など、一口にがんといっても種類によって症状は異なります。そのため、がんの種類や治療経過(手術歴、放射線治療や化学療法の有無や程度)を必ず確認します。みなさんも、各がんの特徴やおもな症状は押さえておきましょう。 多職種連携 終末期には訪問看護、訪問薬局、ケアマネジャーなどさまざまな職種の方々と方針を共有し、一丸となってご家族をサポートします。このとき、連携先はできるだけ看取りの経験があるところを選んでいます。 在宅看取りが可能か 在宅での看取りでは、家族の介護力や覚悟が問われます。早い段階での要介護認定を受けることをはじめ、各種制度を最大限活用できるよう環境を整えることも必要です。これらの条件を総合的に考慮し、「在宅で看取りきれるか」を常に考えています。 なお、緩和ケア病棟へのエントリーは、基本的にすべてのケースで行います。レスパイト入院をはじめ、在宅看取りを希望していても状況に応じて利用を検討する可能性があるためです。 利用者さんとご家族の認識に向き合う 告知の判断 私は、認知機能に問題がある利用者さんを除いて、基本的に告知はすべきだと考えています。とくにご本人が自身の体調の異変を感じているにも関わらず、ご家族から「落ち込むから伝えないでほしい」と要望がある場合は、本当に告知なしでよいかを丁寧に確認します。ちなみに、ご本人が違和感を覚えているのに告知しなかったケースは私の在宅医療のキャリアではほとんどなく、告知がよい結果に結びついたケースは多いです。ご家族に踏み込んだ話をするには医療者としての覚悟や経験が求められますが、利用者さんやご家族にとっての最善を考えて行動してください。 なお、告知と「予後を伝えること」は別の話です。ご家族には予後について必ず説明しますが、利用者さんにはご本人から強い要望がない限り伝えておらず、伝えなくてもうまくいくケースが多いです。 家族の受容段階の確認 ご家族の認識にアプローチするには、「キューブラー・ロス-死の受容5段階モデル」に基づいて考えるのがおすすめです。 もうこれ以上治すための手段がなく、緩和ケアに意識を切り替えていく、もしくは余命が幾許もないという受容の段階に進んでもらうために、私は早い時期にがんの特徴と看取りまでの経過をお伝えします。亡くなるまであと1ヵ月ほどの段階で「病の軌跡」について話し、「看取りのパンフレット」もお渡しして、「看取りの1週間前になったらこういう説明をさせてもらいます」と概要を伝えるんです。そうすればご家族も、「もうすぐそのときがくるんだな」と心構えできますから。 >>関連記事看取りのパンフレットについては以下をご参照ください。看取りの作法 ~ 最期の1週間キューブラー・ロス-死の受容5段階モデルの詳しい解説については以下をご参照ください。患者・家族の認識とグリーフケア 次回は、看取りのパンフレットを使用した死前教育やご家族へのグリーフケア、看取り支援の実践に役立つ考え方について説明します。>>後編はこちら「看取りの作法2024 グリーフケアと支援の実践【セミナーレポート 後編】」 執筆・編集:YOSCA医療・ヘルスケア ■「みんなの訪問看護アワード」エピソード募集中!(~2025/1/24)今回で3回目となるNsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」では、2025年1月24日(金)17:00まで「つたえたい訪問看護の話」を募集中です! 訪問看護にかかわる方であれば、誰もが共有したいエピソードがひとつはあると思います。皆さまのエピソードをお待ちしています!

「脳血管障害(脳卒中)」の知識&注意点【訪問看護師の疾患学び直し】
「脳血管障害(脳卒中)」の知識&注意点【訪問看護師の疾患学び直し】
特集
2024年12月10日
2024年12月10日

