用語集
高張性脱水
発汗や尿崩症により体内の水分が失われたにもかかわらず水分補給を怠ったために、血液中のナトリウム濃度が高くなり、細胞内から細胞外へ水分が移動し、細胞内の水分が減少した脱水のことをいいます。症状として、発熱や口喝などが現れます。高張性脱水では、血液中に多く存在するナトリウムとクロールの血中濃度が高くなりやすく、高ナトリウム血症や高クローム血症が起こりやすくなります。血液中のナトリウム濃度が異常になる高ナトリウム血症を発症すると、けいれんや昏睡が生じる場合があり、速やかな補正が必要になります。高クロール血症については、特徴的な症状がなく、一般的に高ナトリウム血症に併発して起こり、ナトリウムを補正することで正常化できるため、特に、治療対象としません。また、その他のカリウム、マグネシウムなどの電解質については、細胞内に多く存在しているため、細胞内の水分が減ることで、細胞内のカリウムやマグネシウム濃度が高くなりますが、血液中のカリウムやマグネシウム濃度が高くなる高カリウム血症や高マグネシウム血症が起こることはありません。また、高張性脱水の状態を改善することで細胞内の電解質バランスも改善されるため、特に問題にしません。発汗の速度が速く、多くの汗をかくほどに血液中の水分が多く失われ、高張性脱水のリスクが高まります。
監修: とよだクリニック院長 豊田 早苗