多職種連携に関する記事

特集
2022年8月9日
2022年8月9日

利用者を通して実感する多職種とのつながり

新宿区一帯で在宅ケアを提供している事業所の有志が集まった「新宿食支援研究会」。「最後まで口から食べる」をかなえるために、日々、多職種での支援を実践しています。本研究会から、各職種の活動の様子をリレー形式で紹介します。第5回は、言語聴覚士の佐藤亜沙美さんから、連携で気づきを得た経験を紹介します。 在宅医療の世界へ 私は新宿にある訪問看護ステーションで働いている言語聴覚士(以下ST)です。 以前は急性期病院で働いていました。在職中、脳卒中で高次脳機能障害のみが残存してしまい、回復期病院にも転院できず不安を抱えたまま自宅退院される方。誤嚥性肺炎で入院後、ご家族へ食事指導をして退院となっても、再度誤嚥性肺炎を発症し入院される方。病院所属での力不足を感じることが多くありました。 縁があり、現在働いている訪問看護ステーションでSTを募集していると知り、在宅で働ければ私が感じていたモヤモヤは解消されるのではないかと思い、在宅医療の世界に仲間入りしました。 STへの需要に追いついていない 私が新宿で働きだした2015年、新宿区で常勤で働く訪問STはほかにいませんでした。現在でも、新宿区内全体(人口約33万人)で一桁しかいない状況です。需要に対し、供給が追いついていない現状です。 2022年4月、当社にSTが一人入職しましたが、1か月ほどで十数人分の枠が埋まりました。それだけST訓練を待っている方がいるのだと実感しました。 訪問で伺う利用者さんには、脳卒中後に自宅退院はしたものの、言語障害や高次脳機能障害に悩まされている人が多くおられます。そして病院で想像していたとおり、継続したリハビリを必要としていました。 誤嚥性肺炎を繰り返す事例では、病院でご家族に食事指導をしていましたが、実際食事を作り、介助していたのはヘルパーさんだったのかもしれないと、今の私なら考えることができます。 他職種との連携の実際 現在訪問しているALS(筋萎縮性側索硬化症)の方では、嚥下機能に合わせて、ヘルパー、管理栄養士とともに、理想の食形態を追求して調理方法を試行錯誤しています。 まず、訪問歯科の先生にVE(嚥下内視鏡)をやってもらい、食形態を決定します。食事の内容については、なるべく少量でも栄養が確保できるように、管理栄養士からアドバイスをもらっています。介入から2年が経ち、嚥下機能も徐々に低下がみられていますが、今のところ、誤嚥性肺炎や窒息などの問題は起きていません。 このように現在、他職種と連携して介入を行えるようになったのは、「新宿食支援研究会」に出会えたおかげだと思います。同会に参加させていただくようになったころは、まだ訪問に転職したばかりで、右も左もわからない状況だったので、他職種の方は何をしているのか、そして多職種連携の大切さをイチから教えてもらいました。 多職種連携については何となく知っていましたが、STとどんな連携ができるのか、そして他職種が何をやっているのかを細かく知ることで、私自身も視野が広くなりました。何より、私には解決できない問題があるときに、誰に頼ればよいのかがわかるようになりました。 以前の私なら気づけなかったかもしれない 在宅では、病院で働いていたときよりもたくさんの職種の方がいます。病院勤務時代は聞いたことがなかった職種もありました。新宿食支援研究会に参加する方だけでも30近い職種の方々がいます。そのそれぞれの仕事を知れただけでも、ご利用者様を助ける術が増えるのだと心強く感じました。 その一つとして、失語症の訓練で依頼が来たSさんの事例を経験しました。 初回訪問時、とても痩せている方だなと思い、体重の変化をご家族に確認すると、4か月で5kg体重が減少していたことがわかりました。食欲がなくなっているのは年齢的にしかたがないと思っていたとのことでした。Sさんは軽度の嚥下障害がありましたが、ご家族が作ってくれる食事を食べていたため、管理栄養士の力を借りて、食事内容を少量でカロリーがとれるように少し工夫し、間食で高カロリー食を摂取してもらいました。また薬剤師に確認したところ、副作用として食欲の低下がある薬剤を内服していたため、医師に相談し量の調整をしてもらいました。 体重は半年で4kgと少しずつですが増加し、以前よりもリハビリに対して意欲的になってきました。自分から散歩に行きたいと言うなど、体を動かすことが苦ではなくなってきたようだとご家族も嬉しそうでした。 恥ずかしながら以前の私なら、言語訓練のみに視点が向いてしまい、体重の変化には気づけなかったかもしれません。新宿食支援研究会に参加してよかったと思えた一例です。 「食べる」リハビリに密接にかかわるST 福祉系の方やご家族から、いまだによく聞かれることがあります。「STって何をしてくれるんですか?」と。 STは言語訓練をする人、摂食・嚥下訓練をする人などのイメージはあると思います。食べることは、生きていくうえで大事なことですよね。しかし栄養をとるだけが「食べる」ではないと思います。 家族と食べる、おいしく食べる、外食をする、旅行先で地元のものを食べるなど、「食べる」から連想されることはいろいろあると思います。でも、そのためには、いすに座る、口腔内を清潔に保つ、食事を食べる体力がある、などさまざまな条件が整わないと「食事」はできないのです。 ST一職種だけではどうにもできないこともたくさんあります。そんなとき、他職種の手を借りることの大切さを学びました。食べること、栄養、お口の中、何か困っていることがあれば、ぜひSTにご相談ください。 ー第6回へ続く 執筆佐藤亜沙美言語聴覚士訪問看護ステーションリカバリー・新宿食支援研究会記事編集:株式会社メディカ出版