「脳血管障害(脳卒中)」の知識&注意点【訪問看護師の疾患学び直し】

このシリーズでは、訪問看護師が出会うことが多い疾患を取り上げ、おさらいしたい知識を提供します。今回は脳血管障害(脳卒中)について、訪問看護に求められる知識、どんな点に注意すべきなのかを、在宅医療の視点から解説します。 脳血管障害の基礎知識 脳血管障害とは脳血管の異常により発生する疾患で、脳卒中とも呼ばれています。頭痛、麻痺、感覚障害、構音障害の急速な発現は脳血管障害を疑う症状です。リスクファクターには高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、心房細動、脳血管障害の既往があります。脳血管障害には脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血が含まれ、頻度は脳梗塞が最多で約70%、続いて脳内出血が約20%、くも膜下出血が約5%です1)。 脳血管障害の種類 脳梗塞 脳梗塞は発症の原因によって3つのタイプに分けられます(図1)。 アテローム血栓性脳梗塞主幹脳動脈のアテローム硬化が原因で起こります。動脈硬化による狭窄が徐々に進行し血栓によって閉塞するか、不安定プラークが破裂して形成された血栓が塞栓子となり遠位部の動脈が閉塞する(artery to artery embolism)ことにより発症します。急速に発症し、階段状に進行することが多いです。 心原性脳塞栓症心臓内にできた血栓が脳動脈に塞栓症を起こします。原因の中で最も多いのが心房細動で、ほかに人工弁、左心房/心耳の血栓、最近発症の心筋梗塞、拡張型心筋症、感染性心内膜炎も原因となります。日中活動時の突然発症が多く、高度の意識障害や失語を伴う確率が高く予後が不良です。 ラクナ梗塞脳穿通枝動脈が脂肪硝子変性、血管壊死により閉塞して起こります。一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)の既往を認めることがあります(memo参照)。夜間の睡眠中や起床時に発症することが多いです。穿通枝領域の径15mm以下の小さな梗塞が深部白質、基底核、視床、内包後脚に好発し、以下の症状を引き起こします。 純粋運動性片麻痺:最も多い症状で、顔面を含む不全片麻痺純粋感覚性発作:片側の顔面と上下肢を含む半身のしびれ運動失調不全片麻痺:軽度の構音障害、眼振、一側へのよろめき構音障害-手不器用症候群:構音障害、嚥下障害、一側の手の巧緻運動障害 図1 脳梗塞の種類   memo 一過性脳虚血発作(TIA)とは24時間(多くは1時間)以内に消失する一過性の局所神経症候を起こします。微小塞栓と血流不全による脳の虚血が原因です。典型的な症状は片側性麻痺や構音障害で、一過性黒内障(片方の視力が一時的に低下する症状)が起こることもあります。症状発現後48時間以内に脳梗塞を発症するリスクが高いため、速やかに評価を行う必要があります。 脳梗塞発症リスクを予測するツールとして「ABCD2スコア」が広く用いられています。 【ABCD2スコア】 A Age(年齢) ≧60歳 1点 B Blood pressure(⾎圧) 収縮期140mmHg 以上 and/or 拡張期90mmHg 以上 1点 C Clinical feature(臨床像) ⽚⿇痺 2点 ⿇痺のない⾔語障害 1点 D Duration of symptoms(持続時間) 10〜59 分 1点 ≧60 分 2点 D Diabetes(糖尿病) あり 1点   最高得点 7点 ● 5項目で7点満点● TIA 発症後2日以内の脳梗塞発症率は0~3点で1.0%、4~5点で4.1%、6~7点で8.1%● 3点以上は入院治療が望ましい(Johnston SC,Rothwell PM,Nguyen-Huynh MN,et al:Validation and refinement of scores to predict very early stroke risk after transient ischaemic attack.Lancet 2007;369(9558):283-92. をもとに作成)脳梗塞を起こしていないか確認するため、できるだけMRI検査を行います。原因検査のため、血液検査(CBC(complete blood count:末梢血液検査)、生化学、血液凝固、BNP(brain natriuretic peptide:脳性ナトリウム利尿ペプチド)、頸動脈エコー、心電図、心エコーを行います。 脳内出血 原因は高血圧によって微小動脈瘤ができ、破裂出血するためと考えられています。その他、動静脈奇形、血管炎、脳腫瘤や老人に起こるアミロイド血管症なども原因です。被殻や視床、脳幹、小脳、皮質下に出血を起こします。 くも膜下出血 動脈瘤の破裂または動静脈奇形、外傷、動脈解離により起こります。ひどい頭痛と意識障害、片麻痺、めまい、嘔吐の症状を認めます。最も多い原因は嚢状動脈瘤破裂です。 なお、脳内出血とくも膜下出血の違いを図2に示します。 図2 脳内出血とくも膜下出血 診断 意識レベルとバイタルサインの確認が必要です。脳血管障害では意識低下や血圧上昇を認めることが多くあり、家族や目撃者の証言から、いつまで元気だったかを確認するとよいでしょう。次に、診察で神経学的に異常な部位を確認することで、症状から虚血を生じさせている責任血管が推察できます(表1)。 表1 責任血管と症状 責任⾎管(脳の領域)症状眼動脈⼀過性黒内障前脈絡叢動脈(内包後脚、外側膝状体、⼤脳脚、視床)対側の⽚⿇痺+感覚障害+同名半盲(右側または左側半分が⾒えなくなる)前⼤脳動脈・ 下肢の運動障害・ 刺激に対する反応低下・ 尿/便失禁中⼤脳動脈・ 顔⾯と上肢>下肢の運動/感覚障害・ 優位半球の前頭葉または側頭葉→失語・ 劣位半球の頭頂葉→失⾏/半側空間無視・ 同名半盲※優位半球と劣位半球で症状が異なることに注意する※右利きの⼈のほとんどと左利きの⼈の2/3は優位半球が左である後⼤脳動脈・ 同名半盲/変形視       ・ 反対側の感覚障害を伴う視床症候群:          反対側の⿇痺、耐え難い痛み、不随意運動椎⾻動脈・ ワレンベルグ症候群:同側の顔⾯と対側の上下肢の感覚障害、複視、構⾳障害、嚥下障害⼩脳動脈・ めまい・ ⼩脳失調脳底動脈・ 瞳孔異常(散瞳または著しい縮瞳)・ 四肢⿇痺・ 知覚障害・ ⾼度な意識障害・ ⼩脳失調 ⾎液検査(⾎糖、Na、K、Cl、Cr、CBC、凝固、⼼筋マーカー)、⼼電図、頭部CT(またはMRI)検査を⾏います。既往歴(脳梗塞、てんかん)と内服薬(抗凝固薬、抗⾎⼩板薬、抗精神病薬)の確認が重要です。 訪問時における病歴聴取/身体所見のポイント 意識レベルとバイタルサインを確認し、血圧が高ければ脳卒中の可能性が高くなります。脳卒中の症状(構音障害や麻痺など)がいつから始まったのかを明らかにします。発症4.5時間以内ならば、血栓溶解療法(t-PA療法)が適応されます。 意識障害や急性に発症した脳卒中を疑う症状があれば、救急車で病院に搬送します。 治療 疾患ごとに解説します。 脳梗塞 脳梗塞の発症後4.5時間以内でt-PA製剤(アルテプラーゼ)の適応があれば、静脈内投与を行うことで血栓を溶解させ、脳血流の再開が可能です。3時間以内に投与した場合、3ヵ月後の障害の発症率を大幅に軽減させることが分かっています。ただし、合併症として頭蓋内出血を起こすこともあります。大血管の閉塞では脳卒中発症後8時間以内に脳血管内治療が行われます。 血栓溶解療法や脳血管内治療が適応とならない急性期虚血性脳血管障害患者にはアスピリンが投与されます。症状発現後24時間以内に開始し21日間継続する抗血小板薬2剤併用療法(アスピリンとクロピドグレル)は脳梗塞の再発抑制効果があります。 心房細動があれば、ヘパリンまたは抗凝固薬(直接作用型経口抗凝固薬:DOAC、ワルファリン)を投与します。 脳内出血 入院し呼吸管理と血圧コントロール(収縮期血圧140mmHg以下)を行います。血腫除去の外科的治療が選択されることがあります。 くも膜下出血 脳動脈瘤の根もとに専用のクリップをかける動脈瘤頸部クリッピング術が行われます。 最新トピックス●脳卒中でSpO2が93%以上の患者には、予後が悪化するため酸素療法を開始しないことがすすめられています。酸素療法を受けている患者ではSpO2を96%未満にします2)。●脳卒中専門病棟への入院は、多職種からなるケアチームが早期から尿路感染予防のための留置カテーテルの除去、嚥下障害への対処、誤嚥性肺炎の予防、口腔衛生を行うためとても有効です。 二次予防(脳卒中の再発予防) 生活習慣の改善(ダイエット、運動)、リスクファクターへの治療(高血圧、脂質異常症、糖尿病、禁煙)、血圧コントロール<130/80mmHg、LDL<70mg/dL、抗血小板薬または抗凝固薬の内服が重要です。 ●脳血管障害(脳卒中)には脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血があります。頻度は脳梗塞が70%、脳出血が20%、くも膜下出血が10%です。●意識障害や急性に発症した脳血管障害を疑う症状があれば、救急車で病院に搬送します。●家族や目撃者の証言から、いつまで元気だったかを確認します。 執筆:山中 克郎福島県立医科大学会津医療センター 総合内科学講座 特任教授、諏訪中央病院 総合診療科 非常勤医師、大同病院 内科顧問 1985年 名古屋大学医学部卒業名古屋掖済会病院、名古屋大学病院 免疫内科、バージニア・メイソン研究所、名城病院、名古屋医療センター、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)、藤田保健衛生大学 救急総合内科 教授/救命救急センター 副センター長、諏訪中央病院 総合診療科 院長補佐、福島県立医科大学会津医療センター 総合内科学講座 教授を経て現職。編集:株式会社照林社 【引用文献】1)脳卒中データバンク運営委員会:「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」(日本脳卒中データバンク)報告書 2023年.https://strokedatabank.ncvc.go.jp/category/achievement/report/2024/11/15閲覧2)Chu DK,Kim LH,Young PJ,et al:Mortality and morbidity in acutely ill adults treated with liberal versus conservative oxygen therapy (IOTA): a systematic review and meta-analysis.Lancet 2018;391(10131). 【参考文献】○Chick D,et al:Stroke.MKSAP19 Neurology,American College of Physicians,2021:26-39.○Douglas V,Aminoff MJ:Nervous system disorders.Current Medical Diagnosis & Treatment 2024, 63rd ed.McGraw Hill,New York,2024;992-1003.○Hupperts LA:Neurologic emergencies. Huppert’s Notes,McGraw Hill,New York,2021:380-381.○Sabatine MS,et al:Stroke.Pocket Medicine,8th ed.Philadelphia,2022. ○井口正寛,石山貴章編:脳梗塞.Hospitalist 2022:10(2);207-306. ■「みんなの訪問看護アワード」エピソード募集中!(~2025/1/24)今回で3回目となるNsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」では、2025年1月24日(金)17:00まで「つたえたい訪問看護の話」を募集中です! 訪問看護にかかわる方であれば、誰もが共有したいエピソードがひとつはあると思います。皆さまのエピソードをお待ちしています!

