みんなの訪問看護アワードに関する記事

訪問看護のやりがいエピソード
訪問看護のやりがいエピソード
特集
2023年11月14日
2023年11月14日

訪問看護のやりがいエピソード【つたえたい訪問看護の話】

仕事は生活するお金を稼ぐために必要な手段のひとつですが、人生のうちの多くの時間を占めます。充実感・自己肯定感を得るためにも、仕事のやりがいは大切です。今回は、「みんなの訪問看護アワード2023」に投稿されたエピソードから、やりがいをテーマとしたエピソードを5つご紹介します。 「訪問看護を、私の一生の仕事に、後押ししてくれたO氏」 この人のために何ができるか?看護師を職業として選んだ理由や看護師としての初心を思い返すエピソードです。 「外の景色見てもらおうよ」「外に出て風を感じてもらおう」私たち、訪問看護を始めてまもないナース3人は、ALSで数年間寝たきり、人工呼吸器つけた70代のO氏を、外に連れ出す計画を立てました。呼吸維持のため、アンビューバッグ。万が一のため、足踏み式吸引機。移動の為のストレッチャーを、準備して、近くの神社へ。紅葉の綺麗な時期でした。数年ぶりに外に出たO氏は、後日パソコンの指先の操作で、「楽しかった」「気持ちよかった」と感想を述べてくれました。別日には、公園にも出かけました。またクリスマスには、3人で持ち寄った楽器でミニコンサートを、ベッドサイドで開催しました。もう亡くなってしまいましたが、その時撮った写真は、今でも私を初心に帰してくれます。これは、私の20年以上も前の大切な思い出です。今では、スタッフも10人以上の大きなステーションに成長しました。あの時の原動力は、今と違って時間にもゆとりがあったからうまれたのかも知れません。しかしながら、若いスタッフにあの情熱は確実に受け継がれていると感じています。嬉しいことに、この街にも、訪問看護が着実に根付いてきたようです。 2023年2月投稿 「『最期まで面倒見る』って言われたけれど…」 利用者さんの選んだ最期の過ごし方とその日常に、訪問看護として関われる喜びを感じるエピソードです。 100歳を超える女性が退院。主介護者は息子さん。脳梗塞での入院で、病院からは療養型をすすめられ「うちで最期まで面倒みますよ」と言われたが、息子さんは自宅退院を希望。経口摂取も難しく、年齢的にもいつ何があってもおかしくないといわれたものの、そろそろ3ヵ月が過ぎる。表情が穏やかになり、訪問入浴で笑顔もみられ、訪問リハで拘縮も緩和してくる。息子さんは看護師からのケアの指導に「我流だったけど、プロはやっぱり違う」と大満足。「お母さん、お家はいいねぇ。退院できて、年も越せて本当に良かったねぇ」と優しく語り掛ける息子さん。母は言葉では返事できないが、温かい笑顔で返す、そんな日々に訪問看護とリハで関わっている。 2023年2月投稿 「日常を支えること」 人の生は有限であり、何気ない日々の尊さと時間の大切さを実感させられるとともに、その生を支援できる訪問看護のやりがいを感じるエピソードです。 「誕生日おめでとう」「ありがとう」か細い声ではあるが、Aさんが笑みを浮かべ、そう返した。年の瀬に末期がんを宣告され、ひと月半が経つ。徐々に口数が減り表情が乏しくなり行く状況で、少し先の目標を掲げながら伴走を続けてきた。クリスマスを迎える。新年を迎える。そして、誕生日のお祝いをする。それは決して特別ではない当たり前の日常。私たちはそんな日々を積み重ねながら人生を歩んでいるのだと思う。