特集
2022年8月2日
2022年8月2日

訪問看護で口腔ケアを行う新しい看護のありかた

新宿区一帯で在宅ケアを提供している事業所の有志が集まった「新宿食支援研究会」。「最後まで口から食べる」をかなえるために、日々、多職種での支援を実践しています。本研究会から、各職種の活動の様子をリレー形式で紹介します。第4回は、訪問看護師の飯塚千晶さんから、口腔ケアを通した多職種とのつながりを紹介します。 訪問看護師は一人ではなかった 看護師の多くは在宅の現場へ飛び込む勇気がないと、よく耳にします。私も実際、以前は大学病院で勤務していました。父の死をきっかけに訪問看護の扉を開きましたが、働く前は、一人で動く不安やプレッシャーなどマイナスの要素ばかり感じていました。 ですが実際に働いてみると、訪問の場は確かに看護師一人かもしれませんが、実は周りには多くのサポーターがいます。 医師をはじめ、ケアマネジャー、歯科医師、ヘルパー、リハビリ専門職、福祉用具専門相談員、管理栄養士などなど……。相談できる専門職や窓口がたくさんあります。一人で背負う必要はなく、患者さんを取り巻くチーム全体で患者さんの生活を支えていく仕事です。 新宿食支援研究会との出会い 私は2018年2月、「訪問看護ステーションやごころ」を設立しました。看護師の母と妹と3人で立ち上げましたが、一緒に働くのは初めてだったので、各々のケアや考えの違いを改めて知りました。 一つの例として、私は大学病院では頭頸部外科・口腔外科に所属していたので、口腔内を観察することは、日々当たり前でした。しかし、整形外科に所属していた妹は口腔内観察という概念がなく、ほかの看護師でも口腔内観察をするという習慣はごく一部だということです。 私が新宿食支援研究会と出会ったのは、その年の8月でした。患者さんを通して知り合ったケアマネジャーさん、福祉用具専門相談員さんから「この会には看護師が少ない。一度参加してみてはどうか?」と声を掛けてもらいました。 看護師へ口腔ケアを広めたい この会は「最期まで口から食べる街づくり」を目的に多職種間での意見交換等行っています。当初私が参加した時期でメンバーは160名ほど、うち看護師は私を含め3名程度とかなり少なく、それは今も変わりません。 何を目的に、何をしているのか、わからないまま参加したところ、そこには歯科医師の五島朋幸先生がいらっしゃいました。歯科医師と話す機会がほぼなかったため、五島先生と知り合い、「看護師へ口腔ケアを広めたい」と伝えたことがきっかけで、現在に至ります。 今、私は新宿食支援研究会で、看護師のための口腔ケアについて考えるワーキンググループのリーダーを務めています。毎月検討会を行い、そこには看護師や歯科医師、歯科衛生士、ケアマネジャーなどが参加し、事例を通して学びを深めています。 コロナ禍以降、リモートで開催するようになると、全国から参加してくださるかたも増えました。 看護師以外の視点で気づきを得る 新宿食支援研究会に所属したことで、新宿区内の事業所(訪問診療、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所など)のかたと多く知り合うことができました。患者さんを通して、看護師の視点だけでなく、各々の視点からの意見を取り入れることで、新たな気づきを得ることができました。 看護師だけの意見では偏りが大きいため、ぜひ周りの関係者に頼ってみてください。なぜなら看護師はプライドが高く、自分たちの意見を押し通す傾向にあります。その選択が本当に正しいのか、振り返るためにも大切だと思います。 そして私は管理者として、多職種とつながるメリットは、頼り頼られる関係ができることだと思います。 看護師としてはプロフェッショナルですが、そのほかの領域においては素人同然。聞くことが恥ずかしくてなかなか表に出せないこともありますが、新宿食支援研究会で出会った人たちには気軽に質問したり相談されたりする関係性があり、それが日々の悩みを解決してくれます。ときには事業所内に向けた研修を無償で行ってくれることもあり、この会ならではの協力体制ではないかと思います。 多職種との距離を縮める機会を 皆さんが働いている場所でもこのような地域連携の場があれば、「看護師なのに知らないと思われる」などと躊躇せず、ぜひ参加してみてほしいと思っています。 看護師は日々の業務で忙しく、なかなか外部の場に参加することが難しいですが、一歩踏み出すことで新しいコミュニティが開け、仕事の依頼につながることも多いです。在宅では看護師は「怖い」「冷たい」「厳しい」などと思われがちです。積極的に参加し、多職種との距離を縮めることが重要ではないかと感じます。 口腔ケアと観察で全身の疾患や栄養への気づきもある  人工呼吸器を装着されている利用者さんに口腔ケアを行う様子 定例のリモートによるワークショップの様子PC上で全国から月1回夜、10数人の参加者が事例検討を中心に行っている  事例紹介 新宿食支援研究会の、患者さんへの介入事例を紹介します。 Aさん、80歳代女性。舌癌末期、独居 下顎に腫瘍が浸潤し滲出液が多く、連日の処置を要している 介入当初は歯も数本あり、咀嚼も問題なく、大好きなお寿司などを摂取していました。しかし1か月しないうちに、下顎骨が露呈しはじめました。疼痛も強くなり、大好きなお寿司も食べることができなくなり、本人の気持ちも沈みがちになりました。 この患者さんの状態を、新宿食支援研究会で毎月行っている症例検討会で議題に挙げ、口腔内の注意点や今後行うべきことなどを話し合いました。感染に注意すること、疼痛コントロールを重点的に、という意見をもらえ、翌日には訪問診療医・ケアマネジャー・ヘルパーへ伝達しました。 連日介入しているヘルパーと看護師で、口腔内の清潔保持に努め、感染を防ぐために、優しくゆっくりとケア(軟毛ブラシ・不織布ガーゼ・保湿剤を用いて)を行いました。ヘルパーには直接指導を実施。訪問診療では早急にオピオイドを導入し、疼痛緩和につながりました。 疼痛コントロールと口腔内感染の予防ができたことで、食事への意欲がまたわき上がってきました。 亡くなる1週間前、「お寿司が食べたい」と希望がありました。ヘルパーが出前を取り、まずは見た目を楽しんだ後、一口大に刻んだお寿司を口に運び、味わうことができました。飲み込みまではいきませんでしたが、食べたいという意欲を再燃できたことが、介入チームにとって、とても大きな喜びとなりました。 多職種でつながることでのパワー このように、病院とは違い、在宅では外部の力を知り、職種ごとの役割を発揮して、協力して、実践していくことがとても重要です。協力することでわれわれの力が存分に発揮できると考えています。 一人では何も生まれませんが、多職種とつながることで何倍ものパワーになり、患者さんへのサポートとなります。 看護師としての知識を持ちながら、周囲への意見に聞く耳を持ち、立場を変えて思い考えることがとても大切だと思います。 ー第5回へ続く 執筆飯塚千晶訪問看護ステーションやごころ管理者新宿食支援研究会訪問看護師 記事編集:株式会社メディカ出版