リンゴ病(伝染性紅斑)の症状・感染経路は?大人の感染にも注意
リンゴ病(伝染性紅斑)の症状・感染経路は?大人の感染にも注意
特集
2024年12月10日
2024年12月10日

リンゴ病(伝染性紅斑)の症状・感染経路は?大人の感染にも注意

頬がリンゴのように赤くなるリンゴ病(伝染性紅斑)。主に子どもがかかる病気ですが、大人もかかる場合があります。また、妊娠中にかかると流産につながるおそれもあるため、より一層の注意が必要です。 本記事では、リンゴ病の症状や潜伏期間、感染経路から、大人の感染や出社・登園・登校への影響まで詳しく解説します。リンゴ病の症状について確認し、利用者さんやそのご家族のケアに役立てましょう。 リンゴ病とは リンゴ病とは、ヒトパルボウイルスB19の感染によって起きる病気で、正式名称を「伝染性紅斑」といいます。その名のとおり、両側の頬がリンゴのように赤くなるのが主な症状で、4~5歳の子どもを中心に4~5年周期で流行を繰り返しています。 リンゴ病の症状 リンゴ病は、10〜20日の潜伏期間を経て、頬に赤い発疹が現れます。赤いところとそうではないところの境目は明瞭です。また、顔だけではなく、手足にも「レース状」や「網目状」と表現される発疹が現れます。多くは顔と手足のみですが、中にはお腹や胸、背中に現れる人もいます。発疹の持続期間は1週間前後ですが、一度消えた発疹が短期間で再び現れる場合もあります。 リンゴ病の原因 リンゴ病の原因は、パルボウイルス科パルボウイルス亜科エリスロウイルス属のヒトパルボウイルスB19の感染です。正式名称はエリスロウイルスB19ですが、一般的にはヒトパルボウイルスB19と呼ばれています。リンゴ病は1年中かかる可能性がありますが、春から秋にかけて多くみられます。 リンゴ病は大人もかかる? リンゴ病は大人もかかる可能性がありますが、一度感染すると終生免疫を得られるため、子どものころにリンゴ病にかかったことがある大人は、通常は感染しません。 大人のリンゴ病では、頭痛や関節炎に伴う関節痛が生じ、1~2日ほど歩くことが難しくなる場合がありますが、多くの場合は合併症や後遺症もなく回復します。 大人のリンゴ病で注意すべきは、妊娠中の感染です。特に、妊娠前半期にヒトパルボウイルスB19に感染すると、胎児水腫や流産につながるおそれがあります。妊娠後半期にも感染する可能性があるため、妊娠中は時期を問わず感染予防を意識することが大切です。ただし、母親がリンゴ病を発症し、新生児に感染が確認された場合でも、妊娠・分娩の経過や出生後の発育が正常であることが多いとされています。妊娠中にリンゴ病に罹患した場合、医師の指示に従い、胎児の状態を注意深く確認していくことが大切です。 また、溶血性貧血の人がヒトパルボウイルスB19に感染すると、重症の貧血発作や関節炎、関節リウマチ、血球貪食症候群、血小板減少症などが起きる可能性があります。こちらにも注意しておきましょう。 リンゴ病の感染経路 リンゴ病の感染経路は、ウイルスを含むくしゃみや咳などによる飛沫感染です。頬の赤い発疹が現れたころには感染力はほとんどなく、ウイルスが多く排出されるのは、まだリンゴ病の症状が現れる前。感染を防ぐ有効な対策はありません。ほかの感染症と同じく、くしゃみや咳を人に向けてしないこと、手洗いやうがいを徹底するなど、基本的な感染対策を行いましょう。 リンゴ病の治療法 リンゴ病には、特効薬が存在しません。ウイルス感染症は一部のウイルスにのみ抗ウイルス薬が存在しており、ヒトパルボウイルスB19に対して有効な薬は登場していないのが現状です。 そのため、リンゴ病の発熱や関節痛に対しては解熱鎮痛剤、かゆみに対してはかゆみ止めといった対症療法を行います。また、感染が発覚した時点で何かをすれば発症を防げたり、早く改善したりといった方法もありません。 リンゴ病の出社・登園・通学への影響 リンゴ病にかかった人の出社や登園、通学に対する制限については、明確に設けられていません。学校保健法においては第3種の感染症の「その他の感染症」に該当します。これは、医師や学校医などが「感染のおそれがない」と認めるまでは出席停止とするものです。 リンゴ病は、頬に赤い発疹が現れた段階で診断を受けることが多く、その時点では感染力はほとんどありません。そのため、発熱や他の症状、合併症などがなければ登園や通学は認められると考えられます。 ただし、感染症への対応方針は学校や会社によって異なるため、リンゴ病に感染した旨を伝えて指示を仰ぐことが大切です。 * * * リンゴ病は主に子どもがかかる病気で、一度かかると終生免疫を得られます。大人がかかっても重症化することも通常はありません。ただし、妊娠中にかかると胎児への影響が懸念されるため、基本的な感染症対策を行い感染のリスクをなるべく抑えることが大切です。また、症状が現れたころには感染力は失われていることから、軽症であれば問題なく登校や出社ができます。 ぜひ今回の内容を利用者さんのアセスメントやご家族への情報提供などに役立ててください。   編集・執筆:加藤 良大監修:吉岡 容子医療法人容紘会高梨医院 院長東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。 【参考】〇国立感染症研究所「伝染性紅斑とは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/443-5th-disease.html2024/12/3閲覧

湿疹皮膚炎とは? 種類や症状、改善方法が分かる【多数の症例写真で解説】
湿疹皮膚炎とは? 種類や症状、改善方法が分かる【多数の症例写真で解説】
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2024年12月3日
2024年12月3日

