水いぼ(伝染性軟属腫)の症状・感染経路・対処法は?大人もうつる?
水いぼ(伝染性軟属腫)は子どもがなりやすい皮膚疾患ですが、大人も発症する場合があります。また、大人は子どもと比べて発症しにくいため、もし多数の水いぼができたときには免疫機能に何らかの問題が起きているのかもしれません。 今回は、水いぼの症状や感染経路、対処法、学校への登校や大人の感染などについて解説します。利用者さんやそのご家族が症状を訴えた際にアドバイスできるよう、チェックしておきましょう。 水いぼとは 水いぼ(伝染性軟属腫)は、ポックスウイルスの一種である伝染性軟属腫ウイルスに感染することで発症する良性のいぼです。いぼの中心にある芯はウイルスの塊であり、モルスクム小体といいます。これに触れるとウイルスの感染が広がるため、発症した際は症状を広げたり周りの人にうつしたりしないよう、適切な対応が必要です。 水いぼの症状 水いぼの大きさは1~5mm程度で、まれに1cm程度にまで大きくなるものもあります。表面には光沢があり、色はうすだいだい色もしくは白色~赤色です。多くの場合、数個から数十個もの小さな水いぼが集合して1つの水いぼを形成しています。水いぼが現れる箇所の多くは体幹と四肢ですが、首や顔など、どこにでも現れる可能性があります。 水いぼの感染経路 水いぼは、接触によって感染します。バスタオルのほか、プールで浮き輪やビート板などを共有した場合にも感染する可能性があります。「水いぼ」という名称から、プールの水を介して感染するイメージがあるかもしれませんが、通常そのようなことはありません。 水いぼの対処法 水いぼと診断された場合、治療を受けるか自然治癒を待ちます。6ヵ月~3年で自然治癒するとされていますが、個人差が大きく治癒するまでの期間を予測することは困難です。周りの人にうつさないためにも水いぼの数が少ないうちに取り除くのが最も確実です。 水いぼの医療機関での治療法についても見ていきましょう。 ピンセットで取り除く ピンセットで水いぼを取り除く方法があります。確実性が高い治療法である一方で、激しい痛みを伴うことから、局所麻酔薬の使用が必要です。水いぼを除去(摘除)したところに跡が残る可能性もあります。 なお、医師の管理のもとで適切に処置を行う必要があるため、自分でピンセットを用いて水いぼを除去してはいけません。誤った対処法は、激しい痛みや二次感染、水いぼの取り残しなどにつながる可能性があります。 液体窒素で壊死させる 液体窒素によって水いぼを凍結して壊死させることで、新しい皮膚の再生を促す治療法があります。スプレーや綿棒で液体窒素を水いぼに付着させます。スプレータイプのほうが比較的痛みが少ないでしょう。 薬物療法 伝染性軟属腫の薬物療法としては、漢方薬の薏苡仁(ヨクイニン)内服やポピドンヨード剤(消毒液)、サリチル酸絆創膏(皮膚の角質を軟化させる絆創膏)などを使用することがあります。さまざまな薬剤を用いた治療法がありますが、改善に時間がかかる傾向にあり、確実に治療できるとは限りません。そのため、自然治癒を待つか、摘除・凍結療法などを行うケースが多いでしょう。 水いぼは大人もうつるのか 水いぼは、大人にもうつる感染症です。水いぼをひっかいた手で皮膚に触れると、伝染性軟属腫ウイルスに感染する可能性があります。特に子どもに水いぼができている場合、できるだけ水いぼに触れないように対処するとともに、爪を短く切り、こまめに手を洗うようにしましょう。 なお、大人は伝染性軟属腫ウイルスに感染しにくいとされており、頻繁に水いぼにかかる場合は免疫機能に何らかの問題が生じていることが疑われます。 水いぼがあっても登園・登校はできる? 学校保健法において、水いぼは出席停止の感染症に該当せず、保育園や幼稚園、小学校などを休む必要はありません。ただし、皮膚が触れ合うプールや体育の一部の授業は参加を控えるほうがよいでしょう。なお、出席停止や対応については園や学校の方針を確認する必要があります。 水いぼの感染を防ぐための対策 水いぼは、症状を広げたり周りの人にうつしたりしないように接触を避けることが大切です。感染を防ぐために家族とは別で入浴し、タオルの共用は避けたほうがよいでしょう。また、特にアトピー性皮膚炎や湿疹がある場合、皮膚のバリア機能の低下により感染リスクが高くなるため、注意が必要です。日頃から清潔ケアや保湿によるスキンケアを実施して、皮膚の状態を整えておくことが大切です。 * * * 水いぼになったときは、人との接触を避けつつ医療機関を受診して、適切な治療を受けましょう。また、大人が水いぼに繰り返しかかる場合は免疫に何らかの問題が起きている可能性があるため、念のため医師に相談したほうがよいでしょう。 編集・執筆:加藤 良大監修:吉岡 容子医療法人容紘会 高梨医院 院長東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。 【参考】〇加古川医師会「みずいぼの治療について」https://www.kakogawa.hyogo.med.or.jp/memo/item69232024/5/31閲覧