しかし、高齢になり病気を患うと、それまで当たり前だった日常はそうではなくなってしまう。私が考える看護師の役割とは、その人にとって当たり前の日常を送れるよう手を差し伸べること。感情を表出したり、季節を感じたり。Aさんと接して、よりその大切さを感じた。今日もAさんの看護に向かう。いつものように挨拶を交わすとAさんの顔に笑みが浮かんだ。その傍らで誕生日プレゼントのガーベラが、色鮮やかに咲いていた。 2023年2月投稿 「生きる意欲を失いかけた方へ伴走する看護」 自分らしくできないならもう自分ではない…。病気は時に人の尊厳や生きる意欲をかき消してしまうこともあります。ただそうなってからも、病気に打ち勝つ努力をされた利用者さんやご家族と、それを支援し伴走し続けた投稿者さんには感動を覚えます。 妻のM様と二人暮らしの90歳代のE様。入浴前後には「行ってきます、行ってらっしゃい」「ただいま、おかえり」と声を掛け合ったりお二人のやり取りを見ているとお互いを大切にしていることがうかがえる素敵なご夫婦。E様は元国語教師、M様は父が大手デパートの役員で裕福な家庭のお嬢様。E様は末期膀胱がんで膀胱タンポナーデを繰り返し、膀胱留置カテーテルが挿入された。重度大動脈弁狭窄症による失神発作も頻回に認め介護を受けることが多くなり「死にたい」という発言も聞かれるようになった。訪問看護ではE様の意思決定に伴走し、E様はM様と自宅で暮らす選択をした。1日3回訪問をしてまずは身体的側面を整え、お二人の文化・社会的側面を意識した関わりを続けた結果、病状も以前より安定し入浴も再開。趣味の読書や晩酌もできるようになりE様らしさを取り戻した。現在もお二人は自宅で暮らし訪問看護はその暮らしに伴走している。 2023年2月投稿 「『看護はアート』と考えられた訪問看護」 訪問看護という仕事は、たくさんの色を重ね合わせて作り上げていくものなのかもしれません。そんな仕事へのやりがいや自己の成長を感じたエピソードです。 学生のころ、「看護はアート」とナイチンゲールが述べたと習った。病院で働いていたころはそう思えなかった。しかし訪問看護師として働き始め、その人らしさを守れるように、生活を多角的に看る看護を考え始めて、「看護はアート」であると理解できるようになった。認知症の独居の患者には、内服を確実にできる工夫を考えるほか、生活状況・火の元の管理や、訪問販売で不要な契約をしていないか等ケアマネと家族と連携して考えた。看取りのがん患者には医療提供はもちろん、ルート類でつまずかない室内配置を考えたり、本人や家族それぞれの思いを吐露できるよう介入したり、看取りの後悔をご家族が軽減できるようエンゼルケアを一緒に行ったり、自分なりに工夫した。訪問看護は患者と家族をつなぎ、介護・福祉を通して地域にも貢献できる仕事だ。ナイチンゲールの述べたことを理解するのに看護師になって何年もかかったが、訪問看護師になって成長できたと思う。 2023年1月投稿 なぜ訪問看護に携わるのか? 「なぜ今の仕事を選んだのですか?」「仕事のやりがいは?」 聞かれてはっきりと答えることができる人は実はそう多くないのかも知れません。今回それぞれのエピソードでやりがいや充実感も感じ取れますが、それは投稿者さんにとっての答えでしかありません。ではあなたが訪問看護をする理由は何ですか?エピソードを通じ、一度自分の中で振り返る機会になれば幸いです。 編集: 合同会社ヘルメースイラスト: 藤井 昌子