湿疹皮膚炎とは? 種類や症状、改善方法が分かる【多数の症例写真で解説】

在宅療養者によくみられる皮膚症状を皮膚科専門医が写真を見比べながら分かりやすく解説。今回は湿疹皮膚炎を取り上げ、その種類や特徴、症状の原因や改善方法をご紹介します。 湿疹皮膚炎とは 湿疹という病名は一般の人たちにも馴染みがあると思います。湿疹は、皮膚炎とほぼ同義とされ、文字通り皮膚が炎症を起こすことをいいます。ある程度原因や病態がはっきりしているアトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹などがあり、原因・病態が明らかでないものは単純に「湿疹」と呼ばれます。 以前、「真菌による湿疹」という記載を見たことがあります。確かに真菌による炎症ではありますが、真菌や細菌など病原体に起因するものは感染症であり、湿疹とは呼びませんのでご注意ください。 在宅でよくみられる湿疹皮膚炎群について述べていきます。 在宅でよくみられる湿疹皮膚炎群 皮脂欠乏性湿疹 加齢に伴って生じる皮脂欠乏により、皮膚のバリア機能が低下して外的刺激を受けやすくなり、かゆみに対する閾値も低下して湿疹化した状態です。冬に多く、一番多いのは下腿伸側ですが、大腿や上肢の伸側、体幹にも発生します(図1)。 訪問入浴の際に「頻繁に入浴できないから」と言って張り切ってスポンジで洗っているのを見たことがあります。気持ちは分かるのですが、やめるべきです。 予防・改善には保湿を中心としたスキンケアが重要になります。詳しくはNsPaceの「在宅の褥瘡・スキンケアシリーズ」をご参照ください。 >>予防的スキンケアに関する記事はこちら在宅の褥瘡・スキンケアシリーズスキンケアで褥瘡予防 洗浄・保湿・保護のポイント 図1 高齢者の下腿にみられた皮脂欠乏性湿疹 接触皮膚炎 いわゆる「かぶれ」です。接触したものによって生じる皮膚炎で、アレルギー性のものと、刺激性のものがあります。 アレルギーとは、「外部から侵入した特定のものに対する、その人特有の反応」と考えることができるので、「特定のもの」がはっきりしているならそれを除去すればよいことになります。接触皮膚炎の場合、原因特定のための検査としてよく使われるのはパッチテストです。怪しそうなもの(例えば外用薬や化粧品)があれば、そのものを貼付します。 在宅では外用薬の接触皮膚炎を経験することがあります。図2は「褥瘡が悪化した」と連絡があった例ですが、実は褥瘡の治療薬にかぶれていた例です。 図2 褥瘡の治療薬によるかぶれ(接触皮膚炎) 初診時(A)にデブリードマンを行い、ヨード製剤を外用。改善傾向にあったが(B)、2週間後「褥瘡が悪化した」と連絡があった(C)。往診し、外用薬による接触皮膚炎と診断。ステロイド外用に変更したところ皮膚炎が改善し、褥瘡も治癒した(D)。 脂漏性皮膚炎 頭皮、顔(眉毛部や鼻周囲など)、胸や背中の中央部など皮脂腺の多いところを脂漏部と呼びますが、それらの部位に生じるのが脂漏性皮膚炎です(図3)。皮脂腺に住む真菌の一種であるマラセチアが皮脂を分解し、その産物が皮膚に炎症を起こしているとされます。炎症を速やかに抑えるにはステロイド外用が有効ですが、真菌が関与するため抗真菌薬の外用や、抗真菌薬を含んだシャンプーや洗浄剤の使用も効果があります。 図3 頭部の脂漏性皮膚炎 生え際の紅斑と鱗屑が目立つ。 うっ滞性皮膚炎 下肢静脈瘤、深部静脈血栓症など静脈血流のうっ滞が原因となり、下腿に発症します。在宅の高齢者には多くみられる症状です。紅斑から始まり丘疹などが混じる湿疹局面となり、慢性化すると色素沈着や皮膚の硬化がみられ、硬化性脂肪織炎となります。硬化すると容易に潰瘍化して難治です。通常のステロイド外用による湿疹治療も必要ですが、弾性包帯や弾性ストッキングなどによる圧迫療法が重要です(図4、5)。ただし高齢者では動脈閉塞や心疾患を合併している場合もあり、そのような例では圧迫することはできません。 図4 下腿皮膚の硬化とうっ滞性皮膚炎 「逆シャンパンボトル」と形容される下腿皮膚の硬化とうっ滞性皮膚炎を認める。 図5 うっ滞性皮膚炎 弾性包帯による圧迫とステロイド外用でうっ滞性皮膚炎・潰瘍ともに3ヵ月で軽快した。 鑑別について 湿疹と鑑別する必要がある疾患には真菌症や腫瘍などがありますが、今後の連載でそれぞれについて述べていく予定です。 治療の第一選択はステロイド外用薬 湿疹皮膚炎の治療の第一選択は、ステロイド外用薬です(図6)。実にたくさんの種類がありますが、抗炎症作用の強さによって一般的にstrongest(Ⅰ群)、very strong(Ⅱ群)、strong(Ⅲ群)、medium(Ⅳ群)、weak(Ⅴ群)の5段階に分類されています。また、軟膏、クリーム、ローション、テープなどの剤型があります。この強さと剤型を、病変の程度や部位によって使い分けています。 図6 ステロイド外用薬の例 この写真は筆者が少し前に撮影したもの。現在では発売終了になっているものも含まれるが、ステロイド外用薬には実にたくさんの種類がある。 ステロイド外用薬は使われるようになってからすでに70年以上が経過しています。つまり「よい点も、悪い点もすべて分かっている」薬です。アトピー性皮膚炎ではステロイド忌避、脱ステロイドなどが問題になりますが、うまく使えば極めて有効で安全な薬です。でも、分かっていない人が使うと大変なことが起こる可能性もあります。 通常顔にはweak、せいぜいmediumの外用薬を処方しますが、図7は顔の皮疹に対してstrongのステロイド外用薬が長期間処方されていた例です。鏡検してみると、カンジダと、ニキビダニと呼ばれる毛包虫がたくさんみられたため、治療を行ったところ速やかに改善しました。顔に強い外用を続けた場合、眼圧上昇といったリスクもあるので、十分注意が必要です。 また、高齢の方では老化による皮膚の菲薄化がみられますが、漫然とステロイドの外用を継続しているとさらに菲薄化、脆弱化が進行し(図8)、紫斑や、ひどくなるとスキン-テアを起こします。 図7 ステロイド外用薬の誤用例 ステロイド外用薬の誤用により、ニキビダニの増加とカンジダを発症した例。イオウ製剤と抗真菌薬の外用で改善した。 図8 ステロイド外用の継続例 50代男性の症例。アトピー性皮膚炎で長期間ステロイド外用を継続したことにより、肘窩付近の細く赤い血管が透けてみえるほか、内出血するなど皮膚の菲薄化・脆弱化がみられる。 そもそもなぜ湿疹ができるのか? 湿疹は、健康な皮膚に起きる場合もありますが、多くの場合はバリア機能が落ちるといった「準備状態」にある皮膚に発症します。準備状態にしないためには、スキンケアが重要となります。 「スキンケア」という言葉自体にも、明確で絶対的な定義は存在しませんが、日本褥瘡学会の用語集によれば、図9のように、洗浄、遮断・被覆(=保護)、保湿、水分除去の4つに集約できると思います。紙幅の都合でそれぞれについて述べることはしませんが、これらに留意して優しく洗う、保湿薬を使うなどのケアを行い、皮膚を健康な状態に保ちたいものです。 図9 スキンケアとは(日本褥瘡学会「用語集」より) 文献1)より引用(赤字および「保護」の追記は筆者による) 執筆:袋 秀平ふくろ皮膚科クリニック 院長東京医科歯科大学医学部卒業。同大学学部内講師を務め、横須賀市立市民病院皮膚科に勤務(皮膚科科長)。1999年4月に「ふくろ皮膚科クリニック」を開院。日本褥瘡学会在宅担当理事・神奈川県皮膚科医会副会長・日本専門医機構認定皮膚科専門医編集:株式会社照林社 【引用文献】1)日本褥瘡学会ホームページ:用語集「スキンケア」.https://www.jspu.org/medical/glossary/2024/8/5閲覧 【参考文献】○袋 秀平:70枚の写真で学ぶ 在宅で診る皮膚疾患の基礎知識.日本医事新報社ウェブ書籍,東京,2019.○袋 秀平:うっ滞性皮膚炎.内藤亜由美,安部正敏編,改訂第2版 スキントラブルケアパーフェクトガイド,学研メディカル秀潤社,東京,2019:135-138.

低温やけど(低温熱傷)とは?初期症状や対処法について解説
低温やけど(低温熱傷)とは?初期症状や対処法について解説
特集
2024年12月3日
2024年12月3日