特集
2022年7月26日
2022年7月26日

在宅訪問管理栄養士が支える地域の栄養

新宿区一帯で在宅ケアを提供している事業所の有志が集まった「新宿食支援研究会」。「最後まで口から食べる」をかなえるために、日々、多職種での支援を実践しています。本研究会から、各職種の活動の様子をリレー形式で紹介します。第3回は、管理栄養士の稲山未来さんから、在宅訪問管理栄養士の活動を紹介します。 単独で在宅訪問する管理栄養士の仕事 皆さんは在宅の患者さん・利用者さんの栄養課題に気づいたとき、また食や栄養について相談を受けたとき、どのように対応していますか? 訪問看護事業所における食事・栄養支援状況の調査1)によると、回答が得られた事業所のうち、「利用者から食事・栄養相談を受けたことがある」と答えた事業所は100%、その相談に「その場で即答できる」としたのは約30%、即答できない場合の対処法としては、「同僚看護師に相談」「インターネットで検索」が上位を占め、「管理栄養士に相談」と返答した事業所はわずか18%でした。 管理栄養士としては少し寂しい結果ですが、この結果は、管理栄養士が訪問看護事業所と連携することで、いっそう利用者さんに貢献できることを示唆しているように感じます。 訪問看護師のみなさんには、「訪問管理栄養士に相談する、そして依頼をつなぐ」という方法があることを、ぜひ覚えておいていただければ嬉しいです。 在宅訪問栄養食事指導 在宅訪問栄養食事指導とは、在宅に訪問し、利用者の栄養食事指導を行うサービスのことです。利用者の状況によって、医療保険または介護保険(介護保険では居宅療養管理指導)で支援を行うことができます。 対象となるのは、栄養学的な課題をかかえている人です。糖尿病や腎臓病などの慢性疾患に対して管理が必要な人、低栄養状態、摂食嚥下障害の人が挙げられます。 どのように介入が始まるか 在宅訪問栄養食事指導の介入依頼は、居宅介護事業所のケアマネジャーからの場合が多いですが、訪問看護師から依頼されることもあります。私は歯科医院に勤務しているので、所属先の歯科医師から依頼を受けることもあります。 管理栄養士が行う栄養指導については、療養上の管理を行う主治医から指示を受けるルールです。ですから、依頼があれば、まずは主治医に栄養介入の必要性があるかを確認し、指示栄養量や病歴などの情報を得てから介入がスタートします。 具体的にどんな介入をしているの? 多く受ける依頼は、体重減少傾向の高齢者に対して栄養強化をしてほしいという内容です。補助食品の選定、また家族やヘルパーへの買物・調理指導、献立の提案など、その人の課題や生活環境に合わせた支援を行います。 また、歯科医師からは、摂食嚥下障害がある人への嚥下調整食指導の依頼が多いです。嚥下調整食の指導では、調理を担当される人に、適切な嚥下調整食の調理ポイントをお伝えします。 これら以外にも、糖尿病や腎臓病、脂質異常症など、対象となる疾患は多岐にわたります。共通していえることは、いつまでも食を楽しむための環境調整を行っているという点です。 家族への嚥下調整食指導の様子(左側のテーブル手前に利用者さんが在席中) 嚥下機能確認のため嚥下音の確認 管理栄養士介入のメリットって何? 管理栄養士の介入によるいちばんのメリットは、利用者の栄養状態が改善することによるQOL向上です。実際に多くの事例で栄養状態が改善し、体重が増加するなどの効果が出ています。 また、それだけではなく、関連職種にとっても良い効果があります。 前述したように訪問看護師からは食事・栄養相談を受ける機会が多いですが、訪問時間は限られていますよね。特に在宅高齢者においては栄養課題がさまざま、解決を妨げる障害もさまざまで、対応には想定以上に時間がかかってしまうものです。食や栄養の課題には管理栄養士の手を借りることで、看護師は看護ケアに専念できるのではないでしょうか。 たとえば嚥下調整食の指導などに関しては、管理栄養士であれば、家族やヘルパーの調理時に同席して、調理実演を行うことができるので、より効率的かつ的確に指導を行うことが可能です。 訪問看護師との連携例 あるとき私は、歯科医師から、進行性難病で摂食嚥下障害を持つ人への介入を依頼されました。 その人は、摂食嚥下障害のため、経鼻経管栄養で栄養補給を行っていましたが、歯科医師の介入で摂食嚥下機能が改善してきていました。歯科医師から、一日1回の経口摂取を始めましょうと指示が出たことにより、まずは昼食の提供が始まりました。 ヘルパーが作り置きした料理を、訪問看護師が見守るもとで、本人が自己摂取します。経口摂取開始当初は刻み食を召し上がっていましたが、やがて咀嚼機能が改善し、ペースの配慮さえすれば常食を摂取できるようになりました。 ここで課題になってくるのは、どのくらいの量を食べてよいのかということです。経口摂取は昼食のみの一日1食のため、経鼻経管栄養も継続中です。 管理栄養士は主治医と連携をとり、低栄養傾向であるその方に対しては、徐々に体重増加を目指せるような目標エネルギー量を設定し、栄養剤で不足する分を経口から摂取する方針となりました。経口での摂取エネルギー量は一食あたり400~500kcalを目安に、それ以上食べられるようになったら、経管栄養剤を減量するという対応です。 その方針を、本人やご家族、訪問看護師にも伝えます。管理栄養士は、食事時間に訪問看護師とともに同席し、ご自身のふだんの食器を使って、400~500kcalの食事がどの程度の量なのかをお伝えしました。いつも同じ食器に同じくらいの量を盛り付けることで、目標エネルギー量に均一化できます。 看護師との連携により、経口摂取による目標エネルギー量を安定して充足できたため、ご利用者様の体重は徐々に増加し、栄養状態も改善に向かいました。 ある日の昼食 新宿食支援研究会から学ぶ多職種連携 多職種連携において大切なことは、チームメンバーの仕事と役割を知ることだと考えています。 新宿食支援研究会には、食支援にかかわる人が、一般・専門職問わず多く在籍しています。同一職種が集まり専門性を高めあうスタディグループもあれば、多職種でお互いの事例相談を行うグループもあります。 意見交換により他の職種が抱える課題を知ることは、自分の専門性を生かすポイントを見つけるきっかけにもなります。そして自分自身にとっては、困ったときに誰に何を相談すべきなのかが明確になるので、より円滑なチーム連携につながります。 どのように管理栄養士と連携するのか 在宅訪問管理栄養士は地域によってはまだまだ少なく、「連携をしようと思ってもどこにいるのかわらない」という声を頂くことがあります。そんな場合は、活動地域の都道府県栄養士会に問い合わせてみてください。都道府県栄養士会は訪問管理栄養士の情報を多く持っているので、訪問可能な管理栄養士を探すことができます。 訪問看護師と管理栄養士の連携はまだまだ少ないですが、よりよい連携が増えることを期待したいですね! ー第4回へ続く 執筆稲山未来(管理栄養士)ふれあい歯科ごとう所属・新宿食支援研究会 記事編集:株式会社メディカ出版 【参考】1)東本恭幸ほか.在宅医療における食事・栄養支援の現状と課題:訪問看護事業所への質問用紙調査から. 『日本在宅医療連合学会誌』1(1),2019,22-30.