漫画「みんなの訪問看護アワード」ご紹介
漫画「みんなの訪問看護アワード」ご紹介
特集
2023年11月2日
2023年11月2日

漫画「みんなの訪問看護アワード」ご紹介/広田奈都美先生

NsPace(ナースペース)では、訪問看護に携わる皆さまからエピソードを募集し、表彰やエピソードの漫画化などを行う「みんなの訪問看護アワード」というイベントを開催しています。 今回は、「みんなの訪問看護アワードって何?」という方のために受賞エピソードの漫画化を担当してくださった広田奈都美先生(漫画家/訪問看護ステーション管理者)が描いてくださった「みんなの訪問看護アワード」の紹介漫画を公開します! ※本記事は、2023年11月2日に公開したものです。 漫画「みんなの訪問看護アワード ご紹介」 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。 >>広田奈都美先生による第1回「みんなの訪問看護アワード」受賞エピソードの漫画はこちら大賞エピソード漫画化!「七夕の奇跡」【つたえたい訪問看護の話】受賞作品漫画「そうだ、訪看がある<前編>」【つたえたい訪問看護の話】受賞作品漫画「新任訪問看護師からの学び<前編>」【つたえたい訪問看護の話】受賞作品漫画「104歳の日常<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 >>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1)

受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式」
受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式」
特集
2023年10月18日
2023年10月18日

受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式<後編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、村田 実稔さん(ウィル訪問看護ステーション江東サテライト/東京都)の入賞エピソード「ちょっと早めの金婚式」をもとにした漫画の後編をお届けします。 ※記事内に記載している所属先は、2023年3月の受賞当時のものです。 「ちょっと早めの金婚式」前回までのあらすじ 訪問看護師 新人の村田さんは、所長の櫛野さんとともに尿管癌末期の利用者 山本さんの訪問を担当しています。余命宣告をされていますが、ご家族の意向で山本さんご本人には伝えていません。「妻に迷惑をかけたくない」と歩行リハビリをがんばる山本さんでしたが、病状は進行していき、あと少しの時間しか残されていませんでした。 〇訪問看護師 新人 村田さん〇所長 櫛野さん >>前編はこちら受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 ちょっと早めの金婚式<後編> 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター兼グラフィックデザイナー。デザイン会社を経て独立。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『R25.jp』等、多数の雑誌・Web媒体にてイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:村田 実稔(むらた みのる)ウィル訪問看護ステーション江東サテライト(東京都)山本さん(仮名)は、私が初めて担当させていただいた末期がんの利用者さんです。このエピソードは私にとってとても印象深かったため、投稿させていただきました。素敵なお話なので、投稿時点から受賞するのではないかな、とも期待していました(笑)。最終的には金婚式を行い、ご本人も奥様も喜んでくださって、後悔が残らず本当によかったと思っています。ありがとうございました。 [no_toc]

受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式」
受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式」
特集
2023年10月17日
2023年10月17日

受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式<前編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、村田 実稔さん(ウィル訪問看護ステーション江東サテライト/東京都)の入賞エピソード「ちょっと早めの金婚式」の漫画をお届けします。 ※記事内に記載している所属先は、2023年3月の受賞当時のものです。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】 ちょっと早めの金婚式<前編> >>後編はこちら受賞作品漫画「ちょっと早めの金婚式<後編>」【つたえたい訪問看護の話】 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター兼グラフィックデザイナー。デザイン会社を経て独立。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『R25.jp』等、多数の雑誌・Web媒体にてイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:村田 実稔(むらた みのる)ウィル訪問看護ステーション江東サテライト(東京都) [no_toc]

受賞作品漫画「104歳の日常」
受賞作品漫画「104歳の日常」
特集
2023年10月4日
2023年10月4日

受賞作品漫画「104歳の日常<後編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、長尾 弥生さん(白川訪問看護ステーションこだま/岐阜県)の入賞エピソード「104歳の日常」をもとにした漫画の後編をお届けします。 「104歳の日常」前回までのあらすじ白川訪問看護ステーションと同じ敷地内にある高齢者住宅に住む利用者の石井さん。御年104歳にも関わらず、シニアカーでおでかけしたり、自室でお料理をしたり、朝からお酒を飲んだりと、元気にマイペースに暮らしています。しかし、高齢で心不全もあるため、緊急呼び出しがあり「苦しい」「もう死ぬのかな」とおっしゃることも…。 >>前編はこちら受賞作品漫画「104歳の日常<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 104歳の日常<後編> 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師/訪問看護ステーション管理者。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1) エピソード投稿:長尾 弥生(ながお やよい)白川訪問看護ステーションこだま(岐阜県)「私たちのステーションに、こんなに元気な104歳の方がいらっしゃいますよ」ということを皆さんに知っていただきたくて、このエピソードを投稿しました。私たちが看護しているというよりも、私たちのほうが石井さん(仮名)から毎回パワーをいただき、癒されています。以前から、石井さんのお話を漫画にしたいね、と同僚と話していたので、実際に漫画にしていただき、大変うれしく思っております。訪問看護について、中には「看取り」「長期間の闘病」など、つらくて暗いイメージをお持ちの方もいるかもしれません。でも、実際の訪問看護には、こんなにほっこりとした楽しい日常もたくさんあります。今回漫画にしていただいたことで、より多くの方に訪問看護の楽しさを知っていただけたら、とても嬉しいです。 [no_toc]

受賞作品漫画「104歳の日常」
受賞作品漫画「104歳の日常」
特集
2023年10月3日
2023年10月3日

受賞作品漫画「104歳の日常<前編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、長尾 弥生さん(白川訪問看護ステーションこだま/岐阜県)の入賞エピソード「104歳の日常」の漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】 104歳の日常<前編> >>後編はこちら受賞作品漫画「104歳の日常<後編>」【つたえたい訪問看護の話】 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師/訪問看護ステーション管理者。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1) エピソード投稿:長尾 弥生(ながお やよい)白川訪問看護ステーションこだま(岐阜県) [no_toc]

不思議&驚きエピソード
不思議&驚きエピソード
特集
2023年9月26日
2023年9月26日

不思議&驚きエピソード【つたえたい訪問看護の話】

仕事をしていると、感情的には嫌でも割り切ってやらないといけないことが出てきたり、時に自分の考えが及ばない場面や不思議な場面に遭遇したりすることもあります。「みんなの訪問看護アワード2023」に寄せられた投稿から、理解がしがたい不思議な出来事やぎょっとする驚きの体験エピソードを4つご紹介します。 「虫の知らせ」 不思議な出来事の中にも、故人への想いが感じられるエピソードです。 これは90代の男性療養者A氏の話である。A氏は呼吸不全状態であり、主に入浴介助のために訪問していた。A氏は非常に知的で厳しい方であった。ケアではA氏のルールがあった。状態の悪化に伴いA氏は入院となり、その後病院で亡くなった。しばらくして、奥さんは「遊びに来てください」と手紙をくださった。快晴の日、私は訪問してお線香をあげさせていただいた。そしてふと窓をみるとブロック塀の上にカマキリがいた。カマキリはじっと私と奥さんのほうをみている。カマキリの凛々しい目つきはA氏の姿を思い出させた。何よりどうやってここまで来たのか、非常に不思議で奥さんも驚いた。「虫の知らせ」という言葉がある。これは親しい人の死を予感する意味で使われることが多い。しかし死の予感だけでなく、虫が故人の魂としてやってくるとも言われる。A氏の魂がカマキリとなり来てくれたのだなと思い、私は「ありがとうございました」とカマキリに挨拶をした。 2023年1月投稿 「初めての訪問看護の現場での緊急事態」 緊急事態に遭遇しても対応できるのは自分一人ということも。冷静に対応できる平常心の大切さを感じるエピソードです。 初めて訪問看護に異動になり、引継ぎのために2名で訪問。前日に退院したばかりの60代男性宅に訪問したが、声をかけても出てこられずうめき声のようなものが聞こえる。近所に住む男性の兄に助けを求め、玄関の鍵を開けてもらい室内へ。男性は下半身裸のまま倒れ失禁している状態。初めての対面だったが何とかしなくてはと思い、助け起こし状況を確認した。どうやら就寝前薬を2回分誤って服用したようで、意識はあるが体が動かせない状態になっていたようだった。病院に連絡をして再度入院となった。訪問看護が何かも分かっていない時であり、もし1名で訪問していたらどうなっていただろうかと考えるとひやっとした出来事だった。 2023年2月投稿 「夏の日の出来事」 不思議な電話は利用者さんからの心のメッセージだったのでしょうか。 晴れた夏の正午一本の電話があった。「もしもし?」何度言っても無言。「お名前言えますか?」と何度か問うと電話の向こうで「ううう…」と長い唸り声が聞こえた。「大丈夫ですか?お名前言えますか?」「うう…」と言った後電話が切れた。急いで携帯番号を確認すると、入院中の利用者様からだ。事務の私は看護師に伝え、折り返し電話を掛けてもらうが繋がらなかった。二日後、その利用者様のご主人が利用料を支払いに来られた。「奥様のご容態はその後どうですか?」と聞くと、先週亡くなりましたと。珍しくどこからも情報が来なかった為、私達は亡くなられた事を知らなかったのです。奥様の携帯から電話が掛かってきた事を伝えると、ご主人は電話をかけていないとの事。あの電話は一体…看護師たちに厳しかったご主人が帰り際に「私もいつか宜しくお願いします」と言った姿が印象的で何だか奥様の温かい言葉の様にも聞こえました。今でもふと思い出す夏の日の出来事です。 2023年2月投稿 「黒光りする同居人」 訪問看護をしていると自宅の環境に驚愕することも。まさにこの出来事はその一例と言えるでしょう。ちょっと衝撃的なエピソードです。 Sさんはアルツハイマー型認知症の利用者で身寄りがなく、1人暮らしです。近隣住民とのトラブルが頻発するため介入しました。訪問すると、カサカサッと黒い影が横切りました。もしやと思い、目を凝らすと廊下・リビング・水回り、家中にゴキブリがうごめいており、「キャッ」と悲鳴を上げました。いつ行っても、ゴキブリがお出迎えしてくれます。私はゴキブリが気になりケアをおえるとすぐに家を出ていく日々が続きました。カンファレンスで、Sさんの不衛生な自宅環境の改善が必要と考え、殺虫剤でゴキブリを退治した後、自宅の片づけをしようと判断しました。そして決行日、くん煙タイプの殺虫剤を使用した後、扉を開けると、仰向けになったゴキブリが散乱しており声も出ず扉を閉めました。今でもあの光景は忘れません。その後、悲鳴を上げることを我慢し、片付けを行い自宅環境が改善し、Sさんの家でゴキブリを見ることはありません。今では耐性がつき、動じなくなりました。 2023年2月投稿 どんな出来事も冷静に受け止める平常心 今回は人の死にまつわる不思議な出来事やリアルにぎょっとしたエピソードをご紹介しました。稀有なエピソードを聞くと一見他人事のように感じるかもしれませんが、こうした出来事は自分自身にもふいに訪れることがあります。予期せぬ出来事や想像を超える出来事があったとしても、混乱せず冷静に受け止めること、また平常心を保ち対応することが大切だと教訓になりますね。 編集: 合同会社ヘルメースイラスト: 藤井 昌子