低温やけど(低温熱傷)とは?初期症状や対処法について解説

コンロの火やパネルヒーターのほかにも、さまざまな原因でやけど(熱傷)を負う可能性があります。冬に高齢者がよく使う湯たんぽをはじめ、ホットカーペットやカイロでも低温やけどを負うことがあります。低温やけどは通常のやけどと同じく命に関わることもあるため、基礎知識を確認しておくことが大切です。 本記事では、低温やけどの特徴や初期症状、対処法などについて詳しく解説します。利用者さんに質問されたときだけではなく、冬の低温やけどの注意喚起として訪問看護師からアドバイスする際にも役立ててください。 低温やけどとは 低温やけどは、40~50℃程度のものに長時間皮膚が触れることで生じるやけどです。心地よいと感じている温度でも発生してしまう可能性があるため注意が必要です。 また、50℃程度でも3分の圧迫によって低温やけどが生じる可能性があります。このように、単に温度と時間だけで低温やけどが起きるリスクを判断することは困難です。低温やけどの原因となりやすい湯たんぽやホットカーペットなどの使用に注意しましょう。 低温やけどの原因・メカニズム 皮膚が熱を受けてから、少しずつ深部へと熱が達して細胞の損傷が起こります。皮膚の損傷が深部になるにつれて痛みを感じにくくなるため、気づいたときには重症になるケースも少なくありません。湯たんぽやホットカーペットでやけどをする可能性があることを知らない人は、赤みや多少のひりひりとした痛みがあっても放置してしまいがちです。在宅療養されている方の中には自分で症状を訴えることができない方もいるため、全身の皮膚の状態を観察することが大切です。 特に以下に該当する場合は低温やけどのリスクが高いため注意が必要です。 皮膚が脆弱な高齢者や皮膚が薄い小児寝返りができない乳児知覚や運動機能に障害がある方糖尿病や動脈硬化によって手足の血行障害がある方意識レベルや認知機能が低下している方 低温やけどの初期症状や見た目 低温やけどの症状は、赤みやひりひりとした痛みです。1日程度放置すると、水疱(みずぶくれ)が生じることもあります。受傷当初にやけどの深さを見極めるのは困難なため、皮膚に赤みや違和感が生じた段階で、なるべく早く医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。 低温やけどに対する正しい対処法・注意点 低温やけどが起きた場合は、応急処置をした上で医療機関を受診しましょう。 低温やけどの可能性がある場合、すぐに患部を流水で20分程度冷やします。熱が皮膚の深部に与えるダメージをなるべく早く抑えることが重要です。冷やすことで痛みも緩和されます。なお、保冷剤は冷たすぎるため、凍傷や水疱が破れるリスクを踏まえ、使用しないことが大切です。 また、衣類が被っているところに低温やけどが起きた場合は、無理に衣類を脱がずにそのまま流水で冷やしましょう。無理に衣類を脱ぐと皮膚が引っ張られて剥がれる恐れがあります。水疱がある場合は、なるべく手指で触れないようにして、破かないよう注意が必要です。 手指のやけどの場合、後から腫れてくることを想定し、あらかじめ指輪は外しておく必要があります。腫れると指輪を外すときに患部に触れて、痛みや炎症が増すことが懸念されます。 低温やけどは皮膚の深部まで損傷がおよぶⅢ度熱傷*と分類されるケースが多いとされています。数週間後に皮膚の変色や知覚鈍麻、黒色壊死を引き起こすこともあるため、小範囲の場合でも早急に医療機関への受診が必要となります。水疱が生じるⅡ度熱傷では、市販薬によって改善することもありますが、細菌感染を伴うと色素沈着やケロイド状の傷が残る可能性があるため、こちらも医師の診察を受けることが大切です。 一方、赤みや痛みのみが生じるⅠ度熱傷では、必ずしも医療機関を受診すべきとはいえませんが、やけどの状態を正確に判断することは難しいため、なるべく受診した方がよいでしょう。特に、顔や手、関節などに起きたやけどは、範囲が小さかったとしても治療を受ける必要性が高いとされています。 *やけどの深度は、熱による損傷が皮膚のどの深さまで達しているかで分類されます。「Ⅰ度熱傷」とは表皮のみの熱傷、「Ⅱ度熱傷」とは真皮までの熱傷、「Ⅲ度熱傷」とは皮下組織まで損傷がおよんだ熱傷のことです。 低温やけどの原因となりやすい環境・機器 低温やけどの原因となりやすい環境と使用機器について理解しておくことで、トラブル防止につながります。それぞれ、低温やけどになりやすい理由とあわせて詳しく見ていきましょう。 湯たんぽ 国民生活センターに、湯たんぽによる低温やけどの相談が寄せられています。金属製の湯たんぽをタオルで三重に巻いて足の下に置き、そのまま就寝したところ、くるぶしに痛みが起きてやけどに気づいたそうです。 湯たんぽは種類を問わず、低温やけどになるリスクがあります。タオルで包んでいたとしても、心地よいと感じる程度の温度で低温やけどになるため、あくまでも布団の中を暖めるために使用し、就寝時はとりだすと安心です。使い方や注意事項については、各メーカーの取扱説明書も確認しましょう。 カイロ 国民生活センターに、腰にカイロを貼って電気毛布を使用して就寝したところ、翌朝にカイロを貼っていた箇所に皮膚の深いところにまでおよぶやけどが起きていたとの相談が寄せられています。貼るタイプのカイロと電気毛布を組み合わせると、貼ったところが熱くなりすぎるため注意が必要です。 ホットカーペット ホットカーペットの上で寝ると、皮膚が触れているところに低温やけどが起きる恐れがあります。 消費者庁によると、薄手の服を1枚着た子どもをホットカーペットの上で寝かせていたところ、3時間程度が経ったころに背中が赤くなったとの相談が寄せられたとのことです。これは子どものケースですが、大人、高齢者でも同じようにやけどをする可能性があります。 * * * 低温やけどは、一般的なやけどよりも軽症なイメージを持つ方もいますが、損傷が深く専門的治療が必要となる場合があります。違いは、やけどを負うまでにかかる時間です。そのため、コンロの火やパネルヒーターなどだけではなく、湯たんぽやホットカーペットなどの使用にも十分に注意しましょう。 編集・執筆:加藤 良大監修:吉岡 容子医療法人容紘会高梨医院 院長東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。 【参考】〇国民生活センター「重症になることも 湯たんぽによる低温やけどに注意」https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen328.html2024/11/19閲覧〇国民生活センター「低温やけどにご用心 見た目より重症の場合も」https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen241.html2024/11/19閲覧〇消費者庁「Vol.476 電気カーペットや湯たんぽによる低温やけどに注意!」https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20191107/2024/11/19閲覧〇日本形成外科学会「やけど(熱傷)」https://jsprs.or.jp/general/disease/kega_kizuato/yakedo/yakedo.html2024/11/19閲覧

在宅TPPV療法中の看護 観察ポイントや呼吸ケア、栄養管理、外出支援
在宅TPPV療法中の看護 観察ポイントや呼吸ケア、栄養管理、外出支援
特集 会員限定
2024年11月26日
2024年11月26日