特集
2022年7月19日
2022年7月19日

地域食支援の実践

新宿区一帯で在宅ケアを提供している事業所の有志が集まった「新宿食支援研究会」。「最後まで口から食べる」をかなえるために、日々、多職種での支援を実践しています。本研究会から、各職種の活動の様子をリレー形式で紹介します。第2回は、前回に続いて本研究会代表の五島先生(歯科医)から、研究会の活動について紹介します。 歯科医の私でも想像すらしていなかった 「口から食べることが難しくなる」ということは、一般の人には想像しにくいことです。私自身、歯学部で学んだ6年間、卒業後に歯科医師として勤務していた5年間は、想像すらしていませんでした。もちろん、入れ歯の不調で食べられない人はいましたが、それは入れ歯の問題としてだけ考えていましたから。 ですから、訪問診療を開始して、噛めない人・飲み込めない人・食べようとしない人と初めて接したときは衝撃でした。そして、口から食べられない理由が多くあることも初めて知りました。 「口から食べられない」には多職種の関与が必要 口から食べられない理由は大きく3つ。環境、機能、認知の問題です。 環境面は、口の状況だけではなく、食べるときのいすやテーブル、食事姿勢、食具など、多岐にわたります。 機能面では咀嚼、嚥下、さらには胃腸の状態など全身状態も関与します。 認知面では、食事そのものの認知も含めて、食べる雰囲気づくりが必要になってきます。 そうなんです。口から食べられない問題は多岐にわたるので、歯科やSTだけでなく、多くの分野のプロフェッショナルの関与が必要になるのです。これが、多職種による食支援なのです。 新食研は小チームの集合体 そこで、2009年に新宿食支援研究会を立ち上げました。最初は15名ほどでスタートしましたが、10年以上の月日を経て、現在23職種、160名が所属しています。医療、介護の専門職のみならず、食品メーカーや車いすメーカーの方なども参加しています。 これだけの人数が、定例的に集まって何かをディスカッションしている……わけではありません。多いときは20以上のワーキンググループがあり、5~10人程度の小クラスで、それぞれテーマを持ってミーティングを開催してきました。 たとえば、食事姿勢を考えるチーム、食事動作を快適にする食具開発チーム、地域の宅配弁当サービスをより良くするチームなど。その集合体が、「新宿食支援研究会(新食研)」なのです。 他所属連携の試み 「地域食支援チーム」などというと、病院のように、医師・看護師・セラピスト・栄養士などが集う一つのチームがあり、そのチームで患者に相対するイメージが多くみられます。そのようなことは地域では不可能です。東京都新宿区では、在宅主治医が数百名単位、訪問看護ステーションが50か所、介護事業所が100か所以上あります。このような単位で、一つのチームづくりを考えるのはナンセンスです。 そこで重要なのは「他所属連携」です。 地域で多職種が集うケースでは、他所属が基本になります。所属も職種も違えば勤務時間も形態も異なります。さらには辞職や移動などもあります。このような状況で永続的なOne Teamを目指すことはできません。だからこそ、意識の高い専門職をその地域で多く作り出すことが不可欠になってきます。 新食研は、まさにそのような人材づくりの場なのです。 地域単位での多様な連携で結果を出す 「他職種連携」「多職種連携」という言葉があります。私は次のように定義しています。 他職種連携は、「各現場(患者)で、必要な職種が集い、連携をとりながら結果を生み出すこと」。 多職種連携とは「地域単位で多くの職種が交わり、多様な連携を行うことで多彩な結果を残していくこと」。 新食研はまさに多職種連携であり、その連携があるからこそ、各現場で「他」職種連携をして結果を出していけるのです。 モットーはMTK&H® 新食研の活動は、現在コロナ禍のため、オンラインやハイブリッドでワーキンググループを開催しています。このような体制になり、新食研はニ方向の大きな流れを作りました。一つは、知識・技術を高めていくこと。もう一つは地域(新宿)のネットワークづくりです。 知識・技術を高めるグループは、地域の垣根をつくることなく、新宿にこだわらずオープンな企画として開催しています。地域のネットワークづくりとして、社会福祉協議会や地元のボランティア団体とも交流を始めました。食支援が必要になったとき、一般市民と専門職とのマッチングができることを目標としています。 さて、このような地域の食支援を考えるとき重要なことは、必要な人に食支援を届け、結果を出すことです。そのためには「食や栄養に異常がある人を見つける人」「適切な支援者につなぐ人」そして「結果を出す人」を、地域でつくりつづけることです。そのために専門職は、食や栄養の知識・意識を、地域に広めていかなくてはなりません。 新食研では「見つける(M)、つなぐ(T)、結果を出す(K)、そして広める(H)」(MTK&H®)をモットーにして活動の根幹にしています。 訪問看護師が見つける、つなぐ、結果を出す、そして広める 新食研の活動のなかでも重要なポジションにあるのが、「訪問看護師による口腔ケアの実践」チームです。毎回、症例をみながら歯科関係者を交えてディスカッションを行っています。 在宅医療を受けるようになると、歯科に受診できないケースが多くなります。まだまだ訪問歯科は地域活動としてマイナーで、多くの人が受診できる体制はありません。この状況で、在宅医療の中心となる訪問看護師が、口の状況を確認し、口腔ケアを実践し、必要なときは訪問歯科につなげていく。まさにMTK&H®なのです。 残念ながら、在宅医療者は、食や栄養に対する意識が高いとはいえません。しかし、このような活動を通して早期に異常を見つけることで、回復する高齢者も多くなるでしょう。訪問看護は、在宅医療のみならず、地域食支援の核なのです。 ー第3回へ続く 五島朋幸ふれあい歯科ごとう新宿食支援研究会代表 新宿食支援研究会ポータルサイトhttps://shinshokuken.com/ 記事編集:株式会社メディカ出版

特集
2022年7月12日
2022年7月12日

「最後まで口から食べる」をかなえるために

新宿区一帯で在宅ケアを提供している事業所の有志が集まった「新宿食支援研究会」。「最後まで口から食べる」をかなえるために、日々、多職種での支援を実践しています。本研究会から、各職種の活動の様子をリレー形式で紹介します。第1回は、本研究会代表の五島先生(歯科医)です。 訪問歯科をご存じですか 皆さんは訪問歯科の存在をご存じでしょうか。 20年以上訪問歯科診療を実践してきた者としては、「実践してくれる歯科医師が増えたなぁ」と思ってしまいますが、社会的にメジャーとは、まだ言い切れません。しかし、今後も続くわが国の高齢化を考えると、訪問歯科は在宅高齢者を支える重要な一つのキーになるはずです。 私が訪問歯科を始めたきっかけ 私が東京都新宿区で訪問歯科診療を始めたのは、1997年です。偶然知り合った訪問の内科医に、「在宅医療の現場に歯医者さんがいないんです」と言われました。最初は興味本位でその医師に同行訪問し、見学をしました。 そこで出会った皆さんは全員、入れ歯を外され、食べられるものだけ食べる、食べられなかったらミキサーにして飲む、ダメだったら点滴、ダメだったら鼻からチューブ、ダメだったら死ぬ……という世界でした。 歯科医師としてはとても悔しい現実を目にして、「私が外された入れ歯を入れに行きます!」と宣言したのが訪問歯科を始めるきっかけでした。 役割が加わっていった 最初は入れ歯の修理・調整から始めたのですが、当時話題になっていたのが「口腔ケアによって誤嚥性肺炎が予防できる」ということでした。誤嚥性肺炎は当時も現在も、高齢者の死因の上位にランクインしています。そこで、訪問歯科診療の役割として口腔ケアも加わりました。 時を同じくして、摂食嚥下障害のリハビリテーションが話題に上がってきました。まだまだ新しい学問で、私自身は大学でも学んでいませんでした。しかし、現実問題として口から食べられない人は多くいました。入れ歯を治しても飲み込めない人や、飲み込むとむせる人。外来診療では見たことのないような現実がありました。そこから、摂食嚥下障害に関して学ぶようになりました。 訪問歯科の三つの軸 現在、訪問歯科診療には三つの軸があります。歯科治療、口腔ケア、そして摂食嚥下障害への対応です。 歯科治療に関しては、各医院によって装備が異なるので、できる範囲が異なります。歯科診療室とまったく同じように診療できる体制をとっているところもありますが、器材の用意がない場合もあり、すべてが院内と同じ診療ができるわけではありません。ただ、訪問歯科診療の依頼で最も多いのが入れ歯に関するものなので、入れ歯の調整に関してはどの医院でも対応可能です。 保険診療の訪問歯科 保険診療で訪問歯科の対象者は、通院が困難な患者さんと定められています。診療場所は、施設や居宅に限られ、通所(デイサービスやデイケアなど)では行えません。 よく「どうすれば訪問歯科診療に来てもらえますか」と尋ねられます。 依頼方法としては、直接訪問歯科診療を実施している歯科医院に連絡してもいいですし、わからなければ地域の歯科医師会に連絡すると紹介してもらえます。地域によってはケアマネジャーが情報を持っているので、介護保険を利用している方は聞いてみるといいでしょう。 口腔ケアの意義 口腔ケアのいちばんの問題は実施体制です。介護保険の居宅療養管理指導として、歯科衛生士が訪問できるのは、月に4回です。週1回のペースでしっかりケアができたとしても、それ以外に誰もケアをしなければ、十分な効果は期待できません。本人の自立度、各家庭の介護力によって大きく異なります。だからこそ、訪問看護師やホームヘルパーにも、その意義と技術を知ってほしいと思います。 口腔ケアは誤嚥性肺炎を予防することで注目されましたが、効果はそれだけではありません。口腔ケアには二つの意義があります。一つは細菌を除去すること。もう一つは、しっかりと口を刺激することです。 口腔内細菌には、肺炎の起因菌や、ウイルス感染をしやすくする細菌も存在します。口腔ケアをすることによって、これらの細菌数を抑えていきます。 口腔内をないがしろにすることによって、むし歯や歯周病が進行することはもちろん、味覚低下にもつながります。これらはすべて、食の機能低下、意欲の低下につながります。 口から食べられない人こそ、しっかりとした口腔ケアが必要 ここで一つ、覚えておいてもらいたいのは、口腔ケアのほかにも、口腔内細菌を減少させられるものがあります。それは、しっかり噛んで食べることです。噛むことで唾液が分泌され、細菌を食物と一緒に消化していきます。ですから、しっかり噛んで食べることができなくなった人は、口腔ケアでそれを補っていかなくてはなりません。 また、口腔内を刺激することによって、飲み込みの反射が良くなることがわかっています。飲み込みの反射が良くなるということは、誤嚥を予防する効果があるということです。 口腔ケア自体は誰もがやらなければならないものです。しかも、口から食べる機能が低下した人ほど、しっかりとしたケアが必要になります。 かなり昔の話ですが、ある病院の病棟で口腔ケアをしているとき、主治医から「口から食べていないんだから歯磨きはいらない」と声を掛けられたことがあります。もう皆さんはおわかりですね。口から食べていないからこそ、しっかりとケアをして細菌を除去し、しっかり口腔内を刺激して誤嚥を予防することを考えなければならないのです。 訪問歯科診療を実践して、歯科が食に近い存在だということに初めて気づきました。そして、地域には、口から食べることに問題がある人が多くいることも知りました。 ー第2回へ続く 五島朋幸ふれあい歯科ごとう新宿食支援研究会代表記事編集:株式会社メディカ出版

特集
2022年5月2日
2022年5月2日

退院前カンファレンスってどんなことするの?

退院前カンファレンスに参加されたことがありますか?参加したことがある人は気づいているかもしれませんが、退院前カンファレンスは、それぞれの医療機関や対象患者様、参加する構成メンバーによって内容が様々です。 そのため、スタンダードな退院前カンファレンスはどんなものなのか、感覚が掴みづらいという人も多いのではないでしょうか。 退院前カンファレンスを開催する目的や大まかな進行内容は基本的には同じです。ここでは退院前カンファレンスの基本的な概要にご説明します。 ポイントを掴んで、退院前カンファレンスで有益な情報を得ることができるようにしましょう。 退院前カンファレンスの目的とは? 退院前カンファレンスは、退院予定の患者様で、自宅での療養に在宅サービスを利用する必要のある場合に開催します。カンファレンスを開催する目的として、2つ挙げることができます。 一つ目は、入院医療機関が持っている患者様の情報を、直接在宅サービスの担当者へ情報提供することです。自宅にて訪問看護などの在宅サービスを利用する際に必要な情報について、直接顔を合わせて情報交換することができます。顔の見える連携が取れると、退院後にわからないことがあった場合でも、直接問い合わせがしやすくなります。 2つ目の目的としては、患者様、家族への安心感の提供です。事前に病院に来て、医療機関から訪問看護の担当者を紹介することで、患者様、家族が安心するということがあります。会ったことがない人に自宅で初めて会うというのは誰でも抵抗感があることです。 また、スタッフ同士が連携している様子を患者様、家族に見てもらうことにより、しっかりと情報交換ができて連携ができているのだと実感してもらえます。それが患者様、家族と在宅サービス担当者との信頼関係の構築と在宅療養への安心感に繋がります。 誰が参加するの?主催は? ほとんどの場合、退院前カンファレンスを主催するのは、入院している医療機関の医療ソーシャルワーカーです。医療ソーシャルワーカーが院内の関係職種や在宅サービスの担当者へ連絡し、カンファレンスの日程調整をします。 院内の関係職種については、対象となる患者様を担当している医師、病棟看護師、リハビリスタッフ、薬剤師、栄養士、地域連携関係部署の退院調整看護師、医療ソーシャルワーカーといったメンバーです。 在宅サービスからのメンバーとしては、在宅医、訪問看護師、ケアマネージャー、調剤薬局の薬剤師、歯科医師、歯科衛生士、訪問リハビリスタッフ、訪問ヘルパーなどです。必要に応じて、利用するデイケアやデイサービスの担当者や福祉用具業者、医療機器業者なども参加することもあります。 また、患者様、家族がカンファレンスに参加してもらい、希望や意見を聞いたり、医療機関側と在宅サービス関係者の連携の様子を見てもらったりします。 退院までの間に、これだけの人数を集めてカンファレンスをするには、日程調整が難しい場合もあり、すべてのメンバーが集められないこともあります。その時には、記録を作成し、患者様、家族に了解を取った上で、記録を各担当者へ送り情報共有を図ります。 退院前カンファレンスの内容は? 退院前カンファレンスの内容は、病気や治療、症状のコントロールに関すること、病棟での看護状況、リハビリの内容、処方内容や服薬の仕方、社会保障制度の活用状況、利用予定の在宅サービスの内容等について、情報共有とディスカッションをします。 入院中の管理を在宅でそのまま行うわけではありませんので、入院中に在宅に合わせた管理に移行するために打ち合わせをします。 また、患者様、家族の希望や意見、心配事などについても話をしてもらい、カンファレンスで検討します。 進行は、患者様、家族の話を聞きながら進めることもあれば、職種ごとに一通り基本情報のプレゼンを先に行うなど、患者様、家族のキャラクターやその場の雰囲気で司会進行する人が判断するでしょう。それぞれの担当者が情報をまとめた資料等を配布することもあります。 退院前カンファレンスでの収益計算 退院前カンファレンスに参加することは、担当する患者様が退院する前に多くの情報を得ることができますのでとても有益なことです。 しかし、参加するとなったら、医療機関まで赴く手間と時間とお金がかかりますよね。訪問の時間を削ってスタッフをカンファレンスに派遣するわけですから、在宅サービス事業者にとっては、退院前カンファレンスに参加して収益が出るのかは気になるところだと思います。 訪問看護ステーションの看護師が退院前カンファレンスに参加した場合には、退院時共同指導加算を算定することができます。 ただ、退院前カンファレンスに参加するメンバーや患者様の状態、複数の訪問看護ステーションの参加などの条件によっては算定できない場合もあります。算定要件には細かな規定があるため、算定する際は確認が必要です。 おわりに ここでは、退院前カンファレンスに関する基本的な概要についてご紹介しました。 在宅サービスを利用する退院予定の患者様の全てを対象に退院前カンファレンスを実施できれば良いのですが、急な退院決定により実施できなかったり、医療スタッフへの過剰な業務負担により開催が難しかったりし、全ての患者様に退院前カンファレンスを提供することができていないのが現状です。 しかし、退院前カンファレンスができないケースであっても、医療機関側と在宅サービス担当者が電話や文書による密な連携を図り、在宅療養を開始する患者様、家族の安心、安全のために努力する必要があります。退院前カンファレンスは情報共有の一つの方法です。上手に活用して、在宅療養サポートの充実につなげたいですね。 記事提供:株式会社3Sunny(スリーサニー)

インタビュー
2021年12月21日
2021年12月21日

訪問診療クリニックで働くということ(後編)

訪問診療クリニックで働く菅 基さん。今回は一風変わったプロフィールと、病棟勤務から転職した際の驚きの経験を語っていただきました。 なぜ文系四大卒が看護師に? 一般の文科系大学を出て就職もしたのに、どうして看護師になったのかとよく問われます。 新卒で入社した会社では営業職でしたが、仕事内容や今後のキャリアに対して自分の軸がみえず、悩んでいました。偶然、実家の近所に都立の看護学校があったこともあり、看護師の資格を生かした仕事をしようと決心しました。 入学してみると、学生は若い女性ばかりではなく男性も多いし、30代・40代の方もいて、違和感なく学べました。 これまでずっと学校での成績基準の世界で生きてきて、看護学校には、それだけでは推し量れない世界があることにまず驚きました。また、ずっと文系だったので、理系科目には苦労もしました。大学入試より勉強したかもしれません。 そしてみなさんそうだと思いますが、実習期間中は課題が多すぎて眠れないのには参りました。でも目的がはっきりしているので、乗り切れました。 価値観はアップデートしていくもの 国家試験合格後は、5年間病棟勤務を経験しました。呼吸器内科、血液内科など内科系混合病棟でしたが、3年目以降、男性看護師は私一人だったので、目立つというか、下手なことはできない(笑)。力仕事的な部分では頼られましたが、男性が一人の環境は、なかなか肩身が狭かったです。 ふり返って思うのは、自分の経歴や経験で価値観を固めてはいけないな、と。今でも心掛けています。 大学卒だから看護学校でも成績がすごい良かったかというとそんなことは全然なかったし、職場でも家庭でも、その時の自分のステージや将来性を見すえ、総合的にその場での自分の価値観をアップデートさせることが必要だなと学びました。 医療の常識が通用しない訪問看護という仕事 そろそろ異動のタイミングという5年目に、もともと興味があった在宅系で、地域の人とかかわりながら経験が積めることを期待し、訪問看護ステーションに転職しました。 訪問看護は、患者さんの自宅での限られた物品と限られた空間でサービスを提供するので、病院では当たり前だと思っていたことが通じない世界でした。 また、患者さんやご家族の医療に対する考えや価値観が優先されるので、そこをはねのけると「もう来なくていいです」と言われてしまいます。実際、私もそう言われたことがありました。 ALSでずっと在宅療養されている方のところに私が入った時です。ご家族がALSの患者さんであるご本人のために介護の会社を立ち上げたほどで、鉄壁の価値観 ── たとえば酸素飽和度が1%でも下がったら困るなど ── が形成されていました。私はそこを理解せず、医療の正当性を主張して失敗しました。 「24時間対応なんて無理」と考えている人へ 高齢者の増加に伴い、訪問診療を必要とする人はますます増えていきます。サービスを提供する私たちの将来的なビジョンとして、少ない人数でいかに業務を回していくかを考える必要があります。先にお話ししたICTの導入も、業務効率化、残業ゼロへの有効な手段です。 訪問看護はやってみたいけれど、24時間対応は無理と考えている方。深夜に駆けつけることは、事業所の方針にもよりますが入職前に思っていたよりはずっと少ないとお伝えしたいです。実際に訪問看護ステーションに在籍されている方なら、みなさんご存じだと思います。 なぜ深夜の訪問をしなくてすむのか。私たち医療者は、夜間に起こりそうなことをあらかじめ予測し、日中できることでしっかり予防・対応します。また、今後起こりうることを患者さんやご家族にもしっかり説明しています。そうすることで、患者さんやご家族は安心され、コールが減り、緊急連絡にも多くが電話対応ですむことになりました。 訪問診療が入るときには多職種チームが形成されている 訪問診療は、在宅系サービスのなかでは最後に入るサービスだといわれます。 たとえば高齢になって生活に支障が出てくるようになると、まずは地域包括支援センターに相談し、ケアマネジャーが入り、要介護認定が下りると訪問介護やデイサービス・デイケアを利用しはじめます。 病後など、やがて医療が必要になってくると訪問看護が入り、ご本人が病院にも行けなくなると、最後に訪問診療が入ります。つまり患者さんにかかわる多職種がすでに形成されていることが多いのです。 すでにサービスを利用している患者さんのところに私たちが加わるため、訪問看護師さんの役割はとても重要で、連携を大切にしています。当院にも懇意にしている訪問看護ステーションは複数あり、それぞれの個性と特徴を把握し、訪問看護を依頼しています。 訪問診療クリニックも、キャリアと家庭の両立に適した職場 もちろんターミナルで自宅に戻られた方や、一切サービスを使っておらず突然調子が悪くなったけれど入院はしたくない方など、先に診療が入るケースもあります。そんなときは、私たちが介護保険とは何かなど、制度的なことを説明しています。 いざ訪問してみると、家族関係に問題があったり、必要な在宅サービスが入っていなかったりなど、手が足りないと感じる部分もあります。医療だけにとどまらず、患者さんとご家族の悩みも受け止められるよう今後も頑張っていきたいですね。 そのためにも、現在、一緒に働く仲間を増やしたいと考えています。 キャリアと家庭を両立させながら働ける職場だと自負しています。訪問看護経験者で、在宅診療クリニックに関心のある方、チームで働いてみたいという方は、ぜひご連絡ください。 ** 菅 基(すが もとむ)杉並PARK在宅クリニック(東京都杉並区)看護師 杉並PARK在宅クリニックhttps://www.suginami-park.jp/ 記事編集:株式会社メディカ出版

インタビュー
2021年12月14日
2021年12月14日

訪問診療クリニックで働くということ(前編)

サラリーマンを経験してから看護師になった訪問診療専門のクリニックに勤務する菅 基さんに、訪問看護ステーションとの働きかたの違いなどを語っていただきました。 自己実現とライフステージに合致した職場を求めて 私は私立大学で社会学を学び、一度は一般企業に就職しました。しかし仕事にやりがいを感じられず、どうせなら資格を生かした仕事をしたいと考え、家族など周囲に医療系の仕事をしている人が多かったことから、看護学校に入学しました。 卒業後、病棟で5年、訪問看護ステーションに2年勤務したのち、訪問診療専門のクリニックに看護師として入職しました。現在は、杉並PARK在宅クリニックに在籍しています。 訪問看護ステーションでは学ぶことも多かったのですが、ちょうど自分の結婚というライフイベントのタイミングと重なり、家庭も大事にしたいと思い、家から通いやすい範囲にある職場を探しました。すると、近所で訪問診療クリニックが看護師を募集していて、これまでとは異なるスキルを得られるのではと考えて転職しました。 当院は東京都杉並区西荻窪に2021年4月に開院したばかりです。家庭医療専門医である田中公孝院長とは、前職(三鷹市のぴあ訪問診療クリニック三鷹)からのお付き合いで、今回、クリニックの立ち上げから参加しました。 『個』から『集』へのジョブチェンジ 訪問診療クリニックでの仕事は多岐におよびますが、一つには医師の訪問診療に同行して、必要な用具や機器を揃えるなど、診察のサポートを行います。 訪問看護は通常一人で訪問しますが、訪問診療は当院の場合、院長と私と相談員の3人のチームで訪問します。そして、チームのなかで、自分がどういうスキルを提供できるのかを常に考えながら行動します。言ってみれば、訪問先では訪問看護ステーションは「個」の仕事、訪問診療クリニックは「集」の仕事と考えます。 「個」の仕事である訪問看護は、訪問先では基本最初から最後まで一人で完結するため、判断力や行動力が磨かれます。しかし困ったときにすぐ横に相談できる人がおらず悩みを抱えがちになってしまう面があります。 一方、「集」で行動している現在は、常に医師と相談しながらケアを提供できる点で絶対的な安心感があります。ただし、訪問同行は医師が主体のため、訪問看護のときほど自分が前面に出ることは、さほどありません。 地域をよく知り医療中心の多職種連携の要となる 訪問同行以外では、「多職種連携の窓口」も大切な仕事の一つです。 訪問看護師は医師の指示のもとでサービスを提供しますが、患者さんの状態についての報告や相談など、看護師から医師に連絡するのは気が重いと感じる方も多いと思います。その点、連絡先である訪問診療クリニックに看護師がいれば、訪問看護ステーションの看護師は相談しやすいと思います。 私自身も、看護師とのコミュニケーションの際には、先生には言いづらいことも話してもらえるよう意識して接しています。 これは訪問看護ステーションにもいえると思いますが、在宅系サービスを新たな地で新規開業するには、地域のコミュニティーの傾向をよく知り、そこにいかに入り込むかが重要だと思います。 開業時には、地元の医師会やケアマネ協議会、地域包括支援センターなどのほか、商店街など地域をよく知る方たちにも挨拶に伺いました。この地(西荻窪)は、訪問診療の導入が想像していたより多くなかったこともあり、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所からは「頼りにしています」と受け入れてもらいました。 ICTの導入で効率化を図り残業を削減 現在、患者さんは、地域包括支援センターや居宅介護事業所、訪問看護ステーションから紹介いただくケースが多いですね。よく連絡する先にはどのような連絡手段がもっとも受け入れられやすいかを知っておくと、スムーズな連携につながります。 当院の場合は電話と医療介護専用のSNS(LINEのようなソーシャルネットワークシステム)などのICTも積極的に利用しています。日々の業務では、緊急を要する場合は電話で、急ぎではないときはSNSを使うなど、臨機応変に使い分けています。 連携している訪問看護ステーションの中には、ICTを利用していないところもあるのですが、業務量の削減という観点からは、導入するメリットは大きいと思います。 ICTの活用でも、変わらない大事なこと 電話やファックス、メールなど従来の連絡手段では、すぐに電話に出られなかったり、事業所に戻ってからでないと対応できなかったりするため、どうしても記録や連絡などの事務業務は残業になってしまいがちです。でもICTツールを使えば、隙間時間にササッと連絡できるし、スマホやタブレットで連携できるので、事務所にいないときでもチェックできます。 ただICTツールばかりに頼ると、こちらが意図したことを誤解したままサービスが提供されていたり、すれ違いが起こったりする場合もあるので、合間あいまに電話で直接話して、相手との目線を合わせることは必要です。これは当院の院長も常日頃から言っていることで、どんなに便利なツールがあっても、最終的には人と人との関係性が重要なのです。(後編へ続く) ** 菅 基(すが もとむ)杉並PARK在宅クリニック(東京都杉並区)看護師 杉並PARK在宅クリニックhttps://www.suginami-park.jp/ 記事編集:株式会社メディカ出版

コラム
2021年10月26日
2021年10月26日

在宅療養開始 ~スーパー理学療法士(PT)現る!~

ALSを発症して6年、40歳の現役医師である梶浦さんによるコラム連載です。ALSは、できなくなる前に先回りができる病気。しかしそれにも限界を感じていたある日、出会ったのは……?! 遠隔診療を開始してから 2019年3月に退職した後は、在宅での生活を開始しました。仕事も、それまでのように直接患者さんを診るのではなく、iPadに送られてくる画像や情報をもとに診療する、遠隔診療に変えました。直接診察できない寂しさはありましたが、医師が不足している地域の人たちや、病院にかかれない人たちの助けになるため、やりがいを感じていました。 その後も徐々に全身の筋力が落ちていき、できることが少なくなっていきました。しかし、この病気のいいところは、「次にできなくなることの予測ができる!」。予測ができるということは、先回りができる!ともいえるのです。 動かなくなる前に対策をしよう! 多くのALS患者は、線維束性攣縮という、筋肉の不随意性の細かい痙攣を自覚します(要は、筋肉が勝手にピクピク動く)。 下位運動ニューロンが障害されたときに出る症状であり、これが出てきたら、その部分の筋力が落ちてくるので、そう心得ておくとよいのです。 私は視力がとても悪く、コンタクトレンズを着けて生活していましたが、腕が上がらなくなりコンタクトレンズを着けられなくなる前に、ICL(眼内コンタクトレンズ)の手術をしました。また、歩けなくなる前に家をバリアフリーに改築し、力を使わずに移乗ができるように、天井走行リフトを設置しました。そして、2019年6月、まだまだ食べられるうちに胃瘻を造設する手術をしました。特に、早期に胃瘻を造設し、しっかり栄養をとることがとても重要!!なので、また折をみて触れたいと思います。 すごいPTさんに出会った! このころには、右手は動かせず、左手の指だけわずかに動く程度でした。それでも何とか力を振りしぼってiPadを操作していたのですが、限界を感じていました。 どうすればいいのかわからないまま、いろいろな方法を模索していたとき、退職して引っ越しをしたタイミングで、新しい訪問看護ステーションと出会いました。そこの理学療法士(PT)さんたちが、すごかったのです。 私はそれまで、「PTさんは、関節や筋肉の拘縮を予防するためのリハビリテーションとして、ストレッチやマッサージをしてくれる人たち」だと思っていました。しかし、その訪問看護ステーションとPTさんたちは違いました。職種の範囲にとらわれず、「生活の質(QOL)を上げること」を看護・リハビリテーションと考えてくれていました。今の私が何に困っていて、何が必要なのかを判断して迅速に対応してくれました。 できていたことが、できなくなる前に 当時の私は、左手でiPhoneやiPadのタッチパネルが押せず、仕事ができなくなってきたことに、一番困っていました。そのことをPTさんに相談すると、指のわずかな動きでスイッチを押してiPadを操作できることを教えてくれました。そして、押しやすい親指の形に合わせたスイッチを3Dプリンターで作ってくれたのです! こんなことまでPTさんがやってくれるのか! 驚きつつ、私は新しい可能性の発見と、まだまだ仕事ができることに気分が高揚しました。 その後も、親指でスイッチが押せなくなったら、中指の動きを感知する空圧センサーを作ってくれました。また、パソコンの視線入力装置の調整、車いすの調整やトイレの手すりの調整、文字盤を使わずに目の動きだけで会話する方法があることを教えてくれたりと、QOLを上げるさまざまなことをしてくれました。 そのような強力な味方に支えられながら、近い将来できなくなるであろうことを予測しながら、できなくなる前に先手を打っていきました。 そうすることで、「できていたことが、いきなりできなくなる」絶望感や虚無感を味わうことなく、うまくストレスを分散させながらコントロールすることができたのだと思います。 最後の食事! 2019年7月ごろからはNPPV(非侵襲的陽圧換気。気管切開を行わないで、マスクを着けるだけの人工呼吸器)を導入しました。 最初は睡眠時だけ装着し、徐々に慣れさせながら、日中にも着けるようにしていきました。 NPPVを導入するタイミングは難しいのですが、呼吸筋の疲労を取る意味でも、息苦しさを感じる前に、早期から導入することをおすすめします。鼻だけ覆うタイプや、鼻と口の両方覆うタイプなど、何種類かあるので、いろいろ試してみるといいですよ。 それ以降は、徐々に呼吸機能とともに嚥下機能も落ちていき、一回に食べる量が減って、食べることに時間がかかるようになってきました。必要な栄養は胃瘻から摂るようにして、食べることは「味を楽しむもの」と割り切って考えるようにしました。食べることの疲労が強くなり、誤嚥する可能性も出てきたため、2020年4月に食べることを止めました。 皆さんが最後の晩餐として食べたいものは何でしょうか? ちなみに、私の最後の食事は「牛肉のバター醤油チャーハン」でした。 **コラム執筆者:医師 梶浦智嗣記事編集:株式会社メディカ出版

特集
2021年10月19日
2021年10月19日

第2回 生活をよく知る訪問看護師だからこそできること

福岡大学病院循環器内科では、地域の訪問看護ステーションと連携して、心不全患者の急性増悪・再入院を防ぐための取り組みを行って効果を上げています。第1回目は、大学病院と訪問看護ステーションの連携の概要を紹介しました。今回は、患者さん・家族が暮らす生活の場で訪問看護師が行うアセスメントの実際と、大学病院の専門医のサポートの実際を紹介します。 生活の場に密着している訪問看護師への期待 福岡大学病院循環器内科の志賀悠平医師は、「急性期医療を担う大学病院の外来では、多くて月2回、たいていは1~2か月に1回くらいしか患者さんを診ることができません。しかも、私たちは病院に来ている患者さんしか診ていません。お家にいらっしゃる状態というのが見えないため、在宅で食事をめぐる問題や行動面のトラブルが起こっていても把握できません。しかし、訪問看護師さんたちは少なくとも週1回入っていますから、病態の悪化や状態の変化などの細やかなチェックができます。在宅でのチェックにおいては、訪問看護師さんのほうがプロフェッショナルなのではないかと思っています」と訪問看護師への期待の大きさを語ります。 福岡大学病院循環器内科志賀悠平 医師 「病院ではわからない部分を知ることができるのは、私たち訪問看護師の特権だと思っています。患者さんの状態だけでなく家庭内のキーパーソンや家族の支援体制、家屋構造なども、在宅療養における有用な情報です」と博多みずほ訪問看護ステーションの黒木絵巨所長は言います。 博多みずほ訪問看護ステーション黒木絵巨 所長 何らかの症状があっても「年のせいだから」と見過ごされがち 心不全には、心臓の機能低下によって起こる2通りの症状があります。「収縮機能」が低下することによって全身の臓器に十分な血液が行き渡らないことから起こる症状と、「拡張機能」が弱くなり血液がうっ滞することによって起こる症状の2タイプです。血液が十分に行き渡らなくなって起こる症状には、疲労感、不眠、冷感などがあり、血液のうっ滞によって起こる症状には、むくみ(浮腫)、息切れ、呼吸困難などがあります。 黒木さんは特に『むくみ』には十分に注意するそうです。「通常は足背などを見てむくみの程度を判断しますが、訪問してお顔をみたときに『あれ? ちょっとおかしいな』と感じることもあります」と話します。 特に高齢者では、「収縮機能が保たれた心不全(拡張不全)」が多いことがわかってきています。血液を送り出す力が衰え、静脈や肺、心臓などに血液が溜まりやすくなってしまうもので、通常の検査では見つかりにくいとされています。さらに高齢者では自覚症状がはっきりと現れにくく、何らかの症状があっても「年のせいだから」などと見過ごされがちです。日常生活にいつも接している訪問看護師ならではの『直感』が重視される部分も大きそうです。 むくみのほかには、息切れや呼吸困難感も重要なサインの1つで、軽い場合は階段を上がる際に息切れする程度ですが、進行すると少し歩いただけで息苦しくなると言います。さらに悪化すると、夜寝ているときに咳が出て寝られなくなることもあります。「起座呼吸」にまで進んだ場合は入院が必要と言われています。 患者情報がタイムリーに多職種で共有されるメリット このように、訪問看護師の適切なアセスメントがタイムリーに多職種で共有されるメリットは大きいです。そのためには、ICTにより多職種が情報を共有できるツールの介在が欠かせません。 黒木さんはICTによる情報連携について、「現在は福岡大学病院の志賀先生のところと開業医、私たちの訪問看護ステーション、ケアマネジャーがICTツールでつながっています。私たちは医師とすぐに連絡を取りたいと思っても、この時間は電話してもいらっしゃらないだろうなと躊躇してしまうことも多いです。特に大学病院の先生との連絡ツールとして本当に助かっているので、もっともっと取り入れていきたいと思っています。こうやって即座に連携が取れるということは本当に心強いですね」と話しています。 志賀先生も、「訪問薬剤師と共有ツールでつながっていたこともあります。認知機能に少し障害があって服薬カレンダーをうまく使えず服薬管理ができないケースなどでは、薬剤の適正処方や服薬指導をきめ細かく行うために、薬剤師との情報共有ができて非常に有効でした」と、多職種連携のための共有ツールを高く評価されています。 心不全の再入院までの期間が延びているという『手応え』 福岡大学病院と博多みずほ訪問看護ステーションの有機的な連携によって心不全患者の再入院予防を図る取り組みの効果について志賀先生は、「まだまだ数は少ないのですが、確実に地域とつながっているという感触を得ています。少ない症例ではありますが、再入院までの期間が延びているという手応えはしっかり感じています」と述べてくださいました。 急性期病院での診療のかたわら、週1回訪問診療クリニックでの臨床を続けている志賀先生ならではの『地域包括ケアマインド』と、黒木さんをはじめとした訪問看護師の『在宅看護のスペシャリティ』がうまくマッチしたケースと言えるでしょう。 * 心不全看護の専門性をさらに高めるために黒木さんが取得された「心不全療養指導士」資格については、ご存知ですか?心不全療養指導士シリーズでご紹介します。 ** 志賀 悠平福岡大学病院循環器内科 医局長専門は心臓CT、高血圧、心不全、心臓リハビリテーション。日本内科学認定医、日本循環器学会専門医、日本高血圧学会専門医・指導医、日本心臓リハビリテーション学会指導士、医学博士。 黒木 絵巨博多みずほ訪問看護ステーション 所長大分県出身。3児の母。総合病院、透析クリニック勤務の後、2018年から訪問看護師として勤務。2021年3月に心不全療養指導士資格取得。 記事編集:株式会社照林社

あなたにオススメの記事

× 会員登録する(無料) ログインはこちら