漫画「爪切りを通して」
漫画「爪切りを通して」
特集
2023年9月13日
2023年9月13日

受賞作品漫画「爪切りを通して<後編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、古橋 笑生さん(ひだかK&F訪問看護ステーション/埼玉県)の入賞エピソード「爪切りを通して」をもとにした漫画の後編をお届けします。 「爪切りを通して」前回までのあらすじなかなかお風呂の介助以外のサポートができず、利用者の田中さんとの間に高い壁を感じていた古橋さん。どうコミュニケーションをとるべきか、悩んでいました。ある日、田中さんの爪が伸びていることに気付き、「切りましょうか」と提案。すると、田中さんは「そんなことお願いできるの?」と言いながら、何かを取り出して…。 >>前編はこちら受賞作品漫画「爪切りを通して<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 爪切りを通して<後編> 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター兼グラフィックデザイナー。デザイン会社を経て独立。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『R25.jp』等、多数の雑誌・Web媒体にてイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:古橋 笑生(ふるはし えみ)ひだかK&F訪問看護ステーション(埼玉県)まさか入賞するとは思っておらず、ご連絡いただいた際には本当に驚きました。ステーションの所長や同僚もみんな祝福してくれました。漫画化は少し恥ずかしい気持ちもありましたが、「またお会いしたい」と思っていた利用者さんが漫画の中にいらっしゃって、またお会いできたような気持ちになり、嬉しくて笑みが溢れました。本当にありがとうございました。 [no_toc]

漫画「爪切りを通して」
漫画「爪切りを通して」
特集
2023年9月12日
2023年9月12日

受賞作品漫画「爪切りを通して<前編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、古橋 笑生さん(ひだかK&F訪問看護ステーション/埼玉県)の入賞エピソード「爪切りを通して」の漫画をお届けします。 >>全受賞エピソードはこちらつたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】 爪切りを通して<前編> >>後編はこちら受賞作品漫画「爪切りを通して<後編>」【つたえたい訪問看護の話】 漫画:さじろう山形県在住のイラストレーター兼グラフィックデザイナー。デザイン会社を経て独立。『ダ・ヴィンチ』『東京カレンダー』『Men’s NONNO』『R25.jp』等、多数の雑誌・Web媒体にてイラスト・漫画制作を手掛ける。 エピソード投稿:古橋 笑生(ふるはし えみ)ひだかK&F訪問看護ステーション(埼玉県) [no_toc]

漫画「新任訪問看護師からの学び」
漫画「新任訪問看護師からの学び」
特集
2023年8月30日
2023年8月30日

受賞作品漫画「新任訪問看護師からの学び<後編>」【つたえたい訪問看護の話】

NsPaceの特別イベント「みんなの訪問看護アワード」で募集した「つたえたい訪問看護の話」。今回は、佐藤 理恵さん(一般財団法人同友会 藤沢訪問看護ステーション/神奈川県)の入賞エピソード「新任訪問看護師からの学び」をもとにした漫画の後編をお届けします。 「新任訪問看護師からの学び」前回までのあらすじ佐藤さんが働く訪問看護ステーションの看護師は、50代がメイン。そこに、貴重な30代の新任訪問看護師 三上さんが入職しました。糖尿病・フットケアが得意分野で、小さな子どもたちを抱えながらも意欲にあふれる三上さん。教育担当の佐藤さんは、自身の経験も踏まえながら、負担をかけすぎず、でもしっかりスキルを生かせるように…と検討していきました。 >>前編はこちら受賞作品漫画「新任訪問看護師からの学び<前編>」【つたえたい訪問看護の話】 新任訪問看護師からの学び<後編> 漫画:広田 奈都美(ひろた なつみ)漫画家/看護師/訪問看護ステーション管理者。静岡県出身。1990年にデビューし、『私は戦う女。そして詩人そして伝道師』(集英社)、『ナースのチカラ ~私たちにできること 訪問看護物語~』『おうちで死にたい~自然で穏やかな最後の日々~』(秋田書店)など作品多数。>>『ナースのチカラ』の試し読みはこちら【漫画試し読み】『ナースのチカラ』第1巻1話(その1) エピソード投稿:佐藤 理恵(さとう りえ)一般財団法人同友会 藤沢訪問看護ステーション(神奈川県) 受賞のお知らせを聞いたときは「本当に?」と驚きましたが、漫画に登場する三上さんも、一緒に喜んでくれました。今回エピソードを投稿してみて、日々行っていることを言語化することは非常に大事なことだと思いましたし、言語化する過程で、「あのとき自分はどう考えたんだろう」と改めて振り返り、気づきを得る良い機会になりました。本当にありがとうございました。

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