在宅TPPV療法中の看護 観察ポイントや呼吸ケア、栄養管理、外出支援

呼吸ケアにより生命の安全が確保できると、日常生活は安定していきます。その先にある、その人らしい生活や自己実現に、療養者さんやご家族が目を向けられるよう、在宅での支援を模索し続けることが大切です。今回は在宅でのTPPV(気管切開下陽圧換気)療法の看護のポイントやコツについて解説します。 安全・快適に過ごすための観察ポイント ベッド周りや物品配置などの環境調整 退院当初は、療養者さんの生活の場を考慮してベッドの位置、周辺環境を調整します。よく使用する吸引用具や気管カニューレ、蘇生バッグ(バッグバルブマスク)などはベッドサイドに誰もがわかるように整理しておきます。移動が簡単にできるようカートにまとめて整理されている方もいます(図1)。 図1 ベッドサイドのカートの例 家族の手技や健康状態 退院当初は手技獲得のための支援を行いますが、慣れてくると徐々にご家族のやりやすい方法に変化していきます。ご家族のちょっとした言動や療養者さんの訴えから、「吸引圧が40cmH2Oを超えていた」「吸引時間がやけに長い」「経管栄養注入時間が異様に短い」等に気づくこともあるでしょう。ご家族を否定せず、なぜその方法に変化したのか背景を把握しつつ安全な支援方法に修正していきます。 医療依存度の高い療養者さんの支援は介護負担が大きくなるため、ご家族の健康状態や疲労にも目を向けて観察します。 医療機器の管理状況 安全対策のため、次の点を確認します。 呼吸器回路をはじめとしたチューブ類がギャッジアップ時にベッド柵に挟まったり引っ張られたりしてないか固定方法は安全か吸引器・呼吸器などのコンセントの差し込みプラグがゆるんでないか電源ランプがついているか など 特に呼吸器や吸引器を移動する頻度が多い方は、気付かないうちにコンセントの接続がゆるみ、内部バッテリーに切り替わり、突然電源が切れるといったことが起こり得ます。ヘルパーさんやご家族とヒヤリハットを共有し、事故防止につなげましょう。トラブル発生時の対応や連絡先をすぐ分かるところに掲示する工夫も大切です。 療養者の表情や言動、全身状態、呼吸状態 療養者さんの表情や言動、バイタルサイン、視診、触診、聴診、痰の性状や胸郭の動き、浮腫の有無などの全身状態、呼吸状態を観察します。圧管理であれば、モニター表示を見て、最高気道内圧(peak inspiratory pressure:PIP)、1回換気量(Vt)や分時換気量(Mv)、呼吸数等の実測値を確認します(図2)。発熱や何か苦しさを感じる時には呼吸数の変化やVt・呼吸パターンの変化が生じますが、普段の実測値を把握しておくことで変化に気づけます。 図2 呼吸器のモニター表示の例 圧管理では赤枠で囲んだ項目の実測値を確認する。モニター画面の緑色のバーは気道にかかる圧力をリアルタイムで表示している。青色のラインはPIPを示し、現在の圧力は12.9hPaで吸気中であることを示す 例えば、呼吸器回路のわずかな振動や音、触診による胸骨周囲でのラトリング(胸壁の振動)、Vtのわずかな減少、療養者さんの表情で痰吸引のタイミングが分かることもあります。 また、痰がつまってくるとPIPの上昇やVtの低下が見られることもあります。胸郭や肺が徐々に固くなることでも少しずつPIPが上昇しVtが低下します。呼吸数が上昇しMvを維持しますが、それも徐々に低下していきます。 このような長期的な変化は呼吸器のログデータからも把握できますが、その兆候が分かれば早めに対応策を検討できます。グラフィック波形では気道の状態や呼吸器との同調など今の呼吸状態を推測できます。 人工呼吸療法は、換気量の維持と酸素化の改善により安楽な呼吸を支援するものです。ただ、長期療養により人工呼吸器関連肺損傷(ventilator-induced lung injury:VILI)などの弊害も出てきます。呼吸器を使用しているのに苦しい状態を作り出さないよう呼吸の変化を観察し、異常を早期に発見し対処できるように取り組みます。 呼吸ケア:唾液処理、排痰支援、痰の硬さ調整 気道クリアランスケアにおいて重要なのは唾液処理と排痰支援、痰の硬さの調整です。 唾液を吸引する低圧持続吸引器(図3)や痰吸引器(図4)を活用し、唾液や痰の垂れ込みをできる限り予防します。 図3 低圧持続吸引器 図4 痰吸引器 商品の例:アモレSU1(画像提供:トクソー技研株式会社) 排痰補助装置の使用により、痰の喀出を助け、深呼吸代わりにしっかり肺を膨らますケアにつなげます。神経難病患者では、肺や胸郭の柔軟性を維持するために呼吸のリハビリテーション機器(図5)を活用している方もいます。看護師が訪問した時に積極的に身体を動かし、さらに訪問リハビリテーションによる呼吸リハや身体リハにも積極的に活用します。 図5 呼吸のリハビリテーション機器と実際のリハビリテーションの場面 機器の例:LICトレーナー(R)声をかけて人工呼吸器を外し蘇生バッグで加圧する。圧は医師の指示のもと、40cmH2Oまでかけて息止めを3~5秒実施。その後、呼気ラインを解除し、息を吐いてから呼吸器を装着し、呼吸を整える。1日数回実施している*写真は療養者さんご本人・ご家族の同意を得て掲載しています。 これらの専門性を活かしたケアのほかに、ベッド上で側臥位にしたり、ギャッジアップで身体を動かしたりします。また、車椅子移乗をはじめとした離床は痰を動かし胸郭を広げるケアにつながると考え、生活の中に取り入れるよう提案しています。 痰が硬い場合は、加湿の調整や水分量・薬剤調整を検討します。 できるだけカフ圧計を使用してカフ圧を管理し、合併症を防ぐことも大切です。 長期人工呼吸管理が必要なALS(筋萎縮性側索硬化症)の療養者さんの中には、胸郭の柔軟性低下によりPIP上昇やカフリークといった対応困難な症状を生じる方がいます1)。積極的な呼吸ケアがこれらの症状緩和の一助となり、VILIのリスクを少しでも予防することができるのではと考えケアを継続しています。 栄養管理:過剰な栄養の回避、摂取カロリーの減量 在宅でのTPPVによる人工呼吸管理は、主に慢性期の支援になります。ALSにおいては発症初期〜進行期は体重減少が独立した予後予測因子となりますが、人工呼吸管理期は過剰な栄養の回避、摂取カロリーの減量が必要です2)。TPPV療法の導入後、そのままの栄養量で在宅療養を継続していると、体重が急激に増えていく場合があります。定期的な採血や体重測定などにより、栄養状態を評価し、栄養量を訪問診療医や管理栄養士と相談していくことが必要です。 入浴支援:他職種や関係機関との協働が大切 在宅では、入浴支援は訪問入浴を活用します。入浴スタッフが3名で訪問し、持参した浴槽で入浴をサポートします(図6)。入浴に訪問看護師が同席するわけではありませんが、その時間帯にご家族が休息を希望される場合や、呼吸や全身状態が不安定な状況により入浴スタッフが不安を感じる場合は同席しています。 入浴は療養者さんにとって楽しみの1つですが、特に終末期が近くなると体調が安定せず入浴できる機会が減ってしまいます。療養者さんやご家族の意向を汲み取り、少しでも安楽への支援の1つとなるよう関係機関と恊働しています。 図6 入浴時の様子 呼吸器につないだ状態で入浴の介助を行う。入浴中にご本人の訴えが分かるように文字盤をそばに置くようにしている(写真では机の上にある)*写真は療養者さんご本人・ご家族の同意を得て掲載しています。 外出時の支援:移動方法や物品、人手を確認 外出はご家族やヘルパーさんと行うことが多く、持参物品、機器類の管理、呼吸トラブル時の対応などを想定し指導を行います。 療養者さんが初めて外出する場合、車椅子移乗動作を支援します。ほかに、室内廊下のクランクに車椅子が通るのか、階段の昇降方法など部屋から道路までの動線を確認します。公共交通機関を使用する場合は乗車場所の確認や支援依頼のための事前連絡などが必要となります。 持参物品も人工呼吸器、吸引器などの医療機器類が多くを占めます。呼吸器のバッテリー耐用時間を確認し、外出時間により予備の外部バッテリーの準備、それ以上の時間を要する場合は携帯型の蓄電池を準備します。 また、外出先や外出時間によって支援者の人数がどの程度必要か、ご家族やヘルパーさんと相談します。 コミュニケーションの実際 まずは安全のために誰かを呼べる手段を確立します。手足が動けばスイッチやボタンを設置します。身体を動かせない療養者さんの場合、視線入力装置やピエゾセンサーを活用します。中には呼吸器のアラームを鳴らしてコール代わりにする方もいます。 近年は、さまざまなコミュニケーション手段が増えましたが、ケア中は処置をしながらコミュニケーションをとることが多く、原始的な透明文字盤や口文字盤を活用します。ただ、ALSの療養者さんの場合、病状が進行すると眼球の動きを捉えづらくなります。療養者さんがよく希望されることをまとめた文字盤に切り替えますが(図7)、それも難しくなると「はい」「いいえ」で微かに反応のある方で意思確認を行います。表情や呼吸数、Vt、脈拍などの変化から普段と違う「何か」を読み取ります。 コミュニケーション手段を活用できない療養者さんの意思を汲み取るため、それまでの関係性から、「この場面ではこれを希望することが多かった」「このような反応を示していた」など、推測することも多くなります。療養者さんと支援者の信頼関係の構築により成り立つコミュニケーションがとても大切になると感じています。 図7 文字盤の例 療養者さんがよく希望することをまとめてオリジナルの文字盤を作成している 執筆:温盛 由紀子あい訪問看護ステーション平尾 所長監修:森下 裕地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター呼吸ケアセンター センター長竹川 幸恵地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター呼吸ケアセンター 副センター長編集:株式会社照林社 【引用文献】1)芝崎伸彦,小西かおる,宮川哲夫.「長期人工呼吸、合併症とその対応(ALSの気管拡張に着目して)」.日本難病看護学会誌 2021;25(3):226-229.2)清水俊夫.「筋萎縮性側索硬化症の代謝異常と栄養療法」.神経治療 2022;39(1):22-26. 【参考文献】〇山本美保.「TPPV管理中の呼吸状態のアセスメントとケア」.みんなの呼吸器Respica 2022;20(6):795-801.〇本間武蔵.「支援経験での気づき」.難病と在宅ケア 2021;26(12):32-36.

咳が止まらない原因とは?長引く咳の種類・対処法・病気の可能性を解説
咳が止まらない原因とは?長引く咳の種類・対処法・病気の可能性を解説
特集
2024年11月26日
2024年11月26日

咳が止まらない原因とは?長引く咳の種類・対処法・病気の可能性を解説

「咳がなかなか止まらない」「咳で夜も眠れない」など、長引く咳に悩む人は少なくありません。咳が続くと睡眠不足になったり仕事や育児などに支障をきたしたりと、日常生活にも影響を及ぼします。原因に応じて適切に対処することで、つらい咳を緩和したり症状を抑えたりすることができるかもしれません。 本記事では、咳の原因や対処法について解説します。訪問看護の利用者さんやご家族のアセスメントに役立てるために、ぜひ最後までご覧ください。 咳の分類や種類 咳は医学用語で「咳嗽(がいそう)」と言いますが、空気の通り道である気道内に貯留した分泌物や異物を気道の外に排除する生体防御反応のことを指します。咳は呼吸器の異常だけではなく、ほかの病気の症状として現れることもあります。ここでは咳の分類や種類について解説します。 持続期間による咳の分類 咳の持続期間による分類では、3週間未満を急性咳嗽、3週間以上8週間未満を遷延性咳嗽、8週以上持続する咳を慢性咳嗽といいます。急性咳嗽や遷延性咳嗽の原因は感冒症状を含む上気道炎や咳だけが残る感染後咳嗽が多くを占めますが、持続期間が長くなるにつれてその割合は低下します。慢性咳嗽では、咳喘息、胃食道逆流症(GERD)、慢性気管支炎、アトピー咳嗽など感染症以外の疾患が主な原因です。 咳の種類:乾性咳嗽と湿性咳嗽 ■乾性咳嗽痰がからまない、あるいは少量の痰がからむ乾いた咳のことを「乾性咳嗽」や「空咳(からせき)」と呼びます。乾いた咳は下記のような原因で発生します。 風邪やウイルス感染        初期症状として乾いた咳が多くみられ、進行すると痰がからむ場合も。咳喘息呼吸困難感を伴わず、呼吸機能はほぼ正常なことが特徴。季節の変わり目や梅雨時、寒い時期、運動している時などに咳が誘発されることが多い。夜間や早朝に悪化しやすく、咳の持続期間は8週間以上。アレルギー性疾患花粉やハウスダストなどによるアレルギー症状として、乾いた咳が出ること。GERD(胃食道逆流症)胃酸が逆流して気管に刺激を与え、乾いた咳を引き起こすことも。 ■湿性咳嗽痰のからむ咳は、「湿性咳嗽」と呼ばれ、喉や気管支に溜まった痰を排出するために起こります。咳をすることで痰のからみが取れると喉がスッキリすることも。痰の色や量は、原因となる病気によって異なります。 肺炎感染によって肺に炎症が生じ、黄色や緑色の膿のような痰が出ることも。  気管支拡張症気管支が異常に拡張し、膿性の痰が多量に出ることが特徴。COPD(慢性閉塞性肺疾患)  特に喫煙者に多く、慢性的に痰がからむ咳がみられる。   自分でできる止まらない咳の緩和・対処法 咳は、適切に対処することで緩和できる場合があります。特に高齢者は咳のしすぎが原因で肋骨が折れるリスクもあり、適切な対処がより一層重要です。夜に咳の症状が悪化して眠れない場合の対処法も知っておきましょう。 禁酒・禁煙 タバコの煙は気道の粘膜を刺激し、咳を引き起こす原因となるほか、痰の分泌量を増加させます。禁煙することで、気道の炎症が抑えられて咳が軽減するでしょう。また、アルコールは体を脱水状態にし、喉の粘膜を乾燥させるため、咳を悪化させることがあります。禁酒を心掛けることで喉の乾燥を防ぎ、咳の頻度を減らす効果が期待できます。 市販薬の使用 市販薬の鎮咳薬や去痰剤などを使用することで、咳の症状を緩和できる可能性があります。乾いた咳には鎮咳薬、痰がからむ咳には去痰薬が推奨されます。 たとえば、乾いた咳が止まらない場合には「デキストロメトルファン」などを含む鎮咳薬が有効です。一方、痰がからむ咳には「グアイフェネシン」などを含む去痰薬が有効です。使用する際は、用法・用量を守り、自己判断での長期使用は避け、早めの受診を検討しましょう。 こまめな水分補給 こまめな水分補給は、咳の緩和に効果的です。特に咳が出る時は喉の粘膜が乾燥しがちで、さらなる咳を引き起こすことがあります。水分をしっかり補給することで、喉の潤いが保たれます。 腹式呼吸を心掛ける 咳で呼吸が苦しくなる場合、腹式呼吸を取り入れることで、呼吸が楽になり、咳の頻度を減らせる場合があります。腹式呼吸は、横隔膜を使って深く呼吸する方法で、胸式呼吸よりもリラックス効果が高く、肺に負担をかけずに酸素を取り込むことができます。 腹式呼吸の方法は下記のとおりです。 背筋を伸ばすまず、姿勢を整え、背筋をまっすぐに伸ばします。座っている場合でも立っている場合でも、体の軸を意識してリラックスしましょう。鼻からゆっくり息を吸う鼻からゆっくりと深く息を吸い込みます。この時、おへその下にある丹田(おへその下5㎝ほどの位置)に空気を溜めるようにイメージして、お腹を自然に膨らませます。 口からゆっくり息を吐く次に、口からゆっくりと息を吐き出します。お腹をへこませながら、体の中の悪いものをすべて吐き出すイメージで行います。吸った時の倍くらいの時間をかけるのがポイントです。 回数とペース最初は1日5回ほどから始め、慣れてきたら10〜20回を目安に続けます。その日の体調に合わせて無理なく行い、リラックスしながら楽しむことが大切です。 湿度と温度を最適にする 咳が出やすい夜は、寝室の環境を適切に調整することも重要です。室内の湿度が低いと気道が乾燥し、咳が悪化する原因となります。また、室温が低すぎると体が冷え、免疫力が低下して症状が悪化することもあります。エアコンや加湿器を使用して、温度を18〜28℃、湿度は40〜70%を維持しましょう。 のど飴・はちみつをなめる のど飴やはちみつをなめることで、咳や喉の痛みが和らぐ場合があります。また、はちみつは天然の保湿成分によって喉を潤すだけでなく、抗菌作用もあるため、風邪や咳による喉の不快感を軽減するのに役立ちます。 ただし、はちみつにはボツリヌス菌が含まれていることから、1歳未満の赤ちゃんが摂取すると乳児ボツリヌス症にかかるおそれがあります。1歳になるまでは与えてはいけません。 止まらない咳の原因とは? 咳が続く場合、呼吸器や消化器などの他の問題が潜んでいる可能性があるため、長期間続く場合は医師の診察を受けることが重要です。ここでは、止まらない咳の原因について解説します。 感染後咳嗽(かぜ症候群後咳嗽) 感染後咳嗽は、風邪をひいた後に残る咳のことで、感染後数週間から数ヵ月間にわたり咳が続きます。これは、喉や気道の粘膜がまだ回復しきれていないために起こります。通常は乾いた咳が特徴で、体がウイルスに感染した影響が続いていることが原因です。 咳喘息・気管支喘息 咳喘息は、咳のみが主症状であり、喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難がないタイプの喘息です。気管支が過敏になり、気温の変化やほこり、運動の影響などによって引き起こされます。気管支喘息は、咳に加えて呼吸困難や喘鳴がみられ、夜間や早朝に悪化する傾向があります。 >>関連記事咳喘息の症状チェックリスト 百日咳・気管支炎との鑑別や治療・対策 鼻炎・副鼻腔炎 アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が原因で、鼻水が喉の後ろに垂れ込んで咳を引き起こす「後鼻漏(こうびろう)」が発生します。この状態では、痰のからんだような咳が続くことがあります。 肺炎 細菌やウイルスによって肺に炎症が起きた状態で、咳とともに痰、発熱、倦怠感がみられることがあります。黄色や緑色の痰が出ることもあります。 肺がん 咳が長期間続く場合や、血痰が出る場合は肺がんの可能性も考えられます。初期症状は風邪の咳と似ていることが多いため、注意が必要です。 結核 結核は細菌感染による呼吸器系の病気で、特に長引く咳や、夜間の発汗、体重減少が特徴です。痰や血痰がみられることもあります。 逆流性食道炎 逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流し、喉や気道を刺激して咳を引き起こすことがあります。特に横になると症状が悪化することが多く、食後や寝る前に咳が出やすくなります。 慢性閉塞性肺疾患(COPD) COPDは喫煙などが原因で気道が狭くなり、慢性的な咳や息切れが続く病気です。痰がからむ咳が特徴で、特に朝方に強く出ることがあります。 アトピー咳嗽 アトピー体質の人にみられるアレルギー性の咳で、喘鳴や息切れはなく、長期間にわたって乾いた咳が続きます。アレルギー反応が原因となるため、抗ヒスタミン薬やステロイドが有効とされています。 咳が止まらない時の病院に行く目安 咳が続くと、風邪の延長かもしれないと様子をみることが多いですが、特定の症状がみられる場合には、早めに病院を受診することが重要です。咳が長引く背後には、深刻な病気が潜んでいる可能性もあるため、次のような状態があれば、速やかに医師の診察を受けましょう。 受診すべき状態 (1)咳・痰が2週間以上続く咳や痰が2週間以上続く場合、単なる風邪ではなく、気管支炎、咳喘息、肺炎、または結核や肺がんなどの深刻な病気が原因の可能性があります。通常の風邪は1~2週間で改善することが多いため、それ以上続く場合は注意が必要です。 (2)咳が徐々に悪化する咳がだんだんと強くなったり、頻度が増したりする場合、気道や肺に炎症が広がっている可能性があります。特に、気管支炎や気管支喘息、さらには肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、呼吸器系の疾患が進行している可能性があります。 (3)体重減少や食欲不振を伴う咳に加えて体重減少や食欲不振がみられる場合、全身的な疾患が進行している可能性があります。結核や肺がん、慢性の感染症、さらには逆流性食道炎などの消化器系の病気が原因となっていることも考えられます。 病院に行くべき症状 下記の症状は、重大な病気や身体の異常のサインの可能性があるため、早めに医療機関を受診することが大切です。 (1)血痰が出る血痰は、肺や気道に問題がある可能性を示します。肺炎、結核、肺がんなどの深刻な病気が原因となることがあります。 (2)息切れや呼吸困難呼吸困難は、心臓や肺に異常があるサインです。心不全、肺塞栓症、喘息、肺炎など命にかかわる病気の可能性があるため、速やかに診察を受けることが重要です。 (3)胸痛胸痛は心臓や肺、筋骨格系などの症状の場合があります。特に心筋梗塞や狭心症などは突然死にもつながるため、胸の痛みが続く場合や痛みが強い場合はすぐに受診しましょう。 (4)発熱が続く発熱が続く場合、体内で炎症が起きている可能性があります。インフルエンザや肺炎などの感染症だけでなく、がんや免疫系の病気の症状の場合もあるため、発熱が続くのであれば医療機関を受診しましょう。 (5)夜間に悪化する夜間に症状が強くなる場合、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器系の疾患が疑われます。特に夜間の発作は、睡眠中の呼吸機能の低下や心臓・肺の負担が増すことで、命にかかわる可能性があるため、早めに医師の診察を受ける必要があります。 (6)喘鳴が聞こえる喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという音)は、気道が狭くなっていることを示します。気道の炎症やアレルギー、喘息などが原因で起こることが多く、重篤化すると呼吸困難に陥る可能性があるため、早めの受診が必要です。 (7)全身の倦怠感全身の倦怠感は、さまざまな病気の前兆であることがあります。感染症、貧血、慢性疲労症候群、甲状腺機能低下症、がんなどが原因となることがあり、長引く場合は検査が必要です。 監修 白濱医師より   咳の原因がこれほど多岐にわたることに驚かれた方もいるかもしれません。数日の経過観察で治まらない咳には、さまざまな原因が隠れている可能性があります。咳の種類や持続期間によって、考えられる病気が異なり、適切な対処法も変わってきます。一人で悩まずに、近くの医師に気軽に相談をしてみてください。   編集・執筆:加藤 良大監修:白濱 龍太郎プロフィール筑波大学医学群医学類卒業、東京医科歯科大学大学院統合呼吸器学修了(医学博士) KKR東京共済病院呼吸器科、東京医科歯科大学附属病院呼吸器内科にて病棟指導医等を歴任、併せて都立豊島病院呼吸器内科、JAとりで総合医療センター呼吸器内科、JA北信総合病院呼吸器内科、中野総合病院呼吸器内科等で非常勤勤務を行う。それらの経験を生かし、2013年に、RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニックを設立。日本オリンピック委員会医科学強化スタッフ、TOKYO2020選手用医師、慶應義塾大学先端科学技術研究センター特任准教授、ハーバード大学公衆衛生大学院客員研究員などを兼歴任。現在、医療法人RESM理事長、順天堂大学医学部客員准教授、福井大学医学部客員准教授、武蔵野学院大学客員教授等を併任する。   【参考】〇新実 彰男.「第113 回日本内科学会講演会 結実する内科学の挑戦~今,そしてこれから~」『慢性咳嗽の病態,鑑別診断と治療―咳喘息を中心に―』日本内科学会雑誌.105巻9号.1565-1577〇日本呼吸器学会「気管支拡張症」https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/i/i-01.html2024/11/19閲覧〇日本医師会「腹式呼吸のやり方」https://www.med.or.jp/komichi/holiday/sports_02_pop.html2024/11/19閲覧〇厚生労働省「鎮咳去痰薬」https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/s0117-9d20.html2024/11/19閲覧〇厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html2024/11/19閲